トゥモローランド(映画) -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年11月24日

ストーリー・ネタバレ

まず冒頭、フランク(ジョージ・クルーニー)が何かの話をしているシーンから始まる。そこではケイシーという女性(ブリット・ロバートソン)も茶々を入れてくれるが、彼らが何を言いたいのか、ここではまだよくわからない。
そしてシーンは切り替わり1964年の博覧会においてフランクという少年がジェットパック(ジェット噴射によって空を飛ぶ装置)を持ち込むところから。審査員のであるニックス(ヒュー・ローリー)は意気込みを買いはするもののこれではダメだとダメ押しするが、近くにいた少女アテナ(ラフィー・キャシディ)はフランクを気に入ったという。そして彼女はフランクに謎のバッジを渡して、ディズニーのウォータースライダーのアトラクション「イッツ・ア・スモール・ワールド」に乗るよう促す。フランクは一人でそれに乗ると、途中でバッジが何かに反応してボートがコースから外れ、そのまま進んで謎のゴンドラのようなものに乗ると謎の世界へと転移してしまう。そこは現実世界とはかけ離れた発展をしている夢の未来のような世界。そこでアテナを見つけたフランクは彼女に近づく。この世界はかつてウォルト・ディズニーが提唱したとされるトゥモローランドだったのだ。

場面は別の時代に切り替わる。17歳の少女ケイシーはNASAに勤める父親を持つ夢見る少女。ロケットが解体されるのが嫌で妨害行為を行って作業を中止させるなんてことをしている。しかし複数回にわたったので目を付けられ、あらかじめ準備していた警察に補導されてしまう。
解放されて私物を返された時、明らかに自分のものではない妙なバッジを見つける。それはかつてフランクがアテナからもらったものと同じだ。それを素手で触ると触っている間だけトゥモローランドに入り込むという超常的なものだった。しかもそれはケイシー以外の人間が触っても発動しないというもの。トゥモローランドに入り込んでも現実のものと物理的な接触はあるのでケイシーは何もない広大な草原でそのバッジに触れてトゥモローランドを堪能する。しかし彼女が憧れていたロケットに入ろうとした瞬間にバッジの電源が切れてしまい現実に戻ってしまう。現実ではケイシーは沼の中に入っていた。

家に帰り、ケイシーは弟に頼んでパソコンでバッジのことを調べる。するとある場所でバッジが販売していることが分かった。
そこを目指してケイシーは旅立つ。一方、ケイシーの弟の元へあのアテナが変わらぬ姿で現れ、ケイシーの居場所を聞く。ケイシーの弟が「姉はバッジを探しにいった」ということを話すとアテナは血相を変える。
目的地についたケイシー。そこは骨董品を売っている店だった。中年の男女の店員がおり、バッジをどこで入手したのかとケイシーに聞いてくる。ケイシーが見たのはトゥモローランドという、かつて天才達が世俗から逃れて自由に発明などを行うための世界だと教えてくれたが、話をしているうちに店員二人は手荒になってきて、ついには銃を構えて「バッジをどこで入手したのか?少女からだろ?」と脅してくる。絶体絶命のピンチで店内に丸い物体が投げ込まれてくる。それは店員たちが言う少女、アテナが投げ込んだもので、爆発した周囲数メートルの時間を止める兵器だった。アテナとケイシーの協力により店員二人は倒される。なんと店員は人間ではなく、アンドロイドのようなロボットだった。
ケイシーは動転してアテナとも関わりを避けようとするが、アテナは強引に車にケイシーを乗せて話を始める。あのバッジはアテナが渡したものであること、アテナは素質のある人間を選んでバッジを渡しているリクルーターであること、ケイシーのように選ばれたフランクという人間もいるということなど。そして車ではフランクのところまで移動し、アテナはケイシーを置いていったん姿を消した。

