ナイトクローラー -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ナイトクローラー

執筆日:2018年2月11日

あらすじ・ネタバレ

まず簡単なあらすじとネタバレ。
ルイスは工事現場で盗みを行うなどして稼ぐ悪徳な男。ある日交通事故現場で撮影している連中に出会い、「スリリングな映像はテレビ局に高く売れる」ということを知る。盗んだ自転車を売ってその金でカメラと無線傍受機を購入し、警察の無線を聞いていち早く事件現場に行って撮影するという生業を始める。テレビ局ディレクターのニーナと知り合いになり、彼女に映像を売り込むようになった。金に困っているリチャードという若者を自分の助手にして本格的に仕事にするが、同業者に先んじられることも多かった。ある時強盗殺人が起こった家に侵入して衝撃的な映像を撮影し、それをニーナに高く売ったルイスだったが、実は逃げた強盗の居場所も掴んでいて、これは黙っていた。強盗を尾行してわざと警察と銃撃戦になるように仕向け、さらにカーチェイスの映像も撮影する。この頃、リチャードが強欲にルイスに金を要求するようになってきたため、事故を起こした犯人にリチャードが不用意に近づくように誘導、リチャードは犯人に射殺されてしまう。かつてない特ダネ映像を持ってきたルイスをニーナはほめたたえた。警察はルイスが映像を撮影するために事件を誘導したと推測はしたが、証拠はない。リチャードが死んだ後は新たに複数の部下を雇い、さらに事業を拡大していくルイスだった。

ここからは詳細なあらすじとネタバレ解説。

ルイスという男が不法に工業地に立ち入って盗みをしている。関係者に見つかり何をしている?と言われるが隙をついて暴力を振るい、その場を切り抜ける。

ルイスは工事現場で盗んだ金属類を修理工場に売りに行き、雇ってもらおうともするが「コソ泥を雇う気はない」と一蹴された。

車を運転中、たまたま通りかかった事故現場でカメラを回している連中がいることに気付いた。どうやら撮影した映像をテレビ局に売り込んでいるらしい。撮影した男に聞くと「あまり儲からない」と言うが、車の中には高そうな機材があったので、実はなかなか儲かる仕事なのだろうとルイスは見抜く。
その夜、ルイスは自宅のテレビを見る。ルイスが話した連中が撮影した映像が流れていた。

ルイスは他人の競技用自転車を盗んで代わりにカメラと無線傍受機を購入した。
無線傍受機を使って警察の無線を聞き、警察内で使われる暗号コードを学んだ。そして自分も事件現場を撮影する仕事を開始する。

事件が起きたらそこに向かい撮影しようとするが警察には鬱陶しがられて追い払われてしまいうまくいかない。
しかし銃撃事件発生時に強引に近くで撮影して刺激的な映像を撮影することもできた。

ルイスは同じく撮影していた男性の電話を盗み聞きして、テレビ局に映像を300ドルで売り込んでいるのを知った。 KWLA6というテレビ局に向かったルイス。ニーナというディレクターに話をして撮影した映像を売り込む。同業者より近くで撮影したのでニーナは喜んだ。
ニーナは自分が求めている映像は富裕層が事件に巻き込まれるというもので、「喉を掻っ切られて悲鳴を上げながら逃げまわる女性」という物騒な言葉で例えた。

ルイスはニュース放送を解析して、どういう事件が放送時間が長いのかを研究もした。
求人広告を出して助手を雇うことにした。面接にやってきたのはリチャードという若者だった。リチャードはホームレスで欲がないため、一夜につきたった30ドルで雇われることに承諾した。

こうしてルイスはリチャードとコンビを組み、警察の無線を傍受し、凶悪な犯罪が発生したら急いでかけつけ、撮影し、テレビ局に売り込む、という仕事を本格的に始めた。リチャードはロスの地理に詳しいためいちはやく現場に辿り着くためのナビ係だったが、慣れないうちはミスをし、到着が遅れることもあった。ルイスはリチャードに「問題点を挙げるのではなく改善点を挙げろ」と教えた。

銃撃事件が発生した現場に行く二人。警察に追い払われるが、隙を見て家の中に不法侵入して撮影してしまうルイス。
これをニーナの元に持っていくとニーナは喜んだ。ニーナの同僚のフランクは反対するが、ニーナは放映することに決めた。
ルイスはその後ニーナと個人的に会話をする。ルイスは人の元で働いたことはないが、パソコンで色々調べて学んでいると語った。
その後も次々と衝撃的な現場に急行し撮影する仕事を続けるルイスとリチャード。順調に特ダネをニーナの元へと届けて稼いでいった。

ある時ルイスは交通事故現場に急行した。人が見ていない間に意識を失っている重傷者を動かして、自分が撮影したいベストアングルでの撮影をするのだった。
これもニーナに大ウケだった。しかしルイスのシャツには被害者を移動させた時の血がついていた。それを気にするニーナだったが、ルイスは構わずニーナをデートに誘う。ニーナは自分はルイスよりも倍も年上だと言って断った。しかしルイスの誘いにはまんざらもでないニーナだった。

