ターミネーター3(映画) 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年7月24日

評論

7月24日のロードショーで放送。ターミネーター3、かれこれ視聴するのは3回ほどだろうか。ロードショー放映回数において恐らく2ほどではないにせよ、2003年の作品のこれも思えば何度も放送している。今回は現在劇場公開中の「ターミネーター:新起動/ジェニシス」にあわせてのものだ。ターミネーター1と2はジェームズ・キャメロン監督だが、この3はジョナサン・モストウ監督。

あらすじ、ストーリー解説。
時は2004年。前作ターミネーター2で子供だったジョン・コナー(ニック・スタール)は、ターミネーター2において人類滅亡を回避したのにも関わらず、不安が消えないままに生きており、何かにおびえるように、避けるように生き続けていた。彼の母親であるサラ・コナーは1997年に白血病で死亡していた。
そんな折に学生時代の同級生であって現在は動物病院で働くケイト・ブリュースター(クレア・デインズ)に出会うが、すれ違いによりジョンはジャンキー扱いされ、檻に入れられてしまう。
一方、ジョンの予感は的中し、ジョンはじめ人類側の重要人物抹殺のために未来からやってきた女性型ターミネーター「T-X」(クリスタナ・ローケン)が現れてしまう。その目的を阻止するようにプログラムされた、ターミネーター2のT-800の強化版であるT-850(アーノルド・シュワルツェネッガー)も現代にやってくる。
かつてのように屈強なターミネーターに守られることになったジョン。何度も現れるT-Xをギリギリで撃退しながら、T-850からスカイネットという、将来人類に敵対するプログラム(それ自体がウイルス)の反乱がもうすぐに迫っていることを知る。ターミネーター2での奮闘により未来は変えられたと思っていたジョンだったが、それは先延ばしにされただけであり、未来は変えられない、とT-850は言う。ケイトはジョンの将来の伴侶であるとも。
ジョンとケイトは諦めない。事前に核ミサイル発射を阻止するため、スカイネットの開発に関わっているケイトの父親のロバート・ブリュースター(デヴィッド・アンドリュース)に会いに行くが、ロバートはT-Xに殺害されてしまう。そしてT-Xとの肉弾戦で敗北したT-850はT-Xによりシステムを改竄され、ジョンとケイトを抹殺するように動いてしまう。が、ジョンの決死の呼びかけによりなんとか本来のプログラムに従い、自らを機能停止させてジョンたちへ危害を及ぼすのを防いだ。
ジョンとケイトはスカイネットの中枢があるらしい場所へ飛ぶ。そこでT-Xがしぶとく追ってきて、さらに再起動したT-850も。T-850が自身に内臓されている水素電池の自爆によりT-Xは倒された。
ジョンとケイトはシェルター内部へと進むが、そこにあるのはスカイネットなどではなく、ただの旧式の核シェルターだった。T-850はただ2人を助けるためだけに動いたのであって、未来は変えることはできなかったのだ。
結末でスカイネットは人類に反旗を翻し、核ミサイルが全世界に発射、人類と機械との戦いが続く、荒廃した未来が始まってしまったのだった。また、スカイネットの正体は特定のプログラムというわけではなく、どの国のどの家庭にも存在するパソコンでさえもスカイネットの一部だったことが明らかに。そのため、スカイネットの反乱を事前に阻止するというのはそもそも不可能だったと言える。

ここから感想。ターミネーターというのはナンバリングで明確にストーリーに繋がりがあるため、どうしても単体で評価するのが難しいため、ターミネーター3への評価だけでなく、シリーズ全体への評価も重点的に書く。

3の見所は、ジョンとケイトを追うT-XとT-850との豪快な戦いだろう。
クレーンや消防車を豪快に乗りこなしながらのカーチェイス。T-Xの方が高性能だとしつつも頭脳戦で上手を行くT-850が格好いい。
が、あくまで構成が2の焼き直しであるのは否めず、ジョンとケイトが生き残りはするものの、人類の大半が核ミサイルにより死滅してしまう、という展開は帰られなかったわけで、後味は悪い。これも以降の作品で払拭してくれるくらい気持ちのいい展開、結末がなされていたのならこの3も「繋ぎ」として評価できたのかもしれないが…。

