武器人間 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年2月17日

簡単なあらすじ・ネタバレ

1945年、ディミトリはスターリンからの命令でノビコフ軍曹率いる偵察部隊に所属しながら撮影を行うという任務を行っていた。
部隊がある救難信号をキャッチし、指定された座標へと向かうとそこには住民が大量虐殺された村があった。そしてなんらかの研究施設もあり、武器と人間が融合したような異形の化け物、武器人間もいた。飼育係を名乗る老人に騙されて化け物たちがいる施設の奥へと進んでしまう一行。ディミトリ、セルゲイ、ヴァシリ、サシャの4人以外は化け物に殺されてしまった。そして実は救難信号はディミトリ自身が出していたということをセルゲイが見抜く。ディミトリは両親を人質に取られてしまい、この施設にいるフランケンシュタイン博士を生け捕りにして両親と交換する目論見だったのだ。しかし他の3人はディミトリを放っていってしまう。孤立したディミトリは博士に捕らわれたがすぐには殺されず研究の撮影を頼まれる。ご機嫌をうかがいながら狂気の実体実験を撮影するディミトリ。ディミトリはソ連に来れば博士の身の安全を保障すると交渉するが結局博士はディミトリをも実験材料にしようとする。しかし隠れていたサシャが博士を銃殺。ディミトリのカメラを持って脱出する。博士が死んだことで暴走した武器人間にディミトリは殺され、1人生還したサシャがソ連の英雄となった。

詳細なあらすじ・ネタバレ

1945年の第二次世界大戦末期、ソ連軍所属のディミトリの任務はノビコフ率いる偵察部隊に所属し撮影するというものだった。
部隊には他にヴァシリ、セルゲイ、イヴァン、サシャ、アレクセイといったメンバーが所属していた。

ノビコフの舞台が偵察任務を行っている中、タイガーベア303という部隊から救難信号が来た。それを聞いたノビコフはこの位置へと向かうことにするが、しかしタイガー・ベアという偵察部隊のことは同じ偵察部隊であるノビコフたちも知らないので妙だった。
救難信号で指示していた地点を目指すとまた途中でドイツ兵の死体があったが、明らかに死んでいるのに動き、ディミトリは驚いた。

救難信号で指定していた地点に村があるのを発見する。そこに行くと激しい戦闘の跡があった。女性を含む凄惨な死体が山のようになっていた。
村にある教会は、内部へと入っていくと研究施設のようだった。発電機を動かすと内部の機械が動き出す。 倒れている異様な姿の人間がいるので触れたところ、機械のような挙動で動き出した。ノビコフが貴様は何だと聞くと突然凶器で攻撃してくる。ノビコフは腹から腸がはみ出てしまう。苦しむノビコフはヴァシリが一思いにナイフで殺した。

リーダーのノビコフを失った一行は通信をしようとするが電波妨害がされているようで本部との通信は不可能だった。リーダーがどちらになるかという件でヴァシリセルゲイが言い合いになるが、結局はセルゲイが指揮官となった。

村には飼育小屋らしきものがあった。中にはウサギや犬がいた。そこには飼育係の老人のドイツ人がいた。
老人に話を聞くと村人たちは「何か」に殺されたか、逃げたかしたという。老人は研究所にいる博士の元へと案内すると言った。
老人に案内されて施設の奥に入っていく一同。しかし老人は一瞬のスキを突いて消えてしまった。
狭い通路を進んでいくとまたも腕が凶器になっている異様な怪物と遭遇する。それを倒しても続けざまに怪物は惑い、部隊はパニックに。頭を圧縮する凶器を使う化け物にイヴァンがやられてしまう。
なんとか外に出たがイヴァンは瀕死だった。ヴァシリはノビコフ同様に介錯しようとするがイヴァンは「自分を殺すのは自分で決める」と言った。

日が暮れたので一晩村で過ごそうとする部隊だったが、そこにドイツ人の女性たちが近づいてきた。その中のエヴァという女性は看護師らしく、イヴァンの治療をするので助けてほしいと命乞いをした。しかしイヴァンのヘルメットを取ると脳みそごと取れてしまい、イヴァンは死亡。怒りに震えるヴァシリはエヴァを殺してしまった。

