ゴッド・ファーザー PART2 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ゴッド・ファーザー PART2

執筆日:2017年05月19日

ゴッド・ファーザーシリーズ感想・ネタバレ

あらすじ・ネタバレ

今作は現代の主人公マイケル・コルレオーネと、過去の時代の主人公ヴィトー・コルレオーネのシーンが交互に入れ替わるように描写される。

1901年のイタリアのシチリア。コルレオーネという村生まれのヴィトーは、父親を地元マフィアのドン・チッチオに殺されてしまった。父親が上納金を拒否したからだ。父親の葬儀中にはヴィトーの兄までも殺されてしまう。そしてヴィトーは残された母と二人でドン・チッチオと会い、母は「この子は見逃してください」と言うも、「成長したら必ず復讐しに来るからダメだ」と拒否される。母が身を挺してかばってくれている間にヴィトーは逃げ出し、村人の助けも借り、アメリカへと逃亡したのだった。

時代は変わり1958年。すでにヴィトーは死去しており、ヴィトーの息子のマイケル・コルレオーネがコルレオーネ一家を率いている。前作ゴッド・ファーザーでヴィトーが死去した後、三男のマイケルが後を継いだのだ。長男のソニーは死に、次兄のフレドと妹のコニーは健在。マイケルは外でパーティーが行われている中で何人かの人物と会い、裏の世界の交渉などをしていた。パーティの最中にドンが交渉をするというのは前作の冒頭でのヴィトーを彷彿とさせる。ギーリー上院議員との交渉ではカジノホテルのライセンス料の話をするが互いの意見は真っ二つで交渉は決裂。
マイケルはコルレオーネ一家の幹部であるフランクとも会った。フランクはニューヨークの縄張りを仕切っている男だが、ロスという男の部下ロサト兄弟ともめごとを起こしていきり立っている。マイケルはロスとは事を荒立てたくないためにフランクに自制するように言うもフランクは聞き分けずにお茶を濁しただけだった。
その後、マイケルの屋敷、マイケルの寝室に直接、銃弾が無数に撃ち込まれるという事件が発生する。

1917年の出来事。アメリカのニューヨークにおいてヴィトーは雑貨店で働いていて、貧しいながらも妻と共に暮らしていた。友人と劇を見に行ったりもしていた。だがここを仕切るドン・ファヌッチというマフィアがいた。彼は地元の業者から上納金を搾取し、このドン・ファヌッチの甥がヴィトーの職場で働くことになったせいでヴィトーは立場を追われ、職を失ってしまったのだった。この時代、ヴィトーは後の腹心であり終生の友人でもあるピーター・クレメンザと出会い、彼と共に裕福なアパートから赤い絨毯を盗んだ。それまでは清廉に生きてきたヴィトーだったが、このことをきっかけに犯罪の道、裏の世界へと入っていくことになる。

再び場面はマイケルの時代に戻る。自宅に襲撃を受けたマイケルは話をつけるためロスに会いに行く。襲撃はフランクの仕業だと言い、ロスと事を荒立てる気のないマイケルはフランクを始末することで話をつける。
その後、フランクとも会いロサト兄弟と和解するように命令するマイケル。フランクは了承するが、ロサト兄弟はフランクを殺害する気だった。しかし待ち合わせ場所の飲食店の戸を開けていたために警官が偶然入ってきてしまう。しかし殺害自体は成功したのだと、コルレオーネファミリーは聞いた。

一方、冒頭でマイケルとの交渉を決裂したギーリー上院議員の元にトムが訪れる。彼はフレドが経営する売春宿にいて、寝て起きたら隣で売春婦が血まみれで死んでいたのだ。ギーリーは何でこんなことになっているのかさっぱりわからず、社会的に終わりだと嘆く。しかし実はこれはコルレオーネの一員のアル・ネリが、議員を貶めるために殺害していたのだ。トムはこの件をもみ消す代わりに、コルレオーネ一家に従うよう要求した。

マイケルは次にキューバのハバナでロスと会う。その日はロスの誕生日パーティが行われており、マイケルはじめ、ロスと関係のある人物が祝っていた。ロスはマイケルを後継者として死後は権利を譲ると宣言するが、一方でマイケルに対して「200万ドルはどうした」と催促する。マイケルに金を要求していたのだ。ロスは大統領をも狙っていて、そのために金を欲していた。
金はフレドが持ってくる手筈になっていた。フレドには政府の人間と共に来るギーリー上院議員を案内するように頼む。フレドに「ロスが自分を狙っている、家の襲撃もロスが黒幕」と言うマイケル。自分を後継者のように言っているが、全く引退する気はないとマイケルは踏んでいた。再びロスと出会った時、ロスはマイケルに対してモー・グリーンという男がラスベガスを作り、偉大な男であったことを話す。しかしこの男のことは前作でマイケルが殺している。モー・グリーンをマイケルが殺したことをロスは気に入らなかったのだ。これが、ロスがマイケルを陥れようとする動機だった。

