イコライザー -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年2月22日

評論

1週間ほど前にPS4を購入した。そして定期的に行ってきたPSSTOREでの映画レンタルをPS4で行うのはこの作品が最初となる。

この作品はデンゼル・ワシントン主演のアクション映画。どうやら80年代にアメリカで放映された「ザ・シークレット・ハンター」という作品の劇場版という位置付けになるらしい。

事前情報はPSSTOREでの概要を見たのみで視聴した。その概要には確かこのようにあったわけだ。要約すると
「並外れた力を持っているが現在はホームセンターで働く男が正義感を燃やして封印していた力を使って戦う」
要約するとそんな感じ。この概要を見て面白そうと感じ、また作品評価も平均が★4以上で高かったので視聴したわけだ。

ところで、主人公のロバート役、主演を務めるデンゼル・ワシントンが出演している映画はほとんど見ていない。というか改めて調べてみたら「アンストッパブル」と「2ガンズ」くらいしか見てない。だがそれでもこの人のパブリックイメージというのはなんとなく分かる。
ずばり、「完成された隙のない大人の男性」という感じである。…いや、3作しか見ないでこんなこと言うのもどうかと思うんだが、とにかく勝手に言わせてもらうとそんな感じだ。何か欠点を持っているような人間ではなく、成熟し完成し、余裕のある男性、そんなイメージがデンゼル・ワシントンにある。

この作品の概要を見て何に惹かれたかというと、何か並々ならぬ過去を持っていながらも「今はホームセンターで働いている」という部分だ。
いかにも庶民的で、普通で、凡人で、ありふれている印象をこれでもかと受ける。何せホームセンターだ。日本だとニトリとかカインズホームとかだ。それで、この概要を見たときにこう思ったわけだ。
「あの完成されたような役ばかりやるデンゼル・ワシントンが、普通の生活とそうでない過去との軋轢に苦しむ、みたいな姿が見れるんじゃないか?」と。
要するに、デンゼル・ワシントンはどうもどういう状況でも余裕のある格好いい役ばかりやっていけすかないので、ちょっとかっこ悪いとこ見せてくれ!と願いながら視聴したのである。我ながらずいぶん歪んだ希望だと思う。だが、映画に限らず、自分のツボって人間らしい弱さとかを見せてくれる作品なのよね。そういう部分を見ることでそのキャラクターに親しみを感じられるからだろうな。感傷的な性格なので、そういう部分に弱いのだ。

だがしかし、結論から言うとこの作品にそんな部分は微塵も存在しなかった。
セガールとかシュワルツェネッガーが無双するB級映画とそう変わらない構成だった。なのではっきり言えば期待外れだったと言えよう。

話の流れを解説する。
CIAのエージェントという過去を持ちながらも今は普通に生きるロバート。行き付けのカフェで出会った娼婦の少女が暴行を受けているのを知り、かつて持っていた正義感を思い出し、娼婦商売の胴元であるロシアンマフィアの元へ行き、「9000ドルほどを払うからあの少女を自由にしろ」と言う。しかしそんな要求をマフィア側は無視する。それに静かな怒りを燃やし、その場にいた全員をたった19秒ほどで全て殺害してしまうロバート。
それ以来、抑えていた正義感を隠すことなく発揮し、汚職警官をこらしめたり、ホームセンターを狙った強盗をとっちめたりと密かに正義を行い続けていくのであった。

そんな中、最初にロバートが皆殺しにしてしまったマフィア側に雇われたロシアの殺し屋である「テディ」は、この事件の断片的な手がかりからロバートへとたどり着く。そしてロバートを抹殺しようとする。
しかしロバートはその殺し屋をも上回る凄腕。テディはロバートが働くホームセンターの従業員を人質に取るが、そのホームセンターを舞台とした最終決戦において、まあ苦戦はしたものの予定調和的にロバートは勝利。
さらにその後、マフィアのトップの家へも侵入しダイジェスト気味に抹殺。エピローグとして、最初にロバートが正義感を思い出すきっかけとなった娼婦の少女がロバートに挨拶に来る。彼女は娼婦をやめ心機一転、別の土地で真っ当に生きることをロバートに宣言、ハッピーエンドである。

まあ本当に徹頭徹尾、デンゼル・ワシントンの無双が続くわけだ。ホームセンターでの最終決戦では申し訳程度に苦戦し、職場の同僚であり面倒を見てあげていたデブ青年の力を借りたりもするわけだが、これは「最終決戦だからちょっとは苦戦しないとね♪」みたいな印象で白々しいものだ。とにかく無双系映画と思って間違いない。何せたった一人でマフィアを壊滅させてしまい、ロバートは悪に対しては躊躇のない冷徹マシーンになってしまうし、そこに人の心の揺らぎやリアリティなどあるべくもない。本当、期待していたのとは全く逆のものであり、完璧人間ばかりやる、というようなデンゼル・ワシントンへのイメージはますます固まってしまったのだった。

ただ、視聴後にこれが往年のテレビドラマシリーズの映画化だったということを知った時には色々と腑に落ちた部分もある。
ひっそりと悪をこらしめるなんてのは悪い意味で「かっこよすぎ」だと思ったのだが、80年代のテレビドラマシリーズだと思えば、要するに水戸黄門的な勧善懲悪かな、と思えば納得がいった。それにいくらなんでも、それまで平凡に生きていたのに本気出してみたらマフィア壊滅まで一人までやっちゃいましたというのもやりすぎだと感じたのだが、テレビドラマシリーズを一つにまとめたのならある程度駆け足になるのもしょうがないのかな、とも。いや、原作がどういう作品なんだか知らないんだけどね。予想だが、多分こっそり悪をこらしめるというのを、テレビシリーズでは1話1話じっくりやってたんじゃないだろうか。

項目別評価

弱い、人間らしい部分のあるキャラクターを演じるデンゼル・ワシントンを期待していた、というような偏りまくった期待からの評価。普通にアクション、サスペンスとして面白くなくはないだろうが、ありがちであり特筆すべきものはないと思う。結局主人公は超強くて隙など全くと言っていいほどない。苦戦は申し訳程度だ。強キャラが無双するB級映画好きなら楽しめるだろう。

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