シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2016年10月7日

ストーリー・ネタバレ

キャプテン・アメリカことスティーブ(クリス・エヴァンス)と、アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロンで新たにアベンジャーズのメンバーとなったワンダ(エリザベス・オルセン)、ナターシャ(スカーレット・ヨハンソン)たちは、ヒドラの残党のブラック・ラムロウを追っていた。そのリーダー格の男を追い詰めるスティーブだったが、その男が「ウィンター・ソルジャー」のことを話した時、動揺したスティーブは油断、男に自爆を許してしまう。その場での爆発はワンダの力で食い止められたものの、代わりに、誤ってビルのそばで爆破させてしまい、大勢の死者が出てしまった。

トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は自身の富を活かし、奨学金制度の出資者となるという発表をしていた。しかしそこで、ソコヴィアでの大規模な戦い(アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロンでの戦い)でトニーが知ることもなく死亡した、将来有望な若者の母親と会い、「奨学金制度への出資など自己満足だ」と一蹴されてしまった。

スティーブとワンダが起こした件を責められるアベンジャーズたち。今まで独自に行動してきた彼らだったが、国連の傘下に置かれるか否かの選択を迫られることになった。上述の件もありトニーは意気消沈しており、無軌道な活動ではなく国連の指揮下に置かれるべきと言う。トニーにはヴィジョン(ポール・ベタニー)やナターシャが同意した。しかしスティーブはというと、「それは選択の余地すら失う危険なもの」として、あくまで今までのように自分たちが独自に行動の選択をしていくことを強調。スティーブにはファルコンことサム(アンソニー・マッキー)とワンダが同意する。こうしてアベンジャーズには内部対立が発生してしまう。

アベンジャーズが国連の指揮下に置かれることを公にするソコヴィア協定というものがウィーンで調印されることになったが、その調印式の現場でテロが発生。それは前作キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャーで最後にはスティーブを助けたものの、そのまま消息をくらましていた、ウィンターソルジャーことバッキーだった。演説していたワカンダ王国の王ティ・チャタが死亡してしまい、その息子である王子ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は復讐を決意した。

スティーブはバッキー(セバスチャン・スタン)の居場所を突き止め、話をする。バッキーは追われていたが、人殺しはしないという誓いを立てつつ、追手を撃退する。スティーブは手助けをする。そこに現れたのはブラック・パンサー。真っ黒なスーツを身にまとい、超人的な身体能力を発揮する強敵だった。スティーブ&バッキーとブラックパンサーが闘ううちにウォーマシンことローズ(ドン・チードル)が飛来、周囲を囲まれ、三人とも捕らえられてしまった。そこでスーツを脱いだブラックパンサー。正体はワカンダ王子のティ・チャラだった。ブラックパンサーのスーツは代々ワカンダ王国に伝わるものだった。

囚われの身となったスティーブに対してトニーはソコヴィア協定の調印にサインするよう説得を試みるが、なおもスティーブは考えを変えなかった。
そんな時、捕らえられたバッキーに尋問をする役割の男が、かつてのように、ウィンターソルジャーとしての洗脳スイッチの入る合言葉を口にし出す。男はヒドラの人間であるヘルムート・ジモだった。同時に、工作により施設内部に停電が発生。そのどさくさで、ウィンターソルジャーと化したバッキーは逃亡を図る。しかしスティーブはそれを追い、共に海に落ちてしまう。
スティーブは共に逃げだしたサムと共に、バッキーを伴ってどう行動するのか、今後の策を練る。このシーンはアントマンのエンドクレジット後で流れたシーンと同じ。
一方、トニーはニューヨークに在住の少年ピーター(トム・ホランド)がスパイダーマンであることを見抜いていて、彼の力を借りようと直接家へ赴き、仲間へ引き入れた。

