アルカトラズからの脱出 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>アルカトラズからの脱出

執筆日:2015年08月11日

評論

今年のいつかは忘れたがBSで放送していたのを録画したものを一週間ほど前に見た。
少なくとも名前だけはかなり知られているであろう映画。監督としても俳優としても相当数の活躍をした、クリント・イーストウッド主演の1979年映画。事実を元にした映画となっている。

あらすじ、ストーリーを長々と書きたいところなのだが、録画が途中からだったため序盤部分が抜けていて全部を見ることができなかった。なので簡易的なものとする。とはいえ、話自体は至極単純なものなので、序盤を見ていようがいまいが書くことはあまり変わらないと思う。

フランク・モリス(クリント・イーストウッド)は絶対に脱出不可能とされる、サンフランシスコ湾に浮かぶ「アルカトラズ島」の刑務所へと収監される。
そこでフランクはイングリッシュ(ポール・ベンジャミン)や絵を描くのが趣味のドク(ロバーツ・ブロッサム)だ。しかし、刑務所内の規則は厳しく、刑務所の所長、ウォーデン(パトリック・マクグーハン)の絵を描いていたことを所長に見とがめられ、絵を禁止されてしまう。絶望したドクはせめてもの抵抗の意思として自分の指を切断するという凄惨な行いをした。

絶対に脱獄は不可能とされている刑務所だが、頭の良いフランクは個室からの脱出方法や、さらに脱出してから海を渡る方法なども自ら発案する。
まず脱出方法は囚人それぞれの個室の通気口部分の壁を掘って穴を開けて脱出するというもの。そして海を渡る方法は雨がっぱをつなぎ合わせてボートを作ってそのまま近くのエンジェル島へとたどり着くというもの。

穴を掘るには定期的に見回りに来る看守の目を欺きながら作業を行わなければならない。フランクの脱獄計画には別の囚人4人も乗った。隣の個室のバッツ(ラリー・ハンキン)、そして以前別の収容所で知り合いだったアングリン兄弟(フレッド・ウォード、ジャック・チボー)だバッツと、アングリン兄弟だ。足の悪いイングリッシュも脱獄に参加することは無理でもフランクたちに協力してくれた。
一人が見張りをしている間に別の一人が穴を掘り、というような具合に協力しあって計画を進めていく。あわやバレそうになることもあるが、順調に穴は開けられ、ついに人が通れるくらいの穴を開けることができた。

そんなとき、ウルフ(ブルース・M・フィッシャー)という、フランクに敵対的な囚人が戻ることになった。しばらく別の場所に収容されていたのだが、フランクたちがいる棟へと戻ってくるのだ。彼はフランクを殺すつもりだと考えたフランクは、ウルフが戻ってくる前に脱獄を決行しようとする。それは予定より1日早い日だ。
また、ドクが心臓発作で死んでしまう。フランクはドクの好きだった菊の花を弔いにした。

ついに脱獄決行の日が来た。フランクと兄弟の3人は穴から脱出するも、バッツだけ遅れてしまう。フランクたちはバッツを待っている余裕などないのでそのまま進む。ついに島の沿岸にたどり着き、予定通りボードを広げて息を吹き込み膨らませ、荒れた海に飛び出す。
翌日、フランクの個室にはダミーの人形が横たわるのみ。バッツは絶望した顔で自分の個室で立ち尽くしていた。
あわてて島中が捜索されるが、三人は見つからなかった。沿岸に菊の花があり、それを見た所長は「この島で菊など取れたか?」と側近に聞き、それを海に放り投げた。
そして最後に「脱獄した三人の行方は未だ分からない」とキャプションが出て、そのままエンドクレジットへ。

ここから感想、レビュー。
まず作品の内容を語る前に声について語りたい。吹き替え版を見たわけだが、フランクの声がなんとあの山田康雄。自分の世代だとルパン三世の声でしか知らない人だけに、「声ルパンかよ!?」とサプライズだった。それがまた渋くて格好いいんだよなあ。冷静沈着なフランクの声に実に合っている。ルパンは例えば冷静にお宝の由来などについて語る口調は落ち着いているが、ちょうどあんな感じで一貫してる。看守が「徹夜で疲れてる」というようなことを言うと、ルパン声で「じゃあ俺と変わってくんねーか?」などと巧妙に返すのに痺れた。渋い。格好いい。

それでようやく映画の評価だが、何せ古く、比較的最近、90年代以降でも同じような映画はいくつか出ているので、それを見ているか見ていないかで評価は変わってくると思う。例えば「ショーシャンクの空へ」なんかは間違いなくこのアルカトラズに着想を得ているだろう。コツコツと穴を開けて脱獄という点が全く同じだ。また、スタローンとシュワルツェネッガーが出演している「大脱走」なんかも雰囲気が似ている。それらは脱獄した後のことも描いてるのに対して、この作品はあくまで舞台は刑務所内だけでなり、実在した脱獄犯を描いているので(行方不明になったのも史実通り)脱獄後のことなど描かれない。だからかなりタイト、ドライな作風になっている。だから、そういう近年の映画を見ている場合、やや物足りなく感じてしまいそう。良く言えば余分なものをそぎ落としたスリムな脱獄劇、悪く言えば地味でそっけない作品。こういう脱獄映画を見ていないならば、まずこれから見るのもいいんじゃないかなと。逆になるとどうしても地味だなーとか物足りないなーとかって感想が出がちになると思う。

項目別評価

策を練り、看守の目を盗んでコツコツと作戦を進行させるという、今見るとそう目新しいものでもない。が、当時としてはまあ新鮮だったろうから、最初にやることは凄いということで独自性を高く。特に「ショーシャンクの空へ」や、スタローン&シュワちゃんの「大脱走」などを見ていると新鮮さはあまり感じられないと思うし、流石に古い映画だけありそれらと比べると地味。しかしそれでも見つかりそうになる場面では焦るし、三人がどうなったのか、淡々とキャプションだけで「行方が分かっていない」として粛々とクレジットが流れ始めてしまうドライな作風がまた渋い。
初見の立場としては山田康雄の吹き替えが渋かっけー!ということでそこが一番ポイント高かった。
それと、この三人の脱獄事件の直後に閉鎖されたアルカトラズ島だが、今では観光地になっており、フランクが開けた穴の画像、ダミーとして使った人形なんか画像として残っているので調べてみると面白い。

凡人の感想・ネタバレ映画>アルカトラズからの脱出