ロスはキューバでマイケルを殺害する気だと予想したマイケルはやられる前にロスを始末することにしていた。
だが、実はフレドはマイケルを裏切っていたのだった。マイケルの言う通り、フレドは議員たちを案内したが、そこでロスの側近ジョニーと会い、どこかぎこちなく「初対面だ」と挨拶した。にもかかわらず、ナイトショーを観ている間、「ジョニーにここを教えてもらった」とフレドが口を滑らせてしまったのだ。つまりロスとフレドは親しい関係であるのに、このことを伏せてマイケルと接しているフレドは裏切り者だと、マイケルは悟った。一方、ロスを殺害しようとするヒットマンは失敗、逆に警察に射殺されてしまった。
このタイミングでキューバでは革命が起きていた。反政府ゲリラが政府を打倒したのだ。マイケルはキューバを脱出しようとし、フレドに対して「今ならまだ兄弟だ」と言い一緒に来るように言うがフレドは拒否してしまう。
キューバ革命のゴタゴタから脱出、家に戻って来たマイケルはトムから、ロスはマイアミに脱出し、フレドはニューヨークへ移動したことを教えられた。悪いのはロスだとし、なおもフレドの事は許そうとするマイケルだが、妻のケイが流産したことを知らせられた。それを聞いたマイケルは激怒した。

1919年のニューヨークに場面は移る。ヴィトーはクレメンザたちと共に犯罪に手を染めるようになっていたが、ドン・ファヌッチに目をつけられてしまい、高いシャバ代を払わせようとしていた。それに対してひるまず、ファヌッチの暗殺を行った。

場面は変わり、雪が積もるレイク・タホの別荘へやってきたマイケル。そこにいた母、カルメラに「父は強かったが、その強さがかえって家族を失わせることもあるのでは?」と相談する。母は「家族を失うことはない」と返すが、「時代が違う」とマイケルは言い、落胆した様子を見せる。
一方、アメリカの議会はコルレオーネファミリーを犯罪組織として告発しようと、構成員だった人物を呼んで話を聞いていた。

再びヴィトーの時代。近所の女性から「大家から追い出せれないように説得してほしい」と相談されるヴィトー。その願いを聞き入れ、大家に対して六か月分の家賃を渡した。後でヴィトーが辺りを仕切るマフィアだと知った大家は慌てて頭を下げに来た。ヴィトーは仲間たちと共にジェンコ貿易会社という会社を立ち上げた。

マイケルの時代。マイケル自身も議会に召還されて聴取された。コルレオーネに弱みを握られたギーリー議員はマイケルをかばうためにイタリア系アメリカ人を擁護する弁をふるう。前作での5大マフィアのボス殺害の件などを追及されるが否定する。自分の名誉にかけて無罪である声明まで読み上げる。
場面が変わって、フランクが生きていたことがここで明かされる。マイケルに騙されたと思っているフランクは議会で証人として召還され、コルレオーネの罪を全て証言する気でいる。これもロスによる策略だった。

自分を裏切ったフレドとマイケルは話をする。フレドはロスに上手く乗せられてマイケルを裏切ってしまったのだが、弟のマイケルにいつも使い走りをされることに劣等感をずっと抱いていたことを明かし、激昂する。フレドは公聴会のクエスタッドという人間がロスの手の者だということは教えた。フレドに愛想をつかしたマイケルはもう二度と顔を合わせないと絶縁を言い渡した。だがそれは建前で、母が死んだら実の兄であるフレドすらも始末する気でいた。

公聴会が再開する。フランクが参考人として議会に来たが、彼はある人物を議会で目にする。それは自分の兄。マイケルは無言の圧力をフランクに与え、自分が不利になるような証言をしたらただでは済まないという脅しをフランクに与えるのだった。それに屈し、フランクは「何も知らない」の一点張りに。コルレオーネ・ファミリーの罪が暴かれることはなかった。

無事に公聴会を終えたマイケルを待っていたのは妻のケイの決別の言葉だった。彼女は公聴会にも出ていたが、子供を連れてマイケルの元を去るという。フランクに脅しを入れたことも気付いていたケイは、かつてとは見る影もないほどに冷徹になってしまったマイケルに愛想をつかしてしまったのだ。流産したというのも嘘で、実はケイ自身の意思での堕胎だった。もうマイケルの子供など産みたくないと思うほどに愛は冷めきってしまっていたのだった。マイケルは激怒するが、決して子供は渡さないとケイに言った。

