パルプ・フィクション 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>パルプ・フィクション

執筆日:2017年04月18日

あらすじ・ネタバレ

シーン1

カップルがレストラン内部で会話をしている。二人はパンプキン(ティム・ロス)という男とハニー・バニー(アマンダ・プラマー)といい、今まで強盗をやってきたカップル強盗。レストランでの強盗なんてのは誰もやらないことだが、客の財布を集めればなかなかの稼ぎになるとパンプキンが言い、その場で大声を出して実行に移そうとした。ここで場面は変わる。

シーン2

二人のスーツを着た男が車で会話をしている。一人はヴィンセント(ジョン・トラボルタ)といい、もう一人はジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)という。緊張感のない会話をしているが、この二人はマーセルス(ヴィング・レイムス)という男がボスをやっているギャングのメンバー。組織を裏切った男三人の元を訪れ、そのうち二人を始末した。そこでマーセルスのものであるアタッシュケースも回収した。
なお、ヴィンセントはマーセルスの妻であるミア(ユマ・サーマン)の相手をするようにマーセルスに頼まれていた。しかし、以前ミアと関わった男は、ミアの足のマッサージをしただけでマーセルスの怒りを買い4階から突き落とされたという話を聞いており、ヴィンセントはやや緊張していた。

シーン3

ブッチ(ブルース・ウィリス)というボクサーがマーセルスから八百長試合を持ちかけられていた。彼はプライドを捨てて自分がわざと負けるその八百長に乗ることにした。そんなブッチとすれ違ったヴィンセントはブッチをバカにした。
一方、ミアの退屈しのぎのために相手をすることになったヴィンセント。二人はクラブへ行き、そこで会話やダンスを楽しんだ。クラブからミアの家へ戻ったところで、ミアは薬物を過剰に摂取したせいで急性薬物中毒となり心肺停止状態になってしまう。何か起こる前に帰ろうとトイレで考えていたヴィンセントが戻ってきたところにはそのミアが横たわっていた。焦ったヴィンセントは知り合いの麻薬の売人のランス(エリック・ストルツ)へ助けを求める。心臓に注射を突き刺して薬を注入し蘇生させるという方法でなんとかミアは蘇生。ミアが死んだりしたらマーセルスから殺されることは免れないヴィンセントはなんとか事なきを得たのだった。

シーン4

ブッチが幼い頃の夢を見るシーンから始まる。ブッチの祖父と父が大切に継いできた金時計はブッチにとって大切なものだった。戦死した父も、その親友も、その金時計だけは絶対に失わないよう、捕虜になった状態でも決して見つからないように尻の穴に入れてまで守り続けてきたのだった。
誇りを捨てなかったブッチはシーン3で交わした約束を反故にし、八百長試合を放棄して試合に勝ってしまった。そんなことをすれば組織から追われることになるため、私物を運んでおくように頼んでおいた、彼女のファビアン(マリア・デ・メディロス)の元へ行き高跳びしようとした。だが、大切な金時計も持ってきてくれるように頼んでいたにも関わらずファビアンはそれを忘れてしまっていた。刺客がいるかもしれないが、仕方なくブッチは自分の家へ戻り金時計を取りに行ったのだった。
自宅には誰もいないようで無事に時計を入手したが、台所にサブマシンガンがある。それをブッチが手に取った途端、トイレからなんとヴィンセントが現れる。突然のことで茫然としていた二人だったが、トースターから食パンが飛び出るのを合図にブッチは銃を発射。ヴィンセントはあえなく即死した。
ツキがあると喜びファビアンの元へ車で戻るブッチだったが、その道中で偶然にもマーセルスと出会ってしまう。あわてて車で引き倒すも操縦を誤り壁に激突。マーセルスもヴィンセントも重傷を負うことになる。マーセルスは必死にブッチを追い、ブッチはガンショップに逃げ込む。しかしその店はなんと偶然にも異常な殺人者であるメイナードが経営する店で、ブッチもマーセルスも拘束されてしまう。

二人が気づくとボールギャグを咥えさせられて縛り上げられていた。メイナードはゼッドという仲間も呼んでいた。マーセルスは別室に移動させられ、尻をレイ○されてしまう。一方ブッチはなんとか独力で拘束をほどき、脱出することに成功する。一時はそのまま逃げようとするも、店の出口で考え直し、マーセルスを救出することを決意する。日本刀を持って戻りメイナードを斬殺。そして自由になったマーセルスがショットガンを撃ちゼッドも瀕死に。そしてマーセルスは、「救出してくれた例として八百長を反故にしたことは見逃すから今すぐ去り、二度と顔を見せるな」と言う。そうして無事にファビアンの元へと戻ったブッチは生きた心地がしないような心境でファビアンと共に町を去った。

シーン5

時間はさかのぼり、シーン2でジュールスが裏切り者を始末する場面。ここで実はトイレにも男がおり、突如飛び出してきたヴィンセントとジュールスへと銃撃を行う。しかしその全てが外れて二人は無傷。そのトイレから出てきた男を始末し、二人はマーヴィンというその場にいた唯一の生き残りの男性(ヴィンセントとジュールスの仲間)と共に車で移動を開始。しかしその車内で、ヴィンセントが誤ってマーヴィンの頭を撃って殺してしまう。血まみれになってしまった車内の状況をどうかしようと、ジュールスは近くにいる知人、ジミー(クエンティン・タランティーノ)の元へと移動した。
頭が吹っ飛んだ死体を連れてきた二人に非協力的なジミーだったが、マーセルスに連絡するとウルフという男(ハーヴェイ・カイテル)という男を派遣してくれて、その男の誘導で三人は清掃とマーヴィンの死体の隠滅を行った。シーン3ではヴィンセントとジュールスはなぜか妙にカジュアルな恰好をして現れているが、これはここで着替えたためだった。

