カウボーイ&エイリアン -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>カウボーイ&エイリアン

執筆日:2015年12月01日

ストーリー・ネタバレ

舞台は1873年のアリゾナ準州。ある男、ジェイク(ダニエル・クレイグ)が荒野で一人倒れていた。男は目覚めると自分の腕に妙な腕輪が装着されていることに気づく。外そうとしても外れない。壊そうとしても壊れない。すると後方から馬に乗った暴漢たち3人がやってきた。
ジェイクは「賞金首かもしれない」と見込まれて襲われるも、帰りうちにする。男たちの服や銃を奪ったジェイクは馬で近くの町へとたどり着いた。
その中の一つの家に入ってみるが挨拶しても誰もいない。勝手に水で顔を洗ったりしていると、ジェイクは自分の腹に手術跡のようなものがあることに気づく。するとそこで背後から牧師のミーチャム(クランシー・ブラウン)にホールドアップされる。誰だ?と聞かれても記憶がなく自分が誰なのかわからないジェイクだが、そんな彼の腹の傷を男は手当してくれた。

ジェイクたち二人が会話しているといきなり家に銃弾が飛び込んできた。
パーシー・ダラーハイド(ポール・ダノ)というろくでなしの若者が酒場のマスターのドク(サム・ロックウェル)ともめていた。ダラーハイドはこの町の権力者の息子で、その威を借りてタダで飲み食いさせろと言っていたのだ。さらに周囲の町人からカンパを募った。パーシーはジェイクにも金を求めるが、ジェイクは股間に蹴りを入れて悶絶させる。パーシーは脅しとしてジェイクがいない方へ銃を撃ったらたまたま人がいて当たってしまう。そこに ジョン・タガート保安官'キース・キャラダイン)がやってくるも、パーシーの教育係のナット・コロラド(アダム・ビーチ)が保安官を諫めた。しかし撃ったのはよりによって保安官代理だったのもあり、パーシーは拘留されてしまう。
一方、町を離れているウッドロー・ダラーハイド大佐(ハリソン・フォード)たちの部下たちのシーン。部下の一人が水辺で用を足そうとした瞬間に謎の光と衝撃が襲い、水から上がってみると他の人間が誰もいない。

ドクが酒場で「なめやがって」と愚痴をこぼしているとジェイクが酒場にやってきてウィスキーを注文してきた。そこに謎の女性エラ・スウェンソン( オリヴィア・ワイルド)がやってきて「何も覚えていないの?探し物があるでしょ」とジェイクに言う。だがジェイクは記憶がないので何のことかわからない。そこで保安官がやってきてジェイクに同行を願う(ジェイクの顔が賞金首として出回っていたため)も、ジェイクは拒否する。乱闘になってジェイクは保安官に銃を突きつけるも、背後からエラが殴りつけて気絶させた。

気絶したジェイクは夢の中で謎の記憶を見る。目を覚ますとパーシーの隣の牢屋にいた。パーシーが「俺の父親は怖いぜ」と脅してくるがジェイクは服をつかんで叩きつけてまた痛い目に合わせた。
シーンが切り替わってダラーハイドの部下(用を足そうとして落ちた男)がダラーハイド大佐に尋問を受けている。ダラーハイドは「なぜ牛がいないのか?さらに他の人間はどうした?」と聞くが見たままに気づいたら誰もいなかったと言っても大佐は信じない。そこで大佐が息子のパーシーの話を聞いて町へ向かった。
ジェイクも保安官の尋問を受けていた。どうやらジェイクは強盗や傷害、そして売春婦のアリスという女性も殺した罪に問われていた。ジェイクは凶悪犯としてこの辺りで有名らしいがジェイクは記憶にないのでわからない。

ジェイクとパーシーは同じ馬車に入れられて連邦へ受け渡されることになった。馬車の外からエラが「あなたがどこから来たのか知りたい」と聞く。しかしジェイクはこたえられない。ここでダラーハイド大佐が戻ってきてジェイクを引き渡してもらうと保安官に交渉する。
が、この時遠くから何か光る物体が空から近付いてきた。同時にジェイクの腕輪がそれに呼応して光り出した。それは謎の飛行物体で、町を攻撃してきて、さらに人々を謎の光でさらっていってしまう。ドクの妻のマリアやパーシーや保安官も連れ去れてしまう。
ジェイクは腕輪をかざすとそこから強力な光線を発射できることに気づく。それを使って飛行物体を撃墜した。
さらわれた仲間を救出するためにダラーハイド大佐は部隊を編成して明朝出発することを決める。ジェイクへも「敵を倒せるのはその武器だけだから来い」と誘うもジェイクは知るかと言わんばかりに町を去ってしまう。エラはそのジェイクを追い、「私の家族もさらわれたので奴らの場所を突き止めたい」と言うもなおジェイクは突っぱねて去ってしまう。
一方、ダラーハイド大佐たちは舞台を編成して出発した。保安官の息子、まだ子供のエメット・タガート(ノア・リンガー)やその飼い犬などもついていった。
ジェイクはある廃屋を訪問する。その家に入ると記憶がよみがえってきた。そこはジェイクとアリスが共に暮らしていた家だった。ジェイクはアリスと共に暮らすために犯罪を犯していたのだ。しかし汚れた金であることを非難するアリス。その時、机に置いた金、そしてアリスがさっきの町人のようにさらわれてしまったのだった。

