アカメが斬る!(アニメ) 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日2014年12月27日

評論

アニメ版アカメが斬る!の評価を書くことにする。
2014年の7月から12月にかけて2クール放送されたバトルアニメである。月刊ビッグガンガンにて連載されている漫画原作。

最初に総評を書いてしまうと、「どこか古く、二番煎じだらけで陳腐だが、嫌いじゃない、むしろ好き」な作品だった。
割と辛らつな表現で書くことになるが、それでも「好きな作品だった」という点、抑えておいてもらいたい。

どこか古いという件について。
まず、キャラクターデザイン、ネーミングセンスその他が古いと思う。いかにも漫画アニメチックというか、はったりが効きすぎているというか。90年代テイストというかそんなものを感じ取ってしまう。
改めてそう感じてしまう理由を考えたが、これは「登場人物の髪がカラフル」だからということも起因しているかもしれない。ブラック、ブラウン、シルバー、ピンク、グリーン、イエロー、パープル、ブルー、と一通り揃ってる。これってなんか最近のバトル漫画にはあんまり見ないような感じ。色で個性づけるって、昔のバトル作品でよくあったような印象がある。それとキャラクターの掛け合い。中学生だか高校生がじゃれているというか、そういう幼稚な掛け合いが多くて、会話の妙を楽しむ、みたいのとは全く無縁の作品だ。某動画サイトのコメントで「学芸会レベルだな」みたいな容赦のないものを見たが、割と的を射ていると思った。古臭いテンプレのような会話を行うことが多い。

二番煎じという件についてだが、この作品、何から何まで「どこかで見たこと」がある感じを受ける。
ナレーションからして「仕事人」であり、キャラ付けもテンプレであまり特徴がないし、帝具という特殊能力アイテムも異能力ものでは定番中の定番とも言えるし、キャラクター同士の掛け合い、台詞回しに関しても何か凄まじく二番煎じ臭がする。全体的に陳腐さが漂っている。1話から通して見て全ての展開において「なんか見たことあるな」って印象を抱いてしまう。
例えば、殺した人間の声が聞こえるとか言う悪役、追い詰められた敵の巨大化、窮地での精神力によるパワーアップ、そして捨て身での限界を超えた体当たりで巨大な敵を貫く、命を削っての奥の手、などなど。今更珍しく、バカ正直とすら言えるひねりのない展開。

この作品の個性は何かというと「主要人物がどんどん死亡していく」ということだろう。これはあまり見ないといえばそうだ。大抵の作品なら主要キャラが一人二人死ねば割と大事件なのだから。
しかしこれに関しても、やはり仕事人シリーズの二番煎じであるといえばそうなる。あれも容赦なく仕事人たちが殉死しまくるのだ。「闇に生きる人間は幸せにはなれない」的なことってよくあるシチュだし。
ただ、少なくともアニメ作品でこういうのを徹底している作品って知らないので、十分に個性にはなっていると思う。

割とボロクソに書いておいて、この作品に対する評価は個人的に高い。
なんでかというと、「王道で素直」だからだ。

主要キャラが容易く死ぬという点を除けばまさに王道中の王道を突き進んでいき、奇を衒っていない。最初から帝国の打倒という明確な最終目標があり、ぶれることは一切ない。キャラクターの掛け合いも陳腐といえばそうだが、ドタバタと仲良く、騒がしくて悪くない。下手に「上手いこと言おう」としたりしてない台詞回しでいっそ清清しい。そんな風に好感が持てる。面倒臭い屁理屈ばった設定が多い昨今、こうまで素直な作品は貴重に思えた。実は最近で一番楽しんだアニメだったのだ。最後なんて北斗の拳のケンシロウかな?って感じだったが多少強引でもまとめたのだから良い。「一流の悲劇より三流の喜劇」とは違うかもしれないが、徹頭徹尾そのスタンスを貫き、スカッと終了した、あとくされのない作品だった。

二番煎じ二番煎じ言って、本当にそうなのかを検証しないのも失礼かと思うのでちょっとしてみた。
物語はキャラクターにより動かされるものだ。だからキャラクターに注目して検証。ちなみに原作は読んでいない。

