ハミングバード(映画) 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年1月31日

あらすじ・ネタバレ

まず簡単なあらすじとネタバレ。
主人公のジョゼフはかつてアフガニスタンで特殊部隊として活動していた。しかし仲間を殺された報復として同じだけの無罪の民間人を殺したため追われる身となり、ロンドンに身を隠していた。ホームレスとして生活していたが、ホームレス狩りから逃れるうちにデイモンという男のマンションに入る。デイモンは半年以上留守にするらしいのでジョゼフはここで暮らすことにした。ホームレスを支援するシスターのクリスティナと親しくなっていくジョゼフだが、腕っぷしを見込まれてマフィアの下で働くようになり、危険な世界に身を置いていた。そんな時ジョゼフはホームレス仲間だった少女イザベルが娼婦として売られ、しかも客に殺されてしまったことを知り、復讐を誓う。自分のボスにその客について聞くとマックスという男がそうだと分かる。クリスティナが誘ってくれたバレエ公演には行かず、復讐のためにマックスが出席するカクテルパーティに出席してジョゼフは復讐を果たす。その翌日クリスティナはアフリカで人道支援をするために旅立ち、ジョゼフは彼女に手紙でエールを送った。しかし偵察機「ハミングバード」はロンドンの路地を歩くジョゼフを発見しており、ジョゼフは武装した兵士たちに囲まれようとしていた。

ここからは詳しいあらすじとネタバレ。

場所はロンドン、2月のある日。ジョゼフ・スミスはかつてアフガニスタンで特殊部隊として任務についていた。しかし罪を犯したことで軍を追われることになり、今はロンドンでホームレスをして身を隠していた。

ホームレスとしてのジョゼフはジョーイ・ジョーンズと名乗っており、イザベルという少女と親しかった。タックスマンという、ホームレスの資産を強引に奪ってしまう連中が来た時、重傷を負いながらとあるマンションの一室に逃げ込んだ。そこの本来の住民はデイモンという男性だったが、10月1日までニューヨークに行って留守だった。ジョゼフはそれまでの間このマンションを無断で借りて生活することにしたのだった。郵便物から銀行の暗証番号を知り、銀行から金を引き出すこともできた。

ロンドンのホームレスを支援しているシスターのクリスティナという女性がいた。ジョゼフとも知り合いだったが、ジョゼフが良い服を着ていて、しかも大金を持ってきて「自由に使え」というので驚く。

クリスティナは自分が世話になっている年長のシスターに相談した。金は寄付金としてもらうことにしたが、クリスティナはマリア・ジェリンスカという女性バレリーナの公演をどうしても観たいと言った。シスターはそれを許してくれた。チケットの値段は高く、全てを使うことになってしまった。
クリスティナはジョゼフに最近イザベラが姿を見せないことを教える。

ジョゼフはイザベラを捜していたが、「心配しなくていい。もめるだけだから探さないで」という連絡が来た。しかし実はイザベラは娼婦として働かせられていた。ある男がイザベラを気に入る様子を見せた。

ジョゼフは近隣住民にデイモンの家にいることを知られてしまうが、「デイモンの恋人だ」と言ってごまかした。しかし世間体のためにも普通に働く必要がある。
レストランで料理人として働くことになったが、ジョゼフはその腕っぷしを見込まれて店で発生するもめごとをおさめる役割も任されることも。ジョゼフの腕っぷしを見ていたギャングがいた。

ジョゼフはギャングに案内され、ロンドンの裏世界を支配する中国人ギャングのチョイの部下として働くことになった。
汚い仕事ばかりだったが、得られる金は莫大になった。その金もクリスティナに渡してホームレスの援助とすることも多かった。また、ジョゼフはクリスティナに思いを寄せていて、赤いドレスをプレゼントもした。

後にクリスティナがジョゼフの元を訪れる。なんとイザベルが川で遺体として発見されたのだ。それを見て激怒するジョゼフ。クリスティナはドレスは返すと言って突っ返したが、強引に渡すジョゼフ。クリスティナは「じゃあアフリカに寄付する」と言って受け取った。

ジョゼフはかつてホームレス狩りを行ったタックスマンを見つけてイザベルを殺した犯人を見つけようとする。締め上げると「30才くらいの目の上に傷がある金融マン」という情報を吐いた。

ジョゼフは写真展にクリスティナを誘うとそのドレスを着てクリスティナが現れる。「着る服がないから」とクリスティナは言うがジョゼフは喜んだ。その写真展ではデイモンの知り合いがいたので正体がバレそうになったためジョゼフとクリスティナは路地裏に逃げる。酔っぱらっていたクリスティナは自分がバレエを好きだということをジョゼフに話す。そして二人はキスを交わした。ジョゼフはイザベル殺しの犯人の情報を教えて警察に情報提供することを勧めた。