フランクの家の前で着いたケイシー。番犬として犬がいたがケイシーはそれをホログラムと見破り入口に近づく。しかしもはや初老ほどの年齢になっているフランクは彼女を歓迎せず、バッジが見せていたのはあくまでプロモーションでしかなく実際のトゥモローランドは夢溢れる場所などではないこと、そしてフランクはトゥモローランドを追放された身であることを話してまた家に閉じこもってしまった。
しかしケイシーは燃え盛る車で接近してフランクの家に突進して隙をついて中に入ってしまい、逆に外に出たフランクを締め出した。フランクの家の中であれこれいじっているとフランクとアテナが会話をしているホログラム録画装置を発見した。そこには二人の仲睦まじい姿が記録されており、かつての少年フランクはアテナを心から笑わせようとしていたことがわかる。
また別の部屋では物々しい装置が。そこでは謎のカウントダウンとパーセンテージが表示されており、残りは58日、100%という表示になっている。抜け道を使って家の中に入ってきたフランク。フランクは禁断の装置を開発したからトゥモローランドを追放されたらしく、このカウントダウンはそれに関係しているようだ。そして、ケイシーが「諦めない」というような発言をした瞬間、パーセンテージが100%から揺らぎ、99コンマ%まで落ちた。それ見て「君は何者だ?」と驚くフランク。
監視カメラモニターにケイシーを追ってきたアンドロイドたちが映った。家を封鎖して戦うフランクとケイシー。家はフランクの発明によってさまざまに武装されており、そのギミックで全てのアンドロイドを撃退したのだった。

フランクの家のギミックの一つ、バスタブごと射出する装置で脱出した二人の元へ車に乗ったアテナが現れる。フランクは彼女を信用することを渋るも、ケイシーは彼女を信用しており、フランクもそれにつられる形でアテナと同行することに。
かつては仲睦まじかったフランクとアテナだったが、フランクは共に過ごすうちに彼女が人間でないことに気づき、それまでの行動が全てプログラムだったことに落胆し、彼女と決別したという過去があったようだ。
アテナの提案によりトゥモローランドへ行くことになった三人。まず転送装置によってパリのエッフェル塔の高階へと移動した三人。エッフェル塔の中にはエジソンやテスラなどの偉人の人形がある。フランクによれば彼らが協力し、異次元空間であるトゥモローランドへの扉を開いたらしい。
そして今、トゥモローランドへと移動する手段はこのエッフェル塔にあった。ギミックを作動させるとエッフェル塔が中央から割れてロケットが現れる。それに乗る三人。追ってがロケットにしがみつくも途中で放り出された。
宇宙まで一度出たロケットは地上に向かって落下し、そのエネルギーでついにトゥモローランドへと空間転移した。

ケイシーが夢見ていたトゥモローランドだったが、そこはあのプロモーション映像のような夢溢れる地ではなく、むしろ荒廃していた。フランクはアテナに切り札として爆弾を持たせた。
三人を迎えに現れたニックス。彼もアテナのように年を取っていないが、彼はアンドロイドというわけではなく、飲み薬により年齢を保っているのだという。
ニックスはケイシーを誰だ?と訝しむ。フランクは「彼女が世界を救えるかもしれない」と言う。
ニックスの案内によって三人はある装置のところに。その装置はモニターと呼ばれるもので、超光速タキオン粒子の力により未来や過去を映し出せるというものだった。フランクが発明した禁断の装置というものはこれだったのだ。そしてそれをケイシーが操作していくうちにあることが明らかになる。58日後に地球が滅亡するということだ。ニックスやフランクはこの未来を知って絶望していたのだった。だが、ケイシーが操作した後、モニターに映る破滅的な映像がわずか一瞬だが揺らぎ、平和なビジョンが見えた。それを見てフランクは「未来は変えられるかもしれない」とニックスに言うが、彼は気絶させられてしまう。

