ゴッドファーザー(映画) -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年12月02日

ゴッド・ファーザーシリーズ感想・ネタバレ

ストーリー・ネタバレ

まず冒頭、ある男が自分の娘に起きた悲劇を語る。自分の娘が男に集団で暴行を受けたこと。そのために奴らに復讐をしてほしいというのだ。話を聞いているのはドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)だ。彼はイタリア系アメリカ人で、政治家とのパイプを多く持ち、多大な影響力を持っているマフィアだ。依頼しているのはアメリゴ・ボナセーラ(サルヴァトーレ・コルシット)という男だった。ヴィトーはボナセーラが自分との距離を置いていたことを不満に思い非難するも、ボナセーラがそれを詫びると引き受けた。
この日はヴィトーの娘のコンスタンツァ・コニー・コルレオーネ・リッツィ(タリア・シャイア)と、ファミリーの一員であるカルロ・リッツィ( ジャンニ・ルッソ)の結婚式であり、外は賑やかな式を行っているのだが、一方でヴィトーは家にこもってボナセーラのような客人の相手をしていた。
コニーの兄でありヴィトーの三男であるマイケル・マイク・コルレオーネ(アル・パチーノ)は彼女のケイ(ダイアン・キートン)と話して自分の家族の紹介をしていた。長男のサンティノ・ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン)が荒っぽいことや、血のつながりのないもののヴィトーの息子同然である弁護士であり一家の相談役のトム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)などの紹介だ。ケイはそれらの逸話を聞いて驚きはするも、その中で三男のマイケルだけはマフィア稼業に手を染めるつもりはないことをケイに説明して安心させようとしていた。ヴィトーとしてもマイケルはマフィア世界に足を踏み入れてほしくないと考えていた。

ジョニー・フォンテーン(アル・マティーノ)という、ヴィトーに名前をつけられた男もボナセーラのように頼み事をしてきた。つまりジョニーにとってヴィトーは「ゴッドファーザー」ということになる。ジョニーは人気歌手だが、映画プロデューサーの逆鱗に触れたため出演を拒否されているという事情だ。
それを聞き届けるためにヴィトーのファミリーの一人で息子同然のトムが映画プロデューサーのジャック・ウォルツ(ジョン・マーリー)という人物の元を訪れる。彼が言うには、ジョニーはウォルツが大事に育ててきた、金の卵とさえ呼ぶ女優に手を出して傷物にしたことが絶対に許せないのだという。どう脅されても決してジョニーに役はやらないと言う。そこでトムは黙って引き下がったかに思えたが、後日のある朝、ウォルツが目覚めるとなんとベッドの中に自分が大事に大事に育ててきた種馬(60万ドルほどの価値)の頭が。絶叫するウォルツ。これによりウォルツは脅しに屈してジョニーは晴れて役をもらうことができたようだ。
このエピソードは映画中で独立した話となっていて、コルレオーネファミリーの恐ろしさの紹介ともなっているものだ。

このエピソードの後、またコルレオーネ一家を訪れる男が現れた。
男の名前はソロッツォという。麻薬組織の人間で、その背後にはタッタリアという別のマフィア組織の影が見える。彼は麻薬を使った商売をヴィトーに持ち掛けてきたのだ。ヴィトーが持つ政治家へのパイプを利用させてもらう代わりに莫大な見返りを約束すると。しかしヴィトーは破格の条件を出されながらもマフィアながら麻薬は薄汚れたものであり、決して手を出す気はないと断ったのだった。ヴィトーの長男のソニーはソロッツォとの会合の中で乗り気になるも、そのせいでヴィトーから「二度と余計な口を叩くな」と怒られてしまう。
ヴィトーはソロッツォ、その背後にいるタッタリアファミリーに不穏を感じてファミリーの一人ルカ・ブラージ(レニー・モンタナ)をタッタリアファミリーのアジトへと赴かせて探りを入れた。が、そこでルカに「いい話があるからコルレオーネを裏切れ」と儲け話をもちかけて油断させた直後、ルカを殺してしまう。さらにトムを取り囲んで拉致してしまう。その上、ヴィトーが町中で襲撃を受けて5発も弾丸を受けてしまう。ヴィトーが麻薬に手を出さないがために他のファミリーに角がたったためにこの悲劇は起きてしまったわけだ。
一命はとりとめたものの瀕死の重傷となり、ヴィトー襲撃は新聞にも掲載された。堅気の世界にいる三男マイケルもその新聞を見て慌てて父親ヴィトーの入院している病院へと急行した。

