デッドプール 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>デッドプール(映画)

執筆日:2016年09月30日

ストーリー・ネタバレ

赤い衣装を着たデッドプールなる男がタクシーに乗り、運転手と軽口を叩いていた。
無賃乗車で降りたデッドプールは高速道路の上から飛び降り、いかめしい姿をした男たちが乗る車の中にダイナミックに内部へ突入。そして男らをおちょくりながら倒す。
大事故を起こして高速道路上でなおも男たちを銃で倒していくデッドプール。「フランシス」という男を捜しているようだった。
そのフランシスを見つけ追い詰める。しかし、騒ぎを聞いて現場には-MENメンバーであるコロッサスとネガソニック(ブリアナ・ヒルデブランド)がやってきた。コロッサスはデッドプールをX-MENメンバーとして引き入れようとしていて、ネガソニックはというとふざけてばかりいるデッドプールに呆れ気味。ここで二人の相手をしているうちに標的であるフランシスはいつの間にか逃げてしまっていた。デッドプールは残党にフランシスのことを聞き出そうとするも、コロッサスに放り投げられてしまい、ここでデッドプールの回想に入る。

デッドプールの正体はウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)という男だった。彼は元傭兵の荒くれ者だが、様々な厄介事を解決する活動で金を稼いでいて、ストーカーを追い払ったところ少女から「あなたはヒーロー」と言われる。しかしウェイドは「ヒーローなんて柄ではない」と否定していた。
そんな生活の中、ウェイドはヴァネッサという、人気ストリッパーと出会う。ウェイドもヴァネッサもひどい生い立ちであり、不幸自慢をしているうちに意気投合、恋人となったのだった。
付き合いを続け、ついに結婚を申し込むウェイド。ヴァネッサは快くそれを受ける。

幸せの絶頂だったウェイドだったが、悲劇に見舞われる。ウェイドは末期ガンであることが医者から伝えられ、もう助かる見込みがないということだ。
絶望するウェイドだったが、ある男が現れウェイドを誘う。それによればある実験の被検体になれば助かる見込みがあるということだ。
ウェイドは最初は拒否したが、迷ったあげくにヴァネッサに黙って姿を消し、それを受けることにした。

だがその実験施設は妙だった。明らかにまともな場所ではなく、人命をおろそかにした人体実験を繰り返す狂気の実験施設だったのだ。そこでウェイドの担当となった人物こそが、デッドプールが探していた「フランシス」。彼はウェイドの身体に容赦のない実験を繰り返す。それにウェイドは耐えるが、酸素を極限まで減らすという実験を行ったことによってウェイドのがん細胞が暴走。ウェイドの顔にはひどいケロイドのような跡が出来てしまう。なおも実験は続けられたが、ウェイドは機転を利かせて酸素に火をつけて大爆発を起こさせ、実験装置から脱出する。
そこでフランシスと格闘するが、身体に鉄棒を貫通させられた状態で放置されて敗北。そのまま施設は炎に包まれウェイドは下敷きとなるが、実験自体は確かに成功していて、不死身の肉体となったウェイドは焼け落ちた実験施設で一人生存していた。

ここからウェイドの復讐が始まった。行きつけの酒場の友人であるウィーゼル(T・J・ミラー)との会話中に自分を「デッドプール」と名乗ることを決めて、同居人の老婆であるブラインド・アル(レスリー・アガムズ)の助言により、赤い衣装を身にまとうことにしたのだった。

一人、また一人とフランシスが属する組織の人間を消していくデッドプール。その中にはデッドプールを勧誘した男もいた。
そしてついにフランシスを追い詰めたのが、序盤での高速道路での騒動だったということになる。

回想は終わり、デッドプールは逃げられたフランシスを追い詰めるために動く。が、組織の人間がウィーゼルを訪問したのを聞いて、今度はヴァネッサも危ないと考え、ヴァネッサに会いに行く。しかし、ウェイドは自分の顔が醜くただれたことで激しく引け目を感じており、ヴァネッサに会うのを躊躇していた。会ったら失望されると恐れていたのだ。
そのせいで、危険が迫っていることを伝えるためにヴァネッサに会いに行ったにも関わらず、二の足を踏み、そうしている間にヴァネッサはフランシス一味に攫われてしまったのだった。

デッドプールはコロッサスとネガソニックに助力を得て、フランシスのアジトへと乗り込んでいった。充分に火器を用意したにもかかわらず、タクシー(冒頭に会った運転手と同じ)の中に置き忘れるというヘマをし、結局刀を使っての肉弾戦を行うことになってしまった。
それでも、高い格闘能力と、コロッサス&ネガソニックの力により一味を追い詰める。
最後にはデッドプールとフランシスの一対一の勝負に。ヴァネッサを人質に取られるも辛くも勝利。崩れ落ちた建物のがれきの中、デッドプールはフランシスにとどめを刺そうとするがコロッサスはそういう復讐はせずに許し、X-MENに入れと勧誘する。しかしあっけなくフランシスにとどめを刺してしまった。

そしてついにデッドプール、ウェイドは自分の醜い顔を、救出したヴァネッサに見せる覚悟をする。
彼女はそれを見てもウェイドへの愛情は変わらないことを告げた。エンディングへ。