その後、ジェイクはダラーハイド大佐たちのもとと合流して協力することを申し出る。
宇宙船が飛んで行った方へと進んでいく一行。雨の中、奇妙にさかさまになっている船を発見して、そこで雨宿りすることにする。
ここでダラーハイド大佐は328人の部下を自分の判断ミスで殺してしまったということをナットに対して話す。が、ナットに対しては辛辣な言葉を投げかける大佐。また、大佐はエメットがナイフを興味深そうに見ていたので彼にナイフを授けた。一方、ミーチャムはドクに銃の使い方を教えていた。ジェイクはエラと会話をしていおり、エラは「思い出せるのに思い出さないだけだ」とジェイクに言う。
ここでエイリアンが現れて一行を襲う。撃退するも、ミーチャム致命傷を受けてしまう。今わの際にジェイクに対して「みんなを助けてくれ。神は許してくれる。過去より未だ」と言い、息絶えた。

朝になると部隊の多くが逃げていた。エイリアンに恐れをなしたのだ。ダラーハイドは埋葬しただけで十分だと言ったが、ジェイクとドクはミーチャムのために祈った。
その後数が少なくなった一行が進んでいくと追いはぎの集団に襲われる。しかしジェイクの顔を見ると追いはぎは「ボスじゃねえか」と驚く。ジェイクはその男に仲間のところまで案内させると追いはぎの集団のリーダーがいた。ジェイクは彼らが自分を知っていることを利用して彼らに「出発だ」と言うもリーダーは金を持ち逃げして足を洗おうとしていたジェイクを恨んでおり言うことは聞かない。そしてそのリーダーがジェイクの忠告にもかかわらずエラを「売女」と罵ったためにジェイクは彼を撃ち殺す。隙を見てその追いはぎたちから逃げるジェイクたち一行。だが彼らも追ってくる。
だがまたもここで宇宙人の飛行物体が襲ってきた。エラがさらわれたので崖を利用して飛行物体に飛び移り救出したジェイク。しかし川に落ちてから陸上に上がったところで宇宙船にいたエイリアンの一撃を受けてエラが重傷を負い、その後ダラーハイドたちと合流後にエラは死亡してしまう。
その後、周囲をアパッチ民族に囲まれて連行されてしまう。さらに一族の長が化け物を連れてきたのは白人だと責める。そこでエラの遺体が火にかけられるとなんとエラが生き返る。彼女もまた人間ではなく、エイリアンだったのだ。

そんな超常的なものを見たためかアパッチ族も落ち着きを取り戻し、ジェイクたちとアパッチ族たちはエラの話を聞いた。エラは町を襲ったエイリアンをせん滅するためにやってきた別種の宇宙人なのだという。そしてエラによればジェイクがエイリアンたちの居場所を知っているとのこと。記憶を取り戻す方法があるとアパッチ族はいい、怪しげな儀式をジェイクに施す。すると本当にジェイクの記憶は戻る。どうやらアリスはすでに死んでいるということも知ったが、目論見通りエイリアンの本拠である宇宙船の位置もジェイクは思い出した。
共闘してくれるアパッチ族たちも連れてその周辺まで行くも、アパッチ族はダラーハイドの言うことは聞かずに連携を取るつもりがない。ナットがダラーハイドが優れた軍人だったことを強調して説得しようとするも、一族の長は「それならなぜ彼についてきた兵士がこれしかいないのか」と痛いところをつく。しかしそこで、一時別行動をとっていたジェイクがさきほどの追いはぎとの説得を成功させて大量の味方として引き連れてきた。これを見てアパッチ族は納得し、ダラーハイド一行、アパッチ族、追いはぎたちの3つの勢力の連合が出来上がりついに決戦となる。

