フッテージ(映画) -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年5月19日

簡単なあらすじ・ネタバレ

主人公のエリソンはノンフィクション作家。10年前にヒット作を生み出したがそれ以降は鳴かず飛ばずが続いている。

エリソンは妻と二人の子供がいるが、共に引っ越したのはかつて一家惨殺事件が起きたいわくつきの家だった。エリソンは妻と子供にはそのことを明かさず、作品のネタにするために住むことにしたのだった。

しかしその家の天井裏を調べていると妙なフッテージ(未編集フィルム)があったのだった。そのフィルムは数十年前から撮影したものであり、どれもが一家が殺害されるという内容だった。

エリソンはそのフィルムを調べているうちにどの殺人ビデオの中にも人間とは思えない化け物が映っていたり、謎の紋章のようなものが書かれていることを見つけた。そしてエリソンの子供たちは事件の様子を表す落書きを描き、そのどれもにミスター・ブギーという人物が描かれていた。

エリソンのファンである町の副保安官の協力を得て調査を進める。するとビデオの犠牲者らは「事件直前に引っ越している」ことや「事件後にその家の子供が失踪している」ということをエリソンは知る。
また、特殊な犯罪に詳しいジョナス教授という話に聞くとビデオの中にある紋章は悪魔儀式に関わるもの、悪魔の名前はブグールという「子供を食う」悪しきものだとわかる。悪魔は生き永らえる為に子供の魂を食うのだという。

そして深夜に度重なる現象を目撃し、最後には屋根裏で失踪した子供たち、それにミスター・ブギーとらしき悪魔を目撃したエリソンはフッテージを焼却処分し、引っ越しを決意する。

だがこの引っ越しこそが悪魔による一家惨殺が起きるトリガーだった。
焼却したはずのフッテージがなぜか新たな家にも置いてあった。そこにある「未公開フィルム」と書かれたフィルムにはまた、副保安官から連絡が入り「どの事件も引っ越した直後に起きる」という共通項があるとわかった。
未公開フィルムには以前見た時にはいなかった一家惨殺の実行犯である子供たちが映っていた。

ビデオを見ていたエリソンは気を失ってしまう。娘のアシュリーがブグールに操られて一家惨殺事件を起こそうとしていたのだ。
なすすべもなくエリソンや他の3人も殺されて新たな一家惨殺事件となり「お絵描き12年」と書かれた新たなフッテージが出来上がった。実行犯のアシュリーはブグールに自らのしもべとされてしまったのだった。

詳細なあらすじ・ネタバレ

2012年の出来事。主人公のエリソン・オズワルトは10年前にヒット作「流血のケンタッキー」を生み出したノンフィクション作家。しかしそれ以来はこれといった作品を生み出すことができなかったために経済的に余裕がなかった。エリソンは妻のトレイシー、息子のトレヴァー、娘のアシュリーには黙って、一家惨殺事件が起きたペンシルベニア州のとある町の家へと引っ越した。

エリソンが新たな住居を整理して引っ越し作業をしていると、屋根裏部屋である「フッテージ」、つまりビデオフィルムを見つける。それを見てみると、内容はまず一家5人が幸せに暮らしている姿を映した後、今度はそのうちの4人が首を吊られて殺されるという殺人の様子が映されたものだった。

フィルムはいくつもあり、これを見たエリソンは一時は警察に連絡を入れようとして電話するが、新たなヒット作を生み出したいと考え、警察には伝えず、このフィルムを元に小説を書こうとする。
フィルムは1966年、1979年、1986年、1998年、2011年などに発生したものであり、首つり殺人以外にも、首を掻っ切ったり、生きたまま火をつけたり、拘束した状態で水に落としたりといった残虐な手法ばかりだったが、どのフィルムにも時折化け物のような顔をした人物や、魔方陣のようなものが映り込んでいるのをエリソンは発見する。

エリソンの小説のファンだという町の副保安官はエリソンに協力してくれるようになった。エリソンは副保安官に過去の事件について調べるように頼んだ。
すると具体的にどこで発生した事件なのかなどが知ることができた。どの事件でも事件後に1人の子供が消えているというのが共通していた。

フィルムを再生して調査するエリソンの周囲では何度も不可解な事が起こった。突然電気が消えたり、娘のアシュリーが夜間に外に出るなど奇行に走ったりなど。それでもエリソンは小説を生み出すために調査はやめなかった。妻のトレイシーは最近様子がおかしくなったエリソンを問い詰めるも、金になると言ってトレイシーを納得させた。

副保安官からはジョナス教授というオカルト犯罪に詳しい専門家を紹介してもらうことになった。
教授は映像に映っている記号は邪教の神への崇拝を意味しているものだと説明する。それはバビロニア時代から伝わるブグールと呼ばれる悪魔のものだった。ブグールは子供を誘惑したり騙したりして子供の肉や魂を食べ、生き永らえるという伝説があるとのことだった。このブグールこそがフィルムに映っている化け物ミスター・ブギーだった。

さらに家では怪奇現象が続けて発生。トレイシーも二人の子供がおかしな絵を描くため、自分たちが住む家が以前殺人事件が起きた家のだとようやく気付く。トレイシーは「金などではなく子供たちこそが財産だ」とエリソンを説得した。
そしてエリソンはとうとうある夜、天井裏でかつての事件で行方不明になったらしい子供たち、それにブグールの姿を目撃する。小説を書くために怪奇現象が起きても無視してきたエリソンだったが、これによりフィルムはすべて焼却し、引っ越しを決意するのだった。