アカメ:黒髪ロングの美少女食いしん坊、殺し屋ナイトレイドのエース的存在。出番少な目だが主人公っぽい。いや主人公だ。食いしん坊で戦闘能力高い。と書いて今連想したのは孫悟空だった。ルフィでもいいか。それこそ他にも主人公タイプで多いだろうけど、女キャラでは少ない、か?当たっただけで即死になるという刀、村雨を扱う。刀を使う女性キャラ、というのはしばしばフィクションで存在する。天上天下とか一騎当千とか、灼眼のシャナとかか。共通して、髪型がロングであることが多いな。

タツミ:ごくごく平凡でこれといって特徴のないキャラ。主人公と思われたが最終話前で…。あまりに性格は平凡で特筆すべきものがない。さすがに二番煎じどうこうって話じゃない。気のいい男子高校生って感じ。持っている帝具インクルシオで変身した姿はまあ、仮面ライダーとか参考にはしてそう。あとラッキースケベスキルも持っているか。これは少年漫画の主人公全般が広く持っているスキル。

マイン:原作ではタツミと恋人同士になるらしい強気ツインテールキャラ。強気ツインテールと書いて今連想したのが漫画「王様の仕立て屋」のラウラだった。ちょっとマイナーだな…。ピンチなほどに威力が上がるという謎構造の帝具パンプキンを使用する。この設定はゲームでめっちゃ多いな。というかこの作品、「レベル」とか多用するのでなんかゲームっぽいと思わせることが多々あった。

シェーレ:天然おっとり巨乳眼鏡。もうこれだけで無数にいそうなレベル。誰かというと…具体的に挙がらないが…。ギャルゲーとかでは多分定番のはずだ。有名どころだと…らき☆すたの「高良みゆき」とか?巨乳と眼鏡ってセットが多いのはなぜだ。なんでも切れるハサミの帝具が武器。

ブラート:以前は帝国に属していたタツミが兄貴と慕う兄貴分。あとゲイ。リーゼントでとても強い。死の際にタツミにインクルシオを託した。終盤ではタツミの意識の中で登場し鼓舞、声のせいもあってグレンラガンのカミナを連想させる。

レオーネ:獣化することができる帝具を扱う豪放磊落なスラム育ちの姉さんタイプ。豪放磊落な姉さんタイプ。これもまた色んな作品のサブキャラでいそうではあるが…。割と思いつかない。獣化して身体能力アップというのはバトル漫画やゲームでしばしば見られる。自然回復能力に優れるというのもまたゲームっぽい。

ラバック:緑髪のオープンスケベ。ゆえに女性メンバーからは雑に扱われる汚れ役。これまた多そうではあるが具体的にとなると…。まあオープンスケベでよく女性に殴られる男全般ってことで。古くはうる星やつらとか。戦闘で糸を使うのはまさに仕事人シリーズの「三味線屋の勇次」そのまま。ラバックの力でレオーネの切られた腕を繋げたらしいが、これはハンター×ハンターのヒソカとマチを連想させた。

チェルシー:誰にでも化けることができる帝具を持つナイトレイドの後期メンバー。性格は飄々としていて食えないタイプ。とりあえずアニメ版ではマインをからかうことが多い。動物で言うとネコっぽい。変装キャラというのはそれこそ枚挙に暇がないだろう。

スサノオ:ナジェンダの帝具である帝具人間。感情の起伏はほとんどない。しかしやたらと几帳面な点というキャラ付けは…ジョジョ4部の吉良、とか。

ナジェンダ:殺し屋集団ナイトレイドの女性ボス。以前は帝国の将軍だったが抜けて反乱軍に。胸元を大きく開いた組織のボス、っていうと例えば盗賊とか海賊の首領とかでは多いような気も。しかしこのキャラに関してもそれほど二番煎じって感じはしないか。ロケットパンチが武器。

ウェイブ:ナイトレイドと対比となっている帝国側の精鋭、イェーガーズの一員で裏の主人公的存在。見た目から何からごく普通で、表主人公のタツミと似ていて特筆すべきところが特にない。田舎出身のかっぺである点は特徴か。タツミのインクルシオとおなじタイプの帝具グランシャリオでやはりライダーっぽい姿に変身。

