カジノ・ゾンビ BET OR DEAD -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>カジノ・ゾンビ BET OR DEAD

執筆日:2017年05月17日

その他ゾンビ映画の感想

あらすじ・ネタバレ

世界有数のカジノ・シティである、アメリカネバダ州の街リノ。ここの近くである実験が行われようとしていた。それは「核抹消機」と呼ばれるもので、世界から核の脅威を失くす装置だったらしい。だが、この装置の起動は失敗。大爆発が発生してしまう。そしてその光に巻き込まれた人間は食欲だけが旺盛になり知性は完全に失われる「ゾンビ」となってしまったのである。そしてゾンビに噛まれるとその人間もゾンビになってしまう。

リノの街でゾンビ化せずに生き残ったのはカジノのディーラーのトム、ウエイトレスをしていた女性のトーリ、マジシャンのジェンセン、そして外のトラックに隠れていたビクターの4人。彼らは光にされされない倉庫やトラック内部にいたために助かった。
4人は籠城してゾンビから身を守るも、このままではいずれおいてある食料も尽きてしまう。しかしトムが電波を受信した。近くに武装した集団がいるのだ。それに知らせるための合図を送るためにトム、トーリ、ビクターは危険を犯して外に出、スポットライトを点けようとした。ゾンビは夜の間は普通の人間と同じように眠るためにその間に作業を行おうとしたのだが、誤って大きな音楽をかけてしまったりして結局はゾンビたちに追われることになってしまう。トムはゾンビに指を噛まれてしまったが、すぐにトーリが指を切断することでゾンビ感染は免れた。

そんなトラブルがありながらもどうにか合図を送ることには成功。やってきた武装集団はラムゼイという男をリーダーとする大人数のチームだった。トムはラムゼイの娘のシンディに指の治療もしてもらった。しかしこの集団の中には鼻血を出したり嘔吐したりしている人物がいるのでトーリは不審に思う。そしてジェンセンは彼らが物資を全て運び出しているのを見つけ、それを糾弾したところトラブルになってしまう。ジェンセンは撃ち殺され、ビクターはラムゼイたちについていってしまった。

二人きりになってしまったトムとトーリはなんとか自力で脱出を図ろうとするも上手くいかない。途方にくれるところだったが、なぜかシンディが一人だけで車でリノに戻ってきた。話を聞くと、ラムゼイたちはゾンビの群れに襲われて全滅してしまったらしい。しかも、ゾンビたちはパワーアップしてきており、シンディを追って間もなくリノにやってくるのだという。集団の一部が鼻血を出したり嘔吐をしたりしているのは実験で発生した放射線の影響だった。
トム、トーリ、シンディは爆薬を使ってバリケードを破壊し車で脱出しようとするも、途中でシンディが足を折ってしまう。見捨てるように言うトーリだったが、トムはシンディと共にシンディの子供を見つけにいくことを約束していた。そんなトムをもトーリは見捨てて一人で脱出しようとする。しかしゾンビに襲われ無惨にも死ぬ。

一方、トムとシンディは何とか車に辿り着くことができた。リノの町を脱出する二人。
しかしその後方にはゾンビとしてよみがえったトーリが見つめ、この後二人を追うであろうことを予感させて終わる。

感想・評価

基本的には籠城し、ジリ貧から脱出するために外へ出て、やはりそこでトラブってピンチになり、人間同士のいさかいが発生し…という感じで、王道でありながらも楽しいゾンビ映画のテンプレを丁寧にやってくれている映画という感じ。しかし終盤でヒロイン入れ替わり、しかも旧ヒロインゾンビ化で生き残った二人を追うであろうことを予感させるもの、という結末はかなり意表を突くもので、いい感じにこの作品ならではの特徴を出せていると思う。にしても、核兵器撲滅の謎の装置を起動→起動失敗で大爆発→光を浴びてゾンビに!の論理が意味不明すぎてちょっと笑う。そんなのを原因に出来るんならゾンビ映画作るの楽だな!俺も作ろう!くらいに思ってしまうレベル。