その時アレクセイの悲鳴が響き渡った。また化け物が出現し、背後からドリルで殺されてしまった。また化け物に襲撃されてしまい、ディミトリたちは逃げ惑った。 偵察隊もディミトリ、ヴァシリ、セルゲイ、そして最年少のサシャの4人のみになってしまった。セルゲイはここであることに気付いた。救難信号は録音であり、ディミトリがはこれを発信していたのだ。そしてディミトリは電波妨害機も所持していたため本部との連絡も取れなかったのだった。
セルゲイがディミトリを問い詰めるとタイガー・ベア303なんて部隊はいないと白状し始めた。なぜこんなことをしたかといと、この施設にいるフランケンシュタイン博士を生け捕りにするためのだという。ディミトリは自分に何かあればお前らの家族に危害が及ぶので命令を聞けとセルゲイたちを脅迫する。なぜ黙っていたのかというと情報漏れを防ぐためだった。生け捕りにできなかった場合の保険として施設を撮影もしているのだという。

セルゲイたちは納得したわけではなかったが、ディミトリは捕虜にしたドイツ兵に案内させてさらに奥に進む。するとまた怪物が現れる。
実験材料にされそうだったドイツの子供だったのでそれを使って死体置き場の奥を偵察させようとする。しかし頭にプロペラのついた化け物が出てきて子供は死に、ドイツ兵捕虜も死んでしまった。
さらに進もうとするディミトリはセルゲイたち3人に見捨てられて死体置き場に突き飛ばされ、3人に置いていかれてしまう。
ディミトリは遺言のつもりでカメラに向かってメッセージを残す。ディミトリは政府と取引して博士と自分の両親を交換するという約束をしていたのだった。

しばらくディミトリは1人で行動する。実験材料にするための死体が無数にある広い部屋には、バラバラにされえもまだ生きているドイツ兵もいて、ディミトリを見つけると殺してくれと懇願してきた。その後ディミトリは大量の化け物に追われて逃げまわるが、最後には機械化したイヴァンにやられてディミトリは機を失ってしまう。

カメラの撮影が飛び、ディミトリがフランケンシュタイン博士と対面していた。博士はあの飼育小屋にいた老人だった。あの時は無力な振りをしてディミトリたちを騙していたのだ。
博士はディミトリのカメラで研究記録を撮影してほしいと頼むのだった。
ラボでは死体を繋ぎ合わせたりする異常な実験ばかりが行われていた。博士は有名なフランケンシュタイン博士の孫なのだという。祖父の時代とは違って発電機があるから便利だなどと嬉し気にディミトリに話す博士だった。研究材料には捕らえられたヴァシリやセルゲイもいた。

研究所の外では砲撃が鳴り響いていた。ディミトリは博士にソ連に来れば安全を保障すると交渉する。考えておくと答える博士。
そんな間にもラボでの実験を行う。ヴァシリとセルゲイのどちらが材料に向いているかとディミトリに聞き、ディミトリがセルゲイだと答えるとヴァシリは殺されてしまった。
そしてドイツ兵の脳とセルゲイの脳を使って半分ずつつなぎ合わせるという狂気の実験を行おうとする。セルゲイはディミトリに助けてほしいと言うがディミトリはこの期に及んでまだ博士を生け捕りにしなければならないと言って聞かなかった。セルゲイは生きたまま頭蓋を割かれて脳をむき出しにされるが、その間ディミトリに怒号を飛ばし続けた。博士の実験は結局失敗した。その実験の間にディミトリも背後から襲われて再び気を失った。

ディミトリが気が付くと拘束されていた。結局のところ博士はディミトリの交渉には応じず、実験材料にするつもりだったのだ。
ディミトリも博士の餌食になるという時に空爆が始まった。実験は放って逃げようとする博士を何者かの銃弾が貫いた。撃ったのはサシャだった。
サシャの銃撃で博士が死ぬと博士の実験体たちは狂い始めて暴走を始める。ディミトリは全力でサシャに助けを乞うが、サシャは「帰ったらあなたを讃えるように伝える」などと言うのみだった。サシャはディミトリが撮影したカメラだけを取り脱出してしまう。こうしてディミトリも死にサシャだけがソ連へと帰り、サシャはソ連の英雄となった。

感想・評価

スプラッタでスラッシャーな演出満載だけども、出てくる武器人間たちはどことなく愛嬌があって、随所で笑えるポイントもある。なかなかバランスの良いファウンド・フッテージ映画。楽しいです。

ただ後半、ディミトリが単独行動になりフランケンシュタイン博士の人体実験を間近で撮影するシーンでは生きたまま頭蓋に回転カッターを入れ、脳みそ丸出しでいじくり回すシーンがあり、この辺はちょっと単純に刺激が強い。イヴァンが死ぬシーンでも脳みそが出るシーンがあり、ちょっと脳みそ重点な作品。これを聞いてちょっときついと思う人は観ない方がいいかも。

