劇場版ドラゴンボールZ 超戦士撃破!!勝つのはオレだ -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年4月7日

あらすじ・ネタバレ

原作ドラゴンボールの魔人ブウ編において、天下一武道会決勝において人造人間18号ミスター・サタンと闘うことになったが、サタンは自分の名声を守るために大金を支払う代わりに18号にわざと負けてもらったのだった。

しかしその金をなかなか支払って貰えないため、18号はミスター・サタンの家に押し入って金を要求する。家の外では18号の夫のクリリンと娘のマロンもいて、そしてその金で腹いっぱい飯を食わせてもらう約束をした孫悟天トランクスもいた。

今はないので待ってくれと必死になるサタンだったが、そこにメンメンという男が現れる。彼はジャガー・バッダという男の使いだった。メンメンはジャガーの挑戦を拒否するならばミスター・サタンのヒミツ(小学校6年までおねしょをしていたという話)をばらすというのでミスター・サタンは仕方なくジャガー・バッダの元へ向かう。
しかしそのまま逃げる気なら許さないと言う18号もサタンと共にジャガー・バッダの元へと向かい、悟天とトランクスも好奇心で同行した。

ジャガー・バッダの元へ到着すると、ジャガー・バッダは自分が開発したバイオ戦士と戦えとミスター・サタンに要求する。大富豪のジャガー・バッダは金にものを言わせてバイオテクノロジーで強い戦士を生み出していたのだった。

いざ戦うとなると自分では敵わないと判断したサタンは弟子という名目になっている18号に戦ってもらう。さらに大金をもらうことを条件に了承した18号、それに悟天とトランクスは次々にバイオ戦士を倒してしまう。

しかし悟天とトランクスはバイオ溶液に浸されているバイオ戦士たちの中にある人物を見つける。それは尻尾の生えた大男、劇場版前作で戦い、悟天とトランクスをボロボロに痛めつけた伝説の超サイヤ人ブロリーだった。ナタデ村の祈祷師が死んだブロリーの血を回収し、それをジャガー・バッダへ渡して、その遺伝子からバイオ戦士として誕生させたのだった。
恐ろしさをその身で知っている悟天とトランクスは培養液にいる間に倒してしまおうとしてかめはめ波を放とうとするが、ブロリーは本領を発揮して容器を破壊して外に出てしまう。その姿はドロドロの培養液混じりの化け物だった。

そんな姿でも相変わらずの強さのブロリー。18号はあっという間にやられてしまう。しかし悟天とトランクスは今度は負けないと意気込み奮闘する。だが培養液が研究所全体にあふれ出し、全ての生物を飲みこみ始めてしまったため、無力な研究員たちが巻き込まれ始めてしまい、それを助けながらの戦いとなってしまったため苦戦する。18号のピンチにクリリンも駆けつけるが、バイオブロリーには歯が立たない。

トランクスはバイオ戦士と化したブロリーも培養液に飲み込ませる作戦を立てる。そして上手く培養液を浴びせることに成功。バイオブロリーは巨大化して復活したが、すぐに溶けてしまった。

バイオブロリーは倒したものの培養液の増殖は止まらず、このままでは世界の全てを飲みこんでしまうと研究者は言う。しかし悟天は培養液が海水で固まることに気付く。悟天、トランクス、クリリンの3人はかめはめ波を研究所周辺の海に向かって撃ち、研究所のある島全体に海水を浴びせた。
こうして研究所からあふれ出す培養液は固まり全ては終わったかに見えた。しかしさらに超巨大になったバイオブロリーが海中から現れる。しかしこれもすぐに海水により固まってしまい、悟天とトランクスが撃った気弾により完全に破壊された。
一方ミスター・サタンは海で溺れかけていて、それを見た18号は引き上げ賃と言って4000万ゼニーを要求。それを聞いたサタンは仕方なく自分で泳いで帰って行った。

一方あの世。
孫悟空はムシャムシャと食事をしながら地獄で暴れているブロリーを倒してほしいという界王様からの願いを界王様のペットのバブルスづてに聞き、ブロリーを倒しに行こうとしていた。
そしてエンディングロールへ。エンディングでは悟天、トランクスが生まれてから現在に至るまでの様々な活躍の場面が演出される。

感想・評価

何かのシリーズ作品において「異色作」と呼ばれるものは存在するだろうが、劇場版ドラゴンボール全19作品(2018年現在)の中で最も異色作品と言えば間違いなくこの作品だろう。
何と言っても悟空も悟飯もベジータも出てこず、悟天、トランクス、18号、クリリンが活躍するという、なんとも妙な作品なのだから。

