アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2017年11月17日

あらすじ・ネタバレ

女性小説家のジェニファーは執筆のために人里離れたロッジを借りて執筆活動を行う予定だった。
ロッジに行く途中にガソリンスタンドへ寄ったところ、店員の男たち3人がおり、うち1人の男、ジョニーがナンパしてきたが軽くいなしてジェニファーはロッジに向かった。

ロッジへ到着したジェニファー。しかしロッジは老朽化が激しく居心地がいいものではなかった。それに周囲には何らかの不穏な作業をした形跡がある小屋などが見つかり、ジェニファーは不審に感じた。

ガソリンスタンドでジェニファーに振られたジョニーは仲間である「スタンリー」、「アンディ」と共に遊んでいた。ジェニファーがいるロッジのトイレ修理に行った気弱な「マシュー」も一応彼らの仲間だが、バカにされている。4人で話しているとジェニファーの話になり、ジョニーは「あの女も実は俺に惚れていた」と言う。

そしてある夜、ジェニファーのロッジにジョニーたち4人が乗り込んでいった。4人で取り囲みジェニファーを侮辱して楽しんでいたが、ジェニファーは隙を見て逃げ出す。
そこで出会ったのは保安官の「ストーチ」だった。ストーチはジェニファーと共にロッジに戻るがそこには誰もいない。しかし突如態度を豹変させる。するとジョニーたち4人も現れる。保安官であるストーチまでもがジョニーたちの仲間、いやむしろ4人の親玉こそがこのストーチだった。

再び複数の男に囲まれたジェニファーは万事休す。ジョニーたちは面白半分で、女性経験のないマシューにジェニファーと性交をさせようとする。マシューは拒否していたが結局渋々その通りにした。
さらにその後は外に連れ出して何度も汚い水たまりに顔をつける拷問を行う。身も心も凌辱されたジェニファーは突如何かを悟ったように裸のままフラフラと歩き出す。そして橋から飛び降りて川の中に姿を消してしまった。

ストーチたちは証拠隠滅のために殺して死体も隠すつもりだったのだが、このようにしてジェニファーが姿を消してしまったことに驚く。ストーチは妻も小もいる家庭を持った男であるので、ジェニファーに生きてもらっていては困るため特に必死。だが、5人でいくら捜索しても遺体は上がらなかった。

そしてそれから数日が経った頃、突如マシューの元にジェニファーが現れた。マシューは無理矢理やらせられたことだったと謝るが、ジェニファーは「ごめん」と謝りながら不意打ちでマシューを眠らせた。

それからジェニファーはアンディ、スタンリー、ジョニー、そしてストーチの順番で一人ずつ復讐を果たしていく。

アンディは水をためたバスタブの上に固定されて水攻めにされた。最初は真水の中に顔出し入れされるだけだったが、そのうち水の中には水酸化ナトリウムを入れられた。肌をつければ激しく焼けただれる劇物と化した水。その上で放置されたあげくに最後には力尽きて脂肪。顔は人の顔とわからないほどただれていた。

スタンリーは木に括り付けられて拘束され、まぶたを閉じられないように糸で突っ張らせて固定された。そこに動物の血をあびせられて放置される。すると血につられてやってきたカラスが目をえぐり出した。そのままスタンリーは死亡した。

ジョニーは全裸で立ったまにさせられて、○○○を切り取られてしまい、そのまま放置されて失血死した。

そしてストーチ保安官もまた、家族を囮にされてジェニファーに捕らわれ拘束される。尻に銃を突っ込まれてその引き金は眠らされたマシューの足が動くと作動するように仕掛けを施された。起きたマシューが不意に動いてしまい、銃弾は発射。尻から口にかけて銃弾は突き抜け、さらにマシューの腹部も撃ち抜いた。

自分を凌辱した5人全員への復讐を果たしたジェニファーが無表情で座っているのが映し出される。そのジェニファーの口角がわずかに上がって笑みを浮かべたところでエンドクレジットへ。

感想・評価

1978年の小説「発情アニマル」というのが原作らしい。spitとはつばを吐くという意味。タイトルを直訳すれば「私はお前の墓につばを吐く」、意訳すれば「お前らを情け容赦なく徹底的に殺す」といった感じか?
胸糞悪い映画見たいなーとか邪悪なことを考えながらNetflixで作品を探していたらこれはと目に付いた作品。
女性が暴行→犯人に10倍返しだ!というなかなかキワモノな作品だがなんとシリーズ化までされている。それなりに反響があったということだろうか。

実はすでに続編、2も見たのだが、1も2も前半は主人公がいたぶられ、後半は復讐、という点はどちらも全く同じとなっている。
視聴するまでは視聴後いったいどういう気持ちになる作品なのだろう?と期待と不安が入り混じった気持ちで観たのだが、観終わった後に浮かんできた言葉はちょっと過激なスカッとジャパンだった。いやジャパンじゃないけど。