それとこれに触れないわけにはいかない、というのは吹き替えのキャストについてだ。
フランケンシュタイン博士は肝付兼太、ノビコフはたてかべ和也、そしてサシャは小原乃梨子だ。
つまり、旧スネ夫、ジャイアン、のび太である。これはこの作品公開時のテレビCMで大山のぶ代がドラえもん風にナレーションしたから、という縁でこうなったとか。
この人たちの洋画吹替えってだけでもう面白い。キャストが変わる前、旧ドラえもんを見ていた世代ならば是非とも聞いてほしい。肝付氏、たてかべ氏はどちらも数年前に逝去しているので、こんな作品は最初で最後なのだ。ドラえもん好きなら絶対見てほしい。
サシャなんて男なのに完全に女声だし。サシャ役のルーク・ニューベリーという人が女性顔なので最初は完全に女性だと思ってたし。視聴後に「って男かーい!」ってようやく気付いた。声だけでなく台詞自体が女性の話し言葉になっちゃってるので、吹き替えで見るとサシャはかなり異質に感じる。とにかく見て確認してほしい。
付け加えるとディミトリの吹き替えは松本保典、つまりサザエさんのノリスケおじさん。声優陣だけ見ると家族団らんの時間を連想してしまうのがなんとも笑える。

人物解説

フランケンシュタイン博士(飼育係の老人)

施設で飼っている家畜の飼育係を装っていたのは実はフランケンシュタイン博士その人。無力な老人を装ってヴァシリに脅されて施設深くまで案内し、ディミトリたちが武器人間に襲われるように仕組んだ。祖父はフランケンシュタインを作ったことで有名な初代フランケンシュタイン博士。人と機会をくっつける人体実験をいくつも行っているが、自分の実験により共産主義や差別主義などを無くすことができると信じて実験しているらしい。

ディミトリ

階級は大尉。ユダヤ人。スターリンの命令で映画を撮影することになった。ノビコフ率いる偵察部隊に所属。この作品はディミトリのカメラを通したモキュメンタリーになっている。部隊がキャッチした救難信号は実はディミトリの自作自演であり、フランケンシュタイン博士を捕らえる極秘任務のために同じ部隊の仲間を騙していた。フランケンシュタイン博士を生け捕りにしなければ両親の命がないので仕方なくということらしい。最後にサシャが博士を殺してしまったときも殺したことに激怒しているのでよほど両親を思ってはいるのだろうが、他のメンバーからしてみればほとんど裏切り者にほかならないだろう。博士が死んだことで暴走した武器人間にかみ殺される様が一瞬映っている。

サシャ

口数が少なく頼りない最年少兵士。吹き替えだとのび太声、つまり女性声だがれっきとした男性。口数は少ないのだが、吹き替えで観ているとその声のせいでかなり印象に残る。ヴァシリやセルゲイが人体実験の道具にされた後でも一人隠れて生き延びており、博士がディミトリを捨てて逃げようとした時に博士を背後から射殺。その後ディミトリのカメラだけを持ってソ連に帰り、スターリンと並んで写真に写るほどの英雄になった。

ノビコフ

年長でリーダーだが、武器人間に最初にやられてしまう。腸が出た状態になり助からないと判断されたためにヴァシリが一思いに殺した。

ヴァシリ

血気盛んで口が悪い。部隊の中で最も目立つ人物。エヴァを襲おうとしたり、その後殺してしまったりとモラルは最悪。ディミトリを見捨てた後に結局博士に捕まってしまってしまう。博士にいらないと判断されてあっさり殺されてしまうが、生きながら頭を切り裂かれたセルゲイより幸せだろう。

セルゲイ

ノビコフ除けば最も階級が高い。通信兵。性格も真っ当で一番主人公らしいかも。ヴァシリ同様、ディミトリを置いて脱出しようとした後に博士に捕らえられてしまう。実験材料にされそうになった時にディミトリに命乞いをするが断られ、怒号を飛ばしながら頭を切り裂かれて実験材料になるという壮絶な最期を迎える。

アレクセイ

長髪と髭が特徴的。こっそりと近づいていたドリル持ちの武器人間に背後から頭を貫通させられて死んでしまう。

イヴァン

二番目にやられて瀕死に。看護師に治療された。死んだ後に機械人間に改造されてしまった。それほど時間が経過していないだろうに、博士が武器人間の手術を施すのが早すぎないだろうか。

エヴァ

武器人間から隠れていたドイツ人看護師。イヴァンを治療したがヘルメットを取ったら脳みそごと取れて死んでしまう。それに激怒したヴァシリに殺されてしまう。

項目別評価

映画「武器人間」評価

一貫してディミトリが映すカメラ目線のモキュメンタリー。武器人間たちは恐怖だが、どこか愛嬌もあるデザインで良い。終盤のグロ描写はちょっと刺激が強い。旧ドラえもんキャストという異色の吹き替えは一見の価値あり。

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