しかしその病院には見張りが誰もおらず、昏睡状態のヴィトーのみ。このままではさらなる刺客によりヴィトーが殺されてしまうと危惧したマイケルはヴィトーを別室に移して、さらに見舞いにきた男を使って刺客を警戒させ追い払った。
が、ここでタッタリア側に買収された警官マール・マクラスキー警部(スターリング・ヘイドン)がやってきて「さっさと去れ」とマイケルに言い、さらに思い切り殴りつけた。
次に、ヴィトー襲撃に激昂したソニーは策を練ってタッタリアのドンであるドン・フィリップ・タッタリア(ビクター・レンディナ)の息子のブルーノ・タッタリア(トニー・ジョルジオ)を殺害する。

その後、ソロッツォから提案が持ち掛けられた。マイケルとソロッツォとマクラスキー警部の3人で会談を行い和解しようという内容だ。
そしてなんと堅気を通してきたマイケルが、この二人をこの機に殺害することを積極的に提案する。長男ソニーは一度笑い飛ばすが、マイケルは本気だ。ファミリーの古株ピーター・クレメンザ(リチャード・カステラーノ)が会談の場となるレストランのトイレにあらかじめ拳銃を隠し、トイレに行ったふりをしてこれを入手してマイケルが二人を殺す、という作戦が練られた。
そしてこの作戦は見事に成功する。堅気だったマイケルが二人も人を殺してしまったのだった。

この件により報復を避けるためにコルレオーネファミリーはそれぞれが身を隠した。長男ソニーはそのままとどまるが、次男のフレデリコ・フレド・コルレオーネ(ジョン・カザール)はラスベガスにいる別のマフィアの元へ身を寄せ、三男マイケルはアメリカにいること自体が危険であるため、ヴィトーの故郷でもあるイタリアのコルレオーネ村(ファミリーの名前の由来にもなっている)へと身を潜めており、いつアメリカに帰れるのかもわからない身となってしまった。ヴィトーはというと意識を取り戻し、歩けるまでに回復した。
そんな田舎でマイケルは道で見かけた女性アポロニア(シモネッタ・ステファネッリ)を見初める。そして彼女の父親に半ば脅しをいれつつ自分と結婚させることを認めさせたのだった。
一方アメリカでは長男ソニーに悲劇が。妹のコニーのカルロはたびたびコニーに暴力をふるっていたのだが、これに制裁を加えようと出かけた際に車外から集中砲火をあびて無残にも殺されてしまったのだった。
さらに、イタリアのマイケルにも刺客が。マイケルの車に爆弾が設置されたのだ。マイケルは運よく難を逃れたものの、ちょうどアポロニアが車に乗っていたタイミングで爆発し、アポロニアも死んでしまう。
ソニーが死んだことで悲しむヴィトーは、冒頭で頼みを聞いてやったボナセーラ(葬儀屋)に頼んで、ソニーの遺体を綺麗にしてやってくれと頼んだ。そして、ヴィトーの名で5大ファミリーに招集をかけて会合を行い停戦、和平交渉を持ち掛けることにしたのだった。

