プロジェクト・アルマナック -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年6月25日

評論

登場人物はハイスクールに通う17歳の主人公のデヴィット、その妹のクリス、デヴィットの友人のクインとアダム、そして主人公の憧れの女性だったジェシーだ。物語はクリスがいつも回しているビデオカメラ目線で語られる、POV形式の映画である。
MIT、マサチューセッツ工科大学に合格したものの、入学費用が出せないために諦めざるを得なかったデヴィット。失意の中、彼は自宅の研究室で10年前に亡くなった父親の研究を見つける。その設計図はなにやらタイムマシンのようだ。MITに行けるほどの知識を駆使し、クインやアダムと共にその設計図を元にタイムマシンの作成を試み、ついには完成させる。その頃には憧れだったジェシーも仲間に加わっており、デヴィットたちは過去に戻ってやり直したかったことを好きに改竄。宝くじを当てたり、落とした単位を取得したり、気に入らない奴に仕返しをしたり。ただし、タイムマシンを使う場合には必ず、デヴィット、クリス、クイン、アダム、ジェシーの5人が一緒に使うという決まりごとを作ったのだった。また、過去に戻った際に自分自身に会ってしまうとその存在が消滅の危機に陥るという危険性もあることを5人は知った。

最初はタイムマシンは短い期間しか戻れないものだったが、デヴィットの改良により数ヶ月前まで戻れるように。数ヶ月前のロックフェスに行きたかったというジェシーの願いをかなえ、その最中でデヴィットはジェシーといい感じになるも、恋愛方面にはとんと奥手なデヴィットは二の足を踏んでジェシーに呆れられてしまう。それをどうしてもやり直したいと考えたデヴィットはグループ内での決まりごとを破り、一人でマシンを使い、ロックフェスで今度こそジェシーと結ばれ、恋人同士に。

幸せの絶頂だったデヴィットだが、ある問題が起きる。いわゆる「バタフライ効果」だ。過去を改竄するとその影響で連鎖的に本来起こるはずでない出来事が起こっていってしまうというもの。自分たちが改竄したせいで同級生の父親が死んだりする大惨事が起こってしまったのだ。それを改めるためにまた過去に飛んでやり直したが、今度はアダムが事故で重体になったりしてしまう。こっちを立てればあっちが立たない状況でデヴィットは苦悩する。事態はどんどん悪化していき、一人でタイムトラベルを繰り返しているうちに、ジェシーが過去のジェシーと遭遇してしまい消滅。デヴィットは誘拐犯として追われることに。

逃亡しながらもタイムマシンの機動に必要な水素をデヴィットは求め、なんとか捕まる直前でまた過去に戻る。今度は数ヶ月どころか10年前、父親が存命だった頃の自宅へとたどり着き、 そこでタイムマシンの開発者である父親と、自宅の研究室で邂逅。
これまでさんざんにタイムマシンによるバタフライ効果に振り回されたデヴィットはこの時点でタイムマシンなど生まれるべきでないと考えており、タイムマシンの元になるものを全て焼却した。すると10年前に飛んだデヴィットは消滅したが、全てが元に戻る。ただしこの時、最初から全てを映してきたクリスやデヴィットが撮影してきたビデオカメラだけは研究室に置かれたままにしてしまった。

全てが冒頭時点に戻ったわけで、またデヴィットはMITにいけないことで自宅で落ち込んでいる状態。
しかしそんな時そのビデオカメラを発見。なんとそこに映っていたのはたった今のデヴィットとクリスのやり取りで…。
今までやってきたこと全ての記憶がなくなっているデヴィットは、タイムマシンなどあるべきでないと考えた自分の行き着いた結論ももちろん忘れている。そのビデオカメラによってタイムマシンを作ることができると、以前と同じように確信し、ジェシーをグループ内に誘うところで物語は終わる。

というわけで、反省した自分すらも忘れているデヴィットがまた同じことをやらかしそうなところで終わっているので無限ループって怖くね?って終わり方で、微妙にバッドエンドという感じだ。

上のあらましでは書かなかったが、タイムマシンというものの存在を半信半疑だったデヴィットが作れると確信するのは、10年昔のビデオ映像(自宅でのパーティ)で鏡に映った現在の自分がいたからだったりする。タイムマシンで調子に乗って改竄している時点で色々と問題が噴出しそうなのは確かだし、デヴィットが10年前にいるその映像が異様であるので最終的にはその結末に行き着くのだろうなと序盤から予想はできる。なので物語の大筋的には驚くところはない。
この作品で注目すべきは、「10代の向こう見ずな男女がタイムマシンなんてものを手に入れたらこういうことするだろうな」ということをやっている点だと思う。自身の欲望のままに、いいように使うわけだ。「タイムマシンなんて手に入れたらこう使うよなあ」ということをやってくれているわけだ。その一連のシーンで浮かれている5人を見ているのが一番面白い部分な気がした。タイムマシンの力使わないとジェシーを射止められなかったデヴィットはなんかすげー情けなかったし、その後に色ボケしてジェシーを失いたくないがために迷走し始めるのも情けないんだけど、10代の女慣れしてない男子ならこうなっても仕方ないなあと思えるのもあって、まあとにかく10代らしいタイムマシンの使い方をしているのが良かったなと。

この作品を調べるとバタフライエフェクトだとかそういう作品のパクリだという感想がよく見受けられるのだけど、それを見ていない自分からすれば普通に楽しめた。

項目別評価

タイムパラドクスというよく扱われるテーマではあるが、POV形式なのも相まってこの作品特有のものはあると思う。
何より、10代のテンション高い高校生ならこういうことやるよね、っていうことをやっているのが一番良い点だろうか。調子に乗ってる登場人物を見ていると何かこっちも楽しくなってくるようでもある。ただ、ラストは普通に後味いいものにしてよかったと思うのだが。
演出面では、タイムマシンが発動する際の演出が面白いと思った。仮にタイムマシンが本当にあるとしたらこういう挙動になるかもなあというような感じで。

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