デッドオアアライブ5 LAST ROUND 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日2015年02月22日

評論

最近、ゲームの評価だと格ゲーばかり連続しているが、DOA5LAST ROUNDを購入したのでレビューだ。
PS4と同時に購入したギルティギアイグザードに引き続き、PS4で格ゲーをまたも購入したということになる。いやとっくに格ゲーの対戦とかはやらなくなってるんだけどね。いつの間にか最近格ゲーばっかやってる状態に。

よく自分のレビューでは過去の経験とか踏まえつつ、おっさんの昔語りみたいな感じで進行しているが、今回もそういう感じだ。

KOF13の評価で書いたが、自分のゲーセンでの格ゲー歴は1996年から始まったのである。その時代、アーケードに置かれていた筐体で一際目を引くゲームは2つあった。言うまでもなくアーケードゲームの筐体はプレイしていなければ延々とデモプレイが流れるのであるが、そのデモを食い入るように見てしまう、そんなゲームだ。

まず一つは、当時明らかにほかとは一線を画した美麗な3Dグラフィックで、ゲーム性も相まってゲームの次世代を感じさせたSFロボットアクションゲーム、初代「バーチャロン」。である。
そしてもう一つが、初代「デッドオアアライブ」だ。そのデモ画面、ないかなーと検索してみたらあった。これだ。

なぜ目を引いたといえば…まあ言わなくてもわかるだろう。このゲームに興味を持ってこのページを読んでいる人間ならなおさら分かるだろう。

揺れる。とても揺れる。

初代DOAからDOA5における今まで、このゲームは格ゲーでありながらそれ以上に○っぱいゲーであると、広く認識されている。はっきり言えば女体鑑賞ゲーム。その物騒なタイトルとは乖離しすぎていてある意味皮肉にすら思える。2D格ゲーで「揺らし」の元祖は餓狼伝説2の不知火舞であることもまた一部では有名だろうが、3D格ゲーとなると誰しも思いつくのがこちらだろう。正直、ここまでこのゲームがシリーズ化して続くとは思っていなかったのだが、初代の時点で進化の行く末は決まっていたのだなと、今初代の映像を見るとつくづく感じるものがある。

初代の画面を今見ると流石に粗いが、当時はまだポリゴンというと「カクカク」とか表現するのが相応しい時期。だが、当時としてはかなりのクオリティだったと思う。もちろん、バーチャファイター3なども相当のクオリティだったのが、こちらはそれとは方向性が違う。テクスチャはアニメ、漫画的なものを意識してるんだろうな。3Dでありながら、顔の表現は凹凸など控えめに、あっさりした表現な感じだ。

そして、1999年のDOA2においてそれはさらなる飛躍を遂げる。そのデモはこちらだ。
1999年稼動、NAOMI基盤を使ったDOA2のグラフィックは、DOAのグラフィックとは比較にならない進化を遂げた。
こちらに関しては今見ても決して劣ったグラフィックとは言えないように見える。3D格闘ゲームの歴史を見ると、DOA2が映像面では一番早く次世代へと歩を進めたということがわかる。バーチャファイター、鉄拳、DOAシリーズが3D格ゲーの三大であり代表となる。もちろんその他諸々に3D格ゲーは存在するのであるが、2Dで言うとストリートファイター、KOF、ギルティギアあたりに該当する、人気や完成度の点で上位になるもの、いわば「第一線」の3D格闘ゲームというのはこれらに限られる。
グラフィックで1999年発売のDOA2と同じ水準になっていると言えるのはバーチャならば2001年発売の4、鉄拳も同様に2001年発売の4だ。1999年当時、初めてDOA2を見たときの衝撃は推して知るべし。ましてアーケード筐体というのは大画面で高解像度のモニターだ。90年代後半はいくつかのゲームでグラフィックの進化に驚かされることが多かったが、これもその筆頭だったのだ。

だが、大きな進化はここまで。DOA2以降、映像の進化は停滞を始めてしまう、2012年発売のDOA5までモデリング自体は大きく変わらなかった。DOA3、DOA4とアーケード版の販売はなく家庭用のみ、しかもマイナーなXBOXでの発売のみだったのもあってか、2000年代に入ってからのDOAシリーズはとりわけ大きく扱われることはなかった。グラフィックが生まれ変わったのならば話題も呼んだろうが、それは10年以上無かった。基本的にDOA2のままのモデリングの流用であり、解像度が増した、というような程度の進化だった。

だがついにPS3、XBOX360で発売されたDOA5、満を持してのフルモデルチェンジでの完全新作。実に13年ぶりにキャラクターたちは完全に生まれ変わることとなった。比べて見るとわかるが、DOA5のキャラクターたちは男女共にコーエーの「無双シリーズ」っぽい顔つきになっている。例えばハヤテなどは無双シリーズでの趙雲に顔つきそっくり。
2008年にDOAの開発元だったテクモは三国志や無双シリーズで有名なコーエーに吸収合併されている。それがDOAシリーズにも多大な影響を与えたのだろう。それぞれが蓄積してきた技術もまさにそのまま合併され、初代DOAからDOA2に匹敵するほどの映像の進化を遂げた。つくづく相性よかったんだろうな、この合併は。
思えばDOA4が発売された頃にはすでにモデリングが飽きられ、「人形っぽい」などという揶揄も聞こえてくることが多かったと思う。だがDOA5でのグラフィックを見てもそう言う人間は少数派だろう。家庭用ゲームもここまで来たか、と思えるような進化を、DOAというシリーズは見せ付けた。特に女体的な意味で。

