キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2014年11月4日

評論

キャプテン・アメリカというと多くの場合、イメージされるのは「地味なマジメ君」ではないだろうか。
X-MEN、スパイダーマン、アイアンマン、マイティ・ソーなどといった錚々たるメンバーが揃うマーブルコミック作品の中で、地味すぎてある意味目立っているのがキャプテン・アメリカ。マーブルコミックには詳しくない自分だが、キャプテン・アメリカに持っている印象はそんな感じである。

これは近年シリーズ化しているオールスター作品「アベンジャーズ」の影響はでかいかもしれないけどね。
実際にこれらの面子が集まってしまったもんだから、作中ではそりゃもう悪目立ちしてしまう。空を飛び回りザコを打ち落としまくるアイアンマン、超巨大な敵を受け止めるハルク、などがいるなかで、キャプテン・アメリカがやることと言えば市民をサポートする、とか一般兵を1体ずつ倒すのみである。悲しい。アイアンマンのビームを盾を使って反射して軌道を変える、というアクションをしていたが、活躍させるための苦肉の演出だったんだろうなあと思った。キャプテン・アメリカって、戦闘力はともかくとして、その耐久力が見ていて本当に心もとないものがある。盾だけはとてつもなく頑強で破壊不可能とさえ言われる合金で出来ている。しかし、彼の肉体自体は、人間としてはとてつもなく鍛え上げられているものとはいえ、あくまでも普通の人間レベルなので、1発でも銃弾が当たれば普通に効いてしまう。盾で銃弾を防ぐシーンが多いが、「もうちょっと下狙われたり終わりなんじゃ…」と思わずにはいられない。
思えば、スパイダーマンなんかも耐久力自体は普通だったかな。銃弾受けると普通に怪我するんだった。しかしあっちだと高所から落ちたりと常人なら即死になるようなアクションも頻繁に行っているのであんまりそういうイメージはない。

またゲーム好きな自分からするとカプコンの格闘ゲーム「MERVEL VS CAPCOM」に登場するキャラクターとしても印象は強いのだが、このゲームでさえ、かなり地味なキャラクターと位置づけられている。派手なレーザーやミサイルを撃ちまくるキャラがいる中で、彼の必殺技は盾を投げる、盾を使って突進攻撃を繰り出す。そんな感じである。

しかし、彼の魅力は戦闘能力ではなくその高潔な精神であろう。キャプテン・アメリカは曲者や食わせ物が多いマーブルシリーズの主役の中ではすがすがしいほどに清廉である。ザ・主人公という性格だ。こういう主人公もやはりいないとね、と思わせてくれる。

この「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」は、そんな彼のアイデンティティーが揺らぐ作品でもある。前作「ザ・ファースト・アベンジャー」からの続編ではなく、時間軸としてはオールスター映画の「アベンジャーズ」からつながっている。時間軸はザ・ファースト・アベンジャー→アベンジャーズ→ウィンター・ソルジャーとなっている。
彼が所属していたS.H.I.E.L.Dが実は実質的にはナチスドイツを前身とする組織「ヒドラ」にのっとられていた。巨大空母「ヘルキャリアー」を使って空から邪魔な人間を抹殺するという、達成されたら世界征服にも等しい行動を止めるため闘うという話だ。
序盤でS.H.I.E.L.D長官のニック・フューリーが死亡してしまうこと、最終的には既存のS.H.I.E.L.D自体が消滅してしまうことなどが割と衝撃的だった。
また、冒頭で偶然知り合った黒人男性が「ファルコン」というヒーローであり、羽根の生えた装置を使って空を自由自在に飛び回ることができるヒーローであったというのも、ちょっと出来すぎだろうと。

タイトルのウィンター・ソルジャーとは、キャプテン・アメリカの親友だったバーンズのことだ。
彼は前作で死亡したと思われていたが、実は生きており、ヒドラに洗脳されて暗殺者となっていた。普通にキャプテン・アメリカよりも強いので苦戦を強いられる。しかし、最終戦ではかたくなに「親友だから闘えない」とするキャップの言葉に心動かされ、水中に落ちたキャップを救い、消息を断つ。エンドクレジットではスミソニアン博物館を訪れて、そこに展示されているキャプテン・アメリカの由来品、自身のデータを見つめているところで終わりだ。

全編通して飽きさせない展開となっており、またキャップの危なっかしさもあってかハラハラして見ることができた。自分の属している組織が実は敵である、というのはスパイ映画としては王道ではあるが、マーブル映画としては新鮮だったのでこの辺もいい感じに楽しむことができた。
近年、かつてないほどにハリウッドで活発に作られているマーブル映画だが、安定して面白い。この作品も予想よりも面白かったので、続編に期待したい。

項目別評価

ほとんど全ての点で前作より面白いと思う。地味めだった前作と比べて、空飛ぶ要塞の中での決戦など、見た目に派手になっている。また、明確な敵ライバルキャラがいる点も話を盛り上げるのに一役買っている。

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