アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年11月19日

ストーリー・ネタバレ

冒頭、いきなりアベンジャーズメンバーが何かの組織と戦っているところから物語は始まる。
その相手は、ナチスドイツを前身とする悪の組織「ヒュドラ」だ。ヒュドラはソーの弟であるロキの杖の力を使い、人体実験をしているということをアベンジャーズは察知し、打って出たのだ。圧倒的な力を持つアベンジャーズたちが当然のごとく押すが、敵方には人体実験により強化人間と化したピエトロとワンダの双子兄妹がいた。ピエトロは常人では察知できないほどの超高速スピードでの移動が可能な力を持ち、ワンダは赤い力を発しながら作用する超能力と対象の精神を操るマインドコントロールを使うことができる。
激しい戦いの中でホークアイことクリント・バートンが腹部に重傷を負う。アイアンマンことトニー・スタークがついにロキの杖を取ろうとしたとき、ワンダがマインドコントロール能力でトニーに幻覚を見せる。それは仲間たちが全滅した映像であり、そこでキャプテン・アメリカことスティーブが「お前が力を出し切らないからこうなった」と恨めし気に語るのだった。その幻覚から醒め、ロキの杖をトニーが手にとったところでタイトルが出る。

アベンジャーズメンバーたちはロキの杖を回収して帰路についた。その杖を解析していたトニーは杖の先についている黄色い光を放つ石に人工知能のようなものがあることを突き止めた。トニーは自分と同じく科学者であるハルクことバナーに相談してこれを世界を守るために利用できないかと提案する。優れた人工知能である「ウルトロン」を作り、それにより地球にやってくる外敵から地球を守るのだと。しかしバナーはこれを危険な思想だとして反発した。

ロキの杖を回収できたことと、ソーの送別も兼ねてパーティを開催したアベンジャーズメンバー。そこでブラックウィドウことナターシャはバナーに対して積極的に迫る。それを見たスティーブはバナーに対して「ナターシャは君には心を開くようだ。君とナターシャは幸せになるべきだ」と祝福した。
また、このパーティでは余興としてソーの持つハンマー、ムジョルニアを持ち上げようとする催しも。全員が挑戦し、アイアンマンとウォーマシンの力を使うなどしても全くあがらないが、スティーブが挑戦するとほんの少しだけ動き、ソーは動揺した。
一方、解析を続けるトニーの相棒である人工知能ジャービスだったが、突如、杖の石の人工知能ウルトロンが覚醒して話し始める。そしてジャービスを乗っ取ってしまう。ボディを自分用に作ったウルトロンはパーティを行っているアベンジャーズの元へ現れ、人類への宣戦布告じみた発言をする。なんとかこの場ではウルトロンを退けたが、ウルトロンは無数に作成したボディすべてに宿っているのだ。

ウルトロンはヒュドラの強化人間である双子兄妹と会い、仲間に引き入れた。この双子は、かつてトニーの作った爆弾により死の恐怖におびえた過去を持っており、それゆえにトニーを憎んでいるという背景があった。だがこの二人もまた、人類のためになりたいと思っているのである。自分が正しい世界の秩序を作るというウルトロンの勧誘により、この双子はウルトロンについていくことに。

ウルトロンとピエトロ、ワンダ兄妹は次なる目的のために武器商人と会う。目的はヴィヴラニウムという、キャプテン・アメリカの盾の原材料ともなっている特殊な金属だ。しかし事前に察知したアベンジャーズたちはウルトロンたちと商人との商談現場へやってきて戦いになる。激しい戦いになったが、ワンダのマインドコントロールにスティーブ、ナターシャ、ソーがかかってしまい、それぞれが悪夢を見る。スティーブはかつて果たせなかった、恋人ペギーとのダンスの夢を見て、ソーは夢の中で「お前が破滅を招く」というような予言を見、そしてナターシャはかつてKGBでの厳しいスパイ訓練を行っていた頃の悪夢を見る。トニーは有留トロンと激しい空中戦になり、無事だったクリントはピエトロにやられてしまう。そして戦線にはおらず待機していたバナーの元へ双子が。ワンダの力により心を乱し、バナーはハルクへと変貌、しかも完全に正気を失っている状態。ウルトロンを倒したトニーはハルクを止めるために衛星ヴェロニカから「ハルクバスター」を射出して身にまとう。ハルクバスターはハルクと同様の巨体と怪力を誇る強力なアーマーだ。これを駆使してヨハネスブルクの地で大乱闘を繰り広げ、どうにかハルクを無力化することに成功したのだった。

