機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル

執筆日:2015年3月12日

評論

PSストアでレンタルし視聴。本作品はテレビアニメの機動戦士ガンダムの作画監督として携わった安彦良和氏が雑誌ガンダムエースで連載していた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のテレビアニメ版、その1作目である。

ガンダムエースという雑誌を立ち読みすらしたことはないが、ガンダムエースの看板的存在としてそういう漫画作品が連載していたのは一応は知ってはいた。
近年、宇宙世紀のガンダムの作品といえばユニコーンが話題になったところ。あのユニコーンこそが、アムロやシャアが登場する、関わってくる宇宙世紀が舞台のものとしては現状、時間軸的に最終作となるのであろうが、こちらは逆に初代ガンダム以前、その名の通り起源となる。時代が言ったり来たり忙しい。

この作品はキャスバル・レム・ダイクン(シャア・アズナブル)、そしてその妹であるアルテイシア・ソム・ダイクン(セイラ・マス)の幼少を描いた作品。そしてこの第1弾ではこの兄妹が亡命するまでの物語となっている。シャアの幼少期のCVは誰かと思えばまさかの田中真弓。

確かバンダイチャンネルで無料で初代ガンダムを全話見れる期間が2年前くらいにあって、実はそれでガンダムを初めて通して閲覧した。
その程度であるのであまりガンダム世界に詳しくないので、例えば暗殺されたザビ家次男のサスロであるとか、キャスバル、アルテイシアの父親であるジオン・ズム・ダイクンの正妻であるローゼルシア・ダイクンといった人物のことは全く知らなかったのであり?「誰!?」と戸惑いながら、調べながら閲覧したのだった。そんなガンダム初心者なりに感想を書きたい。

まずこの作品、とにかくノリが「古い」。流石に35年も前の作品に携わった人が描いたものだなという感じ。
何せ安彦良和という人は調べたらもう70歳近くにもなってるのであり、その漫画を忠実に再現したのであろうからそれは仕方ないのであるが、そういう事情はともかくとして色々「古いな!」と感じる部分は多い。特にアルテイシアの表情やその飼い猫の動きとかに顕著だった。

一応ファーストを全話視聴したのであって、だから初代ガンダムの雰囲気というか作風というかは知っているつもりなのだが、古い、ということを抜きにしても全体的にコミカルすぎると思った。とてもこの世界からあの初代ガンダムの世界に繋がるようには思えないというか。何せ初代ガンダムというものが昭和の作品だから割と淡々としているのに対して、こちらは漫画的な表現が際立っていると思う。ファーストガンダムの作画監督が携わっていて、オリジンと謳っておきながら、これはきっとパラレルなんだろう、イフなんだろう、そう思ってしまうような。
少し調べてみたところ実際、「原作とは別物と思ってみたほうがいい」ものらしいですな。雰囲気どころか、そもそもテレビアニメ版とは設定自体の矛盾が今後色々と出てくるそうだ。

主な登場人物はキャスバル、アルテイシアがもちろんメインであるのだが、それ以上に若き頃のランバ・ラル、そして将来その妻となるクラウレ・ハモンが中心。あとは若き日のザビ家の面々が登場したりもするのだが、父親を失ったキャスバルやアルテイシアを助ける二人の大人が活躍するシーンが多い。

この二人にしても、元々あったイメージとはまたかけ離れていて、ランバ・ラルってこんなんだっけかな…と当惑したのだった。ハモンというキャラにしても一応記憶にはあったが、こんな女傑だっけかな…と。キャラにしても作風にしても、とにかくファーストガンダムとは乖離したもので、一言で言うと「違和感」というような作品だった。半端にガンダムを見たことあるせいでかえって色々ひっかかってしまった感じ。

登場するキャラで一番印象に残ったのはキシリア・ザビ。あの紫のマスクつけてる印象が強いザビ家長女だが、この作品だとまあ暴れまわる。サスロに殴られて少女マンガみたいな表現で白目になったりその後怒りでブルブル震えたり、キャスバルを縛り付けて痛めつけようとしたり、素っ裸シーンも見せたりと、あの変なマスクつけてたおばさん、若い頃はこんな暴れん坊だったのかと。あとはギレンはいかにも尊大でいけすかないキャラである中、三男のドズルだけは作品のコメディ担当だったりして癒された。

項目別評価

テレビアニメとは繋がらない、パラレルと思って見るべき作品、だそうで。とはいえ、ファーストガンダムのある程度の知識は必須だろう。
原作は見ていないものの、原作の絵自体はチラホラ見たのでよく再現してることは分かる。
ただ、ダイジェスト気味に淡々と時間が流れてそっけないので、きっと端折ってるんだろうなあというイメージも持った。
あとCGがかなりしょっぱいクオリティだと思う。特に冒頭のルウム戦役のシーン。モビルスーツも戦艦も、なんか随分省エネクオリティだな…と思わざるを得ないものだった。
それと、田中真弓というキャスティングはちょっと無いんじゃないかと。ここから池田秀一声になるとか思うとちょっと笑ってしまう。
全体として、つまらないというわけじゃないものの、特にあまり続きを見たいと思わせるような要素はなかった。結局、ある程度のガンダムファンじゃないと楽しみ方が分からない作品なんじゃないだろうか。
随分先は長いようだが、何年後に完結するんだろうか。

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