キャビン(映画) -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年5月18日

簡単なあらすじ・ネタバレ

仲の良い大学生であるデイナ、カート、マーティ、ホールデン、ジュールズの5人はカートのいとこが所持しているという郊外の森にある小屋で休日を楽しむことにした。
しかしその周囲は謎の組織たちが管理しており、5人の脳内物質などまで管理調整していた。組織の人間のゲイリースティーブウェンディたちは5人の姿をモニターし続け、まるでありがちなホラー映画の展開になるように5人を誘導しているのだった。

デイナたちはそれを知らないが、小屋の地下にある怪しげな本を読んだところ小屋の周囲から「ゾンビ家族」が現れる。しかしこれも組織がそうなるように仕掛けておいたものだ。
ジュールズが死に、マーティもゾンビにやられてしまう。車で逃げようとするデイナ、カート、ホールデン。しかし組織が逃がさまいとしてトンネルを爆破。
バイクで崖を飛び越えようとしたカートは見えない電磁バリアのようなものに衝突して死に、さらにホールデンも車に潜んでいたゾンビにやられ死ぬ。

残りのデイナもゾンビに殺されそうになるが、そこで実は生きていたマーティがピンチを救う。
ゲイリーたちとしては「処女のデイナは死んでも死ななくてもいいがマーティは死ななければならなかった」ために予定外だとして慌てる。マーティは周囲が謎の組織に管理していることにきづき、小屋とは不釣り合いなエレベーターも発見していた。それにデイナとマーティは乗り込む。

2人が見たのは近代的な施設に封じ込められている無数の化け物たち。ようやく2人は謎の組織が自分たちをもてあそんでいたことに気付いた。
そのまま2人が施設を進んでいくと組織の人間が制圧しようとしてくるが、デイナは化け物たちを解放、制圧部隊たちが虐殺され、施設は阿鼻叫喚に。

デイナとマーティが行きついたのは生贄を捧げる祭壇のような場所だった。
そこに現れたのは女性の館長。彼女はなぜ5人がゾンビに殺されるような状況を作っていたかを2人に説明する。それは「古き者」と呼ばれる人間を絶滅させる化け物を抑えるためだという。ホラー映画のように犠牲者が出ればそれにより古き者の復活は避けられる。それを聞いたデイナはマーティに銃を向けるが背後から狼男に襲われ重傷に。館長も女ゾンビに殺される。瀕死のデイナとマーティは達観したように最後の言葉を交わして談笑する。その後、巨大な腕が地面を突き破って、ついに古き者が復活してしまう。

詳細なあらすじ・ネタバレ

デイナ(女性)、カート(男性)、マーティ(男性)、ホールデン(男性)、ジュールズ(女性)は仲の良い大学生の友人同士。
彼女らはカートの従兄弟が所有するという郊外の森にある小屋(キャビン)に遊びに行く予定を立てた。しかしその周囲を見張り、モニターする謎の組織がいた。
組織はゲイリーという男性の指示で動いており、他にスティーブウェンディといった面々。そのほか大勢の人間が所属している。この組織はデイナたちが「よくあるホラー映画のような展開をなぞるように」デイナたちを誘導するのが目的。それが何のためなのかはこの時点ではまだわからず、最後に明らかになる。

デイナたちが目的地へ向かう途中にガソリンスタンドに立ちよる。スタンドを営業しているモーデカイという男はデイナたちに敵対的であり、ジュールズに対して「淫売」などと罵り、ジュールズの彼氏のカートは激怒し、マーティもモーデカイに毒づいた。

目的の小屋に到着する。そこは予想以上に古ぼけた小屋だったが、中はそれなりに広く立派だった。
デイナたちが浮かれて小屋を探索するが、なぜかおぞましい絵画が壁にかけられていて、さらにその裏にはマジックミラーが設置されるなどしていて不可解な構造になっていた。この小屋はゲイリーたちが仕組んだ仕掛けで満載となっているのだ。

夜が更けた頃、デイナたちが小屋のロビーで集まって話していると突然地下室への扉が開く。これもゲイリーたちの仕業だった。
そして地下室には怪しげなものが置いてあった。そのうちの一つの日記をデイナが読み上げると小屋の周囲にゾンビ家族が現れた。これもゲイリーたちの仕業。別の仕掛けを作動すれば半魚人なども出る可能性もあったのだが、デイナたちが呼び出したのはゾンビ家族だった。

カートとジュールズのカップルは外に出て森の中へ入り、そこで交わろうとする。
だがその時、ゾンビらが二人を襲撃してジュールズは絶命する。
生き残ったカートは小屋に戻ってきてデイナ、マーティ、ホールデンの3人に危機を伝える。
マーティは古めかしい小屋なのに近代的なカメラなどが設置されていることに気付いたが、ゾンビに襲われてしまった。