フランクが目をさますとそこは広い部屋。アテナとケイシーがいるが、彼らはまた現実世界に送還されることが決まったのだという。
ケイシーも未来を見て絶望していたが、あることに気づく。あのモニターの映像は地球にいる人類の精神に潜在的に悲観的なイメージを植え付けており、それが理由で世界は滅亡してしまうのだと。だから阻止するためにはモニターを破壊する必要があるのだと。
強制送還される直前にそのことをニックスに告げて説得を試みるも、ニックスは「未来のビジョンを見せても人類は対策もしない」と言い、人類を見限った考えを熱弁する。説得はできないということで強硬策に出るフランクら三人。ニックスの周囲にいる警備ロボットを倒し、フランクがアテナに渡した爆弾の力により近くの柱が倒れてニックスは脚が下敷きになって動けなくなる。しかしニックスはその状態でフランクに対して銃で撃つ。その数秒前、周囲に漂うタキオンの力により未来を見たアテナはフランクをかばって銃撃を受ける。

致命傷になったアテナは自分はもう助からないとしてフランクに対して今まで言えなかった心の内を明かす。フランクの心にあったアテナへのわだかまりも解ける。アテナは自分がの中にある爆発装置によってモニターを破壊してとフランクに懇願する。フランクはジェットパックを使って上空にあるモニターまで移動。ついに機能停止したアテナをモニターに対して落下、爆発するとモニターは完全に破壊される。その残骸がニックスの真上に落ちてニックスは絶命。

それからは、ケイシーが思った通りモニターが破壊されたことにより世界滅亡は避けられた。
ここで冒頭のフランクとケイシーが誰かに語り掛けるシーンに戻る。語り掛けていたのはたくさんの子供達。彼ら彼女らはアテナと同じくリクルーターとして、少年時のフランク、あるいはケイシーのような「夢を持つ者」へとバッジを渡していくのだ。世界中の人間にバッジが渡されるシーンが続く。路上でギターを弾く若者、樹を植える女性など、老若男女問わずバッジが渡されていく。そして彼らがバッジを手にして皆がトゥモローランドの映像を見たところで終劇。

感想・評価

どうやらこの映画、一部では有名なウォルトディズニーの「トゥモローランド」に関しての都市伝説が元になっているとのことで。それは視聴後に知ったことであり、予告PVなども一切見ない上での視聴だった。

話の構成がまず冒頭に結末の映像を見せておき、それから主人公のフランクの過去を見せ、次に場面が飛んでもう一人の主人公のケイシーの過去を見せ、現在に話が繋がるという逆算的なものになっているので、見ながら頭を整理していかないとこんがらがるかもしれない。

20世紀に人類が夢見ていたような、例えば空を飛ぶ車などというものは幻想でしかないと今の時代では多くの人間が感じているところだと思うのだが、この作品にはそういう、未来への無限大の希望のようなものを思い起こさせてくれる力がある。
トゥモローランドなんて異次元世界があって、しかもそれは夢を持つ純粋な発明家たちが金や権力などにとらわれず伸び伸びと日々を過ごしている。バッジの力によってケイシーが見た映像はあくまでプロモーションでしかなかったのだけども、きっとエンディング後には本当にああいう世界が構築されるのだろうと想像され、まさに夢の国ディズニーが描く真の夢の国、理想郷だ。

フランクとアテナの恋愛要素もストーリーにほどよいスパイスとなっている。ロボットでありプログラムでしかなかったアテナに対して辛く当たるも、家には彼女との過去の思い出を保存しているフランク、移動中の車内で申し訳なさそうにフランクをチラチラと見るアテナ。トゥモローランドに来たばかりのフランクがアテナと楽しく過ごした日々は少ししか描かれず、またフランクがアテナと決別したシーンも映像としては描かれはしないものの、二人には互いに並々ならぬ感情があるのは明らかで、ジョージー・クルーニーとラフィー・キャシディという一見とんでもない年の差の男女だが想像が捗ってしまう。
ていうかそのアテナが美しすぎる。名前通り女神じみた美しさ。激しいアクションをこなすのもあって、美しいだけでなく格好良くもある。この映画を見てからラフィー・キャシディという女優が心に刻まれてしまったほど。インタビューとかでも可愛い。自分は基本的に女優とか芸能人とかそういうのに興味ないんだけど。ちょっと芸術じみた美しさですわ。

