ファイナルファンタジー7(FF7) 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日2015年01月13日

評論

全RPG中で最高のゲームは何か?と聞かれて自分がまず思いつくゲーム。それが1997年1月31日発売のファイナルファンタジー7である。

1990年代中盤のスクウェアは破竹の勢いで名作RPGを作り出し続けていった。93年の聖剣伝説2、ロマンシング・サガ2、94年のFF6、ライブ・ア・ライブ、95年のクロノトリガー、ロマンシング・サガ3、タクティクスオウガ、聖剣伝説3、96年のルドラの秘宝、など。一本だけ見ても未だにヘビーなファンが多い作品を、たった3、4年の間に凄まじい密度で輩出し続けた。そして97年のファイナルファンタジー7をもって、それはピークを極めたと言っていいだろう。

この時代を知っているゲーム好きのおっさんならきっとこういう言葉が頭をよぎる時があったこともあるのではないだろうか。「昔の方がいいゲームがあった」、と。それは具体的にはこの当時のスクウェアの力によるものが大きいのではないだろうか。そしてそれは思い出補正などではなく、確かなものだと思う。それだけ、この時代のスクウェアは間違いなく素晴らしかったのだ。奇跡とも思えるセンス、ソフト開発力で名作を生み出してきたスクウェアがどれだけこの当時のゲームシーンを沸かせたか知れない。
こういう話になると必ず反論して出てくる「思い出補正」だが、まあ確かにそれは多分にあると思う。誰しも10代前半くらいでプレイしたゲームが一番面白く感じるように出来ているもんだし。だけど、例えばロマサガ3なんかは2007年ごろに初めてプレイしたのだが、その時期プレイした他の最新作のうちどれよりも面白かった記憶がある。実際、「ゲーム」として面白いゲームっていうのはやっぱり昔のゲームに存在すると思うのだよな。「映像」などといったものも含めた評価ってのは果たして「ゲーム」を評価してるんだろうかな?とも思うわけで。でもこの辺の話は自分でもあまり整理して考えたことはないし、結論は出ていない。ただ、ここで語るFF7に関しては昔に戻ったような感覚でレビューしたい。というわけで思い出補正がかかっていると思ってくれてもいいが、FF7も7、8年前くらいに久しぶりにプレイして滅茶苦茶面白かったのも確かだったということも付け加えておきたい。

90年代半ばの奇跡的なラインナップの中でも頂点と言えるのがこのファイナルファンタジー7。
96年にゲーム中の写真映像と共にその存在が発表された時の衝撃は未だに忘れようもない。まだ当時3Dゲームというものにユーザーの目自体が慣れていないということもあったが、それでも他のメーカーとは間違いなく一線を画したクオリティの3Dモデルで表現された世界に圧倒されたもの。このFF7、キャラクターなどの動くオブジェクト以外は止め絵で表現されているのだが、これに関しては今見ても美しいと思えるクオリティだと思う。質感や陰影、光の表現が素晴らしいからだろう。
凄まじく緻密に作りこまれた世界、特に序盤のミッドガルがその中でも抜けているが、それらはまるでそこに本当にあるかのような存在感、臨場感を感じさせてくれる。FF7世界全体から漂うダウナー、退廃的な雰囲気にいつの間にかどっぷり漬かることになるのだ。これもミッドガルに顕著だが、ほんの少しの間、一度しか通過しないようなマップでも妥協なく作りこんであるのに脱帽する。

映像もそうだが、FF7の何が凄いかというのを端的に表すと、「エンターテイメント性」に優れている点ではないかと思う。視覚的にも演出的にも、このファイナルファンタジー7は絶え間なくユーザーを楽しませてくれてる。よく言われるところではミニゲームの多さ。何気ないところでもミニゲームや何らかの制約の中での行動を課してきて退屈させない。ミッドガル列車内でのタイムリミット中の進行や、イルカのミニゲーム、バイクを使っての逃走劇、コンドルフォートでのシミュレーションゲーム、兵士に変装してパレードで動きを合わせるミニゲーム、囚われた状態からの脱出、ティファとスカーレットのキャットファイト、暴走した列車でのレバー操作のミニゲーム、極寒の氷原の中での移動、スノーボードのミニゲーム、などなど。ただキャラクターを操作してマップ上を移動するだけでなくさまざまなアプローチでユーザーに接触してくるため目が離せない、油断できない。スノーボードやバイクなどはゴールドソーサーで単体で遊べるが、これだけでも一本のゲームに相当するくらいだともよく言われる。プラットフォームがPSになったから、またポリゴンの世界に踏み出し次世代に突入したからということもあってか、ありとあらゆる遊び要素を微塵も出し惜しみすることなくこのFF7に積み込んだ、そんな感じだ。

戦闘システムはマテリアシステム。何らかの効果を発揮する魔法の石マテリアを装備に装着することで魔法や特殊行動を使えるようになったり、ステータスを変動させたりすることができるというシステム。単純だが、面白いシステムだ。物語を進むごとにどんどん強いマテリアを入手できるというのはそれだけで絶大なモチベーションにつながる。リミット技という、分かりやすい必殺技も男子の心をくすぐるものがある。これらもまた強くなっていくにしたがって新たに習得していく。当時ちょうど小学生、中学生だった人間ならば、クールで格好よく大剣を振るうクラウドに憧れた人間も多いだろう。彼が扱う技は特に格好いい。超究武神破斬という超かっこいい連続攻撃が最強技なんだからまたたまらない。子供心に響くね、ああいうのは。

魅力的なキャラにとてつもなく美しい映像、飽きさせないストーリー展開、ダウナーながらも引き込まれる世界、とにかくこのFF7には魅力が溢れんばかりに詰まっている。プラットフォームの変わり際、特にドット絵からポリゴンへの転換期という、グラフィックに関してはもう二度とはない大きな転換期だからこそ生まれた奇跡の作品だと思うが、だからこそ、全RPGの頂点に君臨していると言っても過言ではないとすら思える作品だ。
そういえば何やら2015年、今年はPS4で発売されるらしい。これの発表当時、ユーザー側からは「今更18年も前のゲームをPS4で出すのか…」という冷ややかな反応も強かったらしいが、見方を変えればそれだけスクウェアエニックス側からしてもFF7が破格の存在であるということだろう。フルリメイクされる時は…果たしてくるのだろうか?デフォルメされたポリゴンモデルだからこそできていることも多く、またそれが面白い部分でもあるのでリアルになったら潰してしまう長所も多いし、きっとそんな時は来ないと思っているが。

来ないと思っていた。しかし来た。リメイク記念イラスト。

項目別評価

今、客観的に見て評価というわけではなく、当時基準で評価してみた結果。はっきり言って文句のつけようがないゲーム。映像に関して、まだポリゴンが粗い時期なので敵グラフィックなどは当時ですら少しショボイな、とも思っていたが、せいぜいそれくらいだろうか。ストーリーに関しては少しケチつけたいところでもあるが、それ以上に世界観に引き込まれるので10点だ。

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