ブレイクアウト(映画) -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2017年05月16日

あらすじ・ネタバレ

宝石商をしているカイル・ミラー(ニコラス・ケイジ)とその妻サラ・ミラー(ニコール・キッドマン)と娘エイヴリー・ミラー(リアナ・リベラト)の3人の家族は豪邸に住んでいる。大きなプールもあるような豪邸で、乗る車はポルシェ。幸せに暮らしていたが、カイルは妻にも言えない何かの秘密を抱えている様子だった。
ある日、遊びたい年頃のエイヴリーが、両親に禁止されたにもかかわらず内緒でこっそりと家を出て友達とパーティに向かってしまった。そしてエイヴリーが不在の間に突如としてミラー家に現れたのは5人の強盗団だった。

強盗団のリーダーであるエライアス(ベン・メンデルソーン)は執拗にカイルに対して絵画の裏側に隠されていた金庫を開けるように要求するも、命の危機にさらされているにもかかわらずカイルは首を縦に振らない。苛立つ強盗たち。その中でサラはあることに気付く、強盗団のうちの一人が見知った顔だということだ。それはジョーナ(キャム・ギガンデット)という男で、家の電気配線を担当した?男だった。ジョーナはエライアスの弟でもある。ジョーナはサラを愛していて強く執着していて、サラに暴力を振るおうとすると兄でさえも許さないという勢いだ。強盗団の一人には女のペタル(ジョーダナ・スパイロ)もおり、これはエライアスの恋人だ。もう一人はタイ( ダッシュ・ミホク)という大男。

そうしているうちにパーティに出かけていたエイヴリーが戻ってくる。パーティでは自分の体目当てのいやらしい男がおり、それに冷めて帰ってきてしまったのだ。だが、すぐさま強盗たちにエイヴリーも捕らえられてしまったのだった。娘も危機に陥ったことで、カイルはようやく金庫を開けた。しかしその中身は空っぽ。強盗たちが問い詰めると、「この家を購入したことで金は使いきり、自分の財産と言えるものなどほとんどない」ということを伝えられる。
ないものは奪えないが、強盗のエライアスにも事情があった。エライアスは麻薬の売買でヘマをやり、ボスにその責任を取るためにこの強盗をやることになったということだ。つまり失敗すれば自分の命はないのだ。タイはエライアスの見張り役でもあった。
とはいえとにもかくにも金はないらしい。しかしエイヴリーが「自分の知り合いに金を持っている男子がいる」と言い出す。それはパーティで会った男子のこと。苦肉の策でその男子から金を奪おうとする計画に変更し、エイヴリーとペタルは家を出て車で移動を開始した。だが、エイヴリーはわざと事故を起こし、その際ペタルのシートベルトを外すという機転も利かせ、ペタルを気絶させて無力化したのだった。

一方、家にいるのはカイル、サラ、エライアス、ジョーナ、タイの5人。もみ合いになり、内輪もめも起こったせいでタイは死ぬ。さらに警報装置のせいで警察がミラー家にやってきたが、ジョーナはそれを撃ち殺してしまう。いよいよ進退きわまってきたエライアスだったが、ある部屋で大量の現金があるのを発見する。実はカイルは現金は密かに貯めていたのだ。それを見て喜ぶエライアスとジョーナの兄弟。エイヴリーがそこに戻ってきて銃で脅しを入れるが無力化され、カイルが腹部を撃たれてしまう。もう用なしとエライアスはサラをも撃ち殺そうとするが、なんとジョーナがそのエライアスを後ろから撃ち殺してしまう。ジョーナは金を持って逃げようとするが、カイルはわざと家に火をつけ、サラとエイヴリーを逃がそうとする。ジョーナはサラに対して未だ執着を捨てられず一緒に逃げようなどと言うが、隙をついて瀕死のカイルがジョーナを撃ち殺した。

重傷のカイルを引きずるように家を脱出するミラー夫婦。家はすでに猛火に包まれつつある。
「金は家族のために残しておいた」と言うカイルの家族愛は本物であり、サラもそんな夫を見て喜ぶのだった。騒ぎはすでに外に知られていて警備会社が到着しつつあり、エイヴリーも「助けが来た」と喜んだ。終わり。

感想・評価

う〜ん…。という唸りが出てしまうような映画。もちろんそれは悪い意味で。
一言でいえば「ハリボテの豪邸に住む一家を標的にしてしまった間抜けな強盗事件」ということで、もうなんか、締まらない。

多分、カイルが金庫を開けるのを渋るまでは視聴者としては色々と大仰な想像をはかどらせてしまうわけですよ。視聴者としては。冒頭でカイルがケースを大事に、妻にも見られないように注意を払っている伏線もある。これはきっとカイルには裏の顔があるんだな、とおそらくここで予想する。しかし…実は金なんかねえよ!というだけの話。いや、さらに二転三転し、実は蓄えはあったというオチもあるんだけど。