だが、そのヨハネスブルクでの戦いのせいでアベンジャーズの風評は最悪になってしまう。バナーを逮捕すべきだという世論も噴出してしまうほどだった。
ここで、身体も心も傷ついたメンバーたちを乗せた飛空船を操縦するクリントが「秘密の場所に連れていく」と言う。着いてみると、そこはなんとクリントの妻と二人の娘がいる家だった。
穏やかなその場所で一時の休息をとる一同。トニーがクリントの妻にトラクターの整備をしてくれと頼まれていってみるとそこにはかつてのSHIELDの長官であるニック・フューリーがいた。ウルトロンは核ミサイルの発射コードを盗もうと試みているが、何者かがそれを阻止していることを知る。そしてその手がかりがノルウェー、オスロにあることも。

一方、一度個別行動を取ったソーは友人のエリックに会う。そして彼の知っている謎の泉へとたどり着く。そこへ入るとワンダに見せられた悪夢の続きを見ることができるのだという。そして夢の続きで、黄金のガントレットの映像を見る。

ウルトロンは今の機械の体でなく、人間の体を作るために動いていた。ヴィヴラニウムを体内に組み込み、さらにはロキの杖の中にある石も額に入れるという計画で、それにより究極の肉体を得るつもりなのだ。その体のことはクレードルとウルトロンは呼ぶ。今まで機械の体だったのでワンダはウルトロンの心を読むことはできなかったが、このクレードルに力を使うと読み取ることができた。ウルトロンは人類を滅ぼすつもりであることを兄妹は知り戦慄する。作成途中の肉体をトラックで運送しているウルトロンの元へ強襲をかけるアベンジャーズ。ピエトロとワンダもアベンジャーズに味方することとなり、激しい市街戦となる。それを制しなんとかクレードルを奪ったが、代償としてナターシャが行方不明となった。クレードルはクリントの手によりトニーの元へと届けられる。しかし、兄妹がクレードルの体をトニーの元へ渡してはいけないと、スティーブに強く言った。

ウルトロンの真の体となるクレードルがトニーの元へと到着した。バナーもおり、トニーは以前のようにこの体を使って計画を実行に移すべきだという。そしてここで核発射コードが奪われるのを阻止していた謎の人物の存在が明らかに。それはジャービスだった。ジャービスはウルトロンに敗北したように見せかけていただけであり、実は健在だった。そしてトニーが言う計画とはこのジャービスの人工知能をクレードルへとアップデートすることだった。そこにスティーブと兄妹が現れただちに中止するように言うもトニーは聞かない。そして仲間同士で戦いになるも、急きょ現れたソーがクレードルに力を注ぎこみ、クレードルにジャービスの人格がアップデートされ、クレードルが動き出す。これは「ヴィジョン」と呼ばれる存在であり、超然とした雰囲気をまとってはいるものの、ウルトロンのように人類に敵対的な存在でもない。また彼はソーのムジョルニアを持ってみせ、これにより邪悪な存在でないことを証明する形になった。
一方、クレードルを奪った際に行方不明になっていたナターシャはウルトロンに囚われていた。

