プリズナーズ -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>プリズナーズ

執筆日:2014年11月26日

評論

ヒュー・ジャックマン主演のサスペンス。実際に見たのは約2ヶ月ほど前。

ハリウッド映画のサスペンスものっていうとミーハーな作品しか見ていない自分とすると「セブン」とか超有名なものしか知らないわけで、またどれもイマイチ琴線に触れるような作品はない。この作品はPSSTOREでレンタルして見たわけだが、正直、面白かった。

簡単に言えば、主役であるヒュー・ジャックマン演じる信心深い男ケラーが家族と仲良く暮らしている。だがある日ケラーの娘とケラーの隣人の娘ジョイがいつの間にか誘拐されてしまい、ケラー、そして地元刑事のロキが犯人を追うというストーリー。ケラーが主人公だが、別のアプローチで犯人を突き止めようとするロキも主役と言っていい。それぞれが突き止めていく事実が点と点からいつしか線となりつながっていく──というような話だ。

しかし、ケラーは割と序盤で知的障害により10歳ほどの知能しかないアレックスを真犯人と決め付け、ほぼ終始、そのアレックスに束縛されることとなる。このアレックスへの尋問はいつしか拷問になっていき、これがわりかし映像的にもショッキングなので、心臓が弱い人にはお勧めできない映画ではある。

もう一人の主役、ロキなのだが、これが荒っぽい気性をしていて、タトゥーも入っている。
ことあるごとに「くそったれ!」みたいな事言うもんだからか、ケラーとのファーストコンタクトでは「あれ、こいつ犯人なの?」と勘違いしてしまった。しかしそんなことはなく一貫して正義の刑事なのだ。

ケラーも日常ではまったくの善人なのだが、可愛い盛りの娘が誘拐されたということでもはや正気ではいらない。そのためアレックスへの尋問をエスカレートさせていってしまうのだが…。見ていれば彼の常識人ぶりや元々の善人ぶりは十分に伝わってくるので、彼の所業を責めることができるかというのは割と意見が分かれるところであろう。むしろこれに関しては、断片的に思わせぶりなことを言うくせには肝心なことは言わずだんまりなアレックスの方を突っ込みたくもなる。「そこまで話すならもっとヒントやれや!マゾなの!?」と、正直思った。もう顔がボッコボコになるまでダンマリだからね。

ロキの捜査では性犯罪暦のある神父や数十年前の誘拐事件の模倣犯などとも遭遇するが、これらはあくまでフェイクであるので、割と終盤まで誰が犯人なのかは読ませないつくりになっていると思う。少なくとも自分の場合は犯人が明らかになるその直前まで、犯人だと特定することはできなかった。アレックスの断片的な言葉などから判断すればできる、のかなあ…。面白い映画ではあったが、2時間30分超えと長いので見返す気にはならなかった。

ネタバレ感想ということなので遠慮なく書くが、真犯人はアレックスの母親のホリーだった。彼女は数十年前の誘拐事件の犯人でもある。敬虔なキリスト教信者だったが、愛する息子を失ったことで子供を誘拐、殺害する狂気を繰り返す異常者になったということだ。
知的障害のあるアレックスは実は誘拐された子供だったのだ、というオチ。ケラーは誰よりも早く彼女が犯人だということにたどり着くのだが、ホリーの手にかかり地下の密閉空間に閉じ込められてしまう。遅れてホリーのもとへ到着したロキの手により銃殺、そして閉じ込められていたケラーはホイッスルを鳴らし続けることで外へと存在を示し続けており、最後にそれにロキが気付いて終幕、となっている。

ケラーが信心深い人物であるにも関わらず拷問というむごい仕打ちを行ってしまうこと、そしてケラーと同じく被害者であるジョイの両親たちがケラーの行為を黙殺することなど、このあたりの人間の心理が生々しく、しかしこの作品から目が離せなくなるための重大な要素となっていると思う。
プリズナーズ、囚人という作品名には色んな意味がこめられているのだろうけど、そういう深い考察はなしに、単純にハラハラドキドキのサスペンスとして優秀な映画だった。サスペンスだと大衆映画のようになかなか耳に入ってこないので、こういう面白いサスペンスをもっと見たいもの。

項目別評価

ケラーとロキが対比になって進行していく話。全編通して陰惨な雰囲気で、上記の通り主人公が割りと酷い所業をしたりと、人を選ぶ映画なのは間違いない。2時間半映画だが、もう少しコンパクトにまとめてもいいんじゃないかとも。

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