正気を取り戻したバッキーは、自分以外にもウィンターソルジャーと呼ばれる危険なヒドラの強化兵士が複数人存在することを明かす。ヘルムート・ジモの狙いは彼らの復活だと見込んだスティーブ、バッキー、サムの三人。新たにホークアイことクリント(ジェレミー・レナー)とアントマンことスコット(ポール・ラッド)を仲間に引き入れ、ウィンターソルジャーたちが冷凍保存されているシベリアへ向かうことに。
しかし空港では対立するトニー、ヴィジョン、ナターシャ、スパイダーマン、そして乱入してきた、バッキーを狙うブラックパンサーが待ち受けていた。アベンジャーズの対立してしまった2つの陣営の5対5の戦いが始まる。他の三人の助力もあり、スティーブとバッキーの二人だけは飛び立つことに成功。それを追う途中で、ヴィジョンの攻撃がウォーマシンのリアクターに誤って当たってしまい、無防備で落下、脊髄を損傷する大けがを負う。
サム、クリント、ワンダ、スコットは捕らえられる。尋問するトニー。監視の目をごまかしているうちに、サムからスティーブとバッキーの居場所を聞き出す。トニーは調印式での爆破の真犯人がバッキーではなくジモだったことを突き止めていて、アベンジャーズの行動権を他の組織に預けることの危うさを知り、自分の選択が間違っていたことと言う。そんなトニーにサムは「スティーブ友人として向かえ」という条件を出してトニーに居場所を教えた。

氷に閉ざされたヒドラの施設にたどり着いたスティーブと。そこでは一足早くにトニーも待っていた。危惧していたウィンター・ソルジャーは確かにいたが、それらは皆、殺されていた。ジモはそこにいたが、ウィンターソルジャーを殺したのは彼自身だった。そんな彼は三人にある映像を見せる。それは映画冒頭でも映されたシーン。ウィンターソルジャー状態のバッキーが車を襲撃し、ウィンターソルジャー作成のための血清のようなものを奪ったシーンだった。冒頭では車に乗っている人間は映されなかったが、ここでは車にはトニーの両親が乗っていたことが明かされる。洗脳状態とはいえ、殺したのはまぎれもなくバッキーだった。
事実を知り、怒りを抑えきれないトニーはウィンター・ソルジャーに襲い掛かる。スティーブも止めようとし、戦いが始まってしまう。互いに満身創痍になったが、勝ったのはスティーブだった。を連れて去ろうとするスティーブだが、トニーは「盾を置いておけ、それは父が作ったもの、お前に持つ□はない」と言う。その通りに、スティーブは盾を置いていった。

三人が戦っている同じ時間、密かにスティーブとバッキーを尾行していたティ・チャラはジモと会話をする。ジモはソコヴィアの闘いで家族を失った男だった。とても力ではかなわないことを知った彼は、アベンジャーズの内部分裂を狙ったのだった。正体もばれ、追い詰められたため自決しようとするジモだが、ティ・チャラはそれを阻止した。そんな彼を見て、ティ・チャラもまた、復讐を辞めることを決意した。

事が終わった後、トニー宛にスティーブから手紙が届く。今回は衝突することになってしまったが、自分たちは友人だと、そして、トニーが困った時には必ず駆けつけると、そこには書いてあった。スティーブは協力してくれたサム、クリント、ワンダ、スコットがいる施設に潜入して救出しに来たシーンでエンドクレジットへ。

エンディングの後、自宅にいるピーターのシーン。トニーからもらったウェブシューターが起動し、天井にスパイダーマンのマークが映され、これにより暗に2017年公開映画のスパイダーマン・ホームカミングの予告がなされ、終劇。

感想・評価

まず思ったこと。「これキャプテンアメリカってより、アベンジャーズじゃないかな…」ってことだ。キャプテンアメリカを名乗っている作品だが、参戦ヒーロー数の観点から確実に「アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン」よりも豪華な作りになっている。なにせ今回、いよいよもって登場するヒーローの数は10に達する。単体作品として作られたアントマン、過去シリーズとも、アメイジングとも違う役者が演じてはいるものの、スパイダーマンも登場する。空港での二つの陣営に分かれての大立ち回りが見どころの一つ。どのキャラクターに関しても見せ場をちゃんと作った作りで楽しい。

「これアベンジャーズじゃないかな…」と思うのと同時に、「これアイアンマン4でいいんじゃないかな…」と思ってしまう作品でもある。トニー・スタークもスティーブと並んで主役と言えるストーリーだ。むしろトニー目線で見るとアイアンマン1〜3までのどれよりも、精神的に追い詰められると言える。彼の持ち味である軽口もこの作品においてはほとんど影を潜めてしまっている。自分のせいで将来有望な若者が死んだということをその母親から直接聞かせられ、アベンジャーズの内輪もめの中、親友が事故で不自由な身体となり、さらに両親の仇は、ぶつかりながらも認め合うスティーブの過去の親友だった…とあっては、いくらなんでも余裕などなくなるに決まっている。こう書くとつくづく、これってアイアンマン4で「トニーにかつてない試練が訪れる…!」的なコピーになるような話だなあ。キャプテンアメリカの名がついた作品でやっちゃうのかこの試練を、と。

