スーサイド・スクワッド 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>スーサイド・スクワッド

執筆日:2017年11月11日

あらすじ・ネタバレ

前作「バットマンVSスーパーマン」でスーパーマンが死んでからの出来事。
米長官のアマンダ・ウォーラーは「悪には悪で対抗する」という信条から悪人を集めた部隊「タスク・フォースX」を結成することを提言する。

陸軍大佐のリック・フラッグをリーダーとして、メンバーは凄腕の暗殺者デッドショット、ジョーカーの恋人の狂人ハーレイ・クイン、発火能力を持つエル・ディアブロ、地下に住む怪人キラー・クロックなど。またウォーラーはエンチャントレスという魔女の心臓を手中にしていた。エンチャントレスはジューン・ムーンという考古学者者に取り憑いており、ジューン・ムーンはフラッグの恋人でもある。
ウォーラーは高官たちの前でエンチャントレスの力を使ってテヘランの極秘資料を一瞬で入手して見せ、その力が本物であることを証明し自分の提言に納得させた。
こうしてウォーラーの言う通り罪人たちで構成された部隊を結成した。

しかしエンチャントレスは虎視眈々とウォーラーに反逆する機会を待っていた。隙を見て自分の弟であるインキュバスを蘇られて人間に憑依させてしまった。
憑依した人間を依り代としてインキュバスが実体化した。これを察知した政府はさっそくタスクフォースXを出動させる決定をする。

先んじてインキュバスの元に向かっていたフラッグとジューン・ムーン。フラッグはジューン・ムーンにエンチャントレスの力を使わせようとするが、エンチャントレスは逃げ出してインキュバスと合流してしまう。ウォーラーはエンチャントレスの心臓を突き刺して殺そうとするが、インキュバスは自身の力でエンチャントレスを救った。

デッドショットらタスクフォースXのメンバーはさっそく任務に赴く。彼らはまず、首に爆破装置を埋め込まれた。フラッグ大佐、これはあるいはウォーラーが持っている装置でいつでも起爆させることができる。
しかし向かった先には人間でない化け物が待ち受けていた。これらはエンチャントレスとインキュバスらの手によって変化させられてしまった人間たちだ。
これを殲滅はしたが、事情も説明されないままメンバーたちはフラッグ大佐に連れられさらなる戦いの場へと向かう。

次なる作戦の場のビルでも化け物たちと戦いながらも上階を目指す。ビルにいたのはウォーラーだった。これを救い出した直後、ハーレイ・クインの恋人であるジョーカーがハーレイ・クイン奪還のために襲撃してくる。ジョーカーは首に埋め込んだ装置に詳しい博士を誘拐しており、すでにハーレイ・クインの爆破装置を解除していた。ジョーカーと共にヘリに乗り込んで逃げ出したハーレイ・クイン。ウォーラーはこれを狙撃するようにデッドショットに命令するがわざと外してしまう。しかし結局は追撃した戦闘ヘリの攻撃によりヘリは墜落。ハーレイ・クインは助かったもののジョーカーはヘリの中から脱出できないままだった。再びハーレイ・クインはフラッグらと行動を共にする。一方、ウォーラーはエンチャントレスに囚われてしまった。

フラッグたちは次なる戦いの場へ向かうが、いい加減真実を教えろとデッドショットが言い出す。フラッグはエンチャントレスに逃げ出されてしまったために起きた事態だということを説明。尻ぬぐいをさせられていたことを知り気を悪くしたデッドショットらメンバーは離脱。そうしてメンバーたちは酒を飲み出した。エル・ディアブロが過去に妻や息子を不本意に殺してしまった話などをする。そこにやってきたフラッグ大佐は自分が愛する女性であるジューン・ムーンを助けるために戦うことを決意する。首の爆弾の起爆装置は破壊して「もう自由だ」と言うが、デッドショットは「これは聖書に書かれるような武勇伝になる」と言い、フラッグに協力する。他のメンバーたちも戦いに赴く。

キラー・クロックは地下鉄に残された爆弾を起爆するために地下へ向かい、他のメンバーたちはエンチャントレスとインキュバスの元へ向かう。
インキュバスを相手に本気を出したエル・ディアブロ。巨大な炎の魔人となってインキュバスを指定位置に押し込み、爆弾が起爆される。これによりインキュバスは倒された。

エンチャントレスはウォーラーから心臓を奪い返しており、また彼女の脳を覗いて軍事施設の位置を知ることができていた。エンチャントレスがいる場所からは天高くまで光が立ち上っており、ここからは強大な雷が発生。各地の施設を攻撃していた。

