ハンコック 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ハンコック

執筆日:2018年1月22日

あらすじ・ネタバレ

ハンコックは銃弾も何も効かない上に超人的な力を持つ無敵の男だが、アルコール依存症で自堕落な生活をしているうえに、たまに犯罪に介入してきては好き勝手振る舞って(犯罪者は捕まえるものの)多大な迷惑をかけるので人々に疎まれていた。

レイ・エンブリーという慈善活動「オールハート・マーク」というものを広めるために尽力していた。しかし「結核の薬を無料で配布するのを条件」などという無茶苦茶なものだったので、顧客には「気は確かか?」と言われるほどだった。

売り込みを失敗したレイが渋滞のせいで線路の上から動けなくなってしまい、列車に轢かれそうになった時にハンコックは気まぐれにレイを救出する。
わざわざ列車を破壊するようなマネをしての救出だったので周囲の人々は非難するが、おかげで自分は助かったとレイはハンコックに感謝した。

レイは自宅に案内してお礼にと食事に誘った。レイの妻メアリーはハンコックを見ると怪訝な顔をする。レイとメアリーの息子アーロンはハンコックに懐いた。

レイはハンコックに「君は今はクズだが、世間にその力を認めさせてやることもできる」と、ハンコックをプロデュースしてやると提案した。

ハンコックは考えたあげく、次の日にレイの家を訪れる。この時さっそくアーロンをいじめているいじめっ子にお仕置きをしたため、レイに「だから人に嫌われたくないならこういうことをやめろ」と言われてしまう。

レイがハンコックを家に入れた時、ちょうどハンコック議会に召還されるニュースが流れる。これを機にハンコックは監獄に入るように提案する。ハンコックが少しの間いなくなれば犯罪件数が上がり、世間がハンコックの力を借りたくなる時が来るとレイは断言する。ハンコックは半信半疑だがその通りにすることにした。

刑務所に入ったがハンコックが捕まえた犯罪者にさっそく絡まれてしまう。ハンコックは「男の尻にもう一人の男の頭を突っ込む」ということをやってしまう。

面会に来たレイはそれを聞いてあきれる。そしてうんざりしたハンコックはレイの話を聞かずに外に出ようとするが、レイが「意気地なし」と罵倒するとムキになり、人々に必要とされる時まで大人しく収監される気になった。

刑務所内での集会(自分が考えていることを話す場)に出席して「パス」と言い続けるハンコック。合間にレイがハンコックにマナーやルールを教える。 メアリーがアーロンを連れて面会に来て「レイはいい人よ。彼を失望させないで」と言った。集会では初めて「パス」ではなくほんの少しだが自分のことを話した。ハンコックは少しずつ変わろうとしていた。

ついにレイの言う通りハンコックの力を世間が欲する時が来た。銀行強盗が発生し、ハンコックに救助要請があったのだ。ハンコックはレイが用意したぴっちりしたスーツを渋々着て出動した。ハンコックはレイに言われた通り警官には「よくやった」と言って気を遣った。
怪我をした女性警官を救出し、さらにビルにたてこもった銀行強盗のケネスをやっつけた。ケネスを倒す際には爆弾スイッチを押そうとした手を切り落として阻止した。ハンコックはたちまちヒーロー扱いされるようになった。

レイはヒーローになったハンコックを連れてセレブの集まりに出る。そこでレイはメアリーとの馴れ初めを話した。レイが離婚した後にメアリーと運命の出会いをしたらしい。アーロンはレイの連れ子だった。
ハンコックも自分のことをレイとメアリーに話す。実は記憶喪失で、病院で目覚め、映画「フランケンシュタイン」の映画券2枚がポケットに入っていたのが最初の記憶だった。それは80年も前のことで、ずっと年をとっていないことも話した。

酔っぱらったレイは自宅に戻り、ハンコックを信用している、上手くやっていけると話した。 レイが眠った後、ハンコックはメアリーと二人で話す。 ハンコックはメアリーを気に入っており、キスしようとした瞬間にメアリーはハンコックと同じような超人的な力で投げとばす。そして「このことを放したらあんたを殺す」とハンコックに警告した。

メアリーがハンコックを投げ飛ばしたせいで家に大穴が空いたが、次の日の朝、メアリーはレイに対して「ハンコックがくしゃみした」と言い訳した。
そこにハンコックがやって来る。レイが電話している間、ハンコックはメアリーにフォークで突き刺そうとしたりバットで殴ったりするが全くの無傷で、完全にハンコックと同じ力だった。ハンコックはメアリーに二人でじっくり話したいと言い、メアリーも渋々了承した。

一方刑務所。手首を切断されたケネスは同じくハンコックに恨みを持つ者を集めて復讐を誓っていた。

山の上にあるハンコックの家(トレーラーハウス)にメアリーが空を飛んでやってきた。ハンコックは「俺たちは同類か。俺たちは何者だ?」と聞くとメアリーは「神とか天使とか呼び方は変わる。今はスーパーヒーローだ」と説明した。仲間も昔は大量にいたが今はハンコックとメアリーだけらしい。
そしてメアリーは「私達は兄妹」と言うがハンコックは信じない。ハンコックは本当のことを言わないとレイにメアリーの秘密を話すと言った。そしてハンコックとメアリーは喧嘩になる。
メアリーは「3000年間の間付き合っていたがもう嫌気がさした」と言う。

