ゴッド・ファーザー PART3 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ゴッド・ファーザー PART3

執筆日:2017年05月23日

ゴッド・ファーザーシリーズ感想・ネタバレ

あらすじ・ネタバレ

1979年、前作ゴッド・ファーザーPART2から20年後の時代。マイケル・コルレオーネは法王庁からの叙勲式に息子と娘にぜひ出席して欲しいという旨の手紙を送っていた。マイケル・コルレオーネは財団を作り、慈善事業をしていたのだ。
式では離別した妻のケイ、息子のアンソニー、娘のメアリーとも話す。アンソニーは音楽の道に進みたいと言うがマイケルは反対。しかし兄殺しの話を聞いてマフィアに不信を抱いていたのだ。マイケルの兄、ソニーの息子のヴィンセントともここで顔を合わせ、相談を持ち掛けられる。ジョーイ・ザザという男がヴィンセントのシマで麻薬を売っているためヴィンセントと対立していたのだ。丸く収めようとするもヴィンセントの怒りは収まらない。血気にはやるヴィンセントを自分の片腕として使うことにしたマイケル。
マイケルはギルディ大司教と話して、大司教が抱える巨額の損失の穴埋めと引き換えに、インモビリアーレという会社(ヨーロッパ全体に絶大な影響力を持つ投資会社)の株を購入して支配権を手に入れようとする。マイケルは今まで黒い事業に手を染めてきたが、これは真っ当なものとして行うつもりだった。
コルレオーネファミリーと古くから関わりのあるドン・ アルトベロが「分け前を他のファミリーに分けるべき」と言う。法王が危篤になり、そのために認可を得られず取引が先延ばしにされる。
マイケルがファミリーと関わりの深いドンたちと会い分け前を渡す。しかしそこにいたジョーイ・ザザは馬鹿にされていると考え会場をヘリで強襲。ドンたち12人が死ぬ大惨事になってしまう。
マイケルは生き延びたが感情が高ぶり、糖尿病の発作で入院。その間にヴィンセントとコニーたちが先走ってザザに復讐、殺害してしまった。それに対してマイケルは激しく怒る。
叙勲式で出会っていたマイケルの娘メアリーとヴィンセントはいとこ同士の関係でありながら男女として急接近。マイケルはヴィンセントに対して諦めるように言うが、この時点ではまだヴィンセントは諦めがついていなかった様子。
息子がシチリアで歌を披露するのをきっかけに、マイケルはシチリアのドン・トマシーノと話すと法王庁のルケージという人間が黒幕だと教えられる。味方になってくれるランベルト枢機卿という人物のことも教えてくもらう。一方マイケルはヴィンセントに対してドン・アルトベロの元へスパイとして潜り込むように指示する。
マイケルはトマシーノの紹介でランベルト枢機卿に会い、ギルディに騙されていたことを騙る。またそこでランベルトに対して懺悔を行う。一方、危篤だった法王が死ぬ。
ドン・アルトベロがシチリアの古い知り合いの暗殺者、モスカ父子に仕事を頼む。一方ヴィンセントは双子のボディガードを雇いマイケルを守ろうとする。マイケルはシチリアにやってきたケイに案内をする。そんな中、ドン・トマシーノがモスカ父子に殺されてしまった。
法王庁で選挙が行われ、ランベルト枢機卿が次の法王となる。枢機卿はそれまでのやり方から大きく変えた改革を行おうとする。黒い噂のあったバチカン銀行の捜査も行おうとするとバチカンの会計官カインジックが逃げる。ギルディとルケージはランベルト枢機卿を敵視する。
トマシーノの死を悼むマイケルの元にスパイとして潜り込んでいたヴィンセントが。ルケージがアルトベロなどを操る黒幕だと報告をする。マイケルを殺すための殺し屋(モスカ父子)が雇われたことも知る。ファミリーを守ることを決意するヴィンセントに娘のことをあきらめるように命令し、それを承諾したヴィンセントに、マイケルはドンの座を譲る。

