アップルシールド アルファ 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>アップルシールド アルファ

執筆日:2015年2月11日

評論

執筆日は2月11日。しかし見たのは3週間ほど前。なので色々と記憶が薄れている上に当時の率直な感想とはかけ離れてしまうかもしれない。しかし時間置いた「思い出し感想」も何度かすでに書いてるんで、頑張ってみようと思う。いや、本当はこういうのやめたいんだけどね。

というわけで、今回は「アップルシードアルファ」という3DCG映画作品について書く。

この作品、なんでも士郎正宗の代表作なのだとか。士郎正宗といえばあの「攻殻機動隊」の原作者ということは知っている。だが、このアップルシードという作品はそれよりも遥かに以前、1980年代に作られた作品であり、カルト的な人気を博したというのだ。
こういう事実すら知らなかったのであり、視聴後に見てみたらまあいろいろと派生作品がたくさん出ていて…。なんだ士郎正宗って、攻殻機動隊よりもこっちがむしろ代表作って言えるんかな、なんて思ったのであった。

攻殻機動隊にしても劇場版アニメの「SAC」を見たくらいなのだが、その重厚な世界観とストーリーにはアニメという枠組みを超えたとさえ思わされたのだった。「原作者は相当に頭良い人なんだろうなあ」なんて月並みな感想を持ったりしたのだが、その原作者、士郎正宗の作品であるということを知り、PSN新着情報で見かけたこのアップルシード アルファという最新作を視聴に至ったのだった。

何の予備知識も持たずに見たのだが、この作品は長らく続いている原作とは隔絶した、リブートした作品だという。要するに全く作品を知らない人間にとっても入門としてうってつけだったということになるだろう。

世界観は大規模な世界大戦で滅んだ荒廃した世界。
主な登場人物は大体6人程度だろうか。

主人公の女性、デュナン。
彼女は相棒であり恋人サイボーグのブリアレオスと共に、傭兵としてギャングの手下として糊口を凌いでいる。
凄腕の傭兵だが、恋人とは違い生身の人間。

そのブリアレオスは元々は人間のサイボーグ。
本来は高性能なヘカトンケイル型のシステムを使っているのだが、それがボロボロになっており、本来の性能を引き出せずにいる。
デュナンのことを案じ、そろそろデュナンは自分とは離れるべきだと考えている。

デュナンとブリアレオスをこき使っているのは双角というサイボーグだ。一帯を仕切っているギャングのリーダーである。
まさにザ・小悪党という感じのキャラクターなのだが、このキャラの存在により雰囲気がシリアスに寄りすぎず和らぎもするので、作品のコメディリリーフ、ある意味癒しでもある。

デュナンとブリアレオスが双角にこき使われてついた任務で偶然出会った人物が2人。
まずはアイリスという少女。彼女は当初デュナンらに打ち解けず、何かを警戒している様子。

もう一人のオルソンという半サイボーグの男性はそのアイリスを守っている。
アイリスもオルソンも何かを隠している様子なのだが…。

悪役として登場するのはサイボーグ集団の頭領、タロス。
彼もサイボーグであり、何やらアイリスを追っている。

ここからがネタバレ。上述の通り視聴から時間が経過してしまった上での感想なので細部は間違っていること留意。

まず物語はデュナンとブリアレオスが「ワクチン」の回収をしているところから始まる。
これは双角の命令で行った任務なのだが、回収して持ち帰る途中でサイボーグ集団に襲われ、ワクチンを駄目にしてしまう。

双角にそれを報告したところ、その代償として別任務、ドローン(無人兵器)の掃討の任務を命じられる。
双角はゲス野郎なのでそろそろ嫌気が刺しており、逃げ出すことも提案していたデュナンたちだったが、ブリアレオスの性能がガタガタなこともあり、結局強気には出れない。仕方なく任務を請け負うのだった。

その任務でドローンに襲われたアイリスとオルソンの2人を助けたデュナンたち。
何かを隠している風な二人だったが、オルソンはブリアレオスのシステムをちょこっといじって本来の性能を取り戻させる。どうやら悪い人間ではなさそうだ。

ああだこうだやってるうちに、謎のサイボーグ集団が姿を現す。アイリスたちを捜しているようだ。その様子を伺っていたデュナンらは、事情を話さないアイリスとオルソンらをいぶかしがりながらも、行動を共にすることに。

次にサイボーグ集団は双角のもとへと姿を現す。集団の頭領はタロスという名だ。
双角はそんな奴知らんと言う。彼は本当に知らないのだが、サイボーグ集団のうちでも手練れの女性型サイボーグは双角を事務所もろとも吹き飛ばそうとしてしまう。木っ端微塵に吹き飛んだかと思われた双角だったが、やたらと頑丈なようで、手下共々平然と生きていた。そしてこんな目に合うことになった原因であるアイリスという少女を奪ってやると鼻息荒くするのだった。

そうこうしている間、デュナンらは最初は口をつぐんでいたアイリスたちと徐々に打ち解けて、アイリスとオルソンはオリュンポスという組織に属していて、何か任務を行うために来たのだということを知る。オリュンポスというのはどこかにあるという理想郷のような都市であり、デュナンらは、特にブリアレオスは存在を信じていない都市だった。だが彼女らはそこから来たのだという。

