映画ダイアナ  -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2016年10月22日

あらすじ・ネタバレ

ウェールズ公妃ダイアナ(ナオミ・ワッツ)。彼女はその立場ゆえに常にパパラッチから私生活を覗かれるような生活を強いられていた。またチャールズ皇太子とは1996年に離婚しており、その心は孤独を感じていた。
そんな中で出会ったのはパキスタン人の医者のハスナット・カーン(ナヴィーン・アンドリュース)。彼と食事をして、自宅に招き入れて親密になると恋に落ち、二人は交際するようになった。ドライブを楽しんだり、ハスナットが好きなジャズクラブへ行ったりして、二人は充実していた。

しかし二人の幸せも長くは続かなかった。ダイアナの恋人はハスナットであるということをパパラッチに突き止められて大々的に報道されてしまったのだ。ハスナットは病院で同僚たちに嘲笑される身となってしまう。ダイアナはすぐにこれを公式に否定、「ハスナットは恋人などではない」と声明を出すも、今度はハスナットは「恋人であることを否定された男」として周囲に嘲笑されるとしてダイアナに対して怒りを露わにする。
二人の間に生まれた障害の大きさに二人は打ちのめされるも、それでも互いに愛し合っていた。ダイアナはハスナットと結婚してパキスタンへ移り住む覚悟もする。しかし、ハスナットの家族に挨拶をするためにパキスタンに赴いた時、多くの人間はダイアナを認めてくれたものの、ハスナットの祖母はイギリス人を恨んでいることをダイアナは知る。これもまた二人の障害だった。

なおも結婚に前向きな二人。ダイアナはハスナットがパキスタンに移り住めるように人脈をあたって現地の病院への紹介状を手配するが、それもまた、ダイアナを頼る気などなかったハスナットのプライドを逆撫ですることになる。
結局は二人は破局を迎えてしまったのだった。ダイアナはそれ以来しばらくは自暴自棄気味になってしまう。
ダイアナはハスナットの次の恋人、ドディと出会う。ドディは富豪の息子であり、プレイボーイでもあった。わざとパパラッチに自分の居場所を教えるような真似をしたりして、半ばヤケになっているような行動をしていたダイアナ。彼女の気持ちは未だにハスナットのところにもあった。自分に連絡をするように何度も電話したがハスナットは返してはくれなかった。

そうして1997年の8月31日を迎えた。この日のパリにおいて、ダイアナとドディが乗った車は追ってくるパパラッチを振り切るためにハイスピードを出し、交通事故を起こす。ダイアナはドディと共に死去した。作中ではこの事故の様子は全く描写されず、事後にハスナットの元に電話でそれが伝えられただけにとどまった。

ダイアナを悼む人々が訪れ、花が捧げられた。ハスナットも訪れて花を捧げ、同時にダイアナに向けた手紙も捧げる。「善悪を超えた場所に庭園がある。そこで会おう」というメッセージが書かれていた。その言葉が亡きダイアナの声でも繰り返され、徐々に離れていくハスナットを映し、終劇。

感想・評価

事実を元にした伝記映画とはいえ映画は映画であるため、どこまで情報を信じ切っていいものやら、とこの手の作品を見るとどうしても考えてしまうのだが、いっそ今回は割り切ってそういうこと考えず、あくまで映画作品の中に対してだけ感想を書くことにする。

ダイアナ王妃、という言葉を聞いておそらく多くの人間が連想する言葉はパパラッチではないだろうか。自分の偏った見解で言うと、日本でこの言葉が広く知られることになったのもおそらくダイアナ王妃死亡事故の件の影響だと思っている。ていうか実際そうだろう。パパラッチという言葉自体が「セレブレティを追い回すカメラマン」を指すということなので、日本だと馴染みがなかったもの。日本で同じようなポジションだと、政治家に密着する「番記者」を想像するが、誰それのパパラッチをしている〜なんて話はあまり聞いたことがない。ともあれ基本、欧米の文化であるのだろう。にしても、「特定の個人の私生活追い回して金稼ぐ」と書いて間違いはない職業だろうが、下世話ここに極まりけりという感じだな…。
ちなみに自分はというと、「ダイアナ王妃といえばパパラッチに追われて死んだ悲劇の人」というくらいの見識しかない。それもあり、ダイアナという人物を知るいい機会だと知り、BSで放映してたこの映画を興味を持って観たのだった。

しかし内容はと言うとその辺はあまり関係なく、パパラッチに追い回され、それを撒くためのカーチェイスのあげくに事故を起こし死んでしまうという、死の瞬間の描写もない。メインとなるのは、その死に至るまでのたった二年間。ダイアナの恋人、ハスナット・カーンとの恋愛劇だ。
「世界一有名な女性」として常に見張られ、自由のない生活の中、出会ったパキスタン人の心臓外科医であるハスナットと出会い恋に落ちるも、互いの持つ多すぎる障害ゆえに結局は破局を迎えるという悲恋の物語というのが大筋の内容。ロミオとジュリエットに代表されるように、障害がある方が燃えるというのは恋愛のある種の定説でもあるが、ダメなもんはダメだったよ…という感じで、互いの気持ち以上に周囲が強大な力で二人を引きはがしにかかり、離れていってしまう。切ない。…まあそれくらいの感想ですかね。
なんて、どうもドライな感想になってしまったけど、なかなか面白かったというのが正直な気持ち。

ちなみに、この映画だとハスナットと破局した後にドディと出会って交際を始めたような描写になっているんだけども、調べたら「ハスナットとドディとの付き合いは同時進行だった」らしい。だがハスナットは「自分を裏切るはずがない」と証言したらしいので、その言葉を汲んでのこの展開ということかな。

項目別評価

伝記とはいえあくまで映画である以上は創作、誇張、尾ひれあるのかもしれないが、死の数年前からしか描かれないとはいえ、ダイアナ妃という人物を2時間弱で無理なく知るには手頃なのではないかと思えた。「ダイアナって、ああ、あのパパラッチの…」ってくらいしか知らない自分のような人間には楽しめた。しかし世間での評価はどうやら散々なようで。多分、ダイアナを全く知らんからこそ自分のような好意的な解釈ができるということなのかな。それと、主に「LIFE!」とか「時をかける少女」とかのせいで芸能人吹き替えが大嫌いな自分だが、米倉涼子の吹き替えは悪くなかった。

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