ジャドヴィル包囲戦 −6日間の戦い− 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年1月7日

あらすじ・ネタバレ

1961年冷戦時代、コンゴのカタンガ州での鉱物資源を狙って先進各国は介入していた。カタンガ州の現首相であるチョンベは各国が介入してくることについて「自分のやり方で対応する」と言い、武力行使も辞さないことをマスコミの前で話した。

国連のオブライアン博士は国連事務総長ハマーショルドにカタンガに介入して国連の力を示すように責任者に任命された。一方チョンベは有事の際に武力を行使するため、コンゴ大統領から鉱山警備の名目で傭兵を用意していた。

主人公のクインランは国連に属するアイルランド軍中隊長。カタンガのジャドヴィル駐屯地を防衛する任務に赴いていた。前首相は鉱山を国有化しようとしたために暗殺されていた。現地住民たちは資源争いのために介入している外国を快くは思っていなかった。クインランが部下を連れて町の酒場に行くとフランス人の傭兵ファルケスがいた。彼と険悪ながら酒を飲みかわしたクインラン。なぜファルケスのような歴戦の傭兵がいるのかクインランは不審に思っていた。民家の電話を借りて妻と話すと妻は励ましてくれた。

国連はモルソール作戦という作戦を進行させていたが、その最中、国連軍がラジオ局で民間人を30人も巻き込んで武力制圧してしまう。オブライアンはこのことをもみ消そうとするが、これに対してカタンガ側は報復のためにクインランたちA中隊が守るジャドヴィル駐屯地に攻撃を仕掛けた。これを行う者たちこそ、酒場で遭遇したファルケスたちだった。

何が起こっているのかもわからないまま応戦するクインランたちA中隊。中隊の数は150人だが、敵の数は10倍以上であり、断続的に駐屯地に攻め入ってくる。マッケンティー司令官、それにオブライアンと交信して「補給や増援がないと自分たちは全滅する」と言い助力を請うが、作戦の実行中であるため、他の部隊をA中隊の元に送るような余裕はなく、言い訳をして断るばかりだった。一度だけ1小隊、30人ほどの部隊が送られてきたが、それっぽっちの数では圧倒的な敵の数の前にはどうしようもなく、撤退するのみだった。またけが人を運ぶために国連のヘリが救援には来たが、撃墜されてしまう。

さらに駐屯地には戦闘機からの空爆も行われた。対抗して国連が制空権を侵害するようなことをすれば、下手をすると世界大戦の火種にもなりかねない。オブライアンはクインランたちA中隊を見捨てる決断をしたのだった。

クインランの適切な判断により重傷者は出すものの一人の死者も出さずにアイルランド兵たちは奮戦したが、ついに撃つ弾も尽きた。クインランが部下たちに降伏するかどうかを聞くと部下たちはそれを拒否、最後まで戦うことを選んだが、クインランはついに降伏する決定をした。

一時捕虜となり死刑を待つことになったクインランたちだが、結局は解放され、帰国することができた。
クインランはマッケンティー司令官に「全員が奮闘した。勲章を」と言ったが、むしろA中隊の降伏は国連の名誉、信頼を失墜させたものであるため、その事実は伏せられることになった。クインランは感情に任せて司令官を殴りつけた。

これを見ていたオブライアンは軍法会議にかけろと言うが、マッケンティー司令官はこれも仕方ないことだと返す。オブライアンは世界大戦を避けるため仕方のない判断だった、自分は間違っていなかったと最後まで自分の意見は曲げなかった。

クインランとマッケンティー司令官のやり取りを見ていたA中隊の一同。クインランが解散を継げたが、部下たちは皆、敬礼をやめなかった。そしてクインランの愛する妻が彼を出迎えていた。二人は抱き合い、再会を喜んだ。

最後はテロップで顛末が語られる。こうしてクインラン率いるA中隊の兵たちは「臆病者」のそしりを受けることになった。1963年には国連軍がカタンガを制圧。チョンベは亡命したが反逆罪で有罪になった後、1969年にアルジェリアで病死した。

そしてアイルランド政府はジャドヴィルの戦いから44年の時が経った2005年になって彼らの奮闘を公式に認め、英雄の栄誉を与えた。

感想・評価

「孤立した軍が奮闘する」という事実を元にした話はブラックホークダウンやローンサバイバーなどが挙げられるが、これもその系譜。こういう話を男子が嫌いなわけがあるだろうか?いやない!ということで、実に楽しめた。

アイルランド兵は実戦経験が皆無なのだが、だからといってこれといった大ポカはない。クインランももちろん実戦経験ないが戦術知識に長け、弾が尽きても弾薬を補うために敵を惹きつけて爆弾で一層して奪うというような作戦を立てて窮地を乗り切ろうとする。

もちろんクインランが優秀だから一人の死者をも出さずに20倍の戦力を相手にすることができたということなのだろうが、クインランが無能な描写がなぜか一度だけ不自然に存在。最初に駐屯地を奇襲されて東からの敵を相手にした時、クインランが「敵は南から来る!」と言って軍曹が「本当ですか?」と聞いて「ああ、間違いない!」と返すのだが、敵は南から…来ない!実戦経験がなくとも流石中隊長!俺たちの中隊長!中隊長だけが敵の策略を見抜いている!と思いきや来ない!

