ダンガンロンパ霧切2巻 -凡人の感想・ネタバレ-

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「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」の登場キャラクター、霧切響子の過去を描くスピンオフノベルの第2巻。
第1巻と比べて大幅にボリュームがアップしており、また、推理小説として見た場合、扱われるトリックの難易度も第1巻のものと比べて大幅に高度になっている。

一つ残念な点があるのが、今回は挿絵が全く存在しないということ。原作ダンガンロンパのイラストレーター小松崎類の描き下ろしイラストが1巻では数枚存在していたのだが、これが今回は全く存在しない。ただし、冒頭に折りたたみのイラストがあるので1巻とトントンと言ったところか。もともと1巻には数枚しか存在しなかったし。

内容についてだが、2巻なのであくまで「つなぎ」といった内容になっている。
1巻同様、作中の大部分を占める推理、トリックについてよりも、ダンガンロンパファンとしての感想を書こうと思う。

まず、1巻の感想でも書いたとおりだが、今回は霧切の相方となる五月雨結お姉さまの死亡フラグがより濃くなっている。
実は五月雨結は、過去に妹を殺されており、その犯人を激しく恨むという描写が、夢の中でというフィルターつきだが描かれる。
1巻に続き2巻も、誰かに激しい恨みを持つ、謎の組織をスポンサーとした復讐者が犯す殺人ゲームの究明をするという内容なのだが、この描写により、五月雨がこのゲームを行う側に回ってしまうのではないか、という連想をしてしまう。もっと言えば、霧切の敵側に回ってしまうのではないか?という不吉な予感を持ってしまうことになる。
実際に明確な敵として作中の語り部でもある五月雨が悪墜ちするという展開はないかもしれないが、それでも何らかの形で、この先道を間違えるということは十分に予感させる描写だ。そしてそれはまた同時に生命の危機にさらされるということでもある。殺人事件の犯人はまた多くの場合、自身も命を落とすのだから。

そういうありきたりな展開にはならないかもしれないが、前の巻の感想でも語った霧切の手の火傷の話、不穏な五月雨。この当たりをちらつかせられると嫌でも悲劇的な未来を予感する。
最近発売した原作の外伝ゲーム「絶対絶望少女」もプレイしたばかりだが、この世界、基本的に容易く人が死にまくる。主要キャラでも一切の容赦なく、使い捨てと言わんばかりに死にまくる。物語の語り部でも、いやだからこそ、死亡フラグだという見方ができなくもない。
1巻に続いて2巻を読むと、霧切と五月雨のコンビにもすっかり慣れ、愛着も沸いている。五月雨が少々無茶をしたときに「すごいすごい」と騒ぐロリ切さんは正直「あざとい」とおも思わずにはいられない。この二人はすっかり、互いの無い部分を補う名コンビとなっているのだ。
だからこそ、この不穏さには「やめてくれよ…」と思わずにはいられないのだが、しかしただハッピーエンドで終わるシリーズでもないだろうと1巻の時点で覚悟はしているので、これからの展開は楽しみである。

1巻もだが、作中のトリックは「物理の北山」とも称されるという、北山猛邦が描いている。この人に関しては自分は全く知らないのだが、それだけあって「まあよく考えつくわ」と感心。ぶっちゃけ、ベッドを使っての死体移動に関しては「なるほどわからん」という内容だった。

このレビューを書いているのは2014年10月末日だが、2014年12月には2巻から大きく間を開けて3巻が発売される。
一体何巻まで出るのかは知らないが、出来る限りこの作品を堪能したいもの。予想できる展開ではなく、かつ納得のいく結末を期待したいものである。

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