感想・評価

最初に断っておくと、自分がデッドプールを知ったのは2011年に出たカプコンから格ゲーのMARVEL VS CAPCOM3。別に自分が特別ってわけじゃなく、日本在住の人間だと、カプコンのVSシリーズがアメコミヒーローの認知に多大な影響を与えたことは確かだと思うし、そのおかげで「原作知らないけどキャラは知ってる!」って人間は絶対に多いと思うのだ。それだけ、格ゲーが隆盛を極めた時期に世に出たVSシリーズの印象というのは強かった。

だが、デッドプールというキャラクターはVSシリーズ最新作である「MVC3」で初めて登場したのであって、それまで全く知らなかった。要するに近年知ったばかりのキャラということになる。そしてこのキャラが「第四の壁」、いわゆる「メタ」を突破するキャラであるということも、「なんだこの赤いスパイダーマンもどきみたいのは?」と調べるうちに知ったのだった。ゲームでもその性質はいかんなく発揮されている。体力ゲージとか使って殴りつけ、勝利メッセージではカプコンに対して文句言ったりする。

そういうわけで「こんなふざけた奴が主役の映画なんてそりゃもうハチャメチャだろうなあ」と期待に胸を膨らませ視聴した。
のだが。結論から言うと、割と普通だなって。

なんか、ゲーム知識とはいえ、そういうキャラだとまったく知らないならまた別の感想が出たんだろうけども、「どんなメタ発言が飛び出すのかなあ!楽しみだなあ!」なんて感じで今か今かと待ち望んでみてしまうと、ちょいと物足りないというか。そういう面で期待しすぎだったかな。
と、こんな風に書くとまるでつまらなかったかのようになってしまうがそうではありません

メタがどうとか、デッドプールがどういうおふざけをするのかとか、そういうところ以上に面白ポイントがこの映画にはある。
それは、デッドプールことウェイドの悪友、ウェイド行きつけの酒場の店主であるウィーゼルだ。こいつがあまりに容赦なく毒舌すぎて笑ってしまう。清々しいほどにクズ。「なんでそんなひどいこと言うの…」とこっちが思ってしまうほどに顔が見難く変貌してしまったウェイドの顔を見て情け容赦なく、平坦な口調で罵倒するし(吹き替えで見たが、これが絶妙だった)、せっかくヴァネッサに危険を教えるためにウェイドと二人でストリップバーへと足を運んだのに、結局女につかまって鼻の下伸ばしてヴァネッサそっちのけで女の相手をし、結局そのせいもあってヴァネッサはさらわれてしまう。
しかしこんな奴でも、それを相手しているウェイドも元来ろくでもない人間なので、毒舌も大して気にしておらず普通に接している様がもうなんかおかしくてね。この映画の一番よかったポイントはこの、デッドプール以上にイカれてる友人の存在だった。続編にも是非とも登場して、なんの躊躇もなくひどいこと言ってほしい。

それと、デッドプールの言動や行動に関してはどうも…と書いたが、何やら原作よりも相当に常識人になっているらしい、この作品のデップーは。確かに、言動行動が予想の範疇内で「あれ意外とまともだな…」なんてちょっと思ってしまったのだけども、本来はもっとイカれているとか。R-15とはいえあんまりにも道義的にあれな感じにするとお客のハートを掴むどころか敬遠される可能性もあるんで、その辺せめぎあった、んだろうか。

もう一つ不満を言わせてもらうと、過去シーンがちょっと長いということ。最初の高速道路のシーンから始まる回想が、おそらく全体の半分程度の尺を取っている。
もちろん、これが一作目なので生い立ち、ルーツを語るために外せない部分ではあるのだが、過去シーン部分は要するにヴァネッサと恋に落ち、別れるまでの話。よくあるといえばある話で、やや退屈。これに加え、敵役のフランシスが、痛みを感じないというだけで特に特殊能力も持っていないのも相まって、デッドプールというキャラクターを縦横無尽にやりたい放題やらせるという作風になっているとは言えず、デッドプールというキャラクターに持つ印象とは逆に、映画全体としてやや地味目な印象を受けた。実はこの直前に「キャプテン・アメリカ シビルウォー」を見ていたのもあって、あちらと相対的に比べてしまったという個人的事情もあるのだが。

最後に、デッドプールのメタなものやそうでもないもののおふざけ発言集、行動でも掲載。下ネタ含む。かな〜りうろ覚えなので、こんな感じの台詞があるくらいにとどめてください。恐らく相当違う部分あります。

などなど。まだまだいっぱいあったはずなんで、興味が出たら是非見ましょう。

項目別評価

簡単に言うと、「普通に面白いが、回想に尺を割くより、デッドプールとしての活躍をもっと見せてほしかった」となる。まさにデッドプールが言う通り「予算が足りなくて他のX-MEN呼べなかったから」金のかかったアクションシーンは抑えめにする必要があった、とかそういう事情だろうか。ただ、二作目はすでに確定しているので、回想など必要なくなるそれではもっと派手な映画になることは期待できる。
あと、R-15で、デップーのセリフはどことっても下品なのでそこに嫌悪感を感じるようならお勧めできない。

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