そしてゾンビ描写がかなりいい。初期状態のレベル1ゾンビは動きが遅いが、なんと時間経過により徐々に進化していく。最終的には「28日後…」のゾンビくらいの脅威度になり、ダッシュ!ダッシュ!猛ダッシュ!なゾンビへと変貌。ちょうど、リメイク版の初代バイオハザードにおいてゾンビがクリムゾンヘッドに進化するような感じだ。序盤では大したことないなと呑気に見ていられるが、終盤ではもはや1体にでも見つかったらピンチ!なのだ。このゾンビが強化されるという設定は緩急を生んで良かったと思う。
それと細かい部分だが、ゾンビのお食事シーンがかなりえぐい。内臓をむしゃむしゃ食うシーンがふんだんに描かれ、しかも日を追うごとに死体が朽ちていくのも見てとれるのだ。こういう細かい部分をきちんと描くとゾンビへの恐怖が高まるのでこれもいい感じ。あんまり骨になるまで食い散らかすゾンビって出ないよね。

あとヒロインのトーリが美しい。この映画について少し検索するとトーリを演じているエヴァレナ・マリーが関連ワードとして出るのだが、さもありなんという感じ。美しく、露出高い彼女が出ずっぱりなのも退屈しない要因なのも間違いない。

というわけで、特段際立った特徴はないものの、佳作くらいの評価はできるゾンビ映画だとは思う。

登場人物紹介

トム

演:グラント・バウラー
カジノのディーラーをしている男。トーリとはセフレ。特段良い奴でも悪い奴でもない、あまり特徴のない男。大抵の場合、主人公はある程度クレバーに描かれるものだが、シャッターを開けるための装置にショットガンをぶっぱなして逆に使えなくしてしまう場面も。感染防止のためにゾンビに噛まれた指をトーリに切断される。その治療をしてくれたシンディといい感じになる。

トーリ

演:エヴァレナ・マリー
金髪のチャンネーという言葉が実に合う(?)、セクシーで美しいヒロイン。この映画を検索すると「カジノ・ゾンビ ヒロイン」、あるいは「エヴァレナ・マリー」と女優名がなどがサジェストとして出るのだが、映画名検索でこういう例はあまりなく、この映画の顔としてかなり有名らしい。確かにこの美人ヒロインが映画の評価を上げているというのは間違いないのでは?最後の最期でトムを裏切り死亡、そしてゾンビとして復活というのは、ヒロインの立ち位置としてはなかなか斬新。

シンディ

演:タウニー・サイプレス
中盤で出てくる武装集団のリーダーの娘。集団はトムたちの元を去ってから全滅したらしく、その後一人だけ生き残ったシンディは車でトムとトーリの元へ戻ってきた。トムは彼女に治療されたために好感度高く、シンディが戻ってきてからはトーリの相手はせずにシンディとイチャつく。別の街に子供がいるらしく、トムとそこへ向かうことを誓うが、それがトーリの逆鱗に触れて裏切られる。しかし結果として生き残ったのはトムとこのシンディ。若い女を押しのけて中年女性がヒロインの座を奪うというまさかの展開に視聴者は意表を突かれること間違いない。

ジェンセン

演:ミコ・ヒューズ
カジノでマジシャンをやっている気弱でナード寄りな男。途中でやってきた武装集団が物資を全て持っていってしまうのを見て異議を申し立てたところ、ゴタゴタが発生してあえなく頭を撃ち抜かれて死んでしまう。一歩違えば生き残れそうなポジションだったが無情。映画が終わってみれば、「ジェンセン?ああ、いい奴だったよ」くらいの男。

ビクター

演:アンソニー・マークス
妙にガタイのいい男だが利己的でアル中。一応それなりにトムたちに協力的だったが、トムとトーリをほっぽって自分だけ安全な建物に入ったりもする。ラムゼイたちが現れるとそっちについて行こうとする。描写はないが、シンディによればラムゼイたち一団は全滅したらしいのでこのビクターも死んだのだろう。

ラムゼイ

演:ランス・レディック
中盤でリノにやってきた武装集団のリーダー。シンディの父親。トムたちが籠城していた場所に保管されていた物資をみんな持って行ってしまおうとしたのでいざこざが発生。その中で結局は逃げて出ていった。しかし全く描写されないもののラムゼイたちは全員死んだらしい。

項目別評価

ゾンビ映画としてのツボは抑えていて、かつ、ベタかと言うとオチは予想外でいいアクセント。ゾンビが徐々にパワーアップしていくというのはリメイクバイオ1あたりを彷彿とさせて怖い。ゾンビ映画好きでまだ観ていないなら観る価値はあるはず。ちなみに、舞台がカジノなのは特に意味はない。自分の命をBETした戦い!みたいなコピーがあったりするが、別にギャンブル要素はない。

凡人の感想・ネタバレ映画>カジノ・ゾンビ BET OR DEAD