なんというかこう、メイン登場人物のほとんどが情けない、というのが悪いのかも?カイルは家族に実は自分達が砂上の楼閣だということを言えないで黙っていたし、妻のサラは結果的に落ち度はなかったようだがヒステリックで耳障りだし、娘のエイヴリーはアメリカンな非行少女の典型だし、強盗側の主役とも言えるエライアスはドジ踏んだために後がなく、風前の灯火の命で余裕がないし、その弟のジョーナは見た目イケメンの癖に典型的な妄想系ストーカーだし…。この映画にもっとこう、どっしり構えた頼れる奴はいないのか!みたいなところある。そういうキャラって視聴者側から見ても精神的支柱になるんだよねえ。この映画はどのキャラも足元がふわふわしてる感じで見ていてどうにもこうにも頼りないし、面白くない。

作品のテーマとしては「家族愛」を前面に出していると思う。映画序、中盤ではカイルは金を持っていないハリボテの金持ちで、サラはジョーナと不倫をしている不義の女という感じで描かれるが、最終的には実はカイルはなんとか家族のために現金の蓄えをしていて、ジョーナがただの妄想ストーカーだっただけでサラは不倫などしていなかった、となり真相は真逆だった。
だが一方、強盗のエライアス&ジョーナ兄弟の関係は偽りのもので、ジョーナのせいでエライアスはこの状況に追い込まれていたのであり、さらにはジョーナは兄を殺してしまう。まさに対比となっている。家族は大事にしようね!という明らかなテーマが見て取れる。
…まあ、それはそれとして、あまり面白くない作品であるというのはどうにもこうにも覆らないところなのは残念。

登場人物紹介

カイル・ミラー

演:ニコラス・ケイジ
ミラー一家の大黒柱で宝石商。目もくらむような豪邸に住んでいるが、実は自分の金といえるものはほとんど失い財産のほとんどが抵当に入れてしまっていた。最後の最後で現金の蓄えもしていたことも明らかにはなるが…。「カイルが何を隠しているのか?」というのがこの映画の見所になるわけだが、なんとも妙に現実的な悲しい真実なので、こっちもなんか悲しい気持ちになってしまった。でもあの現金の量を見るに結局は大金持ちなのは間違いはなかったということか。サラとジョーナがキスしている瞬間の写真を所持しており、妻が不倫していると思っていた。しかしそれは真実ではなかった。

サラ・ミラー

演:ニコール・キッドマン
ミラー家の良き妻であり母という感じで気も強い。エライアスを人質に取り脅したりもする。終盤までは強盗の一人のジョーナと不倫しているのだと、視聴者目線でもカイル目線でも思い込んでしまうが、実はジョーナが妄想の強いストーカーだっただけで、迷惑していた。

エイヴリー・ミラー

演:リアナ・リベラト
カイルとサラの娘で遊びたい盛りの10代。パーティに出かけるのは禁止と言われるも隠れて出かけてしまい、その間にエライアスたち強盗が押し入ってきた。パーティで自分の身体目当ての男子がいたのでそいつから金を奪うという口実でペタルを連れ出し、わざと事故を起こして気絶させるという荒業を行う。

エライアス

演:ベン・メンデルソーン
強盗のリーダー。犯罪組織の一員で、ヘマをしたために責任を取らせられて強盗の指揮を取ることになってしまったということが中盤で明らかになる。ジョーナは弟でペタルは恋人。しかしそのヘマというのも弟の裏切りによるものだったらしい。ミラー家とこのエライアスとジョーナの兄弟は対比にさせていると思われる。この作品のテーマは「家族愛」ということだろう。

ジョーナ

演:キャム・ギガンデット
エライアスの弟でイケメン。事前に電気技師?としてミラー家には関わりがあり、そこでサラに惚れてしまいストーカー化する。サラが自分を愛していると疑わず、この作品で最も厄介な人物。最終的には兄を撃ち殺してしまい、自分自身は金と共に焼死する。

ペタル

演:ジョーダナ・スパイロ
エライアスの恋人で麻薬中毒。麻薬が切れているためにイライラしている。サラも叫んでばかりだが、このペタルも常にヒステリー状態なのでキーキーとまあやかましい。エイヴリーの提案で現金をエイヴリーの知り合いの男子から奪うという計画のためにミラー家所有のポルシェに乗って移動するが、道中でエイヴリーの策により気絶させられてしまう。そこで出番は終わり。恐らくその後お縄になったのだろう。

項目別評価

楽しめるのはニコラスケイジ演じる主人公が金庫を開けて真実が分かるまで、だろうか。場面が変化しないで小物の強盗たちが大声を出しているのが延々と続く1時間30分。まかり間違っても良作ではない。家族愛を描くという明確なテーマはあると思えるのでそこは評価したい。それと、ケイジとキッドマン、ベテラン二人の熱演は流石。

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