レイがプレゼンをしている外でハンコックとメアリーは大喧嘩。メアリーの力で巨大な竜巻が出現して町を破壊する。
ハンコックはヒステリーを起こすメアリーをなだめる。それをレイが見てしまっていた。

レイはメアリーの正体を知り、本当の話を聞く。メアリーは「ハンコックは昔の私の夫だった。二人で一人の存在だから離れていてもいつのまにかまたくっついてしまう」と説明した。
話を聞いたレイもハンコックも穏やかではいられず、これからどうするのかわからないまま、解散した。

テレビでは銀行強盗たちが脱走したことを継げていた。
ハンコックが入った酒屋には強盗がいた。それを難なく倒すハンコックだが、強盗が放った銃弾はなぜか体を貫き重傷を負ってしまう。

ハンコックが入院したことはただちに伝えられレイにマスコミが殺到してなぜハンコックは無敵でなくなったのか質問する。レイは理由はわからないと言うことしかできなかった。

入院したハンコックの元にメアリーが訪れる。「二人が近づきすぎたから力が失われた」のだという。メアリーから離れれば再び力は復活するらしい。なぜそんなふうになっているかというと「人間として生きられるように」と答えた。
紀元前から何度も、メアリーが死にかけた時にハンコックはそれを助けてきたのだという。ハンコックの身体のあちこちにある傷の由来を全てメアリーは知っていた。
80年前は映画「フランケンシュタイン」を二人で見に行き、その後暴漢にハンコックが襲われた。その時ハンコックは記憶を失ったのだという。
2人で1人の存在であるメアリーとハンコックは結ばれかけると必ずメアリーに災難が降りかかるようになっていて、それをハンコックが救うということを3000年前から繰り返してきていたのだった。
ハンコックは神が作った「人類にとっての保険」であり、人類を守るのが役目だとメアリーは言った。

二人が話している病院にはお見舞いにレイとアーロンが来た。だが脱走したケネスたちも現れ、いきなりメアリーに銃を撃つ。メアリーもまた無敵でなくなっており、重傷を負ってしまう。
傷は負うようになったがハンコックは力の方は健在であり強盗に反撃するが、その力も徐々に襲われてピンチに陥る。 場所は病院なのでメアリーはただちに救命措置を受けるが、ハンコックが後ろから銃弾を受けてしまう。さらに続けざまに銃弾を受け、一心同体であるメアリーもそのたびにダメージを受ける。ハンコックは倒れ、メアリーの脈もなくなってしまった。しかしレイがケネスに対してオノで攻撃し、ケネスの残っていた右手も切断して倒した。

危機は去ったが、ハンコックもメアリーも死んでしまっていた。
しかしハンコックは立ち上がり、メアリーを一瞥すると外に飛び出してビルから落下した。メアリーから離れたことで再び無敵の身体が復活し、死んだメアリーも復活した。
何度も跳躍して病院から離れ、最後には以前と同じ力で超高速で空に飛び去っていくハンコック。するとメアリーは完全に蘇生した。

その一か月後。レイとメアリーとアーロンは何もなかったように遊園地で遊んでいた。レイは歴史上の人物についてあれこれとメアリーに訪ねていた。
レイにハンコックから電話が入る。ハンコックが「空を見ろ」というので見上げて月を見ると月には赤いハート、、つまりレイが広めようとしていた「オールハート」のマークが描かれていた。ハンコックはレイに「世界を変えろ」と言った。

一度エンドロールに入るが、途中でその後のハンコックの働きが描かれる。ハンコックが強盗と向き合い、「クズ」と言われた後に怒りを含んだ笑みを見せ、再びエンドロールへ。

感想・評価

確か5年くらいに1回観ていて、視聴は2回目になる。

1回目の視聴ではメアリーがハンコックを放り投げるシーンで唖然とした覚えがある。これって多分誰も読めないよなあ。レイがハンコックを家に招いた時から、メアリーはハンコックに対して何か思うところがある様子はあるのだが、まさか同じ超人だとは。二回目の視聴でも、それを思わせるような伏線はないと感じたのでここは知らないで見るとかなり驚くポイントだと思う。

そしてこれも1度目の視聴でも思ったことだが…設定が分かりにくいし、矛盾がある。
何の設定かと言うとハンコックとメアリーの関係性だ。以下のようなもの。

ざっとこんな感じだ。メアリーはハンコックは「神々が人類に与えた保険」と言うが、そのような神々がいるとして、だ。
「人類の危機を救うための保険ならなんでハンコックとメアリーは近づくと力を失うなんて設定にしちゃったの?」という疑問が出るのが自然だろう。矛盾だ。何も二人揃って夫婦で人類を守っていけばいいんじゃないだろうか。それに「人として生きられるように力を失うのに、必ず災難が二人を襲う」というのも、どう考えても嫌がらせにしか思えないのだが。二人が人類を守るという使命に疲れ果てた時、寄りそうことで普通の人間になり、年老いて、人間として死ぬ。というまでは確かに慈悲だ。永遠に生きて人類を守るなんて、いくら無敵の身体でも残酷な使命なのだから。だが、「くっついたら災難が必ず起きる」という設定で台無しだ。要するにハンコックとメアリーは永遠に生殺しにされているのだ。その神々とやらは何を考えているのか。実は性悪な神で、ハンコックとメアリーがくっついたり離れたりしているのを見てあざ笑い楽しんでいると考えた方がよほど合点がいく。