アンソニーが出演するオペラへ全ての登場人物が集結する。マイケルを暗殺しようとするモスカ父子、守ろうとするヴィンセントとボディガード。ドン・アルトベロに対してお菓子を贈るコニー。アルトベロはコニーの名付け親でもあるが、コニーは暗殺のために毒を仕込んでいた。アル・ネリはギルディ暗殺のためにバチカンへ向かった。カロはルケージ暗殺のためにその家へ向かった。ヴィンセントはマイケルとの約束通りにメアリーを振った。
各人の思惑が錯綜する中でオペラが開始された。さらに、ギルディの仕組みによりランベルト法王の元へは毒の入った茶が運ばれた。カインジックもヴィンセントが送った2人の刺客により殺された。
モスカは劇場に忍び込んでおり、銃を組み立てマイケルを狙おうとする。そこにボディガードの双子が現れるが、どちらもモスカにより殺されてしまう。その後改めて狙撃中で狙おうとしたが、危険が近づいていることを察知したマイケルは座席から離れてしまった。そのためモスカは近づいての暗殺計画へと切り替えざるをえなくなる。
PART1、PART2同様、結末ではカットバック演出でいくつもの死が吹き荒れる。法王は毒で死に、アルトベロもコニーの送った毒で死に、ギルディはアルにより銃殺され、ラケージは訪れたカロに刺殺される。ここでオペラが終了する。

オペラを出た一同。ヴィンセントに別れを告げられたメアリーがどうしてヴィンセントと自分を引き離そうとするのかとマイケルに直訴しようと近づいた時、殺し屋モスカが近づく。その銃撃はマイケルではなくメアリーを撃ち抜いてしまう。モスカはヴィンセントに射殺される。最愛の娘を殺されてしまったマイケルはかつてないほどに絶叫を上げ、慟哭。その様子はケイやヴィンセントがたじろぐほどのものだった。

マイケルが幸せだったころの思い出が流れる。それはシチリアで会った恋人と、結婚したばかりの妻と、そして愛しい娘と楽しく踊っている記憶。
ラストシーンでは十数年が経過。家の庭で椅子に座っていたマイケルが孤独に死ぬ場面がただ遠くから映されていた。

感想・評価

老境に入ったマイケルが若い頃の犯罪のツケを最悪の形で払うことになるという話だが、マイケルのしてきた事からすれば、最愛の娘を殺されて死ぬ以上に苦しむというのは実に妥当な罰でもある。数知れない罪を犯し、実の兄であるフレドを殺してしまったことを泣きながら懺悔するほど悔いていたマイケルだったが、最後に自宅の庭で一人寂しく死んだ時にようやくそれらと釣り合う決算がなされたということだろう。父であるヴィトーが孫と戯れる幸福の最中に死んだのと比べれば完全に正反対だ。
何せ3作合計9時間以上もマイケルを見ているのだ。マイケルは私欲で動いていたことなどはない。「ただ家族を権力者の手から守るために必死だった」とも今回妹に述解しているが、それも視聴者目線でも決して嘘ではないのはわかるし、マイケルはその性質だけ見れば、本当に真面目で努力家で優しい男ではあった。そもそもマフィアの道に入ったこと自体が間違いだったということだったということかもしれないが、ドンになる決意を固めたのは父がいなくなって弱体化したコルレオーネファミリーを別のファミリーが潰そうとした(マイケルを殺そうとした)からでもあり、マイケルに選択の余地はなかったのかもしれない。マイケルの人生、一体どうすれば真に安らぎを得られたのかと考えると、「そんなのは不可能だった」とも思えてくる。ヴィトーが死んだ直後、家名、誇り、そういったもの全て捨てて、全く別の土地へ逃げればあるいは、くらいかなあ…。だが、「家族を守る」というマイケルの原動力は「父が築き上げた誇り高いコルレオーネの家名を守る」という意味も含まれているのだろうから、それも不可能だったろう。

