アンダーカヴァー -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>アンダーカヴァー

執筆日:2017年05月24日

あらすじ・ネタバレ

時代は1980年、アメリカのニューヨーク。ボビー・グリーンは兄にジョセフ・グルジンスキー、父にバート・グルジンスキーがいるが、二人とも警察官をやっている。それとは対照的にボビーはマフィアが経営するクラブの支配人となっており、危険な世界に身を置いている。ボビーにはアマダという恋人がいて、クラブではジャンボという男を部下に持ち、クラブ経営者のマラットというマフィアとは仲が良かった。

ボビーの兄、ジョセフの警部昇進を祝う会にボビーも呼ばれた。遅刻してきたボビーに対して兄と父はある男を追っていることを知らせる。ニジンスキーという男で、ソ連からアメリカに移住してきて麻薬をさばいているマフィアだった。また、マラットはニジンスキーの叔父にあたる。
父バートと兄ジョセフはこの男に近いボビーに見張っていろと言う。そして父バートは「お前はマフィアの側につくのか、俺たちの側につくのか必ず選択しなければならない時が来る」と忠告する。
だが、ボビーとマラットはクラブをマンハッタンに新店舗を出店する計画を立てて、ボビーはさらにマフィア側の世界へとのめりこもうとしてしまっていた。

ジョセフはニジンスキーを摘発するためにボビーには知らせずに、ボビーの運営するクラブに突入、ボビーもろとも、麻薬を持っていた客を参考人とし拘束する。その男に対してニジンスキーは脅しを入れたため、男は自殺してしまった。
ボビーは何も言わずに自分の店に捜査を入れたことに激怒して兄のジョセフと大喧嘩するのだった。
そして直後、ジョセフはニジンスキーの手先により狙われ、顔面を銃で撃ち抜かれてしまう。

ジョセフを撃ち抜いた弾は運よく頬から入って顎から抜けていったために奇跡的に死ぬことはなかった。これを知ったボビーは深く反省する。
そして自分が出来ることはないかと警察に言うと、ボビーに麻薬工場に潜り込むことを提案する。バートには知らせずに計画は行われた。盗聴器をライターに忍ばせた上で忍び込んだボビーだったが、ニジンスキーはボビーが緊張していていることを見抜いて、盗聴器も見破ってしまう。「羽根」という言葉を合図にしておいたためにすんでのところでボビーは殺されず、警察が間に合った。
ニジンスキーは捕らえられたが、ここでニジンスキーにボビーの父がバートであることを知られてしまう。

ジョセフの快気祝いが行われ、そこをボビーも訪れた。銃弾を受けた後遺症で怒りっぽくなっているジョセフはボビーに辛辣な言葉を吐くが、危険を承知で麻薬工場に潜り込んだボビーを父は見直し、ほめたたえた。もしよければ警察になる気はないかとも提案したがボビーは辞退した。
ボビーやバートは復讐を恐れて隠れ住んでいた。ニジンスキーは収監されていたのだが、仮病を使って病院に連れて行かれた時に脱走してしまう。
ボビーとバートが車で移動中に突然襲撃を受ける。バートは銃で撃たれて死亡してしまう。悲しみに暮れるボビーとジョセフ。

父の死によりボビーは以前勧められた警察を目指すことにして、その試験勉強をするように。マフィアに詳しい者として警察側も歓迎してくれるらしい。恋人のアマダは「あなたの兄や父のように狙われて死んでしまう!」と言いやめるように言うが、父を失ったことによりボビーの意思は固いのだった。
そうしてボビーは警官になった。そんなボビーにジョセフは「好きに生きているお前に劣等感を感じていた」というように内心を打ち明ける。兄弟は必ず父を殺したニジンスキーを捕まえるように誓った。ボビーは正式に採用されたわけではなく、ニジンスキーの件が片付いたら警察学校へ通い、それでようやく警察官になれる。
以前付き合いのあったジャンボと話すと、なぜか自分たちが潜伏していた場所について知っていることをボビーは知る。新聞に掲載していたなどと言うが、それは嘘だった。ジャンボが裏切ったために父と自分は襲撃を受けたのだと知り、さらに追及すると、父バートの殺しには、ボビーと親しかったマラットが関わっていたことを知る。

