アントマン 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>アントマン

執筆日:2016年03月11日

ストーリー・ネタバレ

冒頭、ハンク・ピム(マイケル・ダグラス)という「S.H.I.E.L.D.」所属の人間が、自分の研究を盗まれたと怒り心頭になっているシーン。それを理由にハンクはS.H.I.E.L.D.を辞めたのだった。彼が発見した粒子は何やらものすごいものらしい。S.H.I.E.L.D.の要職に就くミッチェルは彼を止めないと、と言うも、その側近は「彼は敵に回さなければ危険ではない」と言った。この時、1987年だった。

時代は進み現代へ。年老いたハンクは招待を受けていた。かつて自分が設立した研究所、ピム・テックに足を運んだ。
招待したのはかつての弟子、ダレン・クロス(コリー・ストール)だ。そして研究所にはハンクの実の娘であるホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)もいたのだった。ハンクとホープは仲は良いようには見えないが、何やらこの親子には思惑がある様子。
ダレンがハンクを招待したのは、ハンクの研究を引き継いで研究を続けていた技術をお披露目するためだった。それは物体をミクロなサイズまで縮めるという技術で、それを駆使した「アントマン」はかつて冷戦時代に運用されたものだとダレンは言う。しかしそんなものはないとハンクは否定する。しかし、ダレンは「イエロージャケット」というジャケットを開発しており、それは実用レベルに近づいていた。これを見せられては、ハンクもアントマンの存在を認めるしかなくなってしまった。ダレンの研究が完成して悪人の手に渡れば大変なことになる。だから、ハンク、ホープ親子はダレンの研究を完成させないために画策していたのだった。

一方、作品の主人公のスコット・ラング(ポール・ラッド)。彼は刑務所での刑期を終えて娑婆へ戻ったところだった。迎えに来たのはかつての仲間のルイス(マイケル・ペーニャ)だ。
スコットはかつて盗みを行って刑務所に入ったのだった。だが、もう盗みはしないと決めていた。
スコットには娘がおり、それは再婚した元妻マギー(ジュディ・グリア)と共に住んでいた。その現在の夫で警察官のバクストン(ボビー・カナヴェイル)には邪険にされるも、スコットは娘との再会を楽しみにしていたのだった。だが、マギーにも辛い言葉を投げかけられるスコットは半ば自暴自棄になり、ルイスが提案した盗みに手を出すことになる。

スコットが盗みに入ったのはハンクの家だった。見事そこの金庫の中へと到達するが、そこにあったのは妙なスーツのみだった。
それを一応は盗み出し、なぜこんなものが金庫に?と疑問に思いつつもスコットはなんとはなしにスーツを身に着けた。するととたんにスコットの体が1センチほどになってしまう。あわてふためくスコットだが、スーツを通して謎の声が聞こえてきた。それはハンクの声だった。小さくなったままあれこれ翻弄されたスコットはあわててスーツを元の金庫に戻しに行ったが、そこで警察に捕まってしまう。
警察官のバクストンに失望されるスコット。留置所に面会に来たのはハンクだった。スコットを見込んだハンクがわざとスコットを自分の家に盗みに入るように仕組んでいたのだった。
留置所の檻の中でふてくされていると、檻の中にアリが入ってきて、そのアリが持ってきたスーツが巨大化。それを着てスコットは留置所から脱出した。しかし、脱出中にスコットはアリから落下してしまう。

気が付くとスコットはハンクの家にいた。そこにはその娘のホープも。
ここでスコットは二人の事情を聞いた。ホープは父親のハンクを嫌っていて、ダレンの元へいたが、ダレンの研究が進むにつれてその存在が危険であると感じ始めて、父親のハンクと協力することにしたのだった。そしてスコットにはアントマンのスーツを来てダレンの研究所へ侵入してそれを抹消してほしいということ。

一方、これまでは無機物しか縮められていなかったが、ダレンはついに生き物も縮めることに成功していた。

ハンクはスコットを説得していた。かつてハンクが辞表をつきつけた相手であるS.H.I.E.L.D.のミッチェルは、現在はヒドラ(ナチスを前身とする危険な組織)に兵器を売りつけるという危険な男となっていて、ダレンの研究のイエロージャケットもそのようにするつもりでいることもハンクは語る。
スコットはあまりに突然の話なので狼狽える。ハンクとホープの親子喧嘩も起こってしまう。しかしスコットはハンクに「娘のためにヒーローになれ」と言われて、アントマンスーツを着て計画を行うことを決める。

ハンク、ホープと共にアントマンとしての訓練をスコットは開始する。身体能力を高めることに始まり、電磁波によりアリを操る訓練も。
そのさなかでハンクはホープに過去を語り出した。ハンクは自分の妻、つまりホープの母親は飛行機事故で死んだと説明してきたが、実は違っていた。ハンクはかつてアントマンと同じ力を持つ「ワスプ」として活動しており、ハンクの妻もアントマンスーツを着て共に活動していた。だが、ソ連がアメリカに向けて発射したICBMを止めるために自分を犠牲にし、スーツの副作用によって彼女は永遠に縮小することになってしまった。
この話を聞いたことによりホープのハンクに対するわだかまりは消えた。