その光のふもとでエンチャントレスと残りのメンバーたちとの戦いも始まる。瞬間移動を駆使するエンチャントレスに苦戦する一同。エンチャントレスは望む願いを叶えると甘言で誘惑する。ハーレイ・クインはそれに惑わされたかのように近づいていくが、それは演技であり、隙をついてエンチャントレスの胸を斬り開いて心臓を奪い取る。キラークロックが立ち上る光の中へ爆弾を投げ込み、それをデッドショットが撃ち抜いて起爆。装置は吹き飛んで立ち上る光は消滅した。

フラッグはエンチャントレスへ「ジューン・ムーンを返せ」と言うが拒否される。フラッグが心臓を握りつぶすとエンチャントレス消滅。しかし依り代になっていたジューン・ムーンは無事に生きていた。囚われたウォーラーも生きていた。彼女はデッドショットらの減刑を約束し、再び彼らは刑務所へと戻ったのだった。

再び刑務所の中が始まるが、突如、ハーレイ・クインの元へ武装した集団が現れる。マスクを外した男はジョーカーだった。ハーレイ・クインはジョーカーが生きていたことに喜び抱き着いた。

結末ではウォーラーがブルース・ウェインつまりバットマンと会っているシーン。ウォーラーはブルースに、今回の事件は自分に責任があり、上層部に知られたら首が飛ぶことを話す。ブルースは人間社会に紛れている超人、メタヒューマンたちのリストをウォーラーから受け取る代わりに、ウォーラーの立場を守ってやると約束した。そしてブルースが「部隊は解散しろ、俺達が潰す前に」と警告したところで終わる。

感想・評価

スーサイド・スクワッドとは「決死部隊」の意。1作目「マン・オブ・スティール」、2作目「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」に続くDCエクステンデッド・ユニバースの3作品目に位置づけられる作品。ヒーローではなくヴィラン、悪役側を集めて結成した部隊が大暴れ!さあこんな一体どうなってしまうのか!?というのがコンセプトだが。

まず、メンバーの扱いは決して平等ではなく、酷く偏っている。集められたのはデッドショット、ハーレイ・クイン、エル・ディアブロ、キラークロック…あと2人くらいいたような気がするがあまり印象がない。だって明らかにデッドショットとハーレイ・クインばかりに偏ってスポットが当てられているからね。正直、この2人に加えてあとエル・ディアブロだけいれば話は問題なく成り立つと思う。

話もあまり褒められたもんではない。小さくまとまってるというか普通というか、特に結末部分がちょっと陳腐すぎやしないかと
悪党どもが揃っているというのに、最後の決戦前でしんみりと酒飲んじゃって、情で動いてフラッグの力になる、というのはなんか優等生すぎる。
最後のエンチャントレス&インキュバスとの戦いも妙だ。爆弾を食らわせようと部屋の隅に追い詰めるために炎を操るエル・ディアブロがインキュバスと格闘戦を行うが、どうにもここがショボい。ここにきてそんな原始的な格闘かと。爆弾で普通に死ぬインキュバスも弱すぎる。この爆弾がまた随分と小規模な爆発なんだよなあ。通常兵器じゃ歯が立たない!とインキュバスに対して軍が役に立たない描写をやっているのにこれだ。
そしてなぜかエンチャントレスも魔女なのに接近戦で戦い始める。そこに裏切ったふりをして近づくハーレイ・クイン。「仲間をいじめんな!」とか言って不意打ちで攻撃。エンチャントレスをやっつけた後はその依り代になったジューン・ムーンも無事生存、万歳!

やはりどうにも陳腐だ。セリフ回しも展開もどうにもありがち、前時代的すぎる。これなら別に悪党でなく正義の味方に置き換えても同じような展開で問題ないだろう。もっとこう例えば、問題児共がヒャッハー!って好き放題やってたらなんか真の敵もやっつけちゃいましたっていう、もっとふざけたような、突き抜けた展開にした方がいいんじゃないだろうか?うーん。

しかしこの作品もすでに2020年まで予定されているDCコミックス作品の中の1つであって、これがどういう位置づけになるのかは気になる。既に今作で根っこの根っこの部分は救いようもない悪党ではないってことをやってしまったので、今後は単純にヒーロー側として動くのかというと…まさかそういうわけでもないだろう。ラストでハーレイ・クインはジョーカーに奪還されたわけだし、ブルースも「部隊は解散しろ」と警告している。あまり褒められた出来とは言えない今作だが、DCエクステンデッド・ユニバース作品群全体にどういう影響を及ぼすことになるのか?そこは非常に気になるところだ。