ジョゼフは仕事である食堂に押し入って金を強奪した。それはチョイの金だと言って渡すように促すジョゼフだったが抵抗に合う。強引に金を奪っていったが、これはニュースになってしまった。
その後クリスティナに会うと、結局悪いことはやめられないのねと軽蔑される。しかし自分だって偽善者だろと返すジョゼフ。
車の中でクリスティナは昔の話をする。クリスティナはかつてバレリーナを目指していたが、バレエの先生に10歳の頃から17回の性的イタズラをされ、18回目にされそうになった時に反撃して首を掻っ切って殺したのだという。それからイザベラはシスターとなったのだという。またクリスティナはアフリカに支援活動に行きたいという目標があり、10月には出るという決意を固めていた。

ジョゼフはギャングのボス(チャンよりもさらに上の立場で、女性)を通じてイザベル殺しの犯人を突き止める。ボスは特徴を上げると「知っている」と答えた。しかし代わりに仕事を頼んできた。それは人身売買の「商品」である女性をカウントするという仕事だった。港へ行き薄暗いコンテナに入ると大量の箱が並んでいた。「左手を出して拳を作れ」というと箱から大量の手が出てきた。それを計数機を使って数えるジョゼフ。手しか見えないが、明らかに10代の少女の手もあった。

ある男が娼婦に暴力を振るうシーン。彼こそがイザベルを殺した犯人で、マックス・フォレスターという名前だった。
ジョゼフは仕事をした見返りとして、この男の名前、そしてカクテルパーティーに出席するという情報を得ることができた。

デイモンが帰ってくる10月1日が来た。ジョゼフはクリスティナを呼び、記念撮影を撮ってくれるように頼んだ。ほとんど笑顔を見せないジョゼフだったが、笑顔の写真も撮影することができた。
クリスティナはシエラレオネ共和国に行くことをジョゼフに伝える。明日、10月2日には出発するが、「あなたといたい」とクリスティナは言い、2人はジョゼフの家(デイモンの家)で体を重ねた。
本来の家主であるデイモンが帰ってきて、慌てて二人は外に出たのだった。
クリスティナは今夜行われるマリア・ジェリンスカの公演に来てほしいと伝えたが、ジョゼフが殺そうとしているマックス・フォレスターが出席するカクテルパーティーもまた、今夜開催されるものだった。
クリスティナは公演開始直前までジョゼフを待ち続けたが、ジョゼフはカクテルパーティーの方へ行っており、来なかった。

一人バレエを見るクリスティナ。一方、ジョゼフは高層ビルの屋上で行われているカクテルパーティーに出席していた。そこでマックス・フォレスターを発券すると「底辺の者の思いを知れ」と言い屋上から突き落として殺した。すぐに姿を隠すジョゼフ。

公演が終わった後、クリスティナは路上で寝転がっているジョゼフを発見した。
ここでジョゼフは初めてクリスティナに身の上を話した。「特殊部隊に所属していたが仲間を5人殺されたため、報復のために無関係の現地人を5人無差別に殺した」というものだった。その当時も今も「ハミングバード」という偵察機が自分を見張っているとも言った。
クリスティナは泣きそうになっているジョゼフを抱きしめた。

10月2日。クリスティナは世話になっていたシスターに別れを告げて出発しようとするが、郵便が届いていた。それはクリスティナが撮影したジョゼフの写真と手紙だった。
そこには「良い写真は娘にあげたこと、デイモンには家賃含め金を返したこと、ホームレスにはピザを配った事、警察には人身売買の情報を送ったこと、街の悪党を退治したこと」が記されていた。そしてこれから自分はホームレスに戻るということも。「アフリカに行っても元気で」という言葉で手紙は締められていた。

しかし路上を歩くジョゼフの姿を偵察機ハミングバードが捉えていた。「目標を目視で発見。これより逮捕する」という無線通信を最後にエンドクレジットに入る。

感想・評価

強いけどいつもと違ってちょっと悪人なジェイソンステイサム。
ニューヨークに行って半年留守にしている恋人を装って誤魔化すシーンでは「恋人?あれ?ここの本来の住人男だよね?あれ?」と困惑。ジェイソンステイサムの吹き替えと言えば山路和弘がおなじみだが、この時のしゃべりはちょっとナヨナヨしている。そこまでして必死に軍法会議から逃げつつ、ギャングとして働き、シスターと心を通わせ、イザベルを殺した犯人をとっちめる、という話だ。

敵方は誰かと言えば娼婦を殴って満足を得る金融マン。大層な悪の組織とかではない。一応はアクション映画にカテゴライズされるのかもしれないが、それよりはジョセフとクリスティナの恋愛が前面に押し出されている。アクション映画としては随分と物足りないものになっている。テンションの高いところは皆無だ。最初から最後まで盛り上がる部分は特にない。アクション映画と思って観るとやや拍子抜けするはず。