これ以降はむしろクインランは優秀なところしか見せないため、なんでわざわざ一度だけこんな描写を入れたのか?と考えると、恐らく、実際クインランのモデルになった人がこういったミスを犯したという記録が残ってるからじゃないかと思うのだがどうだろう。せっかくそういう事実が残っているなら再現性を上げるために組み込もう、みたいな。明らかにこの描写が浮いてるんだよなあ。仮にこの後もたびたび失態を犯すならばもちろんこれでもいい。しかしこの後ミスを犯さないのならば、一貫して優秀の方が話に歪みがないはずだ。「ん?優秀なのそうでないのかどっち?」となる。おかげで、「中隊長が有能ってよりは傭兵側が無能なんじゃ?」って考えにも至ってしまう。別に調べたりしてないのでもし間違ってたら史実の中隊長に謝りたいが。

どうやらこの1961年のジャドヴィルの戦いではアイルランド軍が20倍もの戦力差があるにかかわらず本当に一人の死者を出さなかったということなのだが、終始真っ当に向き合って撃っているため、A中隊側に全く死人が出ないというのは、例えば水戸黄門で黄門さま一行がいくら多数の敵に囲まれても無傷のような、都合の良さを感じてしまった。でも、史実らしいんでなんともここも批判しようがない。しかし本当にこの映画で描写されたように塹壕と遮蔽を利用しての撃ちあいを行っていたのかな?史実どうだったのか気になるなあ。

登場人物解説

クインラン

主人公。ジャドヴィルA中隊の隊長。実戦経験がないアイルランド兵を率いて国連のジャドヴィル駐屯地を防衛。弾が切れて投稿するも、戦闘での死者は一人も出さなかった。間違いなく優秀だから死者0だったのだろうが、軍曹に対して「敵は南から来る!」とか言って来ない場面では「来ないんかい!」である。

オブライアン博士

カタンガでの作戦の責任者でアイルランド人。しかし自分が行っていた作戦モルソール作戦において部下が暴走し民間人に30人もの死者を出したことでこれを隠蔽しようとし、さらにクインラン率いるA中隊を救出しようとするために制空権を取ろうとするのは世界大戦の火種になりかねないと判断して見捨てる判断をした。作中では悪役になるが、何せ冷戦の真っただ中、この判断は実際致し方ない部分はあるだろう。が、事情はどうあれラジオ局の件をもみ消しにかかったのと、殴られた司令官に「軍法会議にかけろ」は印象悪く、相対的にマッケンティー司令官がマシに見える。この一件の後国連を去ってアイルランドで大臣になったらしい。

ハマーショルド

国連事務総長。要するにオブライアンよりさらに上の人間。失態を犯したオブライアンを尻尾切りしようとしたが、カタンガの戦闘機に狙われて搭乗した墜落して死亡。

ファルケス

傭兵を率いたフランス人。カタンガに来たクインランが酒場に入った時に出会って互いに煽り合った。戦闘中に二回も一時停戦してクインランとは会話。この出来事の後も傭兵として各地で戦ったらしい。クインランは彼を「猛者」と評したが、正直、この映画を観た限りではこのファルケスがちょっと無能な印象も受けてしまう。酒場でクインランと飲みかわした時クインランに「さすがフランス人、ドイツに2週間で降伏した」と煽られてちょっとムッとする。

軍曹

名前はなんだったか、実質的にクインランの側近として動く落ち着いた物腰の頼れる男。A中隊の要。この人物にどういう背景があるのかは特に説明がなかったような気がする。

狙撃手

これも名前はなんだったかわからないが、A中隊の優秀な狙撃手。最初の奇襲の際、彼の機転で鐘を撃って仲間に知らせたり、白いスーツを着た傭兵のボスを射殺して傭兵をひるませることに成功した。

マッケンティー司令官

クインランの上司にあたる。オブライアンとは違いいくらかの気遣いを見せたがどうしようもなく、援軍として送ったのは1小隊のみだった。全てが終わった後に「A中隊のせいでむしろ国連の立場は悪化してしまった」とクインランに話したところクインランに殴られる。しかし「殴られてもしょうがない」と言って理解を示した。彼もまたオブライアン同様映画的には悪役側に見えてしまうが、「殴られてもしょうがない」の発言でよほどマシだろう。

チョンべ

カタンガ州の現首相。傭兵を鉱山警備の名目で大統領から借り、A中隊を攻撃させた。作中では痛い目を見ることはないが、1969年にアルジェリアで病死した。

白いスーツの男

傭兵のボス。A中隊にスナイプされ殺され、一旦後退するきっかけになった。

項目別評価

孤立した防衛戦の絶望感はあるが、史実通りとはいえ死者が全く出ないため、アイルランド軍側が何か都合よく守られているように感じてしまう。史実通りらしいからそこに文句をつけたくはないのだが、そこに何かしらの理由付けがあってもよかったと思う。しかし「ブラックホークダウン」が好きな人間なら大方楽しめるはず。

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