劇場版ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年4月9日

あらすじ・ネタバレ

劇場版前作の「燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」で悟空に敗北したブロリー。あれから5年ほどの月日が経過していた。実はブロリーは瀕死の重傷ながらも生きており、宇宙船ポッドで人知れず地球に辿り着いていた。墜落したのは水晶がよく取れる地域だった。ブロリーは眠った状態で水晶に覆われてしまったのだった。

孫悟天トランクス、そしてビーデルの三人はドラゴンボールを探していた。ビーデルが神龍が現れるのを見たいというので三人で探していたのだ。
そのさなか、三人はナタデ村という村に行きつく。そこでは定期的に村の娘を生贄としてささげる習慣があるのだった。三人はこれを見過ごせず、生贄を欲する化け物を倒すことを決意する。

三人は自分たちが生贄となって捧げものの中に隠れて化け物が現れるのを待った。悟天が供え物をつまみ食いしようとしたためビーデルがビンタを食らわすと悟天は「トランクスも食べたのになんで」と大泣きし始めてしまう。この声は結晶の中で眠るブロリーの耳に届いていた。カカロットこと孫悟空を恨んでいるブロリーは悟空と生き写しの悟天の声に反応し、目覚め始めてしまう。
生贄を欲する化け物というのはただの巨大な恐竜だった。子供とはいえ超サイヤ人にさえなれる悟天とトランクスの敵ではなく、あっけなく倒してしまう。そんな二人の子供を見てビーデルは唖然とする。
ナタデ村では化け物を倒したお祝いをし、三人は村の救い主として歓迎された。

一晩泊まることになったが、ブロリーがついに完全に目覚めてしまう。そしてエネルギー弾を無差別に放って周囲を破壊し始める。
ビーデルが果敢に向かって行くが、あえなく倒されてしまう。
悟天とトランクスも戦うが、前作同様にブロリーの強さは圧倒的であり、悟天とトランクスの攻撃はまるで通じない。
逃げまわる二人だったが、徐々に圧倒されていくのだった。

一方、ブロリーの気に気付いた孫悟飯
悟天とトランクスがボロボロにやられとどめの気弾をブロリーが放つが、そこを間一髪で悟飯が救出する。

悟天とトランクスより実力は上の悟飯が戦い始める。悟飯は以前戦った時より自分はパワーアップしていると自負していたが、やはりブロリーには歯が立たず一方的に嬲られてしまう。悟天、トランクス、ビーデルの三人はブロリーの気弾の爆発に巻き込まれて気絶してしまった。
機転を利かせてブロリーを溶岩に飲みこませた悟飯だったが、そこで力尽きて自分も溶岩に飲まれそうになってしまう。しかしそこを救出したのはピッコロ、ではなくピッコロのマントとターバンを着けたクリリンだった。

だが溶岩に飲み込まれてもブロリーは全くの無傷だった。早々にクリリンは気弾でやられてしまい、再び悟飯が単身ブロリーに向かって行く。だがやはり歯が立たない。
そしてブロリーはトドメのエネルギー弾を放つ。対抗して悟飯はかめはめ波を撃つが押されてしまう。悟天もかめはめ波を撃つが状況は変わらない。そこで悟天たちが集めたドラゴンボールが輝きだして、空から悟飯、悟天の父である孫悟空が現れ、悟飯、悟天と共にかめはめ波を撃つ。「オラがいないと守れないんか」と二人に喝を入れる悟空。
一方トランクスは「オレたちの力が通じない奴がいるなんて」と悲観しながら自棄気味にエネルギー弾を放つ。ブロリーに一瞬隙が出来て、悟空の「今だ!」という号令を合図に三人のかめはめ波はブロリーのエネルギー弾を貫き、ブロリーを太陽まで吹き飛ばし、ブロリーは今度こそ完全消滅した。

悟飯と悟天がふと見ると悟空はすでにそこにはいなかった。しかし悟飯は「来てくれたんでしょ」と悟空に語り掛けた。
その場にいなかったビーデルがやってきて悟飯に対して「悟飯くんが倒したんでしょ」と言うが悟飯ははぐらかす。トランクスはそんな二人を「あれで結構楽しんでるんだぜ」と茶化すのだった。