ファミリーが集まった会合でのヴィトーはコルレオーネとタッタリアはそれぞれ息子は失ったが、復讐合戦はもう終わりにしようという。しかしなおも、やはり麻薬に手を出すのは認められないと言う。すると他のファミリーからは「ならば黒人にだけ売ろう、黒人がどうなっても知らん」と提案。ヴィトーは仕方ないのでその条件を飲むことにした。さらにヴィトーは条件としてマイケルがアメリカに戻ってくることを許してほしい、そしてマイケルに手を出したら絶対に許さんと言い、マイケルは晴れてアメリカに戻ってくることができたのだった。
また、この会合での様子を見てヴィトーは「タッタリアのような小物がソニーを殺せない、真犯人はバルジーニだ」と見ぬいた。

マイケルが戻ってくると、コルレオーネ家のトップはトムでも、気弱な次男のフレドでもなく、マイケルとなった。ヴィトーはソロッツォと警部殺害の一件から、実は最もトップに立つ器を持っていたのはソニーではなくマイケルだったと考えるようになったのだ。そしてマイケルとヴィトーは今までそばに置いていた相談役トムを「争いに向いていない」として少し距離を取る位置に置いた。また、イタリアへ身を隠すことになったため疎遠になってしまっていたケイの元へマイケルは姿を現し、戸惑うケイをなだめて再びケイと恋仲になり、そのまま結婚までしたのだった。
こうして、かつてはマイケルが距離を置いていたはずの闇の世界だが、皮肉にもマイケルは一家を率いていくトップとなってしまったのである。
そんな彼は強硬に一家の力を強くする手腕を発揮していった。ラスベガスにいるモー・グリーン(アレックス・ロッコ)というホテル経営者からホテルをそのまま買い取ろうとするも断られる。しかしその時次男のフレドがグリーンになめられているのを見て、三男のマイケルは兄のフレドに対して「弱気を見せるな」というような忠告をしたのだった。また、ヴィトーは「会談を持ち掛けてくる人間は敵だ」とマイケルに助言をしていた。

そんな中、年老いたヴィトーは孫(マイケルの息子)と庭で和やかに遊んでいる中で発作を起こして倒れ、そのまま死去。
盛大に行われる葬儀の中、ドン・エミリオ・バルジーニ(リチャード・コンテ)がマイケルに対して会談を持ち掛けてきていると、コルレオーネの一員であるサルバトーレ・サル・テッシオ(エイブ・ヴィゴダ)がマイケルに話す。しかしヴィトーの生前の言葉により、これは罠だとマイケルも側近のトムも理解していた。バルジーニもテッシオも敵というわけだ。

マイケルはこれを機に5大ファミリーの全てのドンを抹殺する計画を実行に移す。
コニーとカルロの子供の名前(マイケル・フランシス・リッツィ)をつける儀式が行われ、マイケルが神に誓う台詞を口にする中で、マイケルの部下たちが次々にファミリーのドンたちを暗殺していく。このシーンはマイケルがフランシスの名付け親、つまり「ゴッドファーザー」と呼ばれる立場になったことを描写しつつ、他のドンを抹殺するという修羅の道に入り名実共にコルレオーネ家の当主となったことを視聴者に印象付けるシーンとなっている。
さらにその後、コニーの夫のカルロの元を訪れるマイケル。ソニーが殺された件を問い詰めるとカルロは「バルジーニと手を組んでやった。わざとコニーと喧嘩をしてソニーをおびきよせた」と白状した。殺さないがどこかへ消えろとマイケルは言うが、実際のところはカルロが車に乗り込んだところで部下に殺害させ、それをただマイケルは見守っていた。

カルロの妻でありマイケルの妹でもあるコニーがカルロが死んだことでヒステリックにマイケルの元を訪れた。「娘の名付け親になっておいてその父親を殺したのか!」と。マイケルの妻のケイはマイケルがコニーをなだめたのを見た後、「本当にカルロを殺したの?」と聴く。「女が口出しをするな」と怒鳴るマイケルだったが、「今回だけ答えてやる」と言った後、静かにケイに向かって「殺していない」と答えた。それを聞いて安心するケイだったが、マイケルの背中を見送る彼女の表情には不安の色が浮かんでいた。マイケルが敬意をもってヴィトーのように「ドン・コルレオーネ」と呼ばれたところで映画は終わる。

