カジノ・ゾンビ BET OR DIE -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>エンド・オブ・ウォッチ(映画)

執筆日:2017年05月18日

あらすじ・ネタバレ

ブライアン(ジェイク・ギレンホール)とマイク(マイケル・ペーニャ)はアメリカ、ロサンゼルスで警察官をやっている。二人はバディであり、親友の間柄だった。
二人はどちらも軽い性格ではあるが、仕事となれば職務に真摯に向かい、激しい銃撃戦でも立ち向かう勇気を持っていた。子供が取り残されていれば火事の中にも飛び込み救うという英雄的行動も成し遂げ、二人は勲章も授与された。

日々様々な事件に遭遇し対処していく様が描かれるが、ある日、不審な家に入っていくと大量の人間が狭い部屋に寿司詰め状態になっているのを発見する。FBIが駆けつけてきて「これは自分たちの管轄だ」と言う。メキシコマフィアの犯罪の一端であり、FBIの人間はブライアンたちを冷たくあしらいつつも「気を付けろ」と忠告する。ロスではメキシコの麻薬カルテルの犯罪が人知れず行われているのだ。

ブライアンにはジャネットという恋人がいて、結婚をした。マイクはじめ、同僚の警察官たちも結婚式で祝福をしたが、警察官が常に危険と隣り合わせだということを知っているマイクはブライアンに対して「最悪、子供の面倒を見る」などとも言った。

そして二人の命運を決める事件が起きた。
「祖母とずっと連絡が取れない」という通報があったので駆けつけると、そこにはすでに死亡した通報者の祖母、そして大量の麻薬と切断された大量の遺体があった。これもまたメキシコの麻薬カルテルの仕業だった。居住者の老婆を殺し、不法滞在していたのだ。
この件が知られたことは麻薬カルテル側としては許されないことであり、組織はブライアンとマイクの殺害を計画する。

カルテルの使い走りはブライアンとマイクが追いかけてくるように誘導した上で建物に誘い込み、一斉射撃を行ったが、ブライアンの手に一発当たったもののなんとか別の部屋に逃げ込むことに成功する。命からがら外に逃げ出したものの、外からも組織の仲間はおり、車から銃撃をしてきた。ブライアンの胸にこれが当たり、瀕死になってしまう。ブライアンは死を覚悟、マイクもそれを受け入れて慟哭する。だがさらに悲劇は終わらない。さらに追いかけてきた組織の人間に後ろから一斉に撃たれマイクは殉職してしまった。

荘厳な葬儀が行われるシーン。それはブライアンとマイク、ではなくマイクのみへ向けられたものだった。ブライアンは奇跡的に生存しており、マイクへの乱射も、マイクの体が盾となっていたおかげでブライアンには当たらなかったのだ。
葬儀で弔辞を行うのは当然ブライアン。しかし「彼は兄弟だった」とだけ話すとブライアンは絶句、それ以上言葉が出ないほどのショックを受けていたのだった。

最後に、襲撃を受けた当日にブライアンとマイクがパトロール中に雑談をしていたシーンが流れる。それはマイクが彼女の家で逢引をしようとしたとき、彼女の両親の部屋で隠れていたら性行為を見てしまったというくだらない話だったが、その話をするマイクも、それを聞くブライアンも実に楽しそうだった。

感想・評価

作品の概要は「優秀なバディ警官がひょんなことから麻薬組織の大変な秘密を見つけてしまったので命を狙われてさあ大変」というものだった。これはきっと、小粋なジョークを飛ばしながら二人でばったばったと敵を蹴散らしていく痛快アクションに違いない!とか思って視聴したのだが、全然違った。ブライアンの所持しているカメラから撮影されているというカメラワークが多く、あたかもノンフィクションもの、ちょうど日本だと1クールドラマが終わった後、次の繋ぎまでに放映することでおなじみの「犯罪列島24時!」みたいなああいう番組の雰囲気に近い。基本的には主人公のブライアンとマイクがパトカー内部でくだらない雑談をしているシーンの途中で通報が入り現場に急行、という流れであり、まさに「警察官の日常に密着」という見せ方をしている。ブライアンが撃たれる時、ブライアンのカメラが撃ち抜かれ、同時にブライアンの声にもならない声、声帯を撃ち抜かれるような声が一瞬聞こえる演出は実にゾッとした。