ラストの演出には痺れた。マイケルの最愛の娘のメアリーが死んだ直後、一気に時間経過し、マイケルが一人孤独に死ぬ姿が遠くから映される。今作で重要な位置にいるヴィンセントなどがその後どうなったかなどは一切描写されず、ただマイケルにだけスポットを当てて、3作品に渡るコルレオーネクロニクルの主役はただマイケルなのだと言わんばかりに、時間をすっ飛ばしてその死のシーンのみ映す。こうまで割り切って「マイケルのみ」を見せることによりマイケルの人生の業の深さ、それに対する罰が強調されていて、実に深みのあるエンドとなっている。メアリーが死んだ時のマイケルの絶叫顔はあまりに迫真で、思わず泣いてしまった。
最初はそもそもマフィアには一番遠いところにいたのにどういうわけかドンになり、父のように強くと誰よりも冷徹になり、数えきれない殺人を指示し、兄さえ殺した。そのツケを最悪の形で払うことになってしまったマイケル。その人生を9時間近くも見ていれば彼の人生の良し悪しを論じる前に「愛着」や「親しみ」を感じるようになっている。見終わった時には、「決して褒められた人生ではないが確かに見届けてやった」という感情が湧いてきて、それををせめてマイケルに伝えてやりたくなるような気持ちだった。あるいはそれは、いいものを見せてもらった、というような「感謝」かもしれない。ラストシーンを見てマイケルの人生からすれば当然の報いとは感じてしまうのだが、決して「ざまあみろ」とか、あるいは逆に「可哀想」なんて薄っぺらい感情は出ない。そこにあるのはただ、安らぎや愛を欲した強くも悲しい一人の男の凄絶な人生を見せてもらったがゆえの「充実感」だった。

ところで中盤あたりでふと気づいたこと。あれ?トムがいない?どうやらすでに死去している設定らしい。
ヴィトーの養子、トム・ヘイゲンがこのゴッド・ファーザー3にはいない。ヴィトーの実子ではないものの、マイケルからすれば男性では最も信頼している人物になるのに、影も形もないのである。立ち位置的にむしろシリーズ最重要人物にあたりそうなものだが…。PART2を見れば、確かにマイケルに一番近い存在ではあるものの、それは部下、あるいは側近としてのドライな関係性しかほとんど描写がない。完結編である今作ではこのトムとマイケルにどういう交流がなされるのか、それがあれば間違いなく見所になるはずだったろうに…。今作のマイナス点として定番になっているようだが、これは本当に心の底から同意する。演じているロバート・デュバルが出演料関係で首を縦に振らなかったとか?とにかく残念だ。

それにしても、PART2からPART3まではなんと16年も経過してるわけで、劇場映画においてこれだけ間を置きながらも紛れもなく前作の続きを、しかもオリジナルキャストで制作したというのは考えてみれば稀なことになるのか?なんとPART1から数えれば18年もかかっての完結となる。PART3の時点でゴッド・ファーザーは終わったものと当時の人間は考えていたのだろうが、マイケルの人生を最後まで描いたこの3が世に出ることによって、シリーズは画竜点睛を得、ゴッド・ファーザーシリーズを不朽の名作としたのではないだろうか。
このPART3は世間一般にはPART1や2よりは低い評価となっているのだが、それはあまりに風刺的すぎた(教会とマフィアの癒着、法王の毒殺というのが事実をモデルにしている)からとかの理由らしい。日本人からすればその辺の事情はあってないようなものでは?作品を評価するにはそういうガヤの事情なんて排除した上での方がよほど純粋だ。とにかく紛れもない名作なので是非とも1〜3まで通して見よう。

