コードギアス 亡国のアキト 最終章 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレアニメ>コードギアス 亡国のアキト 最終章

執筆日2016年03月06日

関連作品の感想

ストーリーネタバレ

2/27、以前から楽しみにしていたのでPSSTOREで配信直後から見ましたよ、コードギアス 亡国のアキト、ついに最終章。まずはストーリーネタバレから。書いているのは3/6なので思い出しながらになってしまっているので注意。

4章ラストで、敵の大多数を殲滅した代償として方舟ごと墜落してしまったユキヤ。彼の救出を行うアキト。ユキヤは重体ではあるが命は助かったのだった。また、用意された新型機にはアシュレイが乗り込むことになった。アシュレイはシンの側近であるジャンのところへ行き、シンはいつからかおかしくなってしまったということを伝える。彼を止められるのはアキトだけとも。ジャンはシンに忠実ながらも彼の所業には疑問を持ち始めていたのだった。

レイラたちの拠点であるヴァイスボルフ城の周囲はシン・ヒュウガ・シャイングと他の騎士たちに囲まれている状況。襲い来る彼らから城を防衛するために城の周囲に壁を出現させて阻止している。ユキヤの尽力により敵部隊の多数は消え、そのために城を攻めているシン以外の騎士たちは一旦は退いた。
しかし4章終盤でもはやレイラたちとの対話を拒絶しているシンは彼らに対して強行突破を指示する。従わなければ後ろから撃つと。覚悟を決めた騎士のうち一人が爆弾を使い自爆、城の防備は破れられてしまう。

目を覚ましたユキヤは重傷ながらも戦線に復帰する。そしてアヤノはジャンと遭遇し、「シンの命令にただ忠実なだけではダメだ」と説得する。それを聞き入れたジャンは自分はどうすればいいのかと涙を流した。

城に攻め込んできたユーロ・ブリタニアのナイトメアたちを迎え撃つアキトたち。それぞれが奮戦するも、シンの駆るヴェルキンゲトリクスだけは別格の強さで、アキト、リョウ、アシュレイの3人が同時に相手をしてようやく互角だ。
そんな中、アキトが実の兄であるシンと戦っている最中、異変が起きる。アキトの姿が消えてしまい、司令室から存在を感知できなくなってしまったのだ。ソフィ博士が解説するには、アレクサンダに搭載されているブレインレイドシステムにより事象を強く「観測」することで発生したものだという。発生した特殊な空間の中では互いの心を読み取れるようになっていて、アキトとシンは戦いながらもかつて共に住んでいた頃の思い出を回顧していた。

シンの詳しい過去はここでようやく明らかになる。彼は自分の母親が不倫をして生まれたのがアキトだと知っており、また、それを知ったシンの父親はその不倫相手(=アキトの父親)を殺してしまったのだった。そして自分の妻に対して一生自分のそばにいることが罰だと。母親を苦しめる父親に憎しみを募らせたのか、シンは実の父親を惨殺してしまう。そしてその直後、謎の存在からギアスを授けられ、ギアスの力を得た。この世に絶望したシンは、地獄のようなこの世界から解放するには死しかないと考えて、母親を含む自分の親族全てをギアスの力を使って「死ね」と命令して殺害したのだった。だが、幼いアキトだけは死という概念を理解していないせいで生き残った。

アキトたちに気を取られているうちに司令室に侵入され、有無を言わさず、レイラを除いて全員があえなく殺害されてしまった。しかしここでレイラの左目に宿るギアスが青い光を放った。そして3章ではスマイラス将軍の前に現れた謎の少女がレイラの前に現れる。この超常の少女は人間ではなく、何か人間の意識の集合体のような存在であると語る。そしてレイラに対してレイラが持つギアス(幼い頃C.Cから授けられたもの)は「ギアスの欠片」であると。ギアスは人の手には余るものだが、レイラがシンを止めることができることを祈るような言葉をレイラに残し、謎の少女は消えた。
レイラがふと気づくと、司令室におり、仲間たちは死んでおらず生きていた。どうやらレイラのギアスの力でか、時間が巻き戻されたようだった。今度は隙を見せず、司令室に乗り込まれる直前に策を打って侵入を阻止したレイラ。そしてレイラは侵入してきた敵に対して対話を呼び掛けたのだった。

そうしている間にもシンとアキトたちの戦いは続いていた。アキトはシンと対等近くに張り合い善戦するも、リョウやアシュレイはアキトを庇い戦闘不能に陥る。そしてついにアキトとシンは相打ちになりアキトのアレクサンダ、シンのヴェルキンゲトリクスは戦闘不能になる。
ここからは互いに生身で刀を持ち出しての勝負に。アキトはシンを説得しようとするも、もはやシンは自信のギアスの力に飲み込まれそうになっていた。アキトについに止めを刺さんとしたとき、ジャンが割って入り心臓を貫かれる。そして「もう苦しまないで」とシンに言う。自分が刺されると同時にジャンはシンに対して至近距離で銃撃していた。「母と同じ、馬鹿な女だ」と言うシン。

瀕死のシンに寄りそうアキト。未だギアスの力に飲み込まれているシンだが、レイラのギアスの力が作用して目が赤から青に。
シンは幼いころのアキトとの記憶を思い出した。泣いているシンを心配するアキト、そしてアキトをおんぶしてあやした記憶だ。
正気を取り戻したシンはアキトに対して「お前はもう一人じゃない、生きろ」と言い、ジャンと抱き合う幻を見て、彼女の亡骸と寄り添い絶命した。戦いは終わった。