前半は閉鎖的な田舎で保安官までもがグルになって主人公を暴行、あげくには殺害して証拠隠滅まで図ろうとしているこれ以上ない邪悪な犯人たちなので、どれだけ酷い復讐を受けても全く同情は湧いてこない。そこが素晴らしい。それはもうまさに10倍返しにして犯人を一人ずつ主人公が仕留めていくのだが、さあ次はどんな風にやられるのかとワクワクしてみることができる。性犯罪を犯した男性への復讐ということで当然の如く、男性なら背筋が凍るような制裁も行われるが、それでもやりすぎでは?なんて気にはならない。純粋にざまあみろという気持ちになり、うしろめたさは湧かないのである。無論前半部分は胸糞悪いが、復讐の前振りだと分かって観ていればそう不快でもない。

話は変わって、引き合いに出しといてなんだが、テレビ番組「スカッとジャパン」。あんな番組の存在をなんだかなあ…と思っている。だっていかに非がある人間とはいえ、それをやりこめて、うちのめして「ざまあみろ!」なんてあざ笑うっていう行為自体、なんかさもしくないだろうか?問題は地上波ということだ。あくまで趣味としてこういう作品を観るのなら個人の自由なのだが、毎週数十万人から観るような地上派放送でああいう番組を流すこと自体、なんか気持ち悪い。日本でそういう番組が公然と流れている、それが日本人としてどうにも気持ち悪い。なんかクソ真面目なこと言ってるように聞こえるかもしれないが、今まで生きていてこういう嫌悪感を感じたのはあの番組以外には存在しない。それなりに続いてるようだから視聴率いいということなのだろうが、日本人マジ病んでるんじゃないかと思う。ほんの数回見た事はあるがそもそも本当の話かどうかも保証はないし、再現VTRがどうにも臭くて倫理的問題以前に受け付けなかった。
…と、番組名を使って例えておいてメタクソな評価だが、まあこの映画を見てない人間にはこう言えば伝わりやすいかなということで使わせてもらった。

閑話休題。ともかく、復讐を良いだの悪いだの論じずにただ淡々と遂行するこの作品は優れたエンターテイメント。復讐は拷問じみたものばかりでえぐいし、やはりそもそも女性が暴行されるという時点で人を選ぶだろう。しかしそういうのが別に気にしないという人ならば見てみるのもいいはず。

人物解説

ジェニファー

女性小説家。おそらく20代か。執筆に集中するため田舎のロッジにやってきたが地元の人間であるジョニーらに目をつけられて暴行される。さらに殺されそうになるが川に飛び込んで逃げて生存。いったいなぜ溺死することもなく生きられたのかなどは謎。男たちへの不意打ちが大体「背後から頭を殴る」というものばかりで、暗殺者顔負けの背後取りスキル持ちである。ジョニー一味の中でマシューにだけは少し情けをかけていたが、そのマシューもストーチに仕掛けた銃の発射装置として使い、もろともに殺した。

ジョニー

グループのリーダー。ガソリンスタンドで働く。ジェニファーをナンパするが振られる。○○○をチョン切られるれて失血死。その前にそれを口に突っ込まれてもいる。男なら間違いなく最も印象に残る拷問だ。

スタンリー

小太りの男。ジョニーの友人1。カメラでジェニファーへの暴行を撮影していた。拘束されまぶたを閉じられないように固定された上で放置され、鶏に目を食われて死亡。

アンディ

ジョニーの友人2。あまり特徴がなく最も影が薄い。水酸化ナトリウムが溶け込み、強酸と化した水に漬かって顔の原型がなくなるほど溶けて脂肪。

マシュー

ジョニー一派の中では一人浮いている、気弱な男。トイレ修理をした時ジェニファーに抱き着かれて俺に気がある!とか思ってしまう、童貞のテンプレみたいな奴。ジェニファーと無理矢理性交させられる。ジェニファーに唯一手心をかけられるが、ストーチに対する銃弾の発射装置として利用され、ストーチもろとも腹を撃ち抜かれて死亡。

ストーチ

保安官。妻と子を持ち、幸せな家庭を築いている。一時逃げ出したジェニファーと会い、ジェニファーは安堵するが現場に戻った途端に急変。実はジョニーたちの仲間、どころか親分だったことがわかる。ジェニファーにケツに銃を突っ込まれて、銃の引き金は寝ているマシューが動き出すと引かれるような仕掛けを施される。制止もむなしくマシューは動いてしまいケツからクチまで銃弾貫通して死亡。

項目別評価

女性を暴行の上に殺害しようとするという、犯人側が邪悪の極みを行う前振りがあるので後半の展開にはただただ爽快。アクション映画の悪役がやられる様を見るよりよほど「ざまあみろ!」という気になれる。男目線で見ればエンタメとして面白いのだが、女性としてはどうなのかはよくわからない。まああんまりお勧めできるもんではないだろう。

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