再びヴィトーの時代。貿易業で財をなしたヴィトーは大勢の愛すべき家族と共に故郷のシチリアへ旅行をする。ここでかつて自分の家族を殺したドン・チッチオと商取引のていで近づき、ナイフで殺害。かつてチッチオが危惧したように復讐者となったヴィトーの復讐は為った。

マイケルの時代。カルメラ・コルレオーネが死去し、葬儀が行われている。フレドやコニーも出席したが、かつて宣言した通りマイケルはフレドには会おうとはしない。しかし妹のコニーがマイケルに会い、「フレドを許して」と言うとマイケルは顔を出し、フレドを抱きしめた。しかし、部下のアル・ネリに視線を送り、殺害を指示する。
一方、新聞にはロスの現状が記されていた。イスラエルの移住を拒否されたロスはマイアミの空港へ来るらしく、そこでマイケルは暗殺を行うようにトムに言うが、トムは無茶だと言う。しかし、「この世で一つだけ確かなことは人は殺せることだ」と言い、部下のロッコに実行するように言った。
そしてトムはマイケルの命令でフランクに会いに行く。彼は暗殺防止のためにアメリカ基地にいた。ローマ帝国をコルレオーネファミリーに見立てて、「皇帝の陰謀を企てた場合でも、チャンスはある」とフランクに言い、フランクは「自決すればその罪人の家族は守られる」と言った。
ケイは息子と娘を残してマイケルの元を去ろうとしていた。名残惜しくもするも、マイケルがそこに現れると冷酷な表情でケイを見つめ、ただ無言で扉を閉めて決別した。

結末では複数の死が同時に描かれる。フランクはトムとの会話で自分で話していたように、自殺することで家族の身を守った。ロスは空港でロッコの捨て身の行動により銃殺され、警備の手によりロッコも銃殺された。そしてフレドは、レイク湖の上で共に釣りに出たアル・ネリに殺された。

ラストシーンでは自宅の庭で一人椅子に座り、在りし過去を思い出すマイケル。兄のソニーもフレドも妹のコニーも食卓を共にしていて、父もいた時代。海兵となって太平洋戦争に従事したマイケルだったが、当時、海兵になることは反対されていた。この件を話した直後、家族はみな席を立って出て父の元へ行ってしまい、食卓にはマイケルだけが寂しく残されていた。それは未来の孤独なマイケルを予見しているようだった。

感想・評価

前作を視聴してから気付けば1年半ほどが経過してしまっていたが、今回ゴッド・ファーザー2を視聴。

前作ゴッド・ファーザーのラストは、ヴィトーの死後にコルレオーネの家長となったマイケルがこれからも容赦なく立ちはだかる敵を抹殺していくことが予感される、という危ういものなのだが、今作PART2ではまさにその通りになり、マイケルの周囲から家族すらも姿を消していってしまう話になっている。前作でいかにもマイケルを不安げに見つめていた妻ケイだったが、今回は完全に見限り、「もう愛していない、あなたの子を産むのが嫌だから堕胎した」とまで言う。さらには幹部のフランクを殺し、あげく、実の兄のフレドも殺してしまうという。
見返すと判りにくいと感じたのはギーリー上院議員を懐柔するためにコルレオーネ一家が手を回して売春婦を殺害、弱みを握るというシーン。いきなり売春宿で嘆いている半裸のおっさんが出てきて、「誰だこれ?」となってしまった。後は中盤でフレドが裏切っていたとマイケルが知るキューバでの一連のシーン。これはこの時代のキューバがカストロ率いる共産主義者によりゲリラが多発しているということを知っていないとこの辺りの流れもちょっと意味不明になる。いや、自分がそうだったんだけどね。

マイケルとロスが騙しあいをしているため各人物との相関関係もややっこしいのもちょっと厄介。最初にマイケルが自宅に襲撃を受けた後にロスに会いに行った時点では、マイケルは「フランクが犯人だ」と言う。「フランクは始末するということでいいな?」なんてロスの承認を求めたりも。そしてフランクを始末しようとするロサト兄弟が「マイケルが仕組んだ」とフランクに冥途の土産とばかりに教えるんで、これはもう完全にマイケルがフランクを殺しにかかっているように見えるのだが、再びマイケルがロスと会った時には「俺は命令していない。フランクを襲わせたのはあんただな」と言う。ロスとの会話で「フランクに消えてもらう」ってマイケルも確かに言ってるので余計紛らわしいが、マイケルは殺しを指示してないのだ。だが、どのみちフランクとしてはマイケルが仕組んだという誤解は解けないままであり、コルレオーネ一家を裏切って公聴会で証言しようとしたら脅されて、結果として確かにコルレオーネファミリーがフランクを消したことになるという。うん、ややっこしい。この作品は言外の演出が目立ち、難解と言えば難解なので、しっかり自分で考えないと話についていけなくなる可能性大だ。