登場人物解説

マイケル・コルレオーネ

演:アル・パチーノ
前作から20年ほど経過しおじいちゃんに。今回、冒頭の語り(息子娘にあてた手紙)で「子供は財や権力などよりよほど大切」だと語ったり、自分自身の口から「家族を守るためにただ必死だった」というようなことを妹に吐露したり、兄のフレドを殺したことをもはやトラウマなほどに後悔し懺悔したりしている。ゴッドファーザー、ゴッド・ファーザー2ではただただ強くあらんとしているため基本的に無表情で無口だったので何を考えているのかは分かりにくいところはあったが、今回は等身大の人間、人並みに弱い姿を見せている。「家族を守るため」というのが行動原理だったのは初代ゴッド・ファーザーから明らかだったが、それなのに家族を殺すことになってしまった矛盾は耐えがたい苦しみだったということか。というか、PART2を見た時から思っていたけど、フレドを殺す必要があったようには思えないんだよなあ…。それだけ疑心暗鬼だったということだろうか。
今回はPART2までと比較して実に穏健になっており、父ヴィトーと同じく寛大でありつつも家族愛に溢れた、魅力的な人物になっていると思う。しかし、年老いてからいくら悔もうが許さんとばかりに、運命は彼の最愛の娘を奪い、結末は孤独死。メアリーの代わりにマイケル自身が死ねたならばどんなにマイケルは楽だったかと不憫にもなるが、マイケルが重ねてきた罪はそれだけのものでもあり、しかるべき罰といったところでもある。ラストのメアリー死亡から十数年後マイケル死亡の流れはぞっとするような演出だった。巨万の財をなそうが権力を得ようが、真の安らぎを得ることができなかった男の生きざまは人生において何が大事なのかを考えさせてくれた。白状するが、絶叫するマイケルを見た時、普通に泣いた。

ヴィンセント・マンシーニ

演:アンディ・ガルシア
ゴッド・ファーザー1で死んだマイケルの兄、ソニー・コルレオーネの愛人の息子。つまりマイケルの甥。兄の血気盛んなところをそっくりそのまま受け継いでいて実に危なかっしいが、器量は大きく、ドンの座をマイケルから受け継ぐ。従妹のメアリーと肉体関係を持つがマイケルから猛反発され、最終的にドンの座を継いだ時にマイケルの言う通りにする。最初はチンピラっぽいが、マイケルの右腕として動くうちに物腰が落ち着いていき、貫禄も身に着いていく。ドン・アルトベロの元へスパイとして潜り込み、ルケージという男が黒幕だと突き止める。ある意味PART3はこのヴィンセントが中心にもなっているが、それでもやはりマイケルの人生の顛末を描いたのがこのゴッド・ファーザー3なのであり、メアリーが死んでからは彼がどうしたかなどは全くの不明のままに終わる。マイケルが絶叫するシーンでは「あの伯父がまさか」というような顔をして驚く。

ケイ・アダムス・マイケルソン

演:ダイアン・キートン
マイケルの妻。冒頭のパーティの時点で8年もマイケルとは会っていなかったらしい。前作で完全にマイケルへの愛を冷めたと言い、離婚。マイケルに子供も取られたようだったが、今作の冒頭では逆にケイが二人の子供を育てたことがわかる。マイケルの故郷でマイケルにエスコートされるシーンがあり、そこではそれなりに楽しそうにする。マイケルのことを「忌み恐れている」と言うも、やはりもともと情深い人間であるためかマイケルに対してはただそれだけではない感情が絡み合っているようだ。もしかしたら老年に入ってからでも二人の仲は修復される可能性はそれなりにあったろうが…。ラストのメアリーの死亡がそんなものを完全に吹き飛ばし、以降は完全に絶縁になったのは想像に難くない。

コニー・コルレオーネ

演:タリア・シャイア
マイケルの妹。女性でありながら、マフィアの一族らしく邪魔者を殺すことに躊躇はない。コニーの決定により、マイケルが病床に伏している間ヴィンセントがザザを殺してしまった。客観的に見ればケイではなくこのコニーこそがマイケルの女房役であり、マイケルが弱音を見せ唯一の人物。自身の名付け親であるドン・アルトベロを毒入りの菓子で殺害。何気に、ゴッド・ファーザーにおいて女性が殺人を犯すシーンというのはなかったような気が。