メイハム社のジョーという男性がルイスに接触してきた。ルイスの手腕を認め、自分の下につかないかとジョーは言うが、ルイスはきっぱりと断わった。

結局ニーナはルイスのデートの誘いに乗った。ルイスは年上好きで、デート中にニーナと寝たいとまで言う。当然ニーナはこれに戸惑う。そんなことを言いながらもルイスはしたたかで、ニーナのディレクターとしての任期が間もなく終わるために余裕がないことを見抜いており、自分の売る映像をもっと高く買えと要求するのだった。

だがルイス&リチャードの最近の仕事は一歩遅いことが多く、特ダネを撮影することはできなかったのだった。ジョーにも嫌味を言われた。ニーナもルイスが持ってきた映像には満足せずルイスを突き放した。ルイスも鬱憤がたまり、自宅で鏡を破壊した。

なおも撮影は続く。目的の現場に向かう途中で交通事故を発見する。それはジョーが起こした事故だった。瀕死のジョーをも撮影するルイスを、血まみれのジョーは見開いた目で見つめていた。

その後、強盗が富豪の家に侵入した事件を聞きつけるルイス。警察よりも早く現場に到着する。中は銃殺された住人が何人も倒れている凄惨な現場だった。実は生存者もいたのだがルイスは通報せずに撮影を優先した。またこの時、犯人らしき人物たちが乗っていた車のナンバープレートもカメラに収めていた。

かつてない刺激的な映像なのでニーナは大喜びした。何人もの死体が映っている映像だが、KWLA6の独占映像として大々的に報道した。

だがルイスは実は生存者がいたこと、犯人のナンバープレートが映っていたことはニーナにも伏せていた。そしてナンバープレートを調べたところ犯人がいる場所まで突き止めることができた。

ルイスはリチャードに昇給を伝えた。リチャードはやはり金がないためか感覚が貧乏で、「言い値で」と言われてもたった75ドルしか要求しなかった。低く言い過ぎたのだとリチャードは気付いたが、ルイスはもう要求には応じなかった。

ルイスはリチャードを連れて突き止めた強盗犯の車を追跡する。だがこの時、ケチなルイスに腹を立てたリチャードはルイスに対して「この仕事で得た金の半分をもらう」と強欲に要求してきた。そうでないと犯人のナンバープレートを知っていたのに言わなかったことなどをばらすと脅されたので、仕方なくルイスはこれに応じた。

あるレストランに犯人たちが入ったところでルイスは警察に連絡を入れた。ここで銃撃戦が行われるのを見込み、それを撮影する気なのだ。リチャードには「車の外に出て別アングルで撮影しろ」と言うが、リチャードは危険だからと断る。しかしルイスは「金を要求したのだから言うことを聞け。そうでないとお前に危害を加えるかもしれない」と脅した。渋々リチャードは言うとおりにする。
そして警察がレストランに到着。ルイスが見込んだ通り銃撃戦が始まってしまう。警察が数人撃たれて死んでしまった。その様子もカメラに撮影するルイスとリチャード。犯人の一人が車で逃げ、警察も追いかける。ルイスとリチャードもこれを追いかけカーチェイスを撮影し続けた。

しかし犯人の車も警察の車も事故を起こしてひっくり返ってしまった。ルイスは犯人の車に近づき、リチャードに「もう死んでるから近づいて撮影しろ」と命令する。その通りに近づいたリチャードだったが、実は生きていた犯人に数発撃たれてしまう。
その様子をもルイスは撮影していた。犯人はルイスにも気づいたが逃げるのを優先。しかし応援にかけつけた警察に囲まれてあえなく銃殺されてしまった。

ルイスは瀕死のリチャードに近づく。リチャードは「犯人が生きているのを知っていたな」と息も絶え絶えでルイスに恨み言を漏らす。ルイスは「お前は今後も俺に金を要求するだろう」と言って、間接的に殺したことを認めた。リチャードは間もなく死んだ。

ルイスの撮影した映像はかつてない刺激的なものでニーナは大よろこびした。言い値で買うと言った。
ルイスは警察に参考人として呼ばれる。尋問する女性刑事は、ルイスが犯人の場所を知っていたことなどを見抜いたが、証拠がない。法律的に見ればルイスを捕らえる動機はなかった。

そしてルイスはリチャードを失った後、穴を埋めるために再び従業員を雇った。それも複数人。彼らに「俺ができないことをやれなどとは言わない」などと綺麗事を言って鼓舞し、複数の車が特ダネを求めて町を走って行く様子が映され、エンドクレジットへ。

感想・評価

犯罪に躊躇なく、人を踏み台としか考えない、極悪人とまではいかないが嫌〜な塩梅のリアルにいそうな程度の悪人が主人公。

「うわこいつまたやりやがったよでも最後には因果応報で肉体的に死ぬか社会的に死ぬかはするんだろうなあどういうふうに突き落とされるのかなあ楽しみだなあ」とワクワクして観てたらそんなことはなかった。

