300(スリーハンドレッド) -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>300(スリーハンドレッド)

執筆日:2014年11月5日

評論

神話の時代のペルシア戦争、中でもスパルタ兵目線でテルモピュライの戦いを描いたもの。ちょうど最近続編の「300 帝国の進撃」がレンタル開始となっているのでこの機会にということで感想を書く。

簡単に言うと、この上なく男臭い映画である。全編通して半裸のおっさん達が躍動しまくる。槍を振り回し盾をかざし、味方同士で鼓舞し合い、圧倒的不利な状況でも全くひるむことなく闘い続ける。そんな分かりやすい映画だ。

自身を神とするペルシアの王、クセルクセス率いるとんでもない大軍が服従を求めて攻めてきたのだが、無礼な使者は成敗しつつ戦う覚悟をするスパルタ王レオニダス。しかし、スパルタは厳しい掟により軍の派遣は赦されない。結局、レオニダスは「ただの散歩」であるとして、あくまで戦いに行くのではないものとして、たった300人の精鋭たちを引き連れて戦いに出る。1人1人が超強いわけだが、それでも何十万単位のペルシア軍に勝てるわけでもなく、最後はすがすがしく全滅する。そんな滅びの物語なのだが、とにかく最初から最後までスパルタの男たちが頼もしいのなんのって。そのせいか悲壮感はあまりない。むしろ敗北感を味わったのは神であるはずのクセルクセスである。

この映画、視聴する以前からその簡潔なタイトルやむさくるしさから、勝手に「ネタ映画」なのかな、という印象を持っていたが、視聴後には反省した。男臭い、血生臭い話なのは間違いないが、それを笑いのネタになどできない。どこまでも潔い男らしさ、誇り高さがストレートに伝わってくるだけだった。
主にそれも、スパルタ王レオニダスの威厳、風格を通して伝わってくるので、このキャスティングがまた内容を引き締めているのは間違いない。
よく見る評価だが、続編の「帝国の進撃」の主人公であるテミストクレスは、このレオニダスと比べるとどうにも「普通」な印象は否めない。しかし彼はスパルタ人じゃない。なにせ、厳しい教育のことを表現する言葉が「スパルタ」として現在に残っているくらいだ。その王なのだから、勇猛さにおいて比類する者がいるわけがない。そんな風にも思えるので比べるのは酷だ。

神話の世界だけに、語り部分や背景など、どれもどこか幻想がかっていて、映画というよりは「劇」っぽいのも特徴的に感じた。どの風景もどこかエフェクトがかっているようで、夢幻的。これもこの映画の魅力に一役買ってるんじゃないかと思った。
戦闘シーンではスローモーションを使って緩急をつける演出が何度も使われる。多対多のごったごたした戦場を描いているのだが、この演出のおかげでスタイリッシュにもなっている。

男くささ、男らしさを見た目にも精神的にも極限まで研ぎ澄ましたような映画だが、演出のおかげでそれを不快には思わせない。スパルタ兵にネチネチしたところなど微塵もないので見た後はスカッとする。アクション映画好きで見ていないならぜひ見よう。

項目別評価

こんな男らしい男を格好いいと思わない男がいるだろうか。いやいない。ということでキャラクター性を高く評価。最初から負けが分かっている玉砕物語だが後味は悪くない。スカっと進行しスカッと終わる。

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