パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年7月27日

評論

7月26日のロードショーで視聴。ジョニー・デップ主演、ディズニーのアトラクション「カリブの海賊」原作、金のかかった大作娯楽映画の2作品目だ。確かこれで3度目だが、先週の4作目の生命の泉は見ていない。というか、なんで先週に1作目やらないんだよ。自分の記憶だと最近は1作目は全く放映していない気がするし、来週は3作目放映なのだから、普通に1作目からやってくれよ…。1作目なら先週見たのになあ。

あらすじとストーリー解説。前作から3年後の世界が舞台。
前作「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊」のラストにおいて海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)を助けたとして罪に問われたウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)とエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)。二人は東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)からジャックの持つコンパスを持ってくるように命じられる。そうすれば罪を許してやるというのだ。コンパスは北を指すのではなく、自分が欲しいものの方角を刺すという不思議なものだ。

一方、前作ラストで自分の船のブラックパール号を取り戻し、ギブス(ケヴィン・R・マクナリー)たち船員と共に旅をしていたジャックだが、13年前にブラックパール号を手に入れる代わりにイカの姿の怪物であるデイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)と契約をし、その代償を支払う時が来たことを知る。代償というのは、デイヴィ・ジョーンズが船長を務める幽霊船フライング・ダッチマン号で100年間の労働をするということだ。デイヴィ・ジョーンズは100年前のカリブソに対する失恋がゆえに自分の心臓を取り出して宝箱の中にしまいこんだという元人間であるが、カリブソの命令を効かなかったがゆえにイカの姿の化け物になってしまったという人物である。彼は巨大なイカの化け物クラーケンも使役できるがゆえに恐れられている。
一度デイヴィと相対したジャックは、フライング・ダッチマン号でウィルの父親だるビルが働いていることを知る。彼は1作目の悪役のバルボッサに殺されたと思われていた人物だったが、1作目で登場する呪いの金貨(呪いがかかると不死になる)の力によって死なず、デイヴィ・ジョーンズの配下となってしまっていたのだった。

デイヴィ・ジョーンズを恐れて逃げ回るうちにジャックとその仲間たちはペレゴストス族という原始民族じみた住人たちがすむ島へと迷い込んでしまった。
ウィルはそこでジャックと再会するが、ジャックはどうやらペレゴストス族たちに神の遣いであるように思われてしまっており、しかも彼らの習慣により最後には食べられてしまうというピンチにあった。
ウィルもウィルでジャックの仲間たちともどもペレゴストス族に捕らえられてピンチに。どうにかこうにかウィルたちもジャックもペレゴストス族たちから逃れ、危機を脱して島から脱出することに成功する。

ウィルとジャックは協力して、デイヴィ・ジョーンズが大切にしているという鍵を入手することを画策する。ウィルが単独でフライング・ダッチマン号に乗り込むという行動に出る。当然のごとく捕まり、危機に陥る。だがこの際、ウィルは父親のビルと出会い、またデイヴィ・ジョーンズが常に身に着けている、宝箱の鍵を盗み出すことにも成功する。

デイヴィが「100人の船員を集めればそれと引き換えにジャックの契約を無しにする」と言うので、ジャックはルトゥーガという街で船員を集めていた。そこではウィルの人質となっていたエリザベスや、1作目で提督だったノリントンと出会い、一応の味方として引きこむ。
ジャックはコンパスの力によってデイヴィ・ジョーンズの心臓の入った宝箱の位置を突き止める。それはクルーセル島という島だ。そこの地面を掘り返すと確かに宝箱がある。さらにそこで鍵を持ったウィルも合流、ウィルは宝箱を開けて心臓を突き刺しデイヴィ・ジョーンズを殺そうとするが、ジャックが剣をつきつけ、「ヤツを殺したらクラーケンをとめられない」などとし、ここからはジャック、ウィル、それにジャックに私怨を持つノリントンが入り乱れての戦いに。さらに途中ではフライング・ダッチマンの船員たちも乱入してきて乱闘だ。
四つ巴くらいの乱戦のさなかで、ジャックは一度宝箱の中の心臓を懐に入れるも、それをまたノリントンがこっそりと運び出してしまっていた。

最後にはブラックパール号の上でクラーケンに襲われ、ジャックやその仲間、ウィル、エリザベスはまとめてピンチに。
しかし一度は逃げ出したものの船に戻ってきたジャックが火薬の入ったタルを撃ちぬき、クラーケンを一時撤退させる。が、またすぐ戻ってくると考えた一行は逃げる。この時、エリザベスはジャックとキスを交わしつつ「クラーケンの狙いはあなた。だからごめんなさい」と言い、船にジャックを縛り付ける。
一人残されたジャック。間一髪で縄をほどくも、すぐ後ろにクラーケンが。襲い掛かってきたクラーケンに勇猛にも突っ込み、船もろとも消えてしまう。