そしてさらにキャラクターが追加されたDOA5Ultimeteが2013年に発売され、2015年2月にDOA5LASTROUDが発売、今に至るわけだが。

ゲームの内容よりも企業の姿勢みたいなものに言いたいことがある。

ずばり、正直、最近のこのシリーズの売り方はいくらなんでも雑すぎやしないか?と。DLC衣装出しすぎじゃないの?と。開発側はこれにばかり気を取られ、何かほかが見えていないような気がしてならない。適当にDLC出しておきゃいいだろ、というような姿勢が見えるような、そんな印象。そう言いたくなるのには根拠がある。今回、ラストラウンドはPS3/XBOX360で発売された前バージョンとなるアルティメットから引継ぎが可能なのだが、それでいろいろと問題があるのだ。

重ねて言うがこのゲームは格ゲーでありながら、それ以上に女体鑑賞ゲーでもある。だから多彩なコスチュームを販売するのはそういう需要があるんだから文句を言うつもりはない。だが、Ultimate、LAST ROUNDと2回の大きなバージョンアップ版がフルプライスで発売されてきた中で、DLCとして出たコスチュームの数はゆうに500を超える。これは総額で数万円にも及ぶ膨大なものだ。衣装だけでもそれだが、さらにグラビアモードというようなムービーも売られている。流石にがっつきすぎだ。

そして、今回ラストラウンドが発売されるにあたって、「一部の衣装は引き継ぎ準備が出来次第、使えるようになる」とアナウンスされた。DOA5UltimeteからLastRoundへの引き継ぎは可能なのだが、どういうわけか2015年2月現在、全てのコスチュームを引き継ぐことはできないのだ。
また、3日前に発売された直後、XBOXONE版での引き継ぎでバグが見られ、データが消失するという症状も出たようだ。そしてPS4版では、発売前には引き継ぎが可能だった、と公式でアナウンスされていたはずのコスチュームが実際のところそうなっておらず、うっかりすれば二重に購入してしまうような状態になってしまっていた。
今回、こういうお粗末な不備を起こしたことは印象悪い。3回にも渡ってフルプライスのゲーム本体を、そしてコスチューム数にして実に数百ものDLCを欲張って売りに出してきたわけだが、他のことお粗末になってやしないかと言いたい。商売なんだから儲けを第一にすること自体はいい。だがしかし、こういう引き継ぎ不備は紛れも無く、そればかりに気を取られたせいじゃないのかと。「エロい衣装売ってれば文句もそんなに来ないでしょ」というような客をなめたような印象を受ける。

…しかし実際、それほど非難の声が見当たらないのはエロの力恐るべしというところだろうか。先月、テイルズオブゼスティリアの騒動を見たせいかなおさら対比としてそう感じてしまうのもあるが…。エロければ許す!男なんて所詮そんなものかもしれない。

ゲーム性についても触れると、このゲームは3D格ゲーでは一番敷居が低く、適当に操作する「ガチャプレイ」でもある程度楽しめるものとなっている。だから3D格ゲー初心者にもお勧めできるものであるのは優れた点だと思う。
だが、相手の打撃を取って反撃する「ホールド」システムの存在は良し悪しだなあと、DOA2の頃から感じている。強力な攻撃を受けると「クリティカル状態」になって操作不能になるのだが、その間ホールドだけは入力可能になっている。よってクリティカル状態になった場合攻め側もうかつに攻めることはできず、攻めと守りが一瞬で入れ替わったりもする。打撃にはホールド、ホールドには投げ、投げには打撃という三すくみのシステムは初代から一貫している。
クリティカル状態というものが発生するおかげで連続技を決めるのが楽ではあるのだが、むしろそれが簡単すぎるというのが、個人的にあまり受けないのかも。やっぱり格ゲーっていうと練習した連続技を実線で決める楽しさというのが大きな比重を締めていると思うのだが、このシリーズの場合、基本的にクリティカル状態になったら細かくつないでから浮かせて空中コンボ、という流れになり、それほど難しいコンボというものが存在しない。そのせいか何か薄っぺらい感じを受ける。コンボにありがたみがないというか。だからこそ敷居が低いというのも確かなのでこれは悪いことじゃないんだけどね。ただ、グラフィックは一新してもこの基本システムにはほぼ変化がないので、次はシステム面での進化を見せてほしくも思う。

項目別評価

何をおいてもグラフィックだが、PS3/XBOX360版ですら十分なクオリティだったものがさらに美しくなっている。大きな進化ではないにせよ明らかに違いがある。心ゆくまでズームして見てみればいいと思う。心ゆくまで。購入する人間の多くの目的は「見る」ことだだろうが、CPU対戦を見ることのできるウォッチモードや対戦を記録してリプレイモードで見ることも可能。
もうこれ以上は望むべくも…と思いつつも進化してきたのがゲームのグラフィックなので、DOA6ではさらに進化するのだろうかね。
ゲーム性は、ホールドのおかげでよくも悪くも大味な印象がある。しかしその分、攻防が一瞬で入れ替わるめまぐるしさ、スピード感、見た目の格好良さでは3D格ゲーの中では随一ではないだろうか。ちなみに、DOA4から引き続き高難易度CPUはもはやクソゲーと思える強さであるが、まあ別に嫌ならやらなきゃいいわけだ。コスチューム出すためにはCPU戦必須だが、低難易度だけしかプレイする必要はないので安心だ。
DLCについてだが、すでに700ほどにも達しているコスチューム、まだまだ配信が予定されている。一体どれだけ販売するつもりなのだろうか。1000とか行くかもしれない?グラフィックがゲームの売りなのは間違いないのだが、こうもがめつく稼ぎに来る姿勢を恥ずかしげもなく見せられると「なんだかなあ…」と思ってしまうのも確か。いや、商売として間違ってないんだろうけどさ、一応格ゲーだからね、一応。

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