ファイナルファンタジー15体験版 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレゲーム>ファイナルファンタジー15体験版

執筆日2015年03月29日

評論

PS4のFF零式HDに同梱されたFF15体験版の感想。前半では欠点とかFFシリーズについての文句を書き、後半ではよかったところを書くことにする。

正直、このFF15というのは体験版をプレイした限り、13からずっと続いているFFの悪いところを凝縮したゲームという感じだった。PV、トレーラーから予想していた通りの出来だったということだ。映像が綺麗なのは分かった。なんかキャラがお洒落で格好いいのもわかった。けど、「ここまで映像は凝ってるのに出来ることはこの程度なの?」ということだ。映像が綺麗だしフィールドが広いのはリアリティがあってよいが、肝心のゲーム性がてんで原始的で何も面白くない。プレイして最初の感想はそんな感じ。

攻撃ボタンを押しっぱなしにして攻撃し、回避ボタンを押しっぱなしにして回避する。
このFF15のゲーム部分、つまり戦闘で行えるのは単純にそれだけである。少なくとも魔法が使えずアビリティも限られるFF15体験版ではお世辞にも奥が深いゲーム性ではない。「ああやっぱりこういう感じか」と、悪い意味で予想が当たってしまった。
FF零式の感想で書いたとおりだ。画面が綺麗だろうが全く、微塵も面白さには関わってこない。

ここからは主観が多分に混じった意見になる。自分自身、このFF15のようなオープンワールドゲームを全くプレイしない、主に国産ゲームばかりプレイするゲーマーだから感じることなのだが、「FFというタイトルでこうも海外向けを意識する必要があるのだろうか」という感想が出る。そんなこと言えばスクエニとしては「当たり前だろ!」って感じなのかもしれないが。

例えばドラクエ9は日本国内だけで437万という驚異的な数字をたたき出してバカ売れしたのだが、日本以外の売り上げは100万ほど。対してFF13は国内200万弱だが海外で450万と、海外での売り上げでは完全にFF>ドラクエであって比べ物にならない。海外のゲーム評価ってのは映像、演出という面は大きいので、意識しなければならないのだろうな。だが実際、映像綺麗なFFはドラクエよりも、確かに海外で売れているのだ。
だが、それは他方で日本人ユーザーを切り捨てていることにも、きっと繋がっている。FF13は190万売れたのかもしれないが、それはもはや国内に限ればかつて日本のRPGの頂点、並び称されたドラクエの半分でしかない数字。FFのピークはFF8の360万。あとはFF9が280万、FF10が230万、FF12が230万、FF13が190万。完全に右肩下がりになっている。家庭用ゲームの衰退ももちろんあるが、それだけじゃないだろう。自分がまさにそうなのだが、「ここ10年のセンスが独特すぎるFFにはついていけない」というユーザーはきっと多いんじゃないだろうか。

映像の話のつもりがセンスの話になってしまうが、まあいいや。結局、この近年の奇抜すぎる、「ノムリッシュ」と言われる凡人には理解しかねるセンスが、FFシリーズが持ってる一番の問題なんじゃないのかと思わんでもないし。「映像が綺麗になって、かつ多くの人間に受け入れられるキャラデザインをはじめとしたセンス」であることだって、もしかしたら可能だったのかもしれない。でも、それは少なくとも近年、達成できていない。とりあえず自分はついていけないし、それのせいでゲーム自体にバイアスがかかってしまうことだって否定できない。

個人的に、FFを掛け値なしにすばらしいと評価できるのはFF10までだ。FF10はのめり込んでプレイし、確かに10は素晴らしいゲームだった。続く12の売り上げが全く落ちていないあたり、シリーズものは前作の出来が超重要なんだとつくづく感じる。FF8もFF7が素晴らしいかったのから売れたのだ。逆にFF8ははっきり言えばイマイチなのでFF9でガタ落ちしたのだろう。数字は正直だ。
FF13はどういうわけかシリーズ化したが、FF13-2は80万で半分以下。LRFF13などは初週はたったの30万弱だったそうだが最終売り上げは35万ほどだろうか?ナンバリングではなく世界観もキャラも続投される「FF13」という作品がシリーズ化して売り上げが落ちるのはまあ当然としてもこの落ち幅は尋常ではない。「ついていけねーよ」という意識がユーザーにあるからなのは間違いないだろう。今更言うことでもないが、近年のFFのセンスはおかしい。どうかしている。これが格好いい、面白いと思ってるのか?本気で?このFF15もこのFF13三部作のセンスそのまま。黒ずくめの野郎4人そろって野山駆け回るとか見てて面白いシュールギャグではあるが、随分金かけたギャグだ。簡単に言うと、「格好いいものだけを格好いいとするセンス」なんだよなあ、最近のFFってのは。それがすこぶる格好悪いってのに。