そのうちデュナンらの元には双角が戦車で襲撃してくる。
しかし本来の性能を取り戻したブリアレオスはじめ、デュナン、アイリス、オルソンらの力によりこれを撃退する。
だがその直後、油断した隙に今度はタロスらが現れ、アイリスもオルソンも飛行艇でさらわれてしまう。

飛行艇の中で尋問されているうち、直前に彼の頭脳をハッキングして彼が隠していた情報を知ることができたので、タロスにとっては彼はもはや用済みとなってしまった。オルソンは銃で撃たれて命を落とす。
彼の信号を追ってきたデュナンとブリアレオス。空空挺から落下した彼の死体を見てデュナンは途方に暮れそうになるが、この時点で、ブリアレオスはオルソンとの会話を通して、じわじわと考えを改めつつあったのだった。受身で生きてきた今までとは決別すると覚悟を決める。そしてデュナンもそれに同調して心機一転、オルソンの意思を継ぎ、さらわれたアイリスを追いかける。

オルソンが持っていた情報を元にタロスらの行き先を知ることができた二人が追っていくと、何やら大仰な基地のようなところにたどり着く。
そこで銃撃戦を行いつつ首魁であるタロス、そしてアイリスの元へと迫ってい。第三勢力の双角も戦車は爆破されたにも関わらずまたもピンピンして姿を現し、デュナンらよりもむしろタロスらにムカついている彼はデュナンに手を貸すことになる。

一方、タロスがアイリスを連れてやってきたのは何かの機動装置がある場所。
抵抗するアイリスを無理矢理に網膜読み取りの装置へと押しやり、何かが起動する。
すると、巨大な機動兵器が姿を現す。タロスの狙いはこの兵器を手中に収めることだった。さらに言えば、タロスはオルソンの元同僚であり、アイリスの任務とはこの兵器を破壊することだったのだ。

巨大な兵器が機動してしまったが、デュナンとブリアレオス、そして双角はどうにかこの機動兵器を停止させようとする。
動く兵器にデュナンが乗り込み、ついにタロスの元へとたどり着き、タロスを討ち果たす。そして「報復モード」になっていてニューヨークに行って核爆発するような状態になっている機動兵器を止めようともするのだが…。

兵器の弱点を外部からブリアレオスが狙撃するという手はずになったのだが、そのタイミングになる直前にアイリスが告白する。
「自分はこの兵器を止めるために作られたバイオロイド、人造人間である。そしてこの制御室から離れるわけにはいかない」と。
身を捨てようとする彼女を最後まで説得していたデュナンだったが、アイリスに強制的に排除され、直後、ブリアレオスが狙撃。巨大兵器は爆発四散。

生き残ったデュナンだったが、彼女を救えなかったことを惜しむ。
そして、自分の街を取り戻してくれた礼として双角一味からもらった車に乗り、デュナンとブリアレオスは存在するかも疑わしかった「オリュンポス」を目指して旅立った。完。
…なのだが、スタッフロール後にも少しだけシーンがある。そこでは、アイリスの元となったオリジナルの姿が。おそらく彼女がいる場所こそがオリュンポスなのだろうか。

思い出せない部分は調べながら書いたのでまたもへったくそな文章になってしまったのだが、とりあえずまとめてみた。
何せアップルシードという作品を知らない自分であるので、感想書くついでに調べているとなるほどそうだったのかと知る部分も多かった。

まず「荒廃した近未来SF」というだけで何か男子心をくすぐるものがあったのだが、1時間30分ほどのストーリーとしては駆け足すぎず、詰め込みすぎず、絶妙にまとまっていた。何か不自然に思えるような部分は特に感じなかった。
そもそもこのアップルシード アルファという作品が単体で完結している作品であることも視聴中知らなかったので、オルソンが死んでアイリスを追いかけるぞ!と2人が決意したところで「あれ、ここで終わるのかな?」と思ったら結末までずっと続いたっていうね。体感で2時間以上あったような気がするが、結末までコンパクトにまとめていて、これで90分しかなかったのか!と感心したのだった。

キャラクターでは正直なところ、主人公のデュナン、ブリアレオスにはそれほど魅力は感じなかったのだが、小悪党の双角、これがいい味出してた。このキャラがいなかったらちょっと堅すぎてつまらない話だったろうが、まさに作品のコメディ担当を見事にこなしていて、シリアスすぎずふざけすぎず、作風をいい塩梅に調整していたと思う。
序盤:なんだこのゲス野郎は。さっさとやられろよ。
中盤:こいつ不死身なの?ていうか一人だけギャグキャラすぎるだろ。
終盤:敵の敵は味方!双角カッコいい!イカス!
みたいな変遷を経た。あれ、なんか普通にいい奴じゃない?と思ってしまうのだが、この双角、自分のシマに戻れば今まで通りゲス野郎なんだろうなあ。しかしいい味出してるキャラである。とにかく一番印象に残ったのが一人だけ異彩を放ちすぎているこの小悪党、双角だった。

項目別評価

アップルシードという作品に関して全く知見はない自分が評価してみた結果、こんな感じに。構成に無理がなく、たった1時間30分とは思えないほどに感じた。
退廃的で地味な世界観においてとにかく双角というキャラが際立っていて面白かったので8と高めに。
独立したリブート作品というだけあり、アップルシードという作品を知らない自分のような人間でも楽しめるというのが最も特筆すべき点だろうか。「用語がさっぱりわからん!」「原作知らない人間置いてけぼりか!」みたいなことにはならないので一見さんにもお勧めだ。

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