デイナ、ホールデン、カートの3人は車で脱出を図る。
しかし道中のトンネルがゲイリーたちにより爆破されて通れなくなってしまう。
しかし小型のバイクが車に積んであったのでそれを利用してカートが崖を飛び越えようとする。だが崖の向こうに見えないバリアのようなものがあり、そこに激突してカートも崖から落下、死んでしまう。

残ったデイナとホールデンは再び車に乗り込んで逃げようとするが、車に入り込んでいたゾンビの1体にホールデンがやられてしまう。
事故を起こした車はそのまま水没。デイナはなんとか水から脱出するが、ゾンビに殺されそうになる。
一方ゲイリーたちは「上手く誘導できた」として祝杯をあげていた。ゲイリーたちとしては「デイナ以外の4人が死に、最後にデイナが死ぬか死なないかはどうでもいい」という思惑だった。
だが実は死んだと思われていたマーティは生きていてデイナを救う。

マーティは地下にデイナを連れていく。そこには小屋に似つかわしくないエレベーターがあった。これはゲイリーたちがいる施設へとつながるもの。
意を決して入っていく二人。エレベーターからは狼男や幽霊など、多数の化け物がいるのが見えた。ここでデイナはようやく、「誰かが自分たちが化け物たちに殺されるように誘導していた」ということに気付くのだった。
二人が自分たちがいる施設内に入り込むのは想定外だったのでゲイリーたちはデイナとマーティを捕らえようとする。
だがデイナが機転をきかせて化け物たちを全て解放する。すると施設内で多数の化け物たちが暴れまわる阿鼻叫喚と化した。

スティーブやウェンディも化け物に殺される。そして残ったゲイリーはばったりデイナと出会い、デイナは化け物だと思って反射的にゲイリーを殺してしまう。
ゲイリーは絶命する前に「頼むからマーティを殺してくれ」と頼むがデイナとマーティにとっては意味不明だった。

そしてデイナとマーティが辿り着いたのは生贄の祭壇のような場所だった。
そこでゲイリーたちの組織の長の館長が現れて事情を説明する。それは「デイナたち5人はそれぞれ淫乱、戦士、学者、愚者、処女というものに見立てられ、処女(デイナ)以外が死ぬような展開にしなければ古き神々」という化け物が目覚めて人類は滅亡してしまう」というものだった。この生贄の儀式はアメリカだけでなく日本などでも行われていたが、全て失敗している。だからマーティは人類のために死ぬべきだと館長は迫る。
それを聞いたマーティは「友達を殺すくらいなら人類は滅びるべきだ」と言うが、デイナは苦悩しながらもマーティを銃で殺そうとする。しかしその瞬間、背後から狼男から襲われてしまう。そしてマーティは館長ともみ合いになるが、その館長も背後からゾンビに殺されてしまう。

デイナは瀕死ながらも生きており、マーティと話す。デイナは「銃を向けてごめん」と謝るがマーティは「気持ちはわかる」と言って許した。
結局「古き者」の復活は止められず、デイナとマーティは手を握り合いながら生き埋めになる。そして古き者の巨大な腕が地面から出たところで終わり。

感想・評価

スラッシャー、スプラッターホラー映画のお約束を皮肉り、テンプレ通りになるように誘導する組織が暗躍していた!なんてメタ作品。以外と登場人物の死に方はえぐいものも多いが、本質的にはコメディ。

といったホラー映画のテンプレに沿うようにわざわざ誘導している、というのが笑いどころだ。

カートが「全員で行動するぞ!」とか言った後に組織の誘導を受けて「いや、やっぱり分散しよう!」とか言い出すところは爆笑した。生贄云々はともかく、なんでそんなにテンプレ通りになってなきゃダメなの?とか突っ込んだら負けか。
カートは本来ならそれほどイキリキャラじゃないのに脳内物質を注入されているせいで人が変わっていたり、ジュールズも性的になるホルモンを注入されているせいで普段より淫乱になっているとかいう設定も笑える。そんなにリア充カップルを先に殺す必要があるのか、淫乱女の乳が出ないとダメなのか。古き者はテンプレ通りじゃないと納得しないのか。処女が最初に死んだら「ふざけんな淫乱を最初に殺せよ!」とか激怒して復活するのか。いやでも、最後の状況でもマーティが死ねば事態が収拾したのだとしたら、結局過程なんてどうでもよくて処女以外が死ねば問題ないんだろうとも考えられる。なら最初からゾンビだけじゃなくて狼男も半魚人も全部投入して問題はないだろって話にも…。
うん、こういうこと考えたらダメなやつなんだなこれ。「ホラー映画には実は裏方がいたとしたら?」っていうそのふざけた設定そのものを、細かいこと気にせずに楽しむ作品です。やべーのが盛りだくさんで地下施設に収容されてるってのは近年人気の「SCP」に通じるものもある。誰がどうやって捕獲してあそこに放り込んだんですかねえ。とかこれも考えても無駄な奴だなこれ。

