ブラックホーク・ダウン 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ブラックホーク・ダウン

執筆日:2016年05月17日

ストーリー・ネタバレ

1993年、今も無政府状態であるソマリアに米軍が介入したことによって起きた「モガディシュの戦い」を描いた作品。小説原作作品の映画化。映画に興味ある人間ならばほとんど知っているこの映画を今回あらすじ解説、レビュー。

1993年、ソマリアは民族紛争が続いており、30万人もの餓死者が出ていた。アイディード将軍という人物はソマリアの首都であるモガディシュを占領し、食料を独占するなどして唯我独尊なふるまいをしていた。国際世論に動かされ、1993年10月、アイディード将軍の副官二名を捕らえる作戦がアメリカの「デルタ・フォース」「陸軍レンジャー部隊」「第160特殊作戦航空連隊」の3つの部隊により行われた。この作戦は簡単に言えば、「デルタフォースがターゲットのいる建物に侵入してターゲットを捕縛し、レンジャーがその建物周辺を見張り、車輛部隊がそれらを回収離脱、空から航空部隊がそれを支援する」というものだった。この作戦はガリソン少将が指揮し、一時間と経たずして終了するはずだった。登場人物が多い作品だが、主役は、建物に侵入する役割を受け持つデルタフォースに所属するエヴァーズマン二等軍曹(ジョシュ・ハートネット)。

が、思ったようにスムーズには作戦は進まず、また、戦闘ヘリのブラックホークから隊員が降下した後、敵対するソマリア民兵のRPGによりブラックホークが狙われ、墜落してしまう。これを皮切りに完全に作戦は狂い失敗、ただただ米兵たちが殺されるか、現地兵士が殺されるかの、何の意味もない、生き残りをかけただけの戦いが始まってしまう。アイディード将軍側は事前に米軍の動きを察知しており、地上を燃えたタイヤなどでバリケードを作って封鎖したのもあり、回収のための車輛部隊が現地に辿り着くのも困難になっていたことなども、事態をより深刻化させた。デルタフォース、レンジャーに属する兵士たちはそこらじゅうにいる民兵たちと戦い、満身創痍、あるいは死亡していく。エヴァーズマンたち生き残りはとあるビルに逃げ込み、そこに籠城したものの、回収に来るはずの車輛部隊もまたボロボロになっていて来ることができないということを知り半ば絶望する。

また、一機目のブラックホーク墜落後、二機目のブラックホークまでも墜落してしまう。ここにはゴードン、シュガートという二人の兵士が救出に向かいたいと言う。降りたら生きて帰れるとは思えないためガリソン少将は二人に直接確認を取るが、二人は改めて「降りる」と答えた。そうして二人は二機目の墜落現場へ降りて奮戦するものの、そのうち弾薬もつき、無情にも殺されてしまう。が、墜落したブラックホークのパイロットであるデュラントだけはアイディードの指示により殺されず捕虜となった。

エヴァーズマンたちは建物の中に籠城し続け、そこに散り散りになった仲間たちも集まってくるものの、周囲は完全に囲まれていて絶望的な状況だった。集まってくる時の銃撃戦でエヴァーズマンと親しかったジェイミー・スミス伍長が重傷を負い、手当の甲斐もなく死んでしまうなどもした。夜も更け、現場としてはもはや絶望的な状況なものの、後方では着々と救出作戦が進められていた。航空部隊が現場までやってきて、周囲に集まってきているソマリア兵士たちを蹴散らしてくれたのだった。車輛部隊も到着し、なんとか離脱することができたのだった。

作戦終了後、エヴァーズマンは歴戦の兵士であるグライムズと話す。彼は「国に帰るとなぜ闘う?戦争中毒なのかと聞かれるが何も答えない。俺は仲間のために闘うだけ」と答える。エヴァーズマンはこの作戦の前と後では自分に大きな変化が起こったということをモノローグで述懐し、終劇。死亡したシュガート、ゴードンはその功績を称えられ、名誉勲章を与えられた。