メアリー・コルレオーネ

演:ソフィア・コッポラ
マイケルの長女。演じているのは監督フランシス・フォード・コッポラの実の娘。前作では子供だった彼女がすっかり大人に。パーティで知り合ったヴィンセントに恋をするが、その関係はいとこ同士であり、マイケルには猛反対される。それでもあきらめず、最後のオペラシーンの後にマイケルに直談判して説得しようとするも、そこでマイケルを狙った銃弾に倒れる。それを見たマイケルは絶叫、すぐ次のシーンはマイケルが孤独死するという壮絶な演出になっている。マイケルが若い頃積み上げてきた業はこのメアリーの死をもって償われたということか。

アンソニー・コルレオーネ

演:フランク・ダンブロシオ
マイケルの長男。父がフレドを殺したことを知っており、ちょうどかつてのマイケルのようにマフィアの世界からは距離を取っている。音楽の道を進み、中盤ではシチリアでパーティが開かれ、最後にはオペラ劇場で行われた劇で主役を張る。マイケルたち家族に披露するも、劇が終わった後にはメアリーの死亡という悲劇が待ち受けていた。その後は音楽家としてさらに大きくなっていったのだろうか。

ドン・アルトベロ

演: イーライ・ウォラック
コニーの名づけ親ともなっている古くからコルレオーネと付き合いのあるドン。「歳を取ったのでもう欲はない」などとぬけぬけと言うも、実はマイケルを蹴落とすためにルケージと繋がっていたことが、スパイとして潜り込んだヴィンセントにより突き止められる。最期は名付けたコニーが仕組んだ毒菓子で死ぬという皮肉なもの。

ジョーイ・ザザ

演:ジョー・マンテーニャ
コルレオーネ・ファミリーの一員でドン・アルトベロ推しの人物だがヴィンセントとは犬猿の仲。洒落者で雑誌の表紙を飾ったりもしたようだが、傲慢でプライドが高い。マイケルはヴィトー同様に麻薬には手を出していなかったが、このザザは麻薬を売っていた。自分が甘く見られていることを気に入らないためにドンたちが集まっているところを襲撃し12人もの死者を出す。その後ヴィンセントに復讐され銃殺される。

ギルディ大司教

演:ドナル・ドネリー
自分が集めた金が横領で数億ドルの損失を出してしまい、その穴埋めをマイケルに頼み、代わりにインモビリアーレ社の株を譲るという条件をマイケルに提案。しかしルケージと繋がっており、マイケルが死ねば金はもらった上でインモビリアーレ社の話はなかったことにできるのでそれが目的だったということか。コルレオーネ・ファミリーの幹部、アル・ネリに撃たれて死亡。

ドン・リシオ・ルケージ

演:エンツォ・ロブッティ
インモビリアーレ社の会長で黒幕。自分は手を汚さず、アルトベロに殺しをさせていた。ギルディ大司教やドン・アルトベロと繋がっていた。最期はファミリー幹部のカロに刺殺される。それも眼鏡のつるで。

ランベルト枢機卿

演:ラフ・ヴァローネ
ドン・トマシーノが紹介してくれた法王庁の人間。ギルディ大司教が悪事に手を染めていることをマイケルから聞き、マイケルの懺悔も聞く。ギルディと違い清廉な人物で法王についた後はバチカン銀行の捜査を行おうとする。しかしそれゆえにギルディやルケージの企みで暗殺されてしまう。

ドン・トマシーノ

演:ヴィットリオ・デューズ
PART1でマイケルが一時的にシチリアへ身を隠していた時に匿ってくれた人物。今回もマイケルの味方になってくれて、「ルケージという男なら銀行にも法王庁にも影響力を持っている」という大きなヒントをマイケルに与えた。しかしアルトベロが雇った殺し屋のモスカに殺される。マイケルはトマシーノの遺体を前に「あなたは愛され私は憎まれた。なぜだ、私はあなたと比べても劣った人間でもないのに」と言い、自分が安らぎを得られないことを嘆きながら死を悼んだ。

