R-TYPE 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日2015年02月22日

評論

1998年、PSでアイレム(irem)から発売のSTG「R-TYPE (アールタイプ デルタ)」のレビューである。初のSTGのレビューとなる。
ちなみに、人生で一番やりこんだ思い出のSTGなので今回レビューすることに。

STG(シューティングゲーム)というのはインベーターやグラディウスという偉大なゲームが存在するジャンルであり、言わずと知れた家庭用ゲーム機であるファミコンが発売される以前に「ゲーム」そのものを大衆に寝付かせた偉大な存在であるはずなのだが、とうの昔にジャンルとしては廃れきっていると言えるだろう。東方projectのような同人ジャンルやフリーゲーム、インディーズゲームのことはよくわからないのであくまで旧来からある商業ゲームとしては、と付け加えておくか。ともかくそういう風に条件を限ると、もはやシューティングゲームなどはゲームセンターなどですらも見かけることはなく、消滅の危機、あるいはちょうど消滅した、とも言える時期に来ているのではないだろうか。首領蜂シリーズを作ったケイブですら、2013年にアーケードゲームからは撤退し、スマホでしかSTGを出すことはなくなってしまいっているようだ。

大体、1980年代が全盛期とも言えるジャンルなのでそれ以降は衰退の一途を辿ったのだが、それでも近年までしぶとく生き続けてきた。時代の変遷につれていくつかのジャンルに細分化されてきたジャンルでもある。
このジャンルに明るくないので知ったかぶりになるが、自分の知っている範囲だと、正統派シューティングか、弾幕シューティングか、という分類になる。前者は実際はそう呼ぶのかは分からないが、とにかく弾幕系というジャンルだけは明らかにそういうものとして存在する。弾幕系か、それ以外か、という方が分かりやすいか。とりあえず90年代から2000年代前半にかけての2DのSTGは大体こういうわけ方でも間違っていないと思う。多分。怒首領蜂、式神の城などといった弾幕系と、旧来からあった正統派STG。それらに二分されていた。

1997年に「怒首領蜂」シリーズが生み出した弾幕シューティングはおびただしい数の敵弾を潜り抜けていくというゲーム性なのに対し、R-TYPEやグラディウスといった旧来のシューティングゲームはそれらよりも「覚えゲー」な要素が強く、何度も何度も死んで覚えることが必要となる。実際のところ弾幕系だって突き詰めれば覚えゲーになっていくのであるが、当たり判定が小さいそれらよりも「ガチ避け」が難しいのは間違いなく、各所で適切な行動を取らないとたちまち撃墜されてしまうのである。最たる覚えゲーは多分「斑鳩」とかだろうか。プレイしたがあれはあまりにも覚え要素が強すぎて人を選びすぎると思った。

R-TYPEシリーズもまた覚え要素が強いのであるが、最大の特徴はなんと言っても無敵生命体を兵器に転用した「フォース」と呼ばれる生体兵器の存在である。これは特定の種類の弾を完全に防ぐことができ、また機体と切り離して遠隔で攻撃させたりというようにして使うことができる。これを上手く扱うようになることがR-TYPEシリーズのセオリーであり、面白いところである。フォースを使って敵弾を適切に防いでいくパターンを構築していく。死に続けて覚えたそのパターンをどんどんつないでいき、最終的にはノーミスでクリアできるようになる喜び。それがR-TYPEシリーズの魅力だ。フォースという一部の敵弾に対しては絶対防御を誇るツールがあるからこそ、フォースを付け替えるタイミングなどを覚えればシューターとしての腕前はそれほど必要でないため、割ととっつきやすい部類に入ると思う。

またR-TYPEの魅力の一つに、その世界観がある。
この世界においてはかつて人類自体が生み出した「バイド」という人工生命体が敵対勢力だ。このバイドは無機物でも有機物でも侵食し、さらに生命であるなら精神すら蝕んでしまうおぞましい生物だ。
このR-TYPE凾ノおいては、このバイドという存在のおどろおどろしさを雰囲気やBGMで実によく現しており、とても魅力的な世界観に仕上がっている。ステージで雰囲気が変わる地点にさしかかるとちょうどBGMが転調したり、水中に入るとBGMが変化したりと、雰囲気作りを重視しているのが分かる。全7あるステージのどのBGMも素晴らしく、バイドのおぞましさや恐ろしさがプレイヤーに伝わり、世界に没入させてくれる。
このゲームにのめりこんだ理由としては、これが一番大きかったように思える。ゲームの完成度ももちろんだが、BGMや演出なくしては何度も何度もプレイするゲームにはなり得なかった。

肝心のゲーム性だが、難易度は絶妙。3つの難易度から選べるが、一番下の難易度ならばそこそこにやりこめばノーミスクリアは難しくない程度であり、また相当にやりこめば最高難易度でもノーミスが可能となっているくらいだ。機体は3つから選べるが、このうちR-13という機体は特に扱いやすく、最もやりこんでいた時期では確か最高難易度でのノーミスを達成したと思う。シューティングゲームの才能は全くないと自覚しているが、それでもやりこむことによってノーミス達成できた。しかしR-13以外の機体だとかなり難しいために不可能だった。総合的に、初心者から上級者まで対応した絶妙な難易度設定と言える。

項目別評価

生涯で一番やりこんだSTG。STGとしての完成度は高く、何よりBGMや演出による雰囲気作りが素晴らしい。2003年に発売されたSTGとしてのR-TYPEでは最終作となるR-TYPE FINALにおいてはこの辺りがどうも淡白であまりのめりこめなかったのだった。

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