感想・評価

今空前の劇場版ドラゴンボールブーム!超戦士撃破!勝つのはオレだ燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦に引き続き視聴。ブロリー三部作の中でなぜか3→1→2という滅茶苦茶な順番で視聴してしまった。

で、評価だが、結論から言うとブロリーが出る三作品の中では最も微妙な出来と言わざるを得ない。
理由はというと、メインキャラの悟天、トランクス、ビーデルの三人がどうにも若干、はっきり言えばイラつくからだ。三人の行動なり言動が色々と頂けない部分が多く、この三人に対してあまりいい感じを持てない。そのために作品全体への印象が悪くなるのだ。
それぞれ具体的に取り上げてみる。

まず孫悟天。
作中で悟天、トランクス、ビーデルの三人はナタデ村の生贄に成り代わって待ち構えることになるのだが、ここでお供え物をつまみ食いしてビーデルにビンタされて大泣きする。が、これがなんと嘘泣きなのである。悟天の号泣を見て仕方なくビーデルがつまみ食いを許容するという流れになるのだが、こんな妙にリアルな狡猾さを、悟空の息子が見せるというのがなんとも微妙に嫌な感じ。
そしてブロリーとの戦いが始まってからは、必死にブロリーを食い止めるトランクスを一人置いてドラゴンボールを追いかけて能天気にしているのも、「ふざけてんのか?」と言いたくなる。

次にトランクス。
この作品の少年トランクスは妙に口が悪い。とはいえ大体のものは特段おかしいものでもないのだが、一つ、「それは冗談にしても酷いだろ」というものがある。それは上の悟天がつまみ食いをするシーンの直前。ビーデルが「私だけに任せてもいいのよ」というような事を言うと、返しとして「あんたが食われるのを見たいんだ」というような事を言うのだ。これもまた、妙にリアルな好奇心旺盛なクソガキ感満点で非常に印象が悪い。そりゃビーデルも切れるわと納得の発言である。

そしてビーデル。
この作品は1994年作品だが、本作に登場するビーデルは原作で登場間もない頃の、非常に強気で勝ち気なビーデルだ。ビーデルは悟飯や悟空たちの正体に気付いてからは「自分はミスターサタンの娘!」というような主張は影を潜めていくのだが、それまでは悟飯もタジタジとなるほどの気の強さを見せる。ゆえにブロリーが登場してからも、なんと悟天とトランクスを置いてに単身で向かって行ってしまう。原作ドラゴンボールを知っている人間ならば一般人に毛が生えた程度のビーデルなど相手になるわけがないのも分かるわけだが、この身の程知らずの行動は称えられるものではなく、ただただ無謀にしか見えない。一発ブロリーのラリアットを喰らってるがなぜ生きてるのかと疑問になるくらいだ。実力の伴っていない勝ち気さがちょっと不快になってしまうのだ。

というわけで、メインの三人が三者三様にどうにも印象悪い部分が目立つので、観ていてあんまりいい気がしないのだ。悟飯は特に変なところはないのだが、この作品では悟飯よりもこの三人の方が登場時間が長いため、嫌でも気になってしまう。「超戦士撃破!勝つのはオレだ」では悟天もトランクスも全然こういうところないのに、むしろヒーローぶりがかっこいいとも思えるくらいなのだが、この作品から受ける印象は真逆だ。なんというか、脚本書いた人間の性格の悪さがにじみ出ているというか。三人のヤンチャさを強調したかったのかなあ?

あと話も少し妙なところがある。
悟飯がブロリーの放った気弾の爆発から悟天、トランクス、ビーデルの三人を守ろうとして気のバリアを張る場面があるのだが、守れていない。「だああああああ!」とか言って必死にバリア張るのだが、守れていないのである。しかもなぜか自分はほとんど無傷。じゃあなぜ三人はボロボロになってしまうのか。意味が分からない。
後ブロリーを溶岩に落とそうとするところ。かつてぼこぼこにされた立場であるのに、悟飯は伝説の超サイヤ人を数千度程度の溶岩に落としたくらいで本気で倒せると思っていたわけだ。そもそもかめはめ波とかはそれよりは熱量あるんじゃないのかと思うんだが。ドラゴンボールに理屈を求めること自体がナンセンスだとわかっている。わかっているのだが、限度はあるよなあ、と感じてしまう部分だ。