言わずもがな、ドラゴンボールの登場人物といえば悟空だ。そうでなければベジータ、あるいは悟飯だ。なのに、この作品では悟空が最後の最後に申し訳程度に出るだけで、実質的な主役は悟天とトランクスだ。しかも脇を固めるのは18号とクリリン、ミスターサタンという、なんとも妙なメンツなのである。

ドラゴンボールなのに悟空もベジータも見られないかよーとがっかりしかねないところだが、この作品、自分はかなり高く評価したい

理由1。マンネリを打破しているから
ドラゴンボールの劇場版と言えば、有体に言えば悟空が苦戦しながらも強敵を倒す話である。一行で済んでしまう。19作品もありながら、ほぼそのすべてがその説明で済んでしまうものである。この1994年作品の「超戦士撃破!勝つのはオレだ」は、そのマンネリに一石を投じている。悟空が主人公ならば、視聴しなくとも「悟空がトドメを刺すのだろう」と予想どころか確信が持ててしまうが、悟天とトランクスが主人公なので安易に予想がつかない。それだけで単純に先が気になり、面白いのだ。

理由2。悟天とトランクスがカッコよい
悟空の第二子の孫悟天とベジータの第一子トランクス。この二人は原作悟空いわく「超天才」でありながら、どの媒体でもどうにも不遇な扱いを受けがちである。原作では満を持しての登場でも結局魔人ブウを倒すことはできずにあまつさえ吸収されてしまうし、最近の「超」でも、力の大会において、間違いなくベジータ悟飯たちに次ぐ実力者でもあるにも関わらずなぜか出場しない。大人ばかりが活躍するドラゴンボールにおいて「子供」という属性は強すぎるゆえか、その高い戦闘力を発揮する以上に、コメディリリーフや和ませ役として使われがちな二人なのである。
だが、この作品における悟天とトランクスはとても格好良いのである。まさに悟空とベジータの代わりだと言わんばかりに、服がボロボロになり口から血を出しながら、果敢に勇敢に勇猛に、バイオブロリーと闘う。そしてバイオ細胞に飲み込まれそうな一般人を救うというハンデを背負いつつ戦っているのもヒーローらしくて良い。なんでフュージョンしてゴテンクスにならないんだろうという疑問も湧くが、逆に言うと悟天と少年トランクス単体で格好良い姿を見れるのはこの作品を置いて他にないのである。

理由その3。18号とクリリンが戦うのが珍しすぎる
これは2018年現在、この二人が活躍したアニメ「ドラゴンボール超」を経た今だと若干魅力として弱まってしまうのだが、この作品は18号とクリリンが主力として戦っているのである。というか戦闘要員としては悟天と少年トランクスと18号とクリリンの4人しか登場せず、この4人だけで強敵バイオブロリー(恐らく超サイヤ人2に近いくらいの強さ)を倒してしまうのである。18号はパワーアップしたセル第一形態には及ばず、クリリンに至ってはフリーザとすらもまるで歯が立たないのは間違いないだろうが、それでもこの作品では主力の1人として戦う。これが1994年作品としてはかなり大胆で、面白いことをやっているのである。

理由その4。戦いの場も異色
ドラゴンボールにおける戦いの倍というのは、ほとんど例外なく屋外である。荒野だったり海だったりと様々と言えば様々ではあるが、広大な野外であるという点は、原作だろうがアニメオリジナルだろうがほぼ共通している。
しかしこの作品の戦いの場は、バイオ研究所内、つまり屋内なのである。これも相当に珍しいことだ。これのおかげで作品の雰囲気がまた、他の作品よりも一風変わっていて面白いのである。

ということで4つの要因を挙げたが、結局は登場人物が異色すぎるの一言だろう。しかし悟天とトランクスは悟空とベジータが出ないのを補うほどの戦いぶりとヒーローぶりを見せるし、この少年二人の戦いは格好良い。18号とクリリンが及ばずながらもバイオブロリーに向かっていくのも頼もしい。そしてこれらは見ていて楽しい。

まさに「異色」というに相応しいこの作品。ドラゴンボール好きで観ていないならば是非観てほしいと思う。

人物解説

孫悟天

声:野沢雅子
孫悟空の第二子。親友のトランクスとはいつも一緒なのは原作通り。バイオブロリーを前に「許さないぞー!」と猛る姿は原作では見せないもので、実に頼もしい。あまり周囲を気にしないトランクスとは違いバイオ細胞に飲み込まれそうな無力な研究者たちを助ける姿が何度もあり、そのハンデを背負いながらバイオブロリーと戦う。一時的にブロリーと一人で互角に闘う場面もあり、このシーンは多分ドラゴンボールのあらゆる作品で悟天が最もカッコイイ場面。