ボビーはマラットのスケジュールに詳しかったので、家族を連れて乗馬学校に出かけた時麻薬取引が行われるのではないかと予測する。ジョセフも含め、警察が部隊を編成してそこへ向かう。予想通りニジンスキーもマラットも現れ、毛皮に麻薬を染み込ませるという手法で麻薬を隠そうと画策していた。盗聴器でその現場のやり取りを確認してから突入する警官たち。しかし銃撃がトラウマになっているジョセフは発砲されると動けなくなってしまった。父の仇のニジンスキーは草むらに逃げ込んで見失ってしまう。火を放っていぶり出す作戦に出たが、その中でボビーは一人草むらに入っていって、ニジンスキーを撃ち抜き、自らの手で父の仇を打った。マラットも拘束されたが、「お前の父だとは知らなかった」とボビーに言った。しかしそんなマラットに対してボビーは毅然とした、厳しい態度を見せた。

結末は警察学校の卒業式。ボビーが正式に警察官になるシーン。 ジョセフは現場に立つのはやめ、総務の仕事を行う部署へと異動することにしたことをボビーに告げた。ボビーは卒業生総代となっていた。
ボビーとジョセフは互いに愛していると言い、父亡き今、兄弟の絆は以前よりも固くなったことを確かめあった。

感想・評価

ろくでなしでも実のところ家族愛だけは深い男が家族の危機を機に正義に目覚める話。作品紹介で父バートが死ぬということは知っていたのだが、兄ジョセフが撃たれるということはそこになかったので「あれ?死ぬのは兄じゃなくて父だよな?」と改めて確認した。兄は奇跡的に助かったのだが、父は死ぬ。ジョセフが撃たれるシーンはまさに顔面を撃ち抜かれているのでかなりエグい。最後の最後でジョセフはトラウマ発症で役に立たなくなってしまうのだが、これはしょうがない。

ボビーが心を入れ替えてマフィアに復讐するのだろうなとは思っていたが、まさか警察官にまでなるというのは予想外でもあった。マフィアの元でクラブ経営→正義の警察官へという転身はちょっと不自然にも思えたんだが。そこまで様変わりするようなら、もともと突っ張っていたのは兄や父への反発でしかなく、本当のところはボビーも正義の心を持っていたのだろう。それならもっと早く、子供みたいに反発せずに父や兄に心配かけなさんなよ、と。20代前半くらいならまだしも、ボビーって30代だよなあ。
話は非常に分かりやすいが、格別面白い訳でもない、つまらないわけでもない、あまり印象には残らない凡作といった感じ。

登場人物解説

ボビー・グリーン

演:ホアキン・フェニックス
警察官の兄と父に反発してロシアのマフィアの経営するクラブで働いていた。しかし本当は家族に対して深い愛情を持つ男。設定が何歳かは知らないが、20代前半くらいならともかく、明らかに30も過ぎた男がこの生き方は…とも思う。

ジョセフ・グルジンスキー

演:マーク・ウォールバーグ
ボビーの兄で真面目で優等生な警察官。マフィアに顔面を撃たれて重体になるも奇跡的に復活。しかしその後遺症で怒りっぽくなる。最後の大捕り物ではトラウマを発症して動けなくなる。

バート・グルジンスキー

演:ロバート・デュヴァル
ボビーとジョセフの父親。優等生のジョセフだけでなく、半ば呆れながらもボビーへも愛情を持つ警視総監。最後までボビーを守ろうとするが運転中に撃たれて死亡。ロバート・デュヴァルはゴッド・ファーザーではマフィアの人間の役をやっている。

アマダ・フアレス

演:エヴァ・メンデス
ボビーの恋人。ケバい。見た目通り軽いが、特段悪い人間というわけでもない。ボビーが警察官になると決意した時に猛反発し、結局別れる。

ジャンボ

ボビーが担当するクラブで働いていてボビーの友人。ボビーとバートが潜伏していた場所を教えてしまうが、悪気はないものだった。

ニジンスキー

ロシアンマフィアでマラットの甥。ヘロインコカインをニューヨークで売っているので警察はこの男を逮捕したがっていた。ニジンスキーはマラットの甥、ということで親しくても何の不思議もないのだが、結末の麻薬取引の現場を見たボビーは、ニジンスキーとマラットが親しくしているのを見て「あの二人あんなに親しかったのか」などと言う。「なぜに叔父と甥が親しいのが不思議なのか?」とちょっと疑問なのだが。

マラット

ボビーが支配人をやっているクラブの支配人でニジンスキーの叔父。ボビーとは親しく、信頼していて、クラブのマンハッタン出店も計画。しかしバートを殺すように指示を出したのはこの男だったらしい。捕えられた時にはバートがボビーの父親だとは知らないで殺したと言い訳をした。

項目別評価

遊び人の男が兄と父の命の危機をきっかけとして心を入れ替え、麻薬組織をこらしめる。話は分かりやすくとっつきやすいが、良くも悪くも凡作。

凡人の感想・ネタバレ映画>アンダーカヴァー