ソウ2/SAW2 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ソウ2/SAW2

執筆日:2015年10月31日

ストーリー・ネタバレ

サイコスリラー映画ソウシリーズ2作目。そのネタバレをまず。

まず最初に前作ソウと同じようにある男が連続猟奇事件の犯人であるジグソウの「ゲーム」を行っているところから始まる。
彼は警察へのタレこみ屋のマイケル(ノーム・ジェンキンス)であり、その悪徳をジグソウが目をつけ、ゲームに参加させた。彼の頭には開いたマスクがつけられている。制限時間がくるとこれが閉じ、内部の針により頭を串刺しにされ絶命することになる。これを避ける方法はただ一つ、ジグソウによりマイケル自身の右目の中に埋め込まれたマスクの鍵をほじくり返すことだ。しかしマイケルはどうしてもそれはできず、タイムリミットが訪れ、即死する。

刑事のエリック・マシューズ(ドニー・ウォルバーグ)は息子のダニエル(エリック・ナドセン)と喧嘩しがちな荒っぽい男である。彼はマイケルの死体が発見された現場へ行く。マイケルは彼が使っていたタレこみ屋だったのだ。現場の天井には「近くで見ろ、マシューズ」という、エリック宛てのメッセージが残されていた。

その後、エリックはひらめきからジグソウがいると思われるアジトの場所を探し当てる。
そしてそこに部隊を編成して突入する。隊員1人が内部の罠にかかり重傷を負うも、ジグソウことジョン(トビン・ベル)を確保することに成功する。
しかし彼を連行しようとすると「あの部屋のゲームを解け」とジョンはエリックに言う。その部屋を調べると中には複数の監視カメラ映像、そしてそこに映っているのは8人の男女。うち一人はエリックの息子ダニエルである。
ジョン、ジグソウは「8人がいる屋内には徐々にガスが充満していき、最後には全身から血を流して死ぬ」という。そしてエリックに対して「私と話をすることが君のゲームだ。」と言う。さらには「最後までゲームを行えば息子は助かる」とも。

8人がいる屋内の場面。なぜ自分がここにいるのかわからず、全員がうろたえている。その中の一人の女性アマンダ(ショウニー・スミス)は最初は気を失っていたが、目覚めると酷く怯え、壁の中を調べて中からカセットテープを見つけ出す。内容は「3時間経過で家の出口が開くが、2時間以内に解毒剤を打たないと君たちは死ぬ。頭脳の後ろにヒントが。Xを調べろ。」というようなメッセージだ。また、鍵が落ちており、それを部屋の扉に使ったところ扉の向こうの銃が作動して、8人のうちの一人ガス(トニー・ナッポ)が死んでしまう。

少し待っていると勝手にその扉は開いた。あちこちを調べ、出口を発見したが、ザビエル(フランキー・G)バットで扉を破壊しても硬い柵が下りていて通ることはできない。
地下室を発見し、そこを下りていくと焼却炉がある。そしてオビ(ティム・バード)宛てにメッセージが。オビは詐欺師であることが明らかになり、さらには8人のうちの1人の女性、ローラ(ビヴァリー・ミッチェル)「焼却炉の中には2つの解毒剤がある」と書いてあった。オビは中に入って解毒剤の入った注射器を取ったが、すると炉の扉が閉まりさらには稼働し始めた。助けようとする他のメンバーだったがオビは焼死してしまう。

徐々に毒ガスが回ってきて口や鼻から血を出し始めてきたメンバー。ある閉ざされた部屋を見つける。ザビエルが強引に扉を開けると今度はザビエル宛のメッセージがあった。ザビエルは麻薬の売人だったことが明らかになる。「強引に扉を開けたことで奥の扉の3分のリミットが作動した。無数の注射器の中に埋もれた鍵を見つけろ。それを使うと扉が開き、中から解毒薬を入手できる」と。部屋の中には注射器で埋め尽くされた穴があり、そこに入って鍵を取れということだ。しかしザビエルはあろうことかアマンダを注射器の海へ叩き落して「探せ!」と言う。なんとかアマンダはカギを発見したものの、ぎりぎりでタイムリミットに間に合わず扉は閉ざされてしまった。