そういうわけでターミネーターというのはシリーズ全体がグダり、まとまっていないという問題があるので、ここからはシリーズ全体への文句。
今回、現在公開中の新作映画ターミネーター:新起動/ジェニシスが公開されているがゆえの、劇場への来客誘発剤としての今回のロードショー。
ターミネーターシリーズというのは1984年の1作目、1991年の2作目、2003年の3作目、2009年の4作目、そしてリブートという位置づけの2015年の5作目、と、30年以上も連綿と続いているわけだ。テレビシリーズの「サラ・コナーズ・クロニクル」なんてのもある。
いや、連綿と続くなんていいものじゃない。このシリーズははっきり言えば、間延びして泥沼化している。もうとっくに終結していてもよい、しているべき作品だろうに、今日まで来てしまっている。ターミネーター3は単体として見ればそう悪いものではないが、シリーズ全体がぐだっている今、どうしてもストーリーという観点から厳しい評価を下さざるを得ない。

シリーズものというのは、続ける以上は必ずどういう形であれ決着をつけなければ、締めなければならないものだと思っている。映画であれ、小説であれ、ゲームであれ、だ。未完成のまま終わってしまっては二流以下の評価にしかならないというのが自分の持論だ。少なくともターミネーター1〜4において、綺麗な結末はつけることができていない。人類と機械の戦いという、ついに滅亡の未来を描いたT4、シリーズに決着をつけるならその時代しかないというT4が興業的に振るわなかったのもあり、打ち切られてしまったのである。本来、(今公開のジェニシスなどではない4から続く作品としての)5以降も予定されていたはずが、4のせいで打ち切られたという事実がある以上、少なくとも1984年から始まった旧ターミネーターシリーズは未完である、と言ってもいい。
今公開中のジェニシスというのは1のリブート作品であり、全3部作の1作目にあたるらしいが、仮にその3部作としては上手くまとまったとしても、それはあくまでその新世代ターミネーターとして3作品でまとまっている、という評価にしかならないだろう。
1984年に始まった旧シリーズが結局まとまらないまま終わってしまった以上、ターミネーターシリーズというのはその高い知名度にも関わらず、少なくともシリーズ全体としては、決して一流という評価には残念ながらならない。
シリーズ化する以上の責任ってのを作り手は意識してほしい、と、ターミネーターシリーズを見るたび思う。近い時期に1作目が生まれ、同じくらいの知名度もあったエイリアンシリーズなんかは1998年日本公開の4で終結したわけだが、ターミネーターも2000年前後には終わっておくべき作品だったのでは?というか、今日放映したこの3で終わっておけば後味悪いながらもまとまりは良かったのだけどもね。4でコケたのが悪かったということだろうな。

項目別評価

ごくごく平均的な、化け物から逃げ回るというクリーチャー系のアクション映画としてそこそこ面白い。が、味方にシュワちゃん、人間は男1人に女1人、という構成がまんま2であるし、また車に乗って逃げる、追われるシーンも2にあるものなので焼き直し感をどうしても感じる。そして、バッドエンドじみてすっきりしないラストはどうしても評価を下げる。仮に4からさらに続き5あたりですっきりと明確に3の続き物として物語を大団円で終わらせているのなら、3も「必要なものだった」として評価できるのだろうが、3の次の4で大ゴケしてシリーズは半ば頓挫。そして2015年にもなってリブート、再構築され過去のシリーズとは繋がりを切っての新シリーズの発表。もはやターミネーターというブランドはグダグダの泥沼だ。ターミネーターがこの先どれだけ出ようとも、シリーズ作品の場合はストーリーのまとまりを重点的に評価する自分の場合、評価はそれほど高くなることはないだろう。

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