ウルトロンがナターシャと共にソコヴィアという都市にいることを察知したアベンジャーズ。最終決戦の舞台となるそこへと向かい、「現地の人間の犠牲は出さない」ことをスティーブが強調する。
ソコヴィアにつくと、ウルトロンは待ち構えていた。夥しい数のウルトロンたちとの戦いになる。それぞれがこれらを撃退していくが、ウルトロンはなんとソコヴィア全体を空中に浮かせる。都市の地下にヴィヴラニウムによる浮上装置を設置していたのだ。徐々に高空へと舞い上がっていくソコヴィア。アベンジャーズたちは一般市民を守りながら倒しても倒してもわいてくるウルトロンたちを蹴散らしていく。都市はすでに落下すれば地球全体に大損害を与えるほどの危険度となっている。トニーはそれをどうにかする案を考えながら戦っている。他のメンバーたちもひたすらに戦い続けるが、舞い上がる都市に取り残された市民も多く、絶体絶命になりつつある。そこでフューリー率いる旧SHIELDが現れ、大量の飛空船も。それにより市民たちは脱出していく。ある一人の少年を助けるためにクリントが向かったところで空からウルトロンの乗る戦闘機の掃射が襲い来る。身を挺して少年をかばうクリントだったが、ピエトロがさらにそれをかばう。クリントと少年は無事だったがピエトロは死亡してしまう。悲嘆に暮れる双子の妹のワンダ。戦闘機のウルトロンはハルクとなったバナーが倒した。
さらにそこで隙をついて空中へと舞い上がる動きを作動させている装置にウルトロンのうちの1体が触れる。それまではそれを死守していたのだが、これによりソコヴィアは一気に急速落下してしまう。トニーは都市の地下にある装置の中枢へとたどり着き、そこにソーが巨大な雷の力を注ぐことで都市全体を大爆発させ、地上への落下は免れた。
バナーはハルクのまま戦闘機内にいたが、ナターシャの通信を切ってしまい、そのままどこかへ落下して行方不明に。
人知れずウルトロンの最後の1体と対峙するヴィジョン。ヴィジョンは「人間は尊敬すべき存在だ」と言い、襲い掛かってきた最後のウルトロンを破壊する。

エピローグ。ニューヨークに新たなSHIELDの拠点が作られていた。不吉な夢を見たソーは「何者かが自分たちをあざわらうかのように見ている」と予言してアスガルドへ帰る。トニーは休暇を取ると言い、スティーブはSHIELDを家だとして残ると言う。ナターシャは行方不明のバナーを思うが、彼女もまたSHIELDに。そしてスティーブが新たなアベンジャーズメンバーとなるであろうビジョン、ワンダ、ファルコン、ローディがいる部屋へ入り「アベンジャーズ!」と号令をかける。
そしてスタッフロール前にはヴィランであるサノスが「私の出番だ」と言いながら黄金のガントレットを手にしたシーンが入り、終劇。

感想・評価

「人類は悪だ。地球のために人類を滅ぼす!」
といったようなありふれすぎている悪役が相手の、話だけ見れば実にありふれた作品ということもできるこの映画。
だが、ヒーローたちが集合して金のかかったCGがふんだんに利用されての大立ち回りを見るだけで、単純に楽しい。特に、暴走したハルクと、トニーのハルクバスターとの戦いなどは大迫力。また、ラストの敵集団との決戦も各キャラ見せ場十分。話がありがちだろうが単純な映像としてのエンタメ性は十分に感じ取ることができ、視聴後は心地よい充実感に包まれた。