一方ジョンと対話するエリック。ジョンは前作時点で頭に腫瘍のある患者であることは明らかになっていたが、癌は末期でありもう助からないこと。自殺しても死ねなかったことなどの出来事を経て、ジグソウとなって被験者に命の尊さを知らしめてやることを決心したのだということが分かる。ジョンはエリックに末期癌の患者が助かるためには?と質問をする。

ザビエルはガスが死んだ最初の部屋に戻り、ガスの首の後ろを見て数字があることに気づく。彼は最初のカセットテープのヒントを思い出した。そこにやってきた黒人ギャングのジョナス(グレン・プラマー)の首の後ろを見ようとするが、警戒したジョナスともみ合いになってしまう。そして隙をついてジョナスの頭を釘バットで殴打して殺害。ここからはザビエルは他のメンバーの頭の後ろを見ようとする。しかし彼はこれまでの行いから他のメンバーに恐れられていた。

一方、ダニエル、アマンダ、ローラ、アディソンの4人はカセットテープのヒントの一つであった「X」を発見する。壁に掛けられた写真立てのヒビがX字になっていたのだ。それの後ろを調べると写真があった。それにはエリックとダニエルが映っており、「親子」という文字も。ここでダニエル以外の7人の共通点が明らかになる。ダニエルの父親であるエリックが罪をでっちあげて逮捕された7人だったのだ。ローラは早めに毒が回って死亡し、アディソンは「あんたらは信じられない」と言ってダニエルとアマンダからは距離を離す。
アディソンはある部屋で注射器を発見する。宙吊りになったガラス容器の中に注射器があるが、中に手を入れると抜けない仕組みになっており、手首がズタズタに傷つく仕組みだった。そこにザビエルがやってくる。彼はアディソンの首の数字だけ確認するとアディソンは放置して去ってしまう。さらに今度は残るダニエルとアマンダを追う。

ジョンと対話し続けていたエリックだったが、限界がきてついに暴力にうって出る。ジョンを殴り、指の骨を折るなどの暴行を加えて問い詰めるとジョンは「あの家に案内する。ただし君と二人きりでだ」と言い出した。その条件を飲んで、ジョンの言う通りにスイッチを押すとジョンとエリックがいる場所がエレベーターのようになって地下へ下っていき、他の警官を出し抜く形になってしまった。そしてエリックはジョンを車に乗せて指示通りに移動。ついにダニエルたちがいるらしい廃屋へとたどり着く。ジョンは車の中に放置して入っていくエリック。
警察は映像の発信源の特定をずっと進めていて、この時点でようやく廃屋の位置を確認。他の警官たちもエリックを遅れて追う。
ダニエルを探すエリック。他の警官たちもたどり着き内部を捜索するがどうもおかしい。警官たちが行った廃屋はフェイクで、エリックが向かった方が本当の現場だった。さらにはジョンのアジトの監視カメラ映像は録画だったこともわかる。エリックたちが見ていたのはリアルタイム映像ではなかった。

エリックがたどり着いた廃屋には死体が転がっており、確かにダニエルたちがいた現場だったが、すでに8人のゲームは終わった後だったのだ。ダニエルとアマンダはザビエルから逃げていくうちにあるバスルームにたどり着く。前作「ソウ」での現場となったバスルームだ。そこにはミイラ化した遺体があった。前作の登場人物のアダムのものだ。すでにダニエルの姿もアマンダの姿もないが、バスタブを見てみると誰かが横たわっていた。エリックが近づくと注射器で刺されてしまいエリックは意識を失う。