クロメ:アカメとは袂を分かったアカメの妹。ヤンデレの妹。これだけで結構いそう。いや割といない?キャラ付けより、扱う刀、八房により死体を操れるという点に注目しようか。これはネクロマンサー系キャラとして多いだろう。アカメも含めて、小さい頃から暗殺者としての英才教育を、っていうのもよくある。

ドクタースタイリッシュ:人体実験をするのを喜びとするマッドサイエンティスト。もうこれは結構いるだろう。思いついたのは北斗のアミバ、FF7の北条とか。最終的に自分の体も改造というか変化させるの込みで。

ボルス:見た目は怖いが実は優しくて良い人。いろんなメディアで存在する、気は優しくて力持ちタイプの亜種と言えるだろう。使う帝具は決して消えない炎を噴射する「煉獄招致ルビカンテ」。決して消えない炎、NARUTOであった気がする。

セリュー:正義に取り付かれた正義狂いの女キャラ。人体改造しまくっていて全身隠し武器だらけ。これはコブラとかジョジョのシュトロハイムとか。視野が狭く悪は容赦なく断罪!って性格もよく見る。ような見ないような。

ラン:物腰の柔らかい美青年。腐った帝国を内部から変えたいと思っていた。らしいのだが、ぶっちゃけアニメでは最も存在意義が疑われるキャラだろう。内部から変える、って発言はコードギアスのスザクにそのまま通じるか。羽を飛ばす、という攻撃方法はありがち。ゲームでの鳥系敵キャラならよくあるが漫画だとベルセルクとか。

皇帝:オネスト大臣の言うなりになっている幼い傀儡皇帝。この皇帝と大臣の関係においては、終盤で皇帝が巨大な帝具に乗り込んで戦うというのもあり、漫画「封神演義」の紂王と妲己の関係を連想させるものがある。バトルの地盤となる帝具自体も、封神演義「宝具」そのまま。巨大な帝具に乗り込んで戦うが、これは二番煎じがどうってより、もはや特撮。戦隊ものオマージュである。

オネスト大臣:私腹を肥やすだけを目的として皇帝を傀儡として意のままに操る、すべての元凶である帝国の大臣。何のバックボーンもない悪役。あまりに薄いキャラ付けすぎて逆に二番煎じっぽくはないかもしれない。帝具を破壊する帝具を隠し持っていたことが最終話で明らかになる。戦闘の地盤になっている便利アイテム自体を無効化するアイテムが登場する、というのもまた、封神演義の終盤で発生した事象である。

エスデス:帝国の将軍でありイェーガーズの隊長であり、またアニメ版のラスボスでもある。飛びぬけた戦闘能力を持つドSキャラ。タツミにぞっこん。氷を操るキャラが最強というのはバトル漫画では多分珍しい。しかし能力を見るとワンピースの青キジほぼそのまま、時間を止めるという能力に関しても、ジョジョのザ・ワールドはじめ、多い。

以上、主要キャラについて軽く書き連ねてみた。
こう書いてみてわかったが、キャラ付けとかは別にそれほど二番煎じってわけではないんだな、と。二番煎じのように思わせる理由、それは各キャラが使う帝具なのかもしれない。これに着目してみると確かに大体のものが「なんか見たことがある」というのは間違っていない。キャラ付けについてはちょっと思い込んでいただけかもしれないので反省する。
とにかく、こういうところを含め、自分はこの作品が嫌いじゃない。バトル作品としてとても分かりやすい作品だ。

項目別評価

深く考えないで楽しむバトル作品。戦闘描写だが、序盤のアカメVSザンクとか一部の描写は素晴らしいが微妙なところが多かった。とはいえ駄目というわけではなく、総合的には可もなく不可もなくという感じ。終盤、オリジナル展開になった辺りから急激に構成が雑になった感じは否めなかった。クロメのピンチにウェイブが駆けつけたのに、その戦いは描かれず終了してしまっていたり。ちょっとあちこちバキボキいってるが無視して畳んだ、そんな感じ。

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