そしてスティーブは徹底してかつての親友であるウィンター・ソルジャーことバッキーをかばい続けるのだが、ちょっと天秤にかけて犠牲にしてるものが多すぎないかなと思わんでもない。このあたりはキャプテン・アメリカの過去二作を見直せば多分印象は変わるかもしれんけど。何せスティーブが生まれた時代の盟友と言える存在はもう彼しかいないのだから。今回はかつての恋人、ペギーが死去することもあって、バッキーはかつて自分が生きた時代の唯一の繋がりになってしまったんだろうなって。…いやでも、それを差し引いてもちょっと色々と敵に回し過ぎかな。バッキー自身も、確か空港での乱戦の後にからがら飛び立ったシーンで、「俺なんかのために」のような発言をするシーンがあったが、「だよなあ…」と同意してしまった。

アベンジャーズ、あるいはそれに出てくるヒーロー単体主役の作品の感想を書くたびに書いている気がするが、アベンジャーズとその関連作はもう10作品以上が絡み合っており、そのすべてを見ていないと隅々までは楽しめないものとなってしまっている。今回新たなヒーローとして登場する一人のアントマン、自分は去年見ていたが、当然見ていなければ「誰?」だ。シリーズは今後もまだまだ続くようだ。アベンジャーズとか楽しみたいのなら全作品見よう。これ以上続くと最初から追うのは厳しいだろう。間に合わなくなってもしらんぞー!ということで見よう。
以下、「マーベル・シネマティック・ユニバース」と呼ばれる同一時間枠の中での作品群の簡単紹介。公開順がそのまま時系列になっている。自分が見ていない「インクレディブル・ハルク(2008年)」と「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年)」は省いています。見ていないのを知ったかぶって書くのはなんか気が引けるので。

2008年のアイアンマン。武器商人をしていたトニー・スタークが拉致されたのを契機に武器商人をやめ、アイアンマンのアーマーを作りヒーローとして活躍するようになる話。

2010年のアイアンマン2。アイアンマンの技術が悪用されそうになる話。

2011年のキャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー・。キャプテン・アメリカ一作目。第二次大戦中に生み出されたキャプテン・アメリカ生誕の話。

2011年のマイティ・ソー。異世界の住人であるソーの話。

2012年のアベンジャーズ。一作目。キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ハルク、ホークアイ、ソー、ナターシャたちヒーローが登場し、ニューヨークに現れた異次元生物を倒す。

2013年のアイアンマン3。トニーがアイアンマンのアーマーを捨てる話。だが、これよりも後の今作で言っている通り、捨てることはできずまだアイアンマンとしての活動をし続けている。

2013年のマイティ・ソー・ダークワールド。ソーがなんやかんやする二作目。

2014年のキャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー。一作目で死んだと思われたスティーブの親友がヒドラに改造、洗脳されウィンター・ソルジャーとなりスティーブの前に立ち塞がる。

2015年のアベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン。トニーの相棒的存在のジャーヴィスがヴィジョンとしての身体を得る話。ソコヴィアでヒドラと大決戦。これが今作での悲劇の引鉄となる。

2015年のアントマン。ミクロの大きさにまで小さくなることができるヒーロー、アントマン生誕の話。

項目別評価

「オールスターというにはちょっとしょっぱいな…」と初代アベンジャーズ見て思ったのも遠い話で、いよいよもって色々なヒーローが集結、作品が出るたびに前作より確実に豪華な仕上がりになっていく。ただし、今作はスカッと終わる話ではないので爽快感はやや欠ける。のでストーリーを低めに。日本人のアメコミあんまり知らない人間からすると、マーベル・シネマティック・ユニバースの一連の作品タイトルは、例えば「アベンジャーズ(ナンバリング)〜シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ〜」みたいにした方がいいんじゃないかな…とか思ったりする。10以上の作品を見ていないと各キャラ背景を知れないってのはどうしても、ねえ。

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