一方ジョンのアジト。時間経過で部屋にあった金庫が開く。すると中にはなんとダニエルがいた。ジョンが言っていた通り、この場にいればエリックは息子と対面できるはずだったのだ。
エリックは意識を失っている間に鎖につながれてしまう。バスタブの中にいたのはアマンダだった。エリックはアマンダを罪をでっちあげて逮捕したことがあった。そしてアマンダはジョン、ジグソウに心酔し弟子入りしていたのだ。ジョンがエリックに聞いた「末期癌患者が助かるためには?」という問いに対してアマンダはここで「記憶に残ること」だという。ジョンはもう助からないが、自分がジョンの意思をついて第二のジグソウになるのだという。半狂乱になって罵倒するエリックを差し置いて、前作でジョンがそうしたように「ゲームオーバー」と言いながら、バスルームの扉を閉めるアマンダ。
廃屋の外にいるジョンは人知れず絶命していた。エンドクレジットへ。

感想・評価

この前初代ソウを見たばかりなのでスムーズに1と2が繋がって気持ちよかった。
前作で登場したアマンダは確か反省したはずなのに自殺未遂を起こしているということでおかしいな、とは思ったが、まさか弟子入りしていたとは。この点は読めなかった。ジョン(ジグソウ)は死んでも意思を継ぐ者がいればジグソウは不滅だ、ということだが、しかしジョンだって所詮、自殺未遂した命を軽んじた人間の分際で何を偉そうにって感じだなあ。自殺未遂する→死ねなかった→命を軽んじる奴をこらしめよう!って思考回路も正直よくわからん。それを継ごうとするアマンダもとんだ電波女である。薬中だった頃の方がまともじゃん!

肝心のストーリーだが、今回は8人の被験者を閉鎖空間に放り込んでのもので、前作とは趣が大きく違う。こういうシチュ(ソリッド・シチュエーションと呼ぶのを最近知った)の場合、互いに協力し合い、衝突して死傷者が出たりするのが定番だろうが…。実際のところ、8人のうちの1人、麻薬密売人のザビエルがあまりにトラブルメーカーすぎて、ろくに話し合いなどすらも行われずにダニエルとアマンダを除いて全滅しているという感じである。最大の突っ込みどころは、ザビエルが、頭の後ろにある数字の話は気づいたのになぜか黙って自分の秘密にしておき、他の人間の後頭部に書かれた数字を求めて行動しだす、という点である。この展開にするなら、後頭部に書かれてるだけじゃなくて、頭に埋め込まれた設定にしなきゃおかしいだろう。いくら自分のことしか考えないクズ野郎だからといって、頭の後ろ見せてくれって言えば終わることだし、他の人間と敵対していいことなんて何もないってのに…。流石に非論理がすぎて醒めてしまうところだ。

その他、疑問や雑だなと思った点を下に並べてみる。

結局、最後の真相ばらしが映画の肝だから、8人のサバイバル劇は悪趣味重点、グロ、暴力重点にしたってことだろうなあ。ザビエルが最後には自分の後頭部表面を切り取ったりするシーンでは「あ、これもうグロいのやりたいだけだ」と感じた。悪趣味な映画だしそういう趣向もいいだろうが、それよりは8人のドラマを丁寧にやってくれた方がより完成度は高まっただろう。実際のところ、全員分の数字を知ることができれば何ができたのだろうな?単に後頭部を見るなんてほぼノーリスクな方法で得た情報だということからすると、何かを得るためには痛み、代償を求めるジグソウの趣味からしておそらく肩透かしでしかなかったのだろうけどもね。

項目別評価

最後のネタばらしはなかなか面白い。が、メインとなっている8人のサバイバル部分がその分おざなりになっている。トラブルメーカーの男のせいで全く論理的な意見交換などが行われず、気づけば殺し合いになっていてグダグダのままに終了。リアルでああいう状況になったら理性的に行動なんてできないかもしれないのである意味リアルかもしれないが…。明らかにただ痛い演出、グロやりたいだけの薄っぺらさを感じる。とはいえ、それゆえに見始まってみれば目を離せない、エンターテイメント性があるのは確か。グロ、痛み描写も、そういうのに耐性がなくてもなんとか大丈夫かな?くらいのギリギリの線で、クライモリとかみたいな完全に逸脱したものではない。とはいえ血が苦手な人間は見ないほうがいい。1を見た人間が「おっ」と思える演出があるのはシリーズものとして王道かつ悪くないファンサービス。

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