バイオハザード リべレーションズ 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレゲーム>バイオハザード リべレーションズ

執筆日2015年01月12日

評論

シリーズを重ねていくにつれて以前はあった持ち味が失われていってしまうという例は色々あると思う。
1996年に第一作目が発売されたカプコン「バイオハザード」シリーズもまた、残念ながらそういう間違った進歩をしてしまった作品の一つであると思っている。

バイオハザードというと元々、ホラーアドベンチャーであったのだが、バイオハザード4からはこの「ホラー」部分が置き去りにされ、TPSのガンシューティングと化してしまったのである。2004年に発売されたバイオ4自体は完成度の高いTPSの先駆けとして多くのフォロワーを生み出した偉大なゲームであるのだが、そのフォロワーである例えば「Dead Space」シリーズなどに既に同じ路線のゲームとしては抜かれてしまっているなどとよく言われる。デッドスペースシリーズ自体はプレイしていないのだが、最新ナンバリングであるバイオ6をプレイする限り、「バイオシリーズはこんなんじゃなかった、何か足りない、何か失われた」感覚があるのは確かであり、まあこの路線のゲームならばバイオじゃなくても別にあるんだろうな、というのは人聞きでも納得できてしまうのである。

何かが失われていった、という感覚はあるものの具体的に何なのかはよくわからないでいたのだが、3DSで発売された「バイオハザード リべレーションズ」をプレイした時に分かったような気がした。
その一つは割と原始的、単純な理由で、「狭さ」なのである。

例えば初代バイオハザードは狭い洋館であり、バイオハザード2も狭い警察署が舞台だ。だがバイオハザード3からは開けた場所に出ることも多くなった。広ければ広いほど逃げ場が生まれるのは当然であり、そうすると必然的に恐怖も減少してしまうのだ。恐怖を演出したいのならば広場はNGなのである。幽霊船のような不気味な閉鎖空間、その内部の狭い通路、狭い部屋、それに暗い照明や不気味なBGMが加わることにより、「先に進みたくない…恐い…」という感情が噴出することになるのだ。このリべレーションズには紛れもなくこれが存在する。かつてバイオをプレイした時に感じた恐怖であり、最近のバイオをプレイしても感じなかったものだ。バイオ6などは閉鎖空間のほうが少なくなってしまっており、こういった恐怖とはもはや無縁となってしまっている。

バイオシリーズが失ったもののもう一つは、これは失ったというよりも「生まれてこなかった」のだが、ずばり、「不気味なクリーチャーの存在」である。
思えば、ナンバリングであるバイオ5もバイオ6も、どうもインパクトのある敵キャラというものが記憶にない。マジニやガナードといったザコはともかく、インパクトのある、世にもおぞましいようなクリーチャーがどうも存在していない。4のリヘナラドールなどはなかなかの存在だったが、5と6では「うわああああ!」と叫びたくなるような存在がいない。

だがこのリべレーションズにはそれがいる。例えば序盤、船のプロムナードで戦うことになる「メーデー」さんだ。正式名はスキャグデッドだが、メーデーメーデー言ってるのでメーデーさんだ。この敵はとても恐ろしい上におぞましい。これはこの敵が登場するまでの演出も相当に上手いからこそなのだが。プロムナードに足を踏み入れると何やら遠くから何者かの声とドアを叩くような音が聞こえてくる。先へ進むに従いその声は大きくなっていき、ついにそのドアを開けるとおぞましい2頭の化け物が現れるのだが…。この声と音の演出が本当に精神を蝕み、ガンガンSAN値を削ってくる。しかもこの敵かなり手強く、即死攻撃も持っている。「く、来るなあああ!」とかホラー映画のモブよろしく死亡したりもすると、もう俄然恐怖の虜である。こういう感覚はバイオをプレイして久しく存在していなかった。「ああ、こういうのがバイオだよな」と非常にうれしくなったものだ。イレギュラーに発生した化け物と何の心構えもなく対峙しなければならない理不尽、演出込みで恐怖を感じる、まるで自分がホラー映画の中に放り込まれたような心細さを感じることができるゲームに仕上がっている。リべレーションズは全体通して人間が不自由な動きしかできなくなる水が身近にあり、クリーチャーもその環境に適応して変貌したものばかりのため、人間が「捕食される弱い存在」と強調されていることも大きいかもしれない。

2月にはバイオハザードリべレーションズ2も発売される。
ナンバリングではなくこのリべレーションズこそがバイオの源流を汲んでいると思っているので、俄然期待が高まるところだ。

項目別評価

操作キャラクターはジル、クリス、パーカーなど様々であるが、特に序盤のジルのパートで探索する船、クイーン・ゼノビア内部は非常に雰囲気があり、「これ以上進みたくない…」という感覚を堪能できる。今作から初めて登場するキャラクターもなかなか魅力的。パーカーとかは絶対死んだと思ったのに生きていてくれてうれしかった。

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