モスカ

演:マリオ・ドナトーネ
ドン・アルトベロがマイケル殺害のために雇ったシチリアにいる殺し屋。息子も殺し屋。老いているが腕前は確かで、オペラ劇場においてアーマンドとフランシスコの双子を殺害した上で、劇が終わった後にマイケルを近距離で狙う。しかしその銃弾はマイケルの娘メアリーに当たってしまう。拘束されかけたところをヴィンセントにより撃たれ死亡。息子も共犯者だったが、そちらは逃げた。最初に双子のかたわれを殺した後、絞殺され死んだように見せかけてもう一人をおびき寄せて刺殺するというクレバーな手際を見せた。この死んだふりシーンは視聴者をも騙しているので驚く。
あと息子はヤギの鳴き真似が凄く上手い。このヤギの鳴きまねは最後のマイケル殺害未遂シーンでも行い、ボディガードの注意を引くことに成功。そりゃそっちに気が引かれるわな、と誰もが納得するくらいこの鳴き真似が上手くてちょっと笑う。ドン・アルトベロにそれを披露するように言われて息子がその通りにした時、このモスカは少し顔をしかめるのだが、どういう意味合いがあるのか自分にはいまいちわからなかった。

アーマンドとフランシスコ

ヴィンセントに仕えるボディガード。オペラ劇場で、ドン・アルトベロが雇った殺し屋であるモスカからマイケルを守るために働いたが、どちらもモスカにより刺殺されてしまう。なかなかハンサムな双子なのだが、特に掘り下げはなく死ぬ。

アル・ネリ

演:リチャード・ブライト
あまり目立たないが、コルレオーネファミリーの古株であり幹部。PART1にもPART2にも出ていて、一貫して役者はリチャード・ブライト。ヴィトーの死後に入った。ファミリーきっての殺し屋。ギルディ大司教を銃殺する役割。PART2でフレドを殺したのもこの男。PART1のラストでの複数のファミリーのドン粛清でも殺しを行っていて、コルレオーネの汚れ仕事に欠かせない重要なポジションにいる。

カロ

演:フランコ・チッティ
シチリアでドン・トマシーノのボディガードをやっていた男で、マイケルがシチリアに行った時には暫定的にボディガードを務めた。しかし主人のドン・トマシーノが死んだことでマイケルに復讐をさせてくれるよう頼みこむ。(このシーンを見ていたケイはマイケルはやはり血塗られた道から出られないことを知り諦めたような表情を見せる。)そして黒幕のルケージの暗殺のために単身ルケージの屋敷へ入る。武器チェックがあるので武器は持ち込めなかったが、ルケージに接近し眼鏡のつる部分で首を突き刺して殺すという荒業で復讐を遂げる。その際、近くにいたルケージのボディガードが発砲するシーンがあるのだが、カロがこれで死んだのかどうか、少なくとも映画を観た限りだと判らない。死んだと見るのが妥当か。トマシーノを殺されて怒りに燃えるカロは生きて帰る必要のない鉄砲玉として最適だったということだろう。

項目別評価

シリーズ完結作なので、ゴッドファーザー3単体ではなく、3作品全て見た上での総合的な評価になる。46は当サイトレビュー中最高得点。本作ゴッド・ファーザー3は数えきれない罪を犯してきたマイケルの総決算を描いたものとして、これ以上ない作品。父のように強くあろうとした男が惑い、悩み、間違い、最悪の形でその償いをし、孤独に死ぬ姿を見た自分の胸に去来するのは虚しさや寂しさではなく、充実感だった。重犯罪を犯すマフィアが主役であっても、深い家族愛が原動力になっていたからこそ下卑さは全く感じられず、むしろ気高い作品に仕上がっているのだと思う。マイケルが絶叫する姿には思わず涙が込み上げた。

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