まず爆発を発生させてエイリアンたちを外におびき寄せてから取り囲んで倒すという戦術を立てたダラーハイド。
ジェイクとエラは宇宙船内部へ侵入して内部でさらわれた人々を救出する役割を担った。
エイリアンたちを腕輪の力で蹴散らしていくと深部では人々が立ったまま謎の光を見つめて棒立ちになっていた。その光を見ると抜け殻のようになってしまうらしい。その光の元を破壊して人々を救出。だがさらにエラは最深部へと行き、ジェイクの腕輪の自爆装置を使って宇宙船を破壊するつもりらしい。
ジェイクとエラはそれぞれ単独行動となる。ジェイクは金が何かの動力として変換されている部屋にたどり着き、そこでエイリアンに襲われる。絶体絶命のピンチとなるも、遅れて来たダラーハイドの手により救出され、そのエイリアンに溶けた金を浴びせて倒す。

ジェイクとダラーハイドは脱出するも、宇宙船は飛び去ってしまい、さらに爆発した。エラが自分を犠牲にして腕輪の爆発により破壊したのだ。
さらわれた保安官やマリアやパーシー、その他の人々は救出され、エイリアンは滅びた。共に死線を潜り抜けたダラーハイドとジェイクは別れを告げる。「また会おう大佐」と言い、ジェイクは一人で馬に乗って旅立っていった。

感想・評価

なんてバカみたいなタイトルだ!見るしかねえ!
と食いついたものの、ネタっぽいタイトルに反して割と大真面目な雰囲気だったので意外。特にギャグっぽいところはなく真っ当にカウボーイがエイリアンにぶつかって勝利。戦いでヒロインのエラは死に、恋人のアリスも亡くした主人公はどこか孤独でちょっぴりビターだけど、「大佐また会おうと」ハードボイルドに荒野に消えていくジェイク。王道である。流石にウェスタンな世界でいきなり宇宙船がやってきたり、改造手術を受けた主人公が腕輪からビームをぶっ放したり、痴話げんか中にいきなり黄金をキャトルミューティレーションしたりするのはあまりにミスマッチでちょっと笑ったのだが、ストーリーの大筋部分は本当に真面目です。カウボーイなりに全力を尽くしてエイリアンに勝利します。

この手の話でありがちなのだが、エイリアンの強さが強いのかよくわからない。
ラストでの決戦では爆発で外におびき出されたとはいえ、人間側に真正面から素手で向かっていく脳筋エイリアンには「お前は知性があるのかないのかどっちだ」と。素手による一撃で人間は即死するくらいなんで強いといえば強いのだが、あんだけの科学力があるんだからまさか銃器の類がないわけないと思うんだよなあ。とはいえ実際出なかったのでなかったのか…。遠距離武器があったらきっと人間側は勝てなかったろう。

話の展開が無茶だと思ったところがいくつか。追いはぎに囲まれているのになぜか彼らが棒立ちの隙を見せたので逃げ出すことができたり、謎の儀式によりジェイクの記憶が戻ったり、アパッチ族の登場が特に伏線を感じられず唐突であり、さらになんとなく仲間にもなって行動してしまうことや、再度追いはぎを説得しに行くと彼らもまた何となくジェイクに味方することなど。ボーっとしてると何となく見過ごしてしまいそうだが、この感想を書くために二回視聴してみたらこのへんが少々強引に感じられた。3つの勢力が協力してエイリアンに立ち向かう!って流れ自体はなかなか熱いんだけどもね。

記憶喪失の主人公のジェイクがアウトローであんまり良い人間でもないのがいいアクセントになっている。しょっぱなから尋問してきた集団を叩きのめしてしまうし、そもそも記憶喪失前は強盗を働いていたので決して善人ではない。だけど自分がそういう悪党だったことも忘れてるわけだ。割とよくある設定かもしれないが、これのおかげで主人公に影のあるダークヒーロー的カッコよさが付与されている。平凡な善人設定よりは面白い。

ただ、ネタに走ってるわけでもなくて真面目な映画なので、特筆すべきものが存在しない映画という感じではある。起承転結無難にまとまっているが、どこをとっても悪い意味で地味、真面目。このアンバランスな設定を活かすにはもうちょっとはっちゃけた作風にしたほうが良かったのではないのか?と。
それとは別に、ハリソンフォードを実に久しぶりに見たので個人的に満足した。4年前の映画ではあるけども、こういう大ベテランがまだ近年活躍していると知るとなぜか嬉しい。

項目別評価

ネタ映画臭いタイトルに反して雰囲気は真面目なので別に笑えるわけではないので注意。はっきり言ってそんなに面白くはない。記憶を失った主人公がもともとは悪人でありぶっきらぼうで人を寄せ付けないキャラクター。そんなアウトロー型主人公が好きならお勧め。

凡人の感想・ネタバレ映画>カウボーイ&エイリアン