霧切草 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレゲーム>霧切草

執筆日2016年11月27日

関連作品の感想

ストーリー・ネタバレ

11/25に発売の「ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園- Blu-ray BOX III」におまけとしてついてくる、サウンドノベル「弟切草」のオマージュ作品である「霧切草」。11/27に購入し、クリアしたのでこれの評価とかネタバレを書くことにする。

いや、というか、買っちゃいましたよこれ。なんと1万円超えなわけですけど。
実はアニメの円盤の類を購入したこと自体がこれが初だったりする。まさかこの手のものを買う日が来るとは…なんてことを思う程度に自分にとっては意外な行動となったわけだけど、それだけ、この霧切草、楽しみにしてたんだよなあ。執筆がダンロン霧切も手掛けている北山猛邦氏なわけで、ダンロン霧切を高く評価し、何より霧切さんファンである自分としては買わないわけにはいかない!と思っていた次第である。

この作品霧切草は、サウンドノベルであるので、テキストを進めるうちに出現する選択肢次第で分岐が発生、エンディングも変化するという仕組みになっている。
全部で8つあるエンドをとりあえずかいつまんで解説だ。

植物少女編

いわゆるノーマルルート、とかいわれるルートだろう。一番最初に通るルートがこれ。平凡な学生である主人公(デフォルト名は松平)が夜の森の中で出会った美少女、霧切響子と共に行動。たどり着いた洋館で出会った、霧切にそっくりな少女「キョウカ」。彼女は植物と人間の遺伝子を掛け合わせて作られた植物と人間のハイブリッドな存在であり、館では人食い植物の世話をしていた。遺伝子にはおそらく霧切のものが含まれていたため、彼女そっくりになっている。そして館を訪れる人間を罠にかけ、エサにしていた、という話。館内で入手した薬品をぶつけて主人公と霧切は逃げ、謎を残したまま館を後にするエンド。

バッドエンド1

植物少女編のラストから分岐するバッドエンド。エロ同人みたいに植物に捕まった霧切を見捨てて逃げる選択をするとこれに。日常に戻った主人公の元に、数か月後、霧切の姿の人物が現れ、「私は──」と名乗ろうとしたところで終わる。クリアすると出現するアイコンが墓のアイコンなんで、主人公は殺されたということだろう。恐らく、最後に現れるのは霧切の服を着たキョウカか?

バッドエンド2

霧切を冒頭で無視し、その後現れたキョウカと遭遇してしまうとたどり着くバッドエンド。キョウカに捕らわれ、館の植物の餌になってしまう。

バッドエンド3

地球外生命体vs植物防衛隊編から分岐するバッドエンド。主人公が、地球外生命体とコンタクトする選択をするとこのエンドに。ネズミのような姿の宇宙人にやられてしまう。

地球外生命体vs植物防衛隊編

色葉田田田が登場するギャグルート。このルートでは洋館は田田田、そしてその助手という設定になっているキョウカが登場。田田田をリーダーとして、主人公と霧切も地球外生命体から地球を守る防衛隊の一員となって館内で奮闘するというトンデモな話。最後にはキョウカも実は宇宙人だったということを霧切が見抜きさらにメチャクチャだが、男気を出した田田田を見てキョウカは改心する、みたいな終わり方。とにかくツッコミどころしかないルート。

植物編トゥルールート

洋館内部でキョウカの日記を見つけた場合、植物少女編の最後から分岐。キョウカは実は自分の出生ゆえに苦しんでいたということを日記によって知った主人公がキョウカを説得する。結局キョウカは「自分は数えきれないほど人を殺したから手遅れ」と言い、館に火をつけて死んでしまうが、後日、主人公が再び館を訪れた時にはキョウカを埋葬した場所に美しい花が咲いていた、という、なんかちょっといい話。

エクストラシナリオ

上の6つのエンドを見ると出現する隠しエンド。最初に車で事故を起こした主人公が見る夢の物語。夢の中なので、霧切さんのキャラクターが完全にぶっ壊れている。霧切さんファン的には一番必見かもしれない。あと、洋館の中に何の脈絡もなく葉隠がいる。最後には人工呼吸により目覚める主人公だが、その相手は……田田田…。

植物編アナザーエンド

エクストラシナリオと同じ条件で出現する真エンド。植物編トゥルーエンドのラストで新たに分岐が発生。生存していたキョウカと再会、さらにその後霧切とも再会し、キョウカと霧切が姉妹のような関係になる。

とまあこんな感じの色んな話があるのだが、中でも特にツッコミどころ満載なのはやはり地球外生命体vs植物防衛隊編だろう。このルートで防衛隊の隊長として色葉田田田が、主人公、霧切、キョウカの三人の隊員を引っ張っていくわけだが、この田田田が無駄に男気溢れる奴で、しかも不死身という、とても濃い味付けのキャラになっている。地球外生命体に囲まれたり、自爆したり、炎上する館に取り残されたり、UFOからの熱線を受けたりするのだが、死なない。ゲーム本編などでは、「希望の学園と絶望の高校生」の植物室にある巨大な花を生み出したのがこの田田田である、くらいにしか関わってこないキャラだったと思うが、まさか今になってこういう強烈なキャラ付けがなされるとは、って感じだ。この不死身っぷりからして、人類史上最大最悪の絶望的事件でもこいつは絶対生存しているだろう。死んでいるビジョンが思い浮かばない。

