テイルズオブゼスティリア 導師の夜明け 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日2014年12月31日

評論

ゲームのテイルズオブゼスティリアの評価を2015年2月2日に書いたのでそっちに興味があればそちらへ。

2015年をもって生誕20周年となるRPGゲーム「テイルズ オブ」シリーズの最新作が1月22日に発売となる。
そして12月30日を皮切り、各放送局においてテレビSP「テイルズオブゼスティリア 導師の夜明け」という作品が放送される。
さすが20周年というだけあって、発売前のこの作品の周辺は騒がしい。これも当然販売促進の一貫ということだろう。
テレビアニメ化というのも過去にはテイルズオブエターニア、ファンタジア、アビス、ヴェスペリアなどが存在はしていたのだが…。ヴェスペリアに関しては良作だったのだが、エターニアとかは酷いものだった。作画が崩れまくり、話もお粗末で…。テイルズのアニメ化は多分一回きりのスペシャルだけとかにしておくべきなのだ。

この作品は50分程度のテレビスペシャルだ。そのため、全体を通して作画は素晴らしく、文句のつけどころはない。キャラクター、背景、とても美しく、崩れるようなところはない。ちょっと戦闘シーンはイマイチだったかなとも思えたが。

登場人物は主人公のスレイ、その親友のミクリオ、スレイの住む地域に迷い込んできたアリーシャ、スレイの村の長老ジイジ、村に侵入してきたルナールがメインとなる。
普通の人間には見えない「天族」という種族が住み人間を拒絶している村イズチ。その周辺で遺跡探索をしていたイズチで生まれ育った人間のスレイ、そして天族の少年ミクリオがヒロインであるアリーシャと遭遇し、これから始まる冒険を予感させるものとなっている。世界にあふれるという災厄、ルナールのように憑魔と化した人間、そして世界を救うという導師の存在。この短いアニメからでも本編の波乱を予感させるには十分な内容。テイルズ20周年記念作品だ。きっと王道ながらも完成度の高い作品に仕上がっているのだろう。

これはつまりゲームの冒頭部分のアニメ化ということだろうから、ストーリーに文句つけることなんて特にないのだが一つ気になったところが。
ルナールという凶悪な人物がイズチに侵入してきており、イズチの住民の一人、マイセンが殺されてしまう。しかも文字通り食べられてしまうというやたらとグロい殺され方。そんなことをされたのに、この後のイズチの住民がそれをまったく嘆いている様子がないのがどうなの?と。長老のジイジもさっきまでは「人間などをここに連れてきおって!」と怒っていたはずなのにいきなり達観したように「スレイ、これで良いのじゃ…」みたいな。あまつさえこの後、客人へのもてなし、とか言ってなんかキラキラした儀式みたいのをアリーシャに見せる。いや、モブ村人とはいえマイセンさんの死を悼んであげようよ!っていう。よりによってそのタイミングでもてなし!?と突っ込まずにはいられない。
なんかTwitterはじめ、ネット上でもマイセンの話題で盛り上がったようで…。いや、見ていれば当然の感想だろう。こういう当然に生まれるはずの心理を無視されると一気に作品との距離を感じてしまう。ゲームでもマイセンの扱いはこうなんだろうか?こういう展開なら、ギリギリのところで命は救われた、ってことでも何も問題ないだろうに。

テイルズシリーズはいわゆる王道なファンタジーRPGのシリーズであるが、この20周年のテイルズオブゼスティリアは原点回帰とでもいわんばかりに、キャラクターや世界観はきわめつけに王道なものになっていると思う。スレイのキャラクターが象徴的だが、嫌味ない気のいい青年で、ここまで主人公然とした主人公も珍しい。ザ・RPGの主人公、といった感じ。20周年ということで小細工なしの完成度の高い真っ向ファンタジーを作ってやろう、という感じが発売前から伝わってくる。マイセンが色々とかっさらっていったテレビアニメスペシャルだが、ゲームには期待している。

最後に各キャラについてあれこれ。

主人公のスレイ。人間であるが、長い間、イズチにて天族とともに暮らしてきたために普通では見えないはずの天族が見え、交流できる。
とにかく気のいい青年である。アニメで見た限りでは悪く言えば面白みがないと言えるほどに。けど嫌悪感を感じるようなキャラでもない。おそらく17歳くらいなのだろうが、一度もイズチを出ていない、という設定にはやや無理があるようにも思えるが。いくらなんでもそんな長い時間、ほとんど何もないような村に住むのは無理じゃないかな、と現実に即して考えてしまった。RPGの導入では割とこういう設定って多いんで突っ込むのも野暮だろうけど。

スレイの親友ミクリオ。
線の細い美少年。いかにも女子人気を狙ったキャラだ。しかし彼もやや毒舌気味であることを除けば基本的には普通の少年、といった感じである。スレイとは無い部分を補う名コンビ、そんな感じ。彼ら天族がアリーシャら普通の人間にも見えるようになるのはいつになるのか。しばらくは同じパーティながら交流がないという感じになるのだろうか?

ヒロインアリーシャ。
このアニメでは明かされないが実は彼女はハイドランド王国の王位継承権を持つ王女だ。スレイとの別れまで名前を明かさなかったのはその立場ゆえだろう。王女だが気の優しい人物という、これまた王道といったヒロイン。世間知らずな王女キャラということで、ゲーム本編では、例えば自然系のダンジョンなどではパーティをにぎわせてくれそうでもあり、楽しみである。

イズチの村の長老のジイジ。
最初はアリーシャを保護して村に連れ込んできたスレイに雷を落とすのだが、上記の通りルナール登場後にスレイを叱るのかと思えば逆になぜか達観したように理解を示す。それはいいんだけどマイセンについて何かもうちょっとないんですかね…。頑固じいさんってだけじゃないのは好感を持つんだけどこのアニメ部分でのこの人は何かおかしいよ、と思うのが大方の感想だろう。

憑魔に取り付かれた人間ルナール。
憑魔というのは、この世界における負の感情が具現化した「穢れ」に侵された魔物のことである。ルナールはその象徴的人物で、このアニメにおいても天族であるマイセンを食ってしまうというえげつない行為を行う。たぶん、こいつとはゲーム内で何度も戦うタイプじゃないかと思わせる。D2のバルバトスのように。テイルズでは何度も戦うライバルキャラってのは割と定番だし。敵キャラ図鑑みたいのにルナール(第一形態)、ルナール(第二携帯)って感じで連続で載ることになるんだろう。目に浮かぶようだ。多分最後には姿も禍々しく変貌しそう。
余談だが、スレイの剣による攻撃を普通に連続的に喰らっていたが血とかは出ないのにちょっと驚いた。ゲーム内では刃物で切りつけてもダメージ受けるだけだが、アニメとかだと大惨事、とかってよくあるから。おお、ゲームぽいな、となぜか感心してしまった。

項目別評価

戦闘シーンでのもっさり感がやや気になったものの、絵は素晴らしい。もてなしをするタイミングが流石にちょっと違和感ありすぎたので構成を低めに。

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