あとは個人的に面白かったのがフランクの家での敵ロボット相手の迎撃戦。フランクの家があちこち改造されていてギミックだらけ。天才フランクが作り出した発明の数々だ。落とし穴やレーザーによるサイコロステーキ製造トラップやロケット射出バスタブなど、この一連のシーンだけで非常に楽しい。短いシーンだけども、ここは文句なしに絶賛できるポイントだと思う。

ストーリーに関して苦言を呈すると、ケイシーが世界滅亡阻止にかかわっていることや、その理由、そして問題の解決方法にやや疑問が。「モニターを破壊すれば人々の潜在意識も変わって滅亡は阻止される」という発想はケイシーから出たわけだけども、そんな理由ならケイシーでなくても思いつきそうなものであることと、そもそも具体的になぜ世界が滅亡するのか描写がないので、この辺やや置いてけぼりを食らう。トゥモローランドでの未来映像を見るに核戦争か何かのようだけども、なぜ58日後に世界が滅亡するのかの理由が明確にされていないのだ。国の指導者が核ミサイル発射などの愚かな選択をするのか?想像はできるのだが、どういう流れでそれが起こるのか分からず、しかも解決方法もモニターを破壊して世界中の人間の潜在意識に訴えかけるのをやめるなどという、どうにも曖昧な方法だ。ラストがやや駆け足気味、強引にニックスとの戦いになり、早々に決着も着いてしまう。世界の存亡をかけた切迫した状況の解決にしてはこの辺が雑なのが気になった。

しかしそれはさほど大きな欠点というわけではなく、作品に込められた「夢を持という」というメッセージは十分に伝わってくる。最後にリクルーターとなった子供が様々な人間に対してバッジを送り届けるシーン、最後にスカウトしているのは科学者ではなく路上ギタリストなんてのまでいるので、科学の発展などを主眼にはおいていない、夢持つ人間を片っ端からと言わんばかりのスカウトだ。あれはまさに視聴者に対してもバッジを届けているのだろう。考えてみればこのテーマを伝えたいから、世界の滅亡理由なんてのはどうでもいいのであやふやにしているということか。「ネガティブになっていると本当にネガティブな出来事が起こる。だから夢を持って前向きに!」ってことで。青臭いといえばそうだが、この作品はそういう、斜めに構えていない、子供が持っている純粋で原始的な夢とか希望を訴えたいのだと思う。それはまさにディズニーがテーマパークにおいて日々提供しているものではないだろうか。
それが心に響かないという大人は多数いると思うが、大人になってもそういうものが原動力になることはしばしばあると感じているので、ストレートでわかりやすく、夢の国ディズニープレゼントの映画としてはこれ以上なく相応しいもので、視聴後に前向きになれる良い映画だった。

項目別評価

「夢を持とう」という、夢の国ディズニーの作品らしいシンプルなメッセージが込められており、何もかもが目新しく、可能性に満ち溢れていたあの頃、というような童心を思い出させてくれるものがあった。主人公の一人ケイシーが選ばれた理由がやや弱いことやニックスとの決着、世界滅亡問題の解決方法が分かりにくく強引であることは気になったが、それを差し引いてもトゥモローランドの映像、フランクの発明品などで見た目に楽しい、素晴らしい映画。あとアテナ役のラフィー・キャシディがマジでとんでもない美少女なので、それだけでも見る価値あるかも。可愛いだけじゃなく強いので、幼女のアクションシーンを見たい!なんてニッチな願望がある人にもおすすめ。

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