その後、生き残ったウィル、エリザベス、ギブスたちはティア・ダルマのところへ集っており、ティアは「ジャックに会いたいか?」と問い、皆がイエスと答える。
そして最後には彼らの前に1作目で死んだはずのバルボッサが登場。また、デイヴィ・ジョーンズの心臓はノリントンによってベケット卿の手へと渡った。ここで物語が終わる。

ここから感想。
4作あるパイレーツ・オブ・カリビアンシリーズだが、この2作目は最も「中途半端」である。この映画単体だけ見ても仕方がない映画。最初から最後まで、前作を見ていないと、設定を覚えていないと楽しめないものとなっている。それに終わり方も完全に「to be continued」、半端である。これを見るなら1作目を見ろ!これを見たなら3作目を見ろ!というものだ。
この映画だけ見た場合、まず冒頭からして、「ジャックを助けた」とするウィルとエリザベスが罪に問われるのが意味が分からないし、1作目で名前だけ出ていた、靴紐でしばられてバルボッサに海に落とされたというウィルの父親、ビル・ターナーも「誰?」となってしまう。もちろん、最後に現れる、死んだはずのバルボッサも「誰?」である。とにかく前提として1作目を見ていなきゃ話にならない映画。だからこそ、先週は1作目やりゃよかったのになあ…と思うわけだが。

そういうのを抜きにして評価すると、作品の展開にいささか荒い部分がある。わけがわからない部分が多いと思う。
まず設定面。通してみていても、今作のキーワードであるデイヴィ・ジョーンズの心臓がどういう力を持っているのかが分からない。この点具体的に分からないせいで、なんとなくキャラクターのどたばたする展開を見続けることになる。一番重要なところなんだから、ここは最初に明確にしておいてほしいんだけども。
それと、演出、描写不足の問題。いきなりジャックがペレゴストス族という民族にあがめられている存在になっているのだが、ここはどういう経緯でジャックが彼らと出会い、神の遣いなどという誤解を受けているのか?そういう中間の演出がないため、あまりに展開が飛びすぎている。ジャックと出会ったウィル同様に視聴者側としても意味が分からず、視聴者置いてけぼりだ。少し後でギブスからウィルへ説明はあるものの、ジャックが誤解されてあんなことになるまでなんかいかにもコメディとして面白そうなのに、すっ飛ばす意味が分からない。
そして最後のエリザベスの行動。彼女は直前で船から逃げ出したジャックに対して「なんて卑怯なの!」みたいに怒りを露わにするのだが、どの口が言うのかって話だ。そんなこと言っておいて、ジャックをクラーケンの生贄にするという海賊もびっくりな鬼畜な所業を行うのである。終わりではなんかヒロインぶって泣いてたりするんだが…。ここでこのエリザベスというヒロインの株をただ下げるだけの行動っているのだろうか?

ただこのシリーズって、明確な「善悪」を分けないのが特徴、特長だとも思う。この演出もそれを意識してのものかもしれない。
ジャックたち海賊は基本的に自分勝手だからまあ悪人ではなくとも善人ではないという感じだし、敵味方がよく入れ替わったりする。自分をたばかったエリザベスに対してジャックが「海賊め!」とちょっと笑いながらののしるのもあって、これはあくまで「海賊たちの物語である」ということを強調してるがゆえの展開。いいとこのお嬢様も海賊の世界へ立派に漬かったことを表してるんだろうな。なんてポジティブにまとめてみる。

項目別評価

パイレーツオブカリビアンというのは、1作目か4作目だけ見て終わっておくか、1作目を見て、そのまま2作目、3作目、4作目まで見るか、という見方をするべき作品だと思う。特に1作目から3作目までは繋がりが深いので、単体で見ても分からなくなる設定が多い。というわけでこの2作目は繋ぎの作品であるので、ここから3作目、ワールドエンドまで見るとなかなかいい感じにすっきりと区切りがつく。だが、とりあえずこの2作目を単体として評価すると、これでもかと娯楽映画ではあって、ゆるいコメディを楽しめることは楽しめるのだが、やや冗長すぎる印象はある。展開が散らかりすぎてるなーと。それとノリントン提督が1作目で格好つけてジャックを見逃したと思ったらそのせいで普通に落ちぶれてるとか、最後のエリザベスのジャックを縛りつけるという鬼畜っぷり、必要あったか?とかストーリーへの不満もある。しかしとにかく4作あるうちで最も半端に終わる作品なので、これ見たらワールドエンドも見よう!ってことで。

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