話が逸れたのでFFは海外を意識している、という話に戻す。
センスがどうかしているのは置いておき、FFはドラクエと違って海外向けに作らなければならないのだろう、という話だ。確かに、センスはともかく映像は綺麗だ。このように映像を綺麗にし、オープンワールドにしないと海外では受けないのかもしれない。 だが、個人的にはそんなことは知ったことじゃない。
ゲーム市場が携帯市場などと同じくガラパゴス化しているとは昔からよく聞くところであるが、いちユーザーとしてはそんなこと知ったことじゃないのである。例えばオープンワールドゲームとして大ヒットしたスカイリムなどはああいうゲームは何かすごく面白いのだそうだが、知ったこっちゃない。FFは海外でも売れるゲーム性に仕上げなければいけないのだとしても、そんなことは知ったことじゃない。
「そんな土俵に行かないで、日本人向けに作って!」
昔からの日本製ゲームファンとしてはそういう感想が率直なところ。FFというタイトルでこのゲーム性にしなければならない理由を教えてほしい。そんな風に思ってしまう。ならどういうゲームがいいのか?と聞かれればそれは分からないのだが。
だが少なくともこの、髪の毛ヘアワックスで固めまくってる黒ずくめのイケメンたちが広大な野山を駆けるゲームがFFとしての最適解なのだろうかと考えれば、きっとそうじゃない。それだけは確かだろう。

ここからはいいところを語っていくことにする。
少し触って悪い意味で予想通りだったのはその通りなのだが、最終的に10時間ほどプレイして色々と慣れてきたのもあってか、好意的に見れる部分も多かった。

戦闘部分だが、実はなかなか戦略性があるゲームかもしれないと思いなおした。
攻撃ボタン押しっぱなしで攻撃が出るという単調なアクションではあるが、「使用装備を状況ごとに設定できる」というシステムはなかなか斬新で面白い。
攻撃の初段に使う武器、続く二段目以降に使う武器、連携のフィニッシュに使う武器、回避直後に攻撃を出した場合に使う武器、ジャンプ攻撃に使う武器の設定が可能。体験版の武器だとクリティカルが出やすいパルチザンを二段目以降、つまり「ラッシュ」に割り当てるのが安定で他の設定が必要ないくらいなのだが、これは武器が揃ってくればなかなか面白いシステムになりそうと思えた。
それと回避だが、L1を押しっぱなしにするだけで近接攻撃を自動回避というもので、カメラがどちらを向いていても、敵がどこにいても対応しやすいものになっていて、「カメラワークのせいで攻撃喰らった!」というようなストレスはそれほど無いのが良かった。
あとは主人公の切り札である「ファントムソード」が強いこと。これが上手いこと救済措置として機能としていると感じた。これを発動してボタンを押しっぱなしにするだけでみるみる敵が減っていく強力な攻撃だ。
FF15はアクション性の高いゲームになったわけだが、それでもあまりアクションしすぎてもちょっとFFナンバリングとしては過去作の流れからは飛躍がすぎると思う。だから切り札となるファントムソードを強力なものに設定し、何も考えずにボタン押しっぱなしにするだけで強いものにしたのは悪くはない。
全体として、FF15は「セミオートアクションRPG」と言えるものだと思う。これがシステムとして簡単すぎず難しすぎず、割と上手い塩梅になってるんじゃないかな、と。

…なんかもっとあるような気がしたが良いところというとこれくらいだろうか。ただ、とにかく魔法も使えないアビリティも少ない、戦える敵も少ないこの体験版でもそれなりに面白さを感じたのも確か。
もちろんこれはまだゲームのほんの一部しか体験できない体験版だ。体験版をプレイしたユーザーの意見をフィードバックした製品版が出るのはまだまだまだまだ先のこと。いろいろと改善されていい意味で期待を裏切る仕上がりになってくれると信じたい。

項目別評価

ゲーム性は魔法やアビリティが充実すれば戦略性はなかなかありそう、くらいには期待できた。何のゲームでも、アビリティなどの類が揃ってきて色々なことが出来るようになってようやく、ゲームは面白くなってくるものだろうし。
ゲーム全体の雰囲気に関しては書いたとおり近年のFFの悪いところを凝縮したようなものでどうにも馴染まないが、きっと慣れだろう。キャラクターに関してもいろいろとキツいものがある。けどこれも慣れだろう。でも10時間やってもプロンプトというキャラは男なのにぶりっ子みたいで正直気持ち悪い。戦闘BGMは通常の2種、ボス戦、どちらもなかなか良かった。

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