なお、聖書を信奉しているジュールスは銃を数発撃たれても自分たちに当たらないという奇跡を目の当りにして思う所があったらしく、この時点で引退を決意していた。

シーン6

似合わないカジュアルな恰好に着替えた二人はレストランで食事を摂ることにした。このレストランとはシーン1でパンプキンとハニー・バニーの強盗カップルがいた場所。この二人が強盗を決行した時にも当然この二人のギャングはいたがシーン1では映っていない。しかしここからはシーン1の続き。

二人が強盗を決行したタイミングで、ヴィンセントは丁度トイレに行き、ジュールスのみがテーブルにいる状態だった。作戦通り客の財布を一つの袋に入れさせていく。しかしジュールスは銃を隠し持っており、隙を見てパンプキンに銃を突きつけ、逆に無力化する。自分の財布の中身をくれてやると言った上で、聖書の一節を引き合いに出してパンプキンとハニー・バニーを説得した。そうして無事に人死にを出さずにその場を収めた後、ヴィンセントとジュールスは店を出ていった。この後は時間軸的にはシーン3に続くが、映画はここで終わる。

感想・評価

ジョン・トラボルタ演じるヴィンセントとサミュエル・L・ジャクソン演じるジュールスが所属するギャング周辺のトラブルが数十分のオムニバス形式、それも時間軸が前後するという演出で流れるという一風変わった形式の作品。

最後にジュールスがレストランで強盗を諫めて店から出ていったところでクレジットが流れ始め、「え!?これで終わり?」と驚愕した。だって結局何が言いたいのかさっぱりだったのだもん、この作品。
笑えるような冗談にもならないようなブラックな小話を集めてオチというオチもなく終わり。言ってしまえばそんなものだ。タイトルのパルプ・フィクションは「くだらない話」と訳されるようだからまさにその通りではあるのかもしれないが。
考察がありそうな部分といえば、最後のジュールスの強盗へ聞かせる聖書の話は何か深そうではあるが、別に作品全体に通ったテーマ性を感じるものでもない。終わってしまえば「結局この話は何だったの?」という感想が出てしまった。

だが面白くないかというとまったくそんなことはなく、というか超面白かった。
何が面白いかって、「会話」だ。ヴィンセントとジュールスの会話だけでなく、ヴィンセントとミアとの話も、カップル強盗パンプキン&ハニー・バニーの会話も、ブッチとファビアンの会話も、どれも面白いのだ。どの会話を切り取ってもウィットが利いていて、その会話シーン全てが何か面白くて見入ってしまう。それが暗殺する直前のタイミングだったり、間違って頭をふっ飛ばしてしまった人物の遺体を隠滅するタイミングだったりと割と洒落にならない事態で行われるものだから、そのギャップでか、何か凄い小洒落たものになっているんだよなあ。見ていて実に気持ちがいい会話シーンが続くのだ。要するにこれを楽しむ映画なんだろうと思う。ことさらに気取って面白いようなことを話してるわけでもないのに、会話に夢中になってしまう。そんな自然体なユニークさがこの作品にはある。

話自体も、登場人物からすれば洒落にならないものばかりで、主人公ヴィンセントも無惨に死んでしまったりするのだが、不思議と悲壮感は微塵もなく、笑える話となっている。ヴィンセントが撃たれる直前の「ばったり出会ってしまった感」からの銃撃とかギャグの呼吸だし、「約束を破ったために自分の命を狙って追ってきたギャングのボスがケツ掘られたので救出したら自分の罪はチャラにしてくれたので助かりました」なんて内容なわけでもうね。笑うわこんなん、っていう。
しかし、オムニバスになっているそれぞれの話の時間軸が必ずしも一方向ではなく遡ったり進んだりするのだが、これの意図は一体何なのだろうか?自分にはいまいちよくわからなかったのだが、これもアクセントになっていて悪くはないものだったと思う。

ちなみに、実はこの作品今回初視聴…ではなく二回目。だが一回目は断念してしまい、今回こそは完遂するぞ!と気合いを入れて視聴を開始した。というのも、一回目は字幕版を見たのだが、二回目は日本語吹き替え版を見たのだ。会話の妙を楽しむ作品であるからか、どうやら大塚明夫や鈴置洋孝らが演じるキャラクターたちの方が自分には合っていたようで。ザ・洋画ボイスという人らばかりが出ていて、畳みかけるような会話が実に心地よいので、この作品は吹き替えオススメしたい。

項目別評価

「なんか話はよくわからんが面白い」という不思議な作品。起承転結があるわけでもない、まさにタイトル通りにパルプ・フィクション=くだらない話という感じだが、いくつかに分かれた珍妙なエピソード、個性的なキャラクター、その会話、それらが絡み合う妙、そんなものを総合して「なんか不思議と面白い」。個人的には吹き替えのおかげで楽しめたのも大きいため、大塚明夫とか玄田哲章とか鈴置洋孝とか山寺宏一が好きなら吹き替えをお勧めする。

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