トランクス

声:草尾毅
悟天より1歳年上のベジータの第一子。悟天より少し実力が上という原作設定もあり、また天才科学者ブルマの息子という設定も合わせて、バイオブロリーを培養液に飲み込ませるという頭脳プレイを見せる。悟天が無力な研究員たちを救出している間に一人でバイオブロリーと闘う、という状況が何度かあり、戦闘では割を食っている。何気に今作では悟天と揃って二回も亀仙流の技であるかめはめ波を繰り出している。

18号

声:伊藤美紀
ドクター・ゲロに作られた人造人間18号。原作の天下一武闘会決勝でミスターサタンと戦い、わざと負ける代わりに大金をもらう約束をしたのになかなかミスターサタンが金をよこさないために押し入ったところ、ジャガー・バッダの企みに巻き込まれることになった、というのがこの作品の導入。バイオ戦士たちは一蹴するが、超サイヤ人2前後の強さを誇るバイオブロリーにはまるで敵わず、一方的に殴られ、クリリンに救出される。

クリリン

声:田中真弓
18号の夫で孫悟空の親友としてよく知られるキャラ。今作の時間軸は恐らく魔人ブウ戦後(悟空があの世にいるのは矛盾するが劇場版は矛盾だらけなので突っ込むだけ無駄だろう)なので、髪を剃っていない長髪の状態。ピンチの18号を救出し、気円斬をバイオブロリーの首に直撃させるという活躍を見せるが、バイオブロリーはすぐ首がくっついてしまったので倒すことはできなかった。

バイオブロリー

声:島田敏
伝説の超サイヤ人ブロリーがバイオ戦士として復活した姿。ドロドロの培養液で化け物としか言えないような見た目になっているが悟天とトランクスがコンビでようやく互角という強さ。むしろ前作では悟飯もいたのに歯が立たないような状態なので弱体化しているとも言えるか。今作ではほとんど喋らない。劇場版前作の「危険なふたり!超戦士は眠れない」で登場したナタデ村の祈祷師がブロリーの血を回収し、それを元にジャガー・バッダの研究で復活した。

ミスター・サタン

声:郷里大輔
地球で最強の格闘家、ということになっているがその強さというのは一般の枠内であり、悟天たちとは比べようもないほどの強さしかないほぼ一般人。ジャガー・バッダに恨まれているがゆえにバイオ戦士と戦わせられるという陰謀に巻き込まれる。しかしバイオブロリーはおろかその他大勢のバイオ戦士とも戦わないで逃げ惑うだけ。

ジャガー・バッダ

声:龍田直樹
ミスター・サタンの小学校の同級生だった男。かっぺ言葉を使う。かつて武闘家を目指していたがミスター・サタンに敗れたたためにその夢を断念してしまい、以来、サタンを恨んでいる。当初バイオブロリーが手に負えない代物とは思っていなかったが、バイオブロリーが暴れるうちにその深刻さに気付き始める。最後には培養液に飲み込まれそうになったところをトランクスに助けられて「悪いことをしたのに助けてくれるのか?」と言う。

メンメン

声:藤原啓治
ジャガー・バッダの秘書で従兄弟。なぜか関西弁。使いとしてミスター・サタンの元へやってきて、小学6年生までおねしょをしていたという秘密をばらすぞ、と脅してジャガー・バッダの元へサタンを案内する。

孫悟空

声:野沢雅子
最後の最後で登場して「地獄で暴れているブロリーを倒してほしい」という界王様の願いを聞き入れ、いざ向かおう、というところで今作は終わる。悟空が登場するのはたったの1分程度。魔人ブウ編後だとして死んでいたら原作と矛盾するのだが、劇場版ドラゴンボールは矛盾で構成されていると言っても過言ではないくらいに矛盾だらけなので、些細なことだろう。界王様が登場せずなぜかバブルスづてに頼みを聞いている、というのも何か妙だ。

項目別評価

劇場版Dragon Ball「超戦士撃破!勝つのはオレだ」評価

悟空も悟飯もベジータも出ていないという、ドラゴンボールとしては異色中の異色作。あらゆるドラゴンボール作品において悟天とトランクスが最もカッコよくたくましく演出される作品。安易に悟空あるいは悟飯が強敵と戦うばかりの劇場版に一石を投じた作品。

凡人の感想・ネタバレ映画>劇場版ドラゴンボールZ 超戦士撃破!!勝つのはオレだ