人物解説

デッドショット

演:ウィル・スミス
決死部隊、「スーサイド・スクワッド」の中のメンバーでは最も存在感がある。実質的に主人公。誇張なしに銃器では百発百中の腕前の暗殺者。ウィルスミスだから一番目立たせられてるんだろうなあ…というのがわかってしまうのはなんか嫌だが、なかなかいいキャラはしてると思う。ゴッサムシティにいる娘が何よりも大事。しかしハーレイ・クインに情が移って娘を引き合いに出されても撃つことはできなかった。

ハーレイ・クイン

演:マーゴット・ロビー
バットマンの宿敵である狂人ジョーカーの恋人。なのでまさに割れ鍋に綴じ蓋、ぶっ飛んだキャラだが、元々は捕らえられたジョーカーのセラピストだった。頭に電流を流されて以来狂ってしまう。メンバーの中ではデッドショットと同じくらいの存在感。バットを使って殴るだけの戦闘スタイルだがなぜか強い。ヘリ墜落でジョーカーが死んだと思ってしょんぼりしていたが当然生きていてラストで迎えに来た。イカれているようだが同じ悪人のスーサイド・スクワッドのメンバーにはそれなりに好意的。

リック・フラッグ

演:ジョエル・キナマン
ウォーラーにスーサイド・スクワッドのリーダーに任命された陸軍大佐。そんな固い立場の人間が果たして問題児を率いていけるのか?と不安に思うところだが予想通りやはり御しきれない。しかしフラッグの恋人であるジューン・ムーン(=エンチャントレス)への思いがスーサイド・スクワッドメンバーたちを動かし、彼らは爆弾から解き放たれても自らの意思で最後の戦いへと赴くことになった。

アマンダ・ウォーラー

演:ヴィオラ・デイヴィス
スーサイド・スクワッドの設立を提言した米国女性長官。重犯罪者たちを正規の部隊として使うなんて聞くからにダメそうな立案はやはり波乱が波乱を呼ぶ結果になった。機密保持だとして自分の部下さえ射殺する冷酷さを見せる。乗っているヘリが落ちた後はエンチャントレスに捕らわれてその脳内を解析されてしまうが無傷で生存。

ジョーカー

演:ジャレッド・レト
バットマンの宿敵として有名なヴィラン。だが今作での主役はこのジョーカーの恋人のハーレイ・クイン。作中ではハーレイ・クインを奪還しようとする第三勢力として登場する。ハーレイ・クインの首に埋め込まれた爆破装置を解除したりと引っ掻き回すが、助け出した直後にヘリが撃墜されて安否不明に。ラストで再び檻の中に入れられたハーレイ・クインを助け出しに来たところで今作は終わりとなる。

エル・ディアブロ

演:ジェイ・ヘルナンデス
元々はロスのギャング。炎を自在に操る犯罪者だが、過去に自分の妻も子供も殺してしまったとして前非を悔い、能力は使わないことにしている。スーサイド・スクワッドの中では最も温厚。最終的には力を使う決意をしてインキュバスと爆発四散。最後の戦いではMVPだが、メインメンバーがほとんど残った中で死んでしまって悲しい。

キラー・クロック

演:アドウェール・アキノエ=アグバエ
地下水路に棲みつく爬虫類のような怪人。見た目としては最も人間離れしているのだが、今作はデッドショットとハーレイ・クインが最も贔屓されて目立っているので見た目の割には影が薄い。特に目立った活躍もない。

ジューン・ムーン(エンチャントレス)

演:カーラ・デルヴィーニュ
ジューン・ムーンは女性の考古学者。探検中に古代の魔女エンチャントレスに取り憑かれてしまう。エンチャントレスは強大なチカラを持つが、その心臓をウォーラーに確保されているため反逆できない状況だった。しかしエンチャントレスの弟のインキュバスに救われて自由の身に。本作のラスボス。ジューン・ムーンはフラッグの恋人でもある。アメリカにいながら、イラクのテヘランにある極秘情報を一瞬で盗み出す、なんてことをやってるとんでもないチカラの持ち主。いくら弱点の心臓を持っているったって、こんなのを御せると考えるウォーラーはちょっと甘すぎる。

項目別評価

終盤の展開、セリフ回しが陳腐でいただけない。おかげで有象無象のB級映画のような作品に仕上がってしまっている。それはそれとして今後この作品がDCエクステンデッド・ユニバース全体においてどういう意味を持つのかは非常に気になる。

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