その後、スマイラス将軍はアシュレイが率いるアシュラ隊と戦っていたが、そこにアシュレイが現れる。そしてあの謎の少女が現れて「死ぬのはお前だ」とスマイラス将軍に宣言、その通りに、スマイラス将軍はアシュレイの手により爆発に巻き込まれ死亡した。これによりユーロピア連合はスマイラス将軍の独裁国家からは解放され、ひとまず平穏を取り戻した。

エピローグ。アキト、レイラ、リョウ、ユキヤ、アヤノ、アシュレイは3章で出会ったジプシーの老婆たちと共に生きる選択をしたのだった。
これでよかったのかとレイラにアキトは聞くも、レイラは幸せだと答えた。そしてアキトは初めてレイラを名前で呼び、レイラはアキトにキスをした。
そしてラストシーン。幽閉されているルルーシュとスザクの元にロロが現れて「本国に戻りましょう」と伝えたところで終了。こうしてコードギアスR2へと続く。

感想・評価

こっから感想。
前章ラストのユキヤの安否が不安になる締め方といい、アヤノが立てた不穏なフラグといい、過去にいくつか悲劇的な結末を予感させるようなフラグがいくつかあったものの、それらを全て回避してのメインキャラ全員生存エンド。ハッピーエンドの大団円。悪くなかっと思います。なんか後から考えてみるとよくわからないところはたくさんあったんだけどね。それをあまり気にならせない、最終回ならではのパワーがある作品だった。
途中で司令部にいたキャラ全員あえなく銃殺された時は「うえええ!?」とか変な声出たんだけども。これまで謎だったレイラのギアスの力は時を戻す力、そして人の気持ちを周囲に同調させる力もあるのか、それによってとにかく危機は回避されたわけだ。

何より個人的にうれしかったのがシン・ヒュウガ・シャイングについてだ。4章の感想でシンについて「こいつは結局何なんだ?バックボーンが語られないし理解できない」というようなことを書いたのだが、今回そのものずばり、それを氷解させてくれる展開なのがうれしかった。彼の背景はラストのアキトとの戦いを挟みながら演出される。簡潔にまとめると、「浮気をした妻、そしてその相手を殺した実父を自分で殺したことがきっかけでギアスに蝕まれでしまったものの、本当は人並みに優しさを持った、アキトにとってもいいお兄ちゃんだった」ということらしい。どっちにせよ、実父を殺した時点で元々頭おかしい人ではあったのだが。とにかくちゃんと理解できる悪役だったのが良かった。この点が個人的に最も評価できる部分。このまま背景語られないで終わったらどうしようとかちょっと不安に思ってたからね、実際。

話はいきなり宇宙を作り出すとかなんとか言い出して、「なんかジャンルがセカイ系か何かっぽくなっちゃったぞ?」とかちょっと思ったのだが、こういう理由つけたからこそ、シンとアキトが心を通わせる空間を作り出し、この兄弟の過去が語られる展開に持っていけたのだと思う。ソフィ博士が「つまり心は宇宙をも作り出せるのよ!」とか熱く語っている時は「敵が眼前に迫ってる場合なのにそんなこと言っとる場合かー!」と思ったのだが。そのせいでそっちに気をとられて一旦は全滅してるし。この辺、エヴァ:破における赤城リツコ博士を思い出させるものがあって、「この人太鼓叩きそうだな」とか思ってしまってちょっと笑った。

そして相変わらずの戦闘のクオリティ。今回は本拠地であるヴァイスボルフ城での総力戦。三次元アクロバティックな目まぐるしくスピード感あふれる戦いはこれまでの中でも特に尺が長かったような気がする。シンVSアキト&リョウ&アシュレイの3VS1の戦いは最終決戦にふさわしいもの。以前はあえなくシンに無力化させられたアキトがほぼ互角に張り合うのは熱かった。

うん、とにかく悪くなかったと思います。なんか世間の評判は割と辛いみたいだけれども、コードギアス亡国のアキト全5章。なかなか悪くない作品だった。

項目別評価

大団円で個人的には申し分のない最終章。これまでは「う〜ん?」と悪い意味でうなってしまうところが1つ2つある作品だったが、今回はこれといってそういう部分がなく、気持ちよく視聴できた。例えばアシュレイが何とはなしにジャンの部屋へ侵入している点とか、アヤノがほぼ初対面のジャンに対して抱き着いて説得するのは不自然だろとか、細かい違和感をいくつか挙げることはできるのだけれども、それをあまり気にさせない、最終章ならではの勢い、いい意味での強引さがあったと感じる。それほどコードギアスシリーズのファンというわけではないが、2年ほど付き合ってきた作品、各キャラが平穏無事のままに終え、安心した。
全5章を全て見終わり振り返ると、この「コードギアス 亡国のアキト」という作品は3DCGによる戦闘が最大の見どころだったように思う。話が雑な部分がたびたびあるのは否定できないし、そこに否定的な意見が出るのは然るべき。しかし仮に話に入り込めなくても、誰しもそこには目を奪われること間違いない。ロボットが戦うアニメが好きなら外せない作品の一つなのではないだろうか?
それはともかく評価がかなり高めなのは、自分が持ってたシンについての疑問をピンポイントで氷解させてくれたから、という超個人的理由が含まれてるせいと思ってください。

凡人の感想・ネタバレアニメ>コードギアス 亡国のアキト 最終章