感想・評価

いわずと知れた知名度のシリーズ作品の第一作目だが、今回初視聴。
マフィアながらも麻薬を取り扱う商売を嫌い、そこだけは譲らないがためにトラブルに巻き込まれた「ゴッドファーザー」ヴィトー。そしてその父親を守るために本来距離を置きたいと考えていたマフィアの裏の世界に身を投じ、最終的には自分こそがコルレオーネの家長となってしまったヴィトーの三男マイケル。それを取り巻くコルレオーネ家族や敵対するマフィア組織との争い、そんな作品だ。

作品の肝となるのは、本来は身を置きたくはなかったマフィア世界にどっぷり漬かることとなってしまったマイケルの内心だろう。
彼は何を思って最終的にマフィア一家の当主などにならなければいけなかったのかと考えれば、やはりそれは一族を守るためなのだろうな。尊敬する父親が築いてきたコルレオーネという権威が、ヴィトーの死によって風前の灯となりつつあり、早速マイケルを殺そうと企んだ敵対マフィア。しかしその頭全員を先手を打って抹殺するという結末。確かに一時の勝利をつかみ、ヴィトー亡きとなってもコルレオーネ一族の強権を周囲に知らしめることにはなったのだろうが、これをもってマイケルは決して降りられない修羅の道に入ってしまったのだろう。弱音などは一切吐くことを許されず、かつて父がそうしてきたように裏の世界で勝ち続けていかなければならないことを宿命づけられたマイケルの内心を思うと、意地っ張りな男子ならば強くも悲しいその内面を思わずにはいられない。ラストで妻のケイに対して妹の旦那を「殺していない」とウソをつくこともまたその象徴だろう。もはや綺麗事や弱音を吐いていい段階は過ぎた。ただ強くあることだけがコルネオーネ当主の役目なのだ。そしてその変貌を最も強く感じているのは妻のケイ。あくまで一般人の感性しか持たない彼女だが、彼女は夫の危うい姿をこれからもずっと近くで見ていかなければならない。そんな危惧を感じさせるところで物語は終わる。続編が気になる終わり方だ。

ヴィトーやマイケル以外の脇を固めるコルレオーネ一家も個性的なものがそろっていて魅力的。
直情径行だが家族への愛情は強い長男ソニー、気が弱いなりにコルレオーネの一員たろうとするフレド、コルレオーネ家の血筋ではないものの、ヴィトーの息子同然の相談役トム、ろくでなしのDV男と結婚したがために苦しむことになる末娘のコニー、その夫のクズ男カルロ、ふくよかで気さくな古株のクレメンザ、などなど。どの人物を見ても印象に残り、生き生きとしている。冒頭のコニーの結婚式においてマイケルにより人物説明がなされるが、正直この段階では「え?誰が誰だって?」となりかねないところだったが、終わってみればどれも明確に記憶に残る人物ばかりなのである。2時間半以上の長さがある映画だが、ダレずに最後まで見れたのはこの個性的な登場人物たちによるところが大きい。

流石に名作と謳われることはあり見応えがあった。ぜひとも二作目以降も見てみたいと思わせる作品。

項目別評価

特筆すべきはキャラクター。主要キャラクターの数は多めだが、見終わってみればどのキャラクターも「こういうキャラ」と一言で言えるほど個性が強く、誰もが印象に残りやすい。そして息子のマイケルが第二のドン、ゴッドファーザーとなる終わり方もまとまりが良い。プライドや沽券を守りつつも生きていかなければならないマフィアの世界の苦悩や大変さは否でも伝わってくる。流石に世間での評価が高いだけのことはあり、続編もぜひとも見てみたいシリーズ。

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