人物解説

デイナ

演:クリステン・コノリー
ホラー映画で1人はいる大人しめキャラ。そして主人公。組織的の定義では「処女」の立ち位置。仲良しの友人と共にカートの従兄弟が所持しているという小屋へ遊びに行くがとんでもないことに。
主人公だが、ラストでマーティを殺そうとした時に襲われてしまう、というのももしかしたらホラー映画のお約束をなぞっているのか。ホラー映画であれなんであれ、主人公は道徳を第一に行動するってのが王道ってもの。そこから外れればやはり裁きを受けるのがホラー映画。あの瞬間に主人公はデイナではなくマーティになったのかもしれないと考えると深い。

マーティ

演:フラン・クランツ
ホラー映画で1人はいるおふざけキャラ。組織的の定義では「愚者」の立ち位置。麻薬をやっているせいで組織たちの思い通りに動かなかった。ジュールズの次にゾンビにやられてしまった。と思われたが実は生きていて、しかも組織たちが自分らを誘導していることに気付き、デイナと共に地下施設へと進入していく。なお声優は今は亡き桜塚やっくんが担当。

カート

演:クリス・ヘムズワース
ホラー映画で1人はいるイキリキャラ。組織的の定義では「戦士」の立ち位置。しかもクリス・ヘムズワースなので厭でも目立つ。マーティいわく「本来はあんな奴じゃない」。ジュールズ同様にゲイリーらに脳内物質を調整させられていたために普段よりイキっていたらしい。ジュールズと盛り合う瞬間にゾンビに襲われるがその場では生還。しかしバイクを使って崖を飛び越えようとしたところ、見えない電磁バリアにぶち当たってそのまま崖を落下して死亡。舞台となる小屋はカートの従兄弟のものということだが、デイナはラストシーンで「きっとカートに従兄弟なんかいない」と予想していた。

ホールデン

演:ジェシー・ウィリアムズ
ホラー映画で1人はいる理知的キャラ。組織的の定義では「学者」の立ち位置。真面目でデイナに好感を持たれており、関係を結ぶ一歩手前までいっていた。ある程度は生き残ったものの、カートが死んだ後に車で移動していたところ、車に潜んでいたゾンビのうちの1体に背後から突き刺されて死亡。

ジュールズ

演:アンナ・ハッチソン
ホラー映画で1人はいるビッ○系キャラ。カートの恋人。組織的の定義では「淫乱」の立ち位置。元々は金髪ではなかったらしい。ゲイリーたちによりホルモンを注入させられて普段より性的に奔放になっている。スケベしたら真っ先に死ぬというホラー映画のテンプレ通り、一番最初に殺される。しかも殺された後生首にされてしまったので悲惨。

ゲイリー

演:リチャード・ジェンキンス
デイナたちをホラー映画のテンプレ通りになるように、化け物たちに殺されるように誘導している組織の責任者。スティーブとはコンビで、デイナたちをモニターしながら不謹慎にふざけたことばかり言っているがそれが面白い。化け物たちであふれかえる施設内で、化け物ではなくデイナに殺される。その時デイナに「マーティを殺せ」と懇願してから絶命。

スティーブ

演:ブラッドリー・ウィットフォード
ゲイリーとふざけた会話をしながらデイナたちをモニターする男性。ゾンビが出る展開よりも半魚人が出る展開が好みだったらしい。最終的にはその半魚人に食われて死ぬ。

ウェンディ

演:エイミー・アッカー
ゲイリー、スティーブたちの同僚。女性だがやっぱりふざけたことばかり言ってデイナたちが死ぬ様を面白がってもいる。ゲイリーが死ぬ直前くらいに化け物に襲われて死ぬ。

館長

演:シガニー・ウィーバー
デイナたちを誘導していた組織の最高責任者らしい女性。最後の最後でデイナとマーティの前に現れて事情を説明する。しかしマーティともみ合っているうちに背後からゾンビ女に凶器で殴られ死亡。

モーデカイ

演:ティム・デザーン
デイナたちが小屋へ向かう途中に立ち寄ったガソリンスタンドの店員。デイナたちに悪辣な言葉を吐きつけた。「目的地に向かう途中に敵対的な現地人と出会う」というのもホラーの定番ということか。
ゲイリーたちとはグル。妙に演技がかった言葉で話すが、その言葉をスピーカーで聞いてゲイリーたちはバカにして笑っていた。もちろんゲイリーたちの協力者なのだろうが、大仰な言葉で話すのは素なのだろう。

項目別評価

映画「キャビン(映画)」評価

ホラー映画を半分リスペクト、半分おちょくったようなメタなホラーという立ち位置は唯一無二。が、それゆえにホラー映画をある程度見ていないと楽しめない作品なのも確か。個人的には終盤のクリーチャーによる大虐殺をもうちょっとじっくりやってほしかった。

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