等身大の警察官を描いているということが強調されているわけだが、ブライアンとマイクの能力に対しても実に現実的。麻薬組織のアジトに乗り込んでズダダダ!ドカーン!大勝利!なんてことはもちろんない。それどころか使い走りの末端程度の奴ら囲まれて無情にもマイクは射殺されてしまうのだから。少し前まではいつものようにパトロールをしていた二人なだけに、このシーンの絶望感は半端じゃない。
それ以外でも、警官の描写は現実的でありながら暴力描写には容赦がないのがこの作品の特徴。二人が襲われるきっかけになった不法滞在者のアジトの発見時には多数の生首と手足が映されたり、暴漢に警官二人が襲われてそれをブライアンとマイクが救出に行くシーンでは、なんと片方の男性警官の目にはナイフが刺さり、もう一人の女性警官の顔は間違いなく一生ものの傷になるほどにボコボコで瀕死状態になっている様子が映される。でもここのナイフは正直やりすぎだと思ったな…。指切断くらいにしてもよかったのでは?いやそれじゃ同じようなもんか…。
どちらにせよ、「警官の戦闘力はごくごく現実的」であるにもかかわらず、「暴力描写は並のアクション映画以上」であるため、現実の警官のシビアさが強調されているのだ。ネットのネタとして「ロスじゃ日常茶飯事だぜ」のアレがあるが、これを見た後だとそれをちょっと冗談とか笑い話にできなくなりそうである。

ところで、タイトルのエンド・オブ・ウォッチというのは「殉職」という意味になるのだそうで。これは、どうなんだろうな。自分の場合はそれを全く知らなかったのでブライアンとマイクが襲撃された時は正直かなり驚いた。そりゃ割と平凡な警官でしかないから奇跡のような展開が待っているとは思わなかったが、まさか無惨にも撃ち殺されるとは。でも、エンド・オブ・ウォッチの意味を知っていたら、もう視聴前からわかっちゃいますよね?これ。別のタイトルにした方がよかったんじゃないのか。

登場人物紹介

ブライアン・テイラー

演:ジェイク・ギレンホール
白人のロス警官。ジャネットという恋人がおり、中盤で結婚、そして最後の襲撃の日には相棒のマイクに妊娠したことも伝える。麻薬組織の襲撃から逃げる途中に胸を撃たれて重傷、気を失うが実は死んでおらず、その後の銃撃からもマイクの体が盾になったおかげで助かる。マイクの葬儀ではただ一言「彼は兄弟だった」とだけ言う。その後も何か言いたそうにするが結局はその言葉だけで弔辞は終わるため、筆舌に尽くしがたい感情があるということをよく表現している。

マイク・サヴァラ

演:マイケル・ペーニャ
ブライアンの相方で、ブライアンとは違い既婚。妻の名前はギャビー。ブライアンとはまさに親友という間柄。マフィアの襲撃により銃の乱射を受けて即死するが、マイクの体が盾になって気を失っていたブライアンは実は生きていたことが葬儀の場面で明らかになる。「最悪子供の面倒は俺が見る」とブライアンに言ったが逆に自分が…というね。一番最後のシーンはマイクが自分の経験した洒落にならない話(隠れていたら恋人がそこで○ックスし始めたという話)を笑い話としてブライアンに話すシーンとなりエンドクレジットに入る。

項目別評価

いかにもハリウッド的な無敵コンビの大快進撃!のようなバディものからは程遠い、ノンフィクション感を重視した、ごく平凡な警官二人の日常と仕事ぶりを淡々と描いた作品。それゆえに終盤の襲撃での緊張感、絶望感は半端ではなく、「ロスじゃ日常茶飯事だぜ」のネタを気軽に口に出来なくなることうけあい。警察の監修も受けているようで、この作品ほど等身大の警官を描いている作品はあまりないのでは?ロス怖すぎ。メキシコマフィア怖すぎ。エンド・オブ・ウォッチという意味を知っている人の場合、展開がどうしても読めてしまうのはちょっと残念な部分に思えるのだがどうか。

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