この流れで主人公が痛い目みないのはちょっとないわーという感想しか出てこなかった。もちろん勧善懲悪やグッドエンドだけが良い映画だと思ってるわけじゃない。例えば胸糞悪い映画としてダンサー・イン・ザ・ダークとかファニーゲームとかミストそういうのが挙がるけど、この作品は本当にただ、悪人がほぼ黒のグレーゾーンを突っ走り続けてなり上がるサクセスストーリーという、現実にありそうな話なわけじゃないですか。インターネット業界で例えて言うならまとめブログの管理人がサイト立ち上げから月収数百万になるまでを見せられたような気分だ。胸糞悪い映画best10-Naverまとめ-はミストとかいいんでこの映画入れた方がいいよ、と思ってしまったくらいだ。

じっくりと2回見直して感じたところだが、主人公ルイスはおそらく30半ばくらいの設定だろうが(ジェイクギレンホールがそれくらいだし)、こんな狡猾で犯罪も厭わない人間がこの年まで成功という成功もなしに、工事現場から金属を盗むというようなこざかしい真似をして生きてきたというのも不自然に思えた。毎日ネット漬けだというようなことを語っているし、それこそまとめブログ運営でもやったら成功しそうなタイプだ。あるいは性質の悪いアダルトサイトとか、詐欺サイトとか、ね。現実でも絶対こういうタイプが運営してると思う。法律に触れているわけではないが(仮に触れていてもそれが見つからないようにしている)、「黒ではなくグレーだし?悪いことしてないし?してるとしてもまあ捕まんないし?」ってヘラヘラしてるんだろうなあっていうタイプ。資本主義の現代社会、そういう人間がのし上がってるなんてのは人間だれしも薄々は知ってるわけですよ。でも映画でこんな露悪的にそれを見せつけられても不快感しかないっていうね。でもまあこうまで胸糞悪くなったってことはまさに制作側の思惑通りで、ある面優れた映画だと言うこともできるのだろうというのも否定できない。

勧善懲悪!正義は勝つ!天網恢恢疎にして漏らさず!なんて言葉が好きな人は絶対に見てはいけない映画。しかしぎょろぎょろした目で特ダネを捜そうと奔走するジェイク・ギレンホールが強烈なインパクトを視聴者に与え、良くも悪くも印象に残る映画なのは間違いない。

人物解説

ルイス

演:ジェイク・ギレンホール
主人公。冒頭では盗みを行い修理工場へ売りさばくという犯罪行為に手を染めているが、その後盗んだ自転車を売り払ってカメラと無線傍受機を入手し、警察の無線を傍受しては事件現場に赴いて特ダネを撮影しテレビ局に売るという仕事を生業とするようになる。まさに狡猾の二文字が似合う悪人。熟女好き。
今まで人の下について働いたことはなく、またジョーに誘われた時も「自分自身がトップであることが重要だ」と言っている。プライドが高く自分勝手で人を踏み台にすることをいとわない、嫌な意味でリアルな人物だ。

リチャード

演:リズ・アーメッド
ルイスに雇われた若者。ホームレスなので金銭感覚が貧しく、たった30ドルで満足して雇われてしまう。昇給時に好きな額を言えと言われてもたった75ドルにしてしまう。それを失敗したと撤回しようとするが、ケチなルイスは当然それを認めない。しかし強盗犯を追う仕事で「半分をもらう」と要求した。しかしそれがひそかにルイスの逆鱗に触れており、事故を起こした強盗犯に不用意に近づいた時に数発撃たれて死亡してしまう。死ぬ前にルイスに「イカれてる」などと言うがルイスは全く動じていなかった。

ニーナ

演:レネ・ルッソ
KWLA6というテレビ局に務める女性ディレクター。はっきり言って老婆だがルイスのタイプらしい。ルイスが持ってくる特ダネをありがたがりながらも、グイグイ金を要求するルイスに戸惑う。しかし強盗犯の件でリチャードの死をも映した映像を持ってきた後、「彼は私達に革命をもたらしたのよ!」というように信奉者のようにまでなってしまう。

ジョー・ローダー

演:ビル・パクストン
メイハム社という会社のカメラマン。ルイスの同業、競合他社。ルイスが幅を利かせるようになってから自分の部下に引き入れようとするが拒絶されて「クズ野郎!」と罵倒する。現場に向かう途中で事故を起こしてしまい、その様子もルイスが撮影しているのをジョーは確認した。その時、血まみれでギョロついた目でルイスをにらむ表情は目に焼き付く。

項目別評価

映画「ナイトクローラー」評価

さーてこいつがどう痛い目見るのかなーわくわくするなーと見ると酷いしっぺ返しを食らう。勧善懲悪じゃないとダメって人は気分悪くするだけなのでオススメできない。

凡人の感想・ネタバレ映画>ナイトクローラー