そして霧切さんそっくりなキョウカ。彼女は顔は同じでありながら、霧切さんとは違い感情豊かであるとされている。あとちょっと青臭い。感情豊かな霧切さんってそれ可愛すぎじゃないっすかねとか思うんで是非何らかの形で映像化すべきキャラだろう、これは。真ルートでは生存して霧切さんと姉妹のような関係になるし、田田田と一緒にいずれ何かのメディアで出て欲しいなあ。

でもって肝心の霧切さんについては、ゲーム中のテキストを引用し、以下色々と考察というか、ダンロン霧切とのリンクと見られるものなど。

「他人の車に乗ると、本当にろくなことにならないわね」

これは事故を起こしてピンチに陥ったダンロン霧切4巻の件か?

「兄弟とかいる?」
「いいえ」
「妹も?」
「いないわ」
「お姉さんは?」
尋ねると、急に彼女は黙ってしまった。窓枠に頬杖をつき、目を細めるようにして、外を見つめる。ミラーに映る彼女の表情は、まるで深い海の底にいるように暗く沈んでいた。何か触れてはいけない部分に触れてしまったのだろうか。

未だ結末の見えないダンロン霧切での悲劇を予感させるテキスト。やはり結お姉さまは…。

「今まで人殺しを何人も見てきたわ。一対一で向き合ったことも何度もある。彼らのやり方は充分に心得ているし、対処の仕方も知っている。それこそクラスメイトより扱いやすいわ」

78期生のクラスメイトが癖のある厄介な連中だと思っているということがうかがえる台詞。

「私の家系は少し特殊なの。もし私に双子の姉妹がいたとしたら、その存在が見過ごされるはずがない」

跡継ぎに関して霧切家が神経質になっていたのはダンロン霧切から読み取れる。

「ここまで言えばわかるでしょう?」

主人公が手紙のメッセージをどこかで見たと言った後に発したおなじみの台詞。

「敵じゃないわね」

植物により動く鎧を足払っての台詞。しかし直前では植物に殺されそうになっているのでいまいち説得力がない。

「よく見たら……かわいいし……」

鼻行類の宇宙人の子供を殺そうと提案するとこう言って止めてくる。

「隊長っ!」
「惜しい人を失くしたわ……」
「がんばって隊長!」

地球外生命体vs植物防衛隊編での台詞。田田田を隊長と認め、心配したり、惜しんだり、応援したり。すっかり場に染まっている。

とまあ、色々と本編では見られない姿を見られるわけだが、エクストラシナリオでは完全にキャラ崩壊しているんでそっちは特に必見だ。あまりに崩壊しすぎて、言動のほぼすべてがおかしいので、ここで引用したらキリがないのでやめておく。いや、せっかくなんで少しだけしてみよう。

「ふざけたことを訊かないで。当然黒に決まっているでしょう。」
「わあ、おいしそう!」「いやよ、だってこれ私のだもん」「間接……キス……」

1つ目は主人公が下着の色について聞いての答え、2つ目から4つ目は洋館の暖炉で焼かれていた焼き芋を食べるだの食べないだののやり取りをしている中での発言。霧切さんはそんなこと言わないのオンパレードとなっているのがお分かりだろう。あと、このルートの霧切さんはネトゲ中毒者だったり、転売屋だったり、極め付けはボトラーだったりする。あまりにひどい。ひどすぎる。夢なんですけどね。

真面目に考察すると、兄弟について主人公に聴かれた時の反応。ダンロン霧切と執筆者が同じわけだから、ダンロン霧切のそこかしこに漂う不穏さが示す通り、結お姉さまは、悲劇を迎えるってことがほぼ確定なんじゃないだろうか。フラグを積み上げていたししょうがないのかもしれないけども…。残念ですな。やっぱり手袋の下の火傷に関してもその最期が関係するんだろうなあ。

それはともかく、この霧切草という作品、1万越えのアニメの特典という、購入するにはちょいと難度が高いものではあるものの、ファンなら必携!と言える程度には充実しているので、是非とも気になっているダンロンファンには購入を勧めたい、という感じだ。

項目別評価

あくまでアニメブルーレイのおまけということでボリュームはそこそこだが、霧切さんファンならば必携のファンアイテムといったところ。エンディングは8つあるが、特に色葉田田田が活躍するルートは面白い。あとなんか無駄に焼き芋のイラストとか映画「ET」パロのイラストとかが凝っていて見ごたえがあった。
それと、この作品は最近話題になった某リメイクと違い、登場人物のイラストが明確には出てこない、というか、原作の弟切草はかまいたちの夜とは違い、シルエットですらないし(かまいたちの夜と違い、シルエットすら出ること自体がほとんどない、出た場合はかまいたち同様にシルエットになっている)この霧切草もそうなっているわけだが、確かにサウンドノベルはその方が想像力をかきたられていいよなあ、と思った。

凡人の感想・ネタバレゲーム>霧切草