感想・評価

今回、視聴は二回目となる。一回目の視聴が確か2年ほど前。何やら戦争映画としてなかなか名作とのうわさなので見てみよう、と考えたのがそれだったのだが、噂に違わぬ面白さだったのを覚えている。そして今回、感想を書こうと考えて改めて二回目の視聴となったわけだが、やはり面白い。

実は最近映画感想書いてないなー、気が乗らないけど書かないとなーなんてネガティブ、渋々な感じで見始めたのだが、モガディシュでの作戦開始後からは最後の最後まで緊張感が途切れることなく、二回目だというのにいつの間にかのめり込んでいた自分に気づいた。戦争における死と隣り合わせの緊張感を感じられる映画というのはプライベートライアンの冒頭なんかも有名だけれども、改めて見てみると、多くの兵士が死なずとも重傷にはなっているので、全体的な印象としてはローンサバイバーに近いと思えた。負傷しても気力を維持し、間近に死を感じながらも恐れずに任務を遂行するっていうのは男なら痺れるよなあ。

一回目の視聴でも感じたことだが、登場人物が多く、また全員服装がほぼ同じであるため、(さらにもう一つ付け加えればアジア人からすると白人である登場人物の顔の見分けがやや困難なこともあるか)、最後の最後まで登場人物の把握が難しいというのはやや難点。wikipediaに掲載されている人物だけでなんと30人以上だ。仕方ないこととはいえ、この点はやや作品を楽しむためのハードルを上げてしまっている。必死に人名を意識して覚えるようにしないと誰がどこのチームの人物か、今何をしているのか、分からなくなってしまう可能性もあるかもしれない。こういう作品って感想書くのも大変なんだよね…。

とはいえ、やはり印象に残る人物は自然と残るわけで。個人的に一番作品の象徴と感じるのはダニー・マクナイト中佐。車輛部隊の指揮官で、ほとんどの場面で動じることなく、上への恨み言を吐きつつも任務遂行に忠実な男。ややぶっきらぼうなのもあって、ポジション的にはやもすれば嫌な奴になりかねないキャラクターなのだけれども、ずっと通してタフで頼りになるリーダー。一度は車輛で瀕死の部下を連れて撤退しつつも、後の救出作戦では再び出動しエヴァーンズマンを笑顔で励ます姿も。「車輛部隊は現地に行けるのか?」と聞かれてから周囲の瀕死の仲間を見渡してから「無理だ、かえって邪魔になる」と淡々と答えるのは作中でも印象に残るシーンだと思う。

そしてやはりもう一人は、死人が出まくる重い映画での唯一のギャグ要員のネルソン特技下士官。相方のトゥオンブリー特技下士官が撃った機関砲の音を至近距離で聞いてしまったために難聴状態になり、その後は無駄に大声で話すようになり、仲間の話を聞いても分かっているのか分かっていないのか…。「お前が俺を援護するんだぞ!わかってんのか!?」とトゥオンブリーが念を押して言う場面では「これ絶対わかってねえー!」と笑ってしまう。その後ジェイミー・スミス伍長が大惨事なことになるのでその笑いも吹き飛んでしまうんだけども…。しかしとにかく、このキャラがいるおかげでわずからながらも作品の清涼剤として機能していて、ほどよく雰囲気を和らげているのはプラスに考えられる部分だと思う。

まとめると、戦場の緊迫感、絶望感、兵士たち同士の絆、ガンアクション、これらがほどよくバランスよく詰められた、まぎれもない名作だな、と二回目の視聴でも感じたのでした。

項目別評価

2回目の視聴にも関わらずハラハラドキドキな目を離せない展開、緊張感は感じることができ、やはり名作なのだろうなと再確認できた。再び時間を置けば三回目の視聴でも楽しめることは間違いないと確信できる。この映画を深く知るためにいろいろ調べると、当時の社会情勢などについて少し詳しくなるのも実は好ポイント。こういうのは事実を元にしている映画の良いところ。自分自身、この映画の感想を書くにあたって多少なりとも学ぶことができた。

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