レイのプロデュースでハンコックが更生していく、というところまでは誰が見ても理解できる話であるのだが、唐突にこういう矛盾だらけの設定が割り込んでくるので、メアリーが正体を見せて以降はどうにも置いてけぼりになる。このようにじっくり考えると納得がいかない設定だが、視聴中も「ん?んー?ん〜〜〜?」と何か違和感を感じ奥歯に物が挟まったような気持ちになってしまうはずだ。結末もグッドエンド風に終わるが、現代で起きたこの出来事も今までハンコックとメアリーがくりかえしてきた出会いと別れのうちの一つでしかないんじゃないか?とも思えて、ね。数百年後くらいにメアリーがまた「もうあんたとの関係はうんざりよ!」ってハンコックに言っていても何もおかしくない気がする。設定をもう少し練ってほしかった。それに尽きる。

登場人物解説

ジョン・ハンコック

自分でも理由が分からず無敵の力を持つ男。能力は恐らくスーパーマンと同等か。銃弾を受けても列車に轢かれても無傷。80年前からずっと記憶喪失で、酒におぼれる自堕落な生活を続けている。メアリーが言うには「人類のために神が作り出した保険」ということらしい。メアリーとは一心同体の存在で、片方がケガをすると片方もケガをする。いくら離れていてもそのうちにまた近づいてしまう関係であり、互いに近づくと無敵の力が失われる。「クズ」と言われるのが大嫌い。ラストではメアリーが言う通り人類の保険、スーパーヒーローとして生きる決意をした。レイの推進する「オールハート」のマークを月に描いてレイにエールを送った。

名前は18世紀のアメリカの政治家の名前そのままだが、これは「記憶喪失の時にジョン・ハンコックを書けと言われて、それが自分の名前だと思った」ということらしい。どういうことかというとアメリカでは「ジョン・ハンコックはサインの代名詞として使われることがある」という話を表している。ウィキペディアによれば「アメリカ独立宣言書に署名されたサインのうちジョン・ハンコックのものが一番大きかった」という理由でそうなっているらしい。

メアリー・エンブリー

レイの後妻。ハンコックと全く同じ存在。離れても必ず惹かれ合う運命らしいが、近づくと力が失われる。なんでそんなことになっているかというと「人間として普通に生きられるように」ということらしい。80年前にハンコックが記憶を失った時、互いに離れるいい機会だと思い離れた。というか紀元前から同じようなことを繰り返しているようだが。「いかれ女」と言われるのが大嫌い。ハンコックと惹かれ合うのは運命としつつも、それに逆らうこともできると言った。最終的にレイと元の鞘に収まったのもそれを表しているのだろう。

レイ・エンブリー

「オールハート」という慈善事業を広めようとしているが、その主義主張は綺麗事が過ぎて製薬会社から相手にされない描写が序盤にある。メアリーとは再婚でアーロンは連れ子。世間から嫌われるハンコックが世間に認められるようにプロデュースしようと尽力する。それは上手く行きかけたが、メアリーがハンコックの元妻だったことを知ってしまう。病院でハンコックとメアリーがケネスらに襲われた時はケネスの右腕を切り落としてハンコックを救出。最終的にはメアリーとは元通りの関係になり、ハンコックの事も変わらずプロデュースし続けて、全て良しといったところか。ハンコックが最後に月にオールハートのマークを描くが、それはともかくとして実際にオールハートは広まっているのかは謎だが。

アーロン

レイとメアリーの子供だがメアリーは実母ではなくレイの連れ子。ハンコックに懐いて、ハンコックからも「いい子」と評される。ハンコックがアーロンをいじめていた子供を天高く放り投げるシーン、誰もが「いや受け止めてもそれ確実に死んじゃうよね?」と思う場面だ。

ケネス

収監されていたハンコックが必要とされるきっかけになった銀行強盗事件の主犯。爆弾のスイッチを押して「この指を離せば人質もみんな死ぬ」とハンコックを脅したが、その左手を切り落とされてしまう。刑務所に入った後、所内で同志を集めて脱走しハンコックに復讐をしようとする。無敵でなくなったハンコックを何度も撃って倒したが、油断しているところをレイにオノで攻撃され、右手も失ってしまう。

項目別評価

冷静に考えてみると矛盾が多い設定に疑問符が浮かばないならなかなか楽しめるとは思う。浮かんでしまったならちょっと評価は下がるだろう。無敵の男が大暴れ!という点は純粋に面白いのだが、特に空を飛ぶシーンのCG合成が拙いのもちょっと気になる。

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