ジョゼフがデイモンの家に入り込み、あまつさえそこで生活をするという設定だが、実際、イギリスのセキュリティってこんなにがばがばなんだろうかね?銀行の暗証番号まで知れてしまうのはどうかと思った。それに写真展でジョゼフが疑われるシーンもあるが、あの後疑った人物がデイモンに連絡しなかったのか、とかね。

しかし、話自体は嫌いじゃなかった。罪を犯した人間がクリスティナと出会い、良い人間になろうとするがギャングの道に入り、最後には罪滅ぼしとばかりに善行を行い、それでも最後には捕まってしまうという話だが、こういう情緒的でダウナーな映画もたまには良い。

登場人物解説

ジョゼフ・ジョーンズ

演:ジェイソン・ステイサム
かつて特殊部隊だったが仲間を5人殺されたため、報復として現地人5人殺すという重罪を犯した。しかもそれは仲間を殺した連中とは関係のない5人だった。その時の様子は「ハミングバード」と呼ばれる偵察機が上空から見ていた。軍法会議にかけられるのは免れないためロンドンに逃げ、ホームレスとして生活していた。しかしホームレス狩りから逃げるようにしてデイモンという男性のマンションに入りそこで生活するようになる。最初の内は食堂で普通に働いていたが、その腕っぷしを見込まれてチョイという中国人ギャングの部下になった。親しかったイザベラが殺されたことを知ってからはその犯人を捜して復讐するために行動する。クリスティナがアフリカへ行った日、自分の罪を清算するかのように善行をするが、偵察機「ハミングバード」により発見されて包囲されたところで本作は終わってしまう。このシーンのジョゼフは丸腰で酒に酔っているような状態だし、流れからすると捕らえられたと見るのが濃厚。そして無実の民間人5人殺しという罪を考えると刑はこの上なく重いものが下されただろう。

クリスティナ

演:アガタ・ブゼク
ロンドンのホームレスの支援をしているシスター。いつも炊き出しを行っている。ジョゼフと心を通わせる。かつてバレエを志していて、今もマリア・ジェリンスカというバレエの大ファン。しかし子供の頃バレエの先生に性的悪戯を17回もされ、18回目にはその教官を殺害。以降はシスターとなる。ホームレスとしてのジョゼフと知り合い、徐々に親密になっていった。アフリカのシエラレオネへ行って人道支援活動を行うつもりだったが、本来の予定より早めて10月2日に旅立った。10月1日の夜にはジョゼフをマリア・ジェリンスカが行うバレエ公演に誘うが、ジョゼフはマックスを殺すために行動していたためこなかった。

イザベル

ロンドンでホームレスとして潜伏していいたジョゼフの仲間。しかしタックスマンと呼ばれる男がホームレス狩りに来た時に捕まってしまい、娼婦として働くことになってしまう。そしてそこでマックス・フォレスターに殺されて川に捨てられ遺体で発見された。このイザベルの出番は少ないが、作中のジョゼフは何よりもイザベルの敵を討つために行動している。

マックス・フォレスター

イザベルを殺した犯人。真面目そうな金融マンの風貌だが、娼婦を殴って楽しむサディスティックな男。カクテルパーティーにやってきたところ、ジョゼフに屋上から突き落とされて転落死。ジョゼフはずっとこのマックスを探し続けるわけだが、出番はかなり少ない。

チョイ

ジョゼフが所属するようになるギャングのボス。しかしさらに上の女性の元締めもいる。本来は中国人以外は部下にしないらしいが、よほどジョゼフが気に入ったのか部下にしている。ジョゼフはラストシーンで「街の悪党は潰した」とさらっと言っているが、このチョイのことを言っているのか、そうでないのかはよくわからない。

デイモン

ジョゼフが家を無断で借りていた男性。後半で帰ってきて自分の家のドアが開かないことで「誰かいるのか!」というがその間に中にいたジョゼフとクリスティナは逃げてしまった。ジョゼフがクリスティナに宛てた手紙によれば、このデイモンにも金は返したらしい。家を借りている間、ジョゼフは「デイモンの恋人」を名乗って過ごしていた。実際の性嗜好はノーマルだったのかそうでないのか不明だが、もしノーマルなら帰ってきた後のデイモンに対しあらぬ誤解があったんじゃないかとか心配になってしまう。

マリア・ジェリンスカ

クリスティナが憧れるバレエダンサー。このジェリンスカの公演を見るためにクリスティナはジョゼフの寄付金を使った。別にジョゼフやクリスティナと話したりはしない。

項目別評価

やさぐれた男がロンドンでシスターと心を通わせ更生しようとするが結局ギャングになり、最後には捕まる話。アクション映画と思って観ると期待外れになるかもしれない。しかもややバッドエンド気味。完璧超人でない、ちょっと変わったステイサムを見たいならばオススメ。

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