話の大筋は別として、序盤でヒーローたちがワンダの力によって幻覚を見せられ、各個の深層心理にあるトラウマ的なものを掘り返される描写があり、特にブラックウィドウに重点を置き、それを通じてのハルクことバナーとのロマンスが描かれるのも特徴的。ヒーローたちにもそれぞれ心に負った傷があり、それを各人の行動原理として描かれているわけだ。
こういう展開もまあ普通といえばそうなのだが、何せ各キャラが本来は単独で主役を張っているわけで、それぞれの過去、そして台詞にも含蓄があり薄っぺらくない。正直、ブラックウィドウとかハルクに関してはアベンジャーズメンバーの中では一番疎いキャラクターなのであまりピンとこないものがあった。しかし、キャプテンが過去果たせなかったペギーとのダンスの約束をこの幻覚の中で果たすのは悲しいし、キャップは最後に「自分は過去に家族と暮らすとかそういう生活は置いてきた」というのも悲しい。話がありがちでも、このアベンジャーズにおいては、そこらの映画とはキャラクターの深みが違うのである。

その作品の利点と関係するが、明らかな欠点として、この作品を楽しむためのハードルがある意味では非常に高いということがある。
ずばり、前提として見ていなければならない作品が多すぎるということだ。ちなみに自分はアイアンマン三作、キャプテンアメリカ二作、マイティ・ソー二作を見ているが、アメコミ原作は全く知らないという、比較的ライト層だが予習は十分、というような立場。
過去に帰る場所を置いてきて、現代によみがえったのは別人だと言うようなキャプテン・アメリカの哀愁を知るためには「キャプテン・アメリカ」シリーズを視聴しなければわからない。というか、彼が冷凍睡眠していたということ自体もわからない。S.H.I.E.L.D.の長官だったフューリーがなぜあんなことになっていたのかも、キャプテンアメリカ・ウィンターソルジャーを見なければわからない。人を食った性格のトニー・スタークが実は繊細な心を持っているというのは「アイアンマン」シリーズを視聴しなければピンとこない。トニーはそういう性格だからこそ、キャプテンと衝突しながらも地球を守るためにウルトロンを生み出そうとしたのだろう。また、「ソー」シリーズを見ていなければソーとエリックが酒を酌み交わした仲であることもわからず、どういう知り合いなのかは当然わからない。

前作からしてそうなのだが、オールスターものである以上、どうしようないが確かに存在するハードルと言えるのは確か。いまや「アベンジャーズ」シリーズを中心にして、各個別シリーズでも同じ世界観、時間軸の話として物事が進行していき絡み合っているので、これ以上シリーズが続いていけばこれはどんどん加速度的にハードルを上げることになる。いわば全作品が1シリーズともいえるわけで、アイアンマン3作、キャプテンアメリカ2作、マイティ・ソー2作、そしてアベンジャーズで2作とするとこのシリーズは10作品近くも続いている作品と考えることもできるのだから。(2008年の「インクレディブル・ハルク」も入るかもしれないが、キャストが違うので)

ただしその分、各作品を視聴すればするほど、キャラクターに愛着が沸いてくるのは間違いなく、上で書いたようなキャラクターへの深い共感を生むことにもなり、これは欠点というだけではなく作品の魅力になりうる、コインの表裏とも言える。よくロードショーなどで放映しているアイアンマンだけは多くの人間が見ていそうだけども、個人的にキャプテンが幻覚で果たせなかった約束を見るのはかなり物悲しく、その上でラストで「S.H.I.E.L.D.が家」だとトニーに言うのもまた悲しい。とにかく、予習として各個作品見ていないと十分に楽しむことは不可能。「アベンジャーズ」を見る場合は最低でもアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、それぞれの作品は見ておこうってことで。
そういえば2016年にはキャプテンアメリカ最新作も公開のようで。アベンジャーズ3のためにも見なければなるまい。

項目別評価

話の大筋に関しては極めてありがちかもしれないが、ヒーローたちの大立ち回り見ればそれだけで楽しい。特に中盤のハルクVSハルクバスターは見もの。結局のところ、そういうアクションシーンを楽しむことができれば大方は楽しめるはず。そういうのがつまらん子供っぽいとかいう人にはお勧めしない。重ねて、より楽しみたいのなら各個作品も制覇してからにしよう。

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