ラストシーンで一人庭で物思いにふけるマイケルの脳裏には在りし日の家族たち。ここで彼は何を思うのか。荒っぽい上の兄がいて、気弱な下の兄がいて、可愛い妹がいて、頼りになる父もいた。それだけで今よりはマイケルの周囲は暖かいものだったろう。だがさらにマイケルは自分の内面も大きく様変わりしてしまったということにも思いを馳せていたのではないだろうか。その時の自分は、兄のソニーには反対されつつも人のために働けると海兵に志願もし、太平洋戦争を海兵として過ごしもした。だが今は人のためどころか、幹部や家族さえ殺してしまっている。マイケルのアイデンティティとして家族を守るという点だけは一貫していたはずなのに、それゆえに家族を殺すことになってしまっているいる矛盾。海軍では章を受賞するほど模範的な兵だったマイケルだが、この事実を公聴会では自分の潔白(もちろん潔白などではなく真っ黒なのに)を証明するために利用したりもしている。

このゴッド・ファーザーPART2、時間は3時間23分と、三作あるゴッド・ファーザーの中では最長になっているが、その理由はマイケルの物語だけでなく若かりし頃のヴィトーの物語も並行して描かれるからというのがある。ヴィトーが家族を皆殺しにされてアメリカに逃亡し、どのように生活してきたかが描かれる。裏の世界のトップとまでなるヴィトーなのだからもちろん汚い事はやってきているのだが、マイケルとは対照的に、いつもそのそばには家族の笑顔があるので印象的。マイケルが母に相談した時「時代が違う」などと言って諦めたようにうなだれるが、果たして本当に時代のせいなのか、それともヴィトーとマイケルの人柄の違いのせいなのか?少なくともヴィトーは家族を大事にはしていたがマイケルはどうなのだろう?ヴィトーならば気が抜けたようになっているフレドを殺したりは決してしなかったろう。例えば前作だとヴィトーはやんちゃな長男、ソニーが死んだ時に深く悲しみ、復讐は考えずにむしろ「この死を持って抗争は終わりにしよう」とドン同士の対談で提案したほど。しかしこのマイケルが同じ状況になったら…間違いなく復讐だろうなあ。間違いなく。
父のように強くあらんとしながらも、その強さをはき違えてしまった男の姿はただ哀愁漂うばかり。まさに「冷血」の言葉が相応しい男になってしまったマイケルがPART3ではどういう道をたどるのか?気になるところ。

最後に、話の中でやや分かりにくいと感じたポイントを挙げる。ここを押さえておけば話がスッと入りやすいはず。

登場人物紹介

マイケル・コルレオーネ

演:アル・パチーノ
「ゴッド・ファーザー」ヴィトー・コルレオーネの三男。死去したヴィトーに代わりコルレオーネ一家のボスとなり、立ちはだかる困難、敵は容赦なく暗殺していく冷酷な男。前作を見ていればわかるとおり、元々はファミリーの中では最もマフィアからは遠いところにいたが父、兄の死亡など、一家に降りかかる災難がマイケルにボスになる決意を固めさせた。今作、PART2ではますます冷徹さを増し、勝利と引き換えにマイケルが孤独になっていく寂しさ悲しさが作品全体から漂っている。家長たらんと常に気を張り、弱みを見せない彼だが、母に「パパは強かったがそれが原因で家族を失うことはないのか?」などと問うシーンでは隠し持っている葛藤や情が見え隠れする。しかし兄に裏切られ妻に愛想をつかされ、最終的には「この世でただ一つ確かなものは人は殺せるということ」なんて言葉まで吐いてしまう。これはまさに荒れ切ったマイケルの心を端的に表している。

ドン・ヴィトー・コルレオーネ

演:ロバート・デ・ニーロ
今作では前作でヴィトーを演じたマーロン・ブランドは一切登場せず、若かりし頃のヴィトーをロバート・デ・ニーロが演じる。イタリア、シチリア生まれだが、地元のマフィアに父、兄、母すべてを殺され、逃げるようにしてアメリカへと移住。そこでマフィアとして成り上がり、成人してからは家族を殺したドン・チッチオに復讐も果たす。最後には前作で描かれるような大物、裏の世界の権力者となった。PART2ではマイケルの物語と共にヴィトーがアメリカに移住してから成り上がるまでの軌跡も交互に描かれる。犯罪に手を染めるようになったのはクレメンザと出会ってから。殺しはニューヨークを仕切っていたドン・ファヌッチという男を殺害したのがおそらく初。