ここからはスコットの訓練もトントン拍子に。ついにスコットはアリも自在に操れるように。

ダレンの研究所に忍び込む前にやらなければならないことがあった。スタークの倉庫にある装置を盗み出すことだ。これがないと、ダレンの研究所の偽装工作が行えないのだった。
しかし忍び込むとそこにはアベンジャーズの一人ファルコンがいて、スコットは彼に見つかってしまう。そして戦いになるも、ファルコンの飛行装置に入って破壊して勝利する。そして無事に装置は盗み出した。

準備はできたが、研究所に侵入するための工作を行うためには現場で動く人員が足りないことが問題になる。しかしここでスコットはルイスたち窃盗犯仲間をハンクとホープに紹介した。ハンクは懐疑的だったものの、結局彼らの助力も得ることになった。
作戦決行前夜、ダレンがハンクの家へやってきて、研究が完成したので来てほしいと招待した。

ついに研究所へ忍び込む。色々と問題はあったが、ついにダレンの研究、イエロージャケットのところまでスコットは到達する。しかしダレンはこれを読んでおり、スコットはイエロージャケットの保管場所に閉じ込められてしまう。その場にいたホープとハンクも絶体絶命の危機。スコットの機転でその場を乗り切るが、ハンクは右肩を撃たれて重傷を負ってしまう。
ダレンはイエロージャケットを持って逃げようとしたが、スコットはそれを追う。ヘリの上で、イエロージャケットをまとったダレンとスコットの一対一の対決となる。

激闘の末、一度はダレンを無力化するも、たまたま現れたバクストンがスコットにテーザーガンを撃ってスコットは気を失ってしまう。
そうしている間に復活したダレンがスコットの娘のキャシーのところへ移動していた。拘束されたままバクストンと共に現場へ移動したスコット。ミクロ化して拘束を脱し、キャシーの子供部屋で最後の決戦。
強力なレーザーを使えるためアントマンと同等以上の性能のイエロージャケットに苦戦するも、アントマンの縮小能力を強化して弱点に入り込みダレンを打ち倒す。しかしそれは諸刃の方法だった。かつてハンクの妻がそうなったように、永遠に縮小を続ける状態に陥ってしまったスコット。しかし娘のキャシーを思い、スーツのジェネレーターをいじったところ、元の世界に生還。

エピローグ。スコットは元妻マギーやその夫バクストンとの信頼を勝ち得て、さらにホープとも恋仲となりつつあって順風満帆。しかしそれを見たハンクは複雑なようで、罵倒しながらひとまず別れたのだった。

そして仲間のルイスから「アベンジャーズのファルコンがアントマンを探している」とスコットに告げ、アントマンのアベンジャーズ加入を予感させるところでエンドロールへ。
エンドロール後前半が終わったところで、ハンクがホープに、かつて妻が着ていた「ワスプ」の新型スーツを見せるシーンが、さらにエンドロール終了後には、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースとウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズも登場して何か重大な問題が発生したことを思わせる。そこでファルコンが「一人アテがある」と言い、最後に「アントマンは帰ってくる」とアントマンの続編を示唆するところで完。

感想・評価

いや〜面白かった。ひねくれ者の自分が第一声でそう言ってしまうくらいに楽しい映画でしたよ、アントマン。
映像面で単純に面白い。一番最初に小さくなったスコットがあわてふためいて、水に飲まれたり、クラブで踊る人間の足元を通ったり、掃除機に吸い込まれたりするシーンでは一気に引き込まれた。スコットがスーツを装着するまでの前置きは比較的退屈な流れだけに、このシーンでのインパクトがすごい。

そして話も単純なのがいい。情けない前科者の軽犯罪者が特訓して研究所に忍び込み盗みを行うってだけの話だから。平凡以下の経歴の人間が、同じく娘を愛するハンクとのわずかなシンパシーを通じて協力するという、背伸びしていない等身大の話なだけにさらっと感情移入できる。

とにかくいい意味で単純な作品。あまり長く語る必要はない。楽しい作品。このサイトでの項目別評価での「エンターテイメント」ってのは、言い換えると「楽しいかどうか」っていう意味合いを重要視して設定しているつもりなんだけども、結局のところ映画はこれが一番重要だと思ってる。楽しいかどうか?そういった観点から見てこの作品には10点あげられます。金曜とか土曜の夜に酒飲みながら見れば最高!そんな映画。

項目別評価

誇張無しに老若男女が楽しめる、そんな映画だと思う。視聴者を選ばないという点ではマーベル作品でもトップだと断言できる。ストーリーは誰でも理解でき、ミクロ世界での戦いも視覚的、直感的に面白く、会話や演出はシリアス控えめでコメディに富んでいる。見てないなら見ましょう。きっと損はしない。

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