人物解説

孫悟飯

声:野沢雅子
この作品では悟空は死んでいる状態なので主人公。ブロリーとの戦いの中では「あの頃よりボクも強くなっているのに」と言っているが、原作ではこの時は少年期よりもなまっている設定なので矛盾する。何かで見たが、一応、今作の悟飯は超サイヤ人2になっている設定のようだ。悟天、トランクス、ビーデルがブロリーと戦い始めるまで一切登場しないので主人公なのに最も出演時間自体は少ない。

孫悟天

声:野沢雅子
悟飯の弟。上での説明の通り、今作では嘘泣きでビーデルを騙すというような嫌に狡猾な面を見せる。その嘘泣きでブロリーが目覚めてしまい、トランクス、ビーデルと共に闘うことに。ドラゴンボールを使ってブロリーを退治しようとする案を思いついてからはトランクスに戦闘を任せっぱなしでドラゴンボールを追いかけまわしたりと能天気にしている。最後には悟飯、悟空と共にかめはめ波を撃ってブロリーを倒す。

トランクス

声:草尾毅
今作には全く登場しないベジータ。その息子。今作はかなり生意気さが強調されている。ビーデルに「あんたが食われるところを見たい」というのはやはりあんまりな台詞だと思う。悟天と共にブロリーと戦うが、悟天がダラダラやっている間に一対一で闘うことになる時間も長く、恐怖でちびってしまう。ブロリーと孫親子が撃ちあっている時に横やりを入れて隙を作るが、これは原作でのセルとの決着シーンでベジータが気弾をセルに当てて隙を作ったシーンのオマージュだろう。

ビーデル

声:皆口裕子
悟飯の通うハイスクールの同級生で、地上最強の格闘家ミスターサタンの娘。非情に強気でおてんば。一応舞空術は使えるものの戦闘能力自体は悟天トランクス悟飯とは比べようはなく、ブロリーとの彼我戦力差は果てしなく大きいはずだが、ブロリーのラリアットを一発喰らっても普通に生きている。前作で「手加減ってなんだあ?」とか言っていたブロリーに限ってフェミニストということはあり得ないが、まあはっきり言えばご都合主義だろう。悟飯がベアハッグを食らっている時に水晶の破片を投げてブロリーの気を逸らし、そのスキに悟飯が脱出するというシーンがあるが、実質的にここ以外に役に立っている場面は全くない。

クリリン

声:田中真弓
悟飯が溶岩に飲み込まれそうになったところを救出した後にブロリーに一蹴されるだけの役割。なぜかピッコロの服を着てくるが、「一度着てみたかった」などと言うものの、なぜ悠長にそんなものを用意して救出に来たのか、そもそもピッコロはなぜ来ないのかなどが不明。

ブロリー

声:島田敏
前作劇場版「燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」で悟空に敗北した上、新惑星ベジータごと彗星に飲み込まれたはずだが、どういうわけか生きていた上、サイヤ人の宇宙船ポッドに乗って地球に辿り着いた。瀕死の重傷を負った上に水晶に覆われてしまったが、悟天の鳴き声で悟空の声を思い出して復活してしまう。相変わらず強さは圧倒的で、悟天、トランクス、ビーデル、悟飯のどの攻撃でも動じる様子が全く存在しない。しかし最後には悟空、悟飯、悟天のかめはめ波で吹き飛ばされて太陽に突っ込んで死亡。次の「超戦士撃破!勝つのはオレだ」で出るのはバイオテクノロジーで復活したものなので、本来のブロリーはここで死んでいる。

孫悟空

声:野沢雅子
今作では死んでいる状態。いっつも界王様を介して下界に話しているのになんで今回に限って話さないんだとか思ってしまうところだが、これもまたご都合か。ドラゴンボールの力で一時的に復活して親子かめはめ波を繰り出すが、悟空は(地球のドラゴンボールでは)二度とは生き返られないはずなので、「生き返る」というのとはまた別の力が働いて一時的に現れたということだろう。なんかもうよくわからん。要するに原作でのセル戦での親子かめはめ波を劇場版でもやりたかっただけなのだろう。

項目別評価

劇場版Dragon Ball「超戦士撃破!勝つのはオレだ」評価

ブロリー三部作の中では最も微妙な出来。露悪的とすら感じてしまう悟天、トランクス、ビーデルの言動をもうちょいどうにかすれば普通に楽しめるレベルだと思うのだが。

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