新たな家に引っ越し、これにより怪異からは離れることができたとエリソンは考えていた。
だが、引っ越し先の家に燃やしたはずのフィルムがあり驚愕する。
そしてその時調査を頼んでいた副保安官から連絡が入る。副保安官によれば、「全ての殺人事件の被害者は前の事件の被害者が住んでいた場所に住んでおり、引っ越した先で事件が発生している」とのことだった。つまり引っ越しは行ってはいけなかったのだ。

引っ越し先にあったフィルムの中には「未公開フィルム」と書かれたあらたなものもあった。
これを見ると、前見た5つの一家惨殺事件の内容だったが、どれも最後に加害者である行方不明になった子供たちが映っていた。
それを見ていたエリソンは急に体の自由を失う。エリソンに飲み物を持ってきたのは娘のアシュリーだったが、すでにブグールに魅入られており、睡眠薬のようなものを混入させていたのだ。

身動きできなくなったエリソンが気づくと目の前にアシュリーがおり、「パパ、もう一度有名にしてあげる」と言った。直接的な描写はないが、エリソン、トレイシー、トレヴァーの三人は全員がアシュリーに殺されてバラバラにされてしまったのだった。

そして最後にはそのアシュリーの背後にブグールが現れフッテージの中へと連れていってしまうのだった。

感想・評価

たちの悪い悪魔が棲みつく家にやってきてしまった主人公の周囲に異変が発生し、最終的に悪魔に魅入られた自分の子供に殺されてしまう、という話だけ見ればありがちなオカルトホラー。だがこの作品、個人的に凄く苦手、というかはっきり言えばめっちゃ怖かった

なんでかというと、小説のネタを探すために主人公が何度も何度も執拗にスナッフフィルムを再生して検証シーンが凄く嫌だったから。
これが本当に目を逸らしたくなる。頼むからやめとけって本当に勘弁してくれって言いたくなる。邦画で言うとこれはリングと同じような怖さだ。こういったビデオを再生したり一時停止したりしていればついには動くに決まっているのだ。だからついに動き出した時には「ほら〜もう!やっぱ動くじゃん!だからやめとけばいいのに〜!」って気持ちになってもう狂乱。主人公が小説のネタのために一家惨殺の家に住むことを決めたとかいう罰当たりなため、このバカ!バカ野郎!と罵倒したくもなる。こんな風に制作側の思うつぼになっている自分はつくづくをいいお客さんだなあなんても思うわけだが。

ということで、目新しいものはないのだが「いわくつきの家に引っ越してしまった系ホラー」が好きならば見て損はないはず。見た後はトイレに行くのが嫌になったり、風呂に入ったりできなくなる可能性もある。

人物解説

エリソン・オズワルト

演:イーサン・ホーク
主人公。10年前に書いた作品がヒットしたためにそこそこに有名な作家だがそれ以降はヒット作は生めなかった。そのためネタにするために以前一家惨殺事件が起きた家に、家族に黙ってわざわざ越してきた。過去の事件を調べるうちに何度もブグールが起こす怪奇現象を目撃し、ついには引っ越しを決意するも、引っ越しこそが事件のトリガーだと知らず、ブグールに魅入られたアシュリーの手により妻と息子ともども殺される。

ミスター・ブギー(ブグール)

演:ニック・キング
かなり古い時代からいるらしい悪魔。かつては「絵」を依り代として、それを持つ家の子供の魂を食らうという行為を繰り返してきたが、現代ではフッテージに取り着いている。

トレイシー

演:ジュリエット・ライランス
エリソンの妻。エリソンがいわくつきの家を選んで引っ越したということは知らなかった。それを知った時には当然ながらエリソンを激しく責める。直接的な描写はないが、エリソン、トレヴァーと共にアシュリーに殺害されてしまった。

アシュリー

演:クレア・フォーリー
エリソンとトレイシーの娘。夢遊病の娘。絵を描くのが趣味。ブグールに魅入られてエリソン、トレイシー、トレヴァーの3人を惨殺し、さらにはアシュリーはブグールに魂を持っていかれてしまった。殺す前にエリソンに「もう一度パパを有名にしてあげる」と言ったが、続編でオズワルト一家惨殺事件は「オズワルト事件」と呼ばれて多くに知られるようになっているためまさにエリソンは作家としてではなく事件被害者として有名となっている。

トレヴァー

演:マイケル・ホール・ダダリオ
エリソンの長男。夜中に箱の中に入っていてエリソンを驚かせた。エリソン、トレイシーと共にアシュリーに殺されてしまった。

副保安官

町の保安官でエリソンと親しくなる。エリソンに過去の事件の情報を提供する。しかし「引っ越した直後に事件が起きる」ということを伝えられなかっためにオズワルト一家を助けることはできなかった。続編フッテージ・デススパイラルの主人公となる。

ジョナス教授

演:ヴィンセント・ドノフリオ
エリソンがブグールに関する事件を調べるために話を聞いた専門家。エリソンが使うラップトップPCの中でのみ登場し、エリソンとやり取りする。実は続編でも一応は登場する。

項目別評価

映画「フッテージ」評価

びっくりどっきり系の悪魔ホラーとしては少なくとも及第点以上ではある、と思う。スナッフビデオが何度も執拗に映されるのが凄く怖くて目を背けたくなった。理不尽に強力な悪霊、悪魔に主人公がなすすべもなく蹂躙される作品が好きならオススメ。

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