フレド・コルレオーネ

演:ジョン・カザール
ヴィトーの次男でマイケルの兄だが、気が小さいためにボスの器ではない。そのためにボスの兄という立場でありながらパッとしない役割ばかりを受け持つことに。そのためにマイケルに対して劣等感や嫉妬を抱き、マイケルからは見放され、最後には殺されてしまう。キューバでマイケルがフレドの裏切りを知るシーンでは、マイケルが珍しく激昂し「信じていたのに!」と感情を爆発させる。その後もギリギリまで手を差し伸べようとして、マイケルは冷酷ではあるが家族を粛清するのは流石に不本意だったのだろうが…。もう少しこのフレドが頼りがいがある人物だったらマイケルもどんなにか助かったろう。

トム・ヘイゲン

演:ロバート・デュバル
ヴィトーの養子としてコルレオーネ家に入った人間であり、一家の弁護士。敵とみなせば兄弟でも殺してしまうマイケルだが、このトムにだけは全幅の信頼を寄せており、自分がいない間のボスとしての役割をこのトムに任せるほど。しかし冷酷がすぎるマイケルに対して「全て殺す気か」などと苦言を飛ばすこともあり、マイケルのやり方が過激すぎると考えていることもうかがえる。もはやマイケルにとって真に家族と言える存在はこのトムと妹のコニーと二人の子供くらいのものか。

フランク・ペンタンジェリ

演:マイケル・V・ガッツォ
PART2において特に目立つ役割となっている人物の一人。コルレオーネ一家の幹部で、ニューヨークのクレメンザ(ヴィトーの腹心の部下だったがヴィトー同様すでに死去)の縄張りを継いでいたが、ロスの部下といさかいを起こしてしまう。マイケルに事を荒立てないように忠告されるも聞かず。ロスの差し金で殺されそうになるも生存。この時その刺客から「マイケルの思惑だ」と聞かされたためにマイケルが自分を殺そうとしたと勘違い。それにより公聴会でコルレオーネ一家の正体を暴くための証言をしようとするも、公聴会を行う現場に自分の兄がおり、何か話せば殺すというように無言の圧力をコルレオーネ一家からかけられる。その後さらにトムから自殺すれば家族には手を出さないことを告げられたため、その通りにバスタブで手首を切って死亡。最後まで自分を殺そうとしたのはロスではなくコルレオーネファミリーだと勘違いしたまま死んだということか。

ハイマン・ロス

演:リー・ストラスバーグ
フランクと並び、ゴッド・ファーザーPART2で発生するいざこざの渦中にいる人物の一人。今作におけるコルレオーネの敵方。よく「マイアミのロス」と言われて、マイアミにその人ありという人物らしい。ヴィトーとは仕事仲間でもあったが、ヴィトーからすると信用はしていなかったらしい。マイケルと話をしてマイケルに自分の死後は権力を渡すことを約束していたが、実は前作でマイケルの手によりモー・グリーン(ラスベガスのカジノ経営者)が殺されたことを恨んでいた。マイケルの寝室を襲わせたのも、フランクを殺そうとしたのも、このロス。

コニー・コルレオーネ

演:タリア・シャイア
コルレオーネ家の長女。登場するのは冒頭のパーティと終盤の母カルメラの葬儀のみ。マイケルがまるでヴィトーのように、父親のようにふるまうことが気に入らなかったが、母の葬儀では「あなたはただパパのように強くしていただけ」とマイケルに言ってマイケルを受け入れる。「ヴィトーのように強くたらんとしていただけ」というのはマイケルの本質をついた評価だろう。

項目別評価

前作からの続編であるので必ず前作は観る必要がある。ちゃんと前作を見ていれば、PART2を見る時点では各登場人物に愛着が沸き、自然と作品を深く楽しむことができるはず。話の大筋だけ見ればそこまで難解な映画というわけではないが、演出自体は台詞は少なめで難解であるため、目を離さずに視聴し、理解しようとする努力が必要になる。というか、解説を見ないと判らない部分は恐らく高確率で出る。しかしあそこはああいうシーンだったのかと分かるとまた面白いので、わからない部分があったら解説を見てからまた見直すことをお勧めする。また、3時間30分近くと非常に長い映画でもあるため、腰を据えて観る時間が出た時にのみ観ることを推奨。

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