ジョン・ウィック -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ジョン・ウィック

執筆日:2016年03月06日

ストーリー・ネタバレ

冒頭、瀕死の男ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)が映される。彼は何か激しい戦いを行った直後なのであろうか、酷い怪我をしている。

時間はさかのぼる。ジョンは妻のヘレン(ブリジット・モイナハン)を病気で失い失意の状態だった。しかし妻の死後、妻がジョンのために犬を購入しており、ジョンにプレゼントとして届くよう、生前に手配していたのだった。その気遣いに涙を流すジョン。犬と共に贈られてきた手紙に書いてあった妻の遺言通り、その犬、デイジーと共に前向きに生きていくことを決意したのだった。
だが、デイジーと共に買い物に出かけてガソリンスタンドに寄った際、ロシア語を話すガラの悪い連中に目をつけられ、「車を売れ」などと言ってきた。それをその場はいなしたジョンだったが、その後、夜に自宅にその連中がやってきて暴行を受け、デイジーが殺され、車は奪われてしまったのだった。

ジョンを襲った連中はロシアン・マフィアのボスの息子のヨセフ・タラソフ(アルフィー・アレン)だった。彼の父親のヴィゴ・タラソフ(ミカエル・ニクヴィスト)は実はジョンを知っていた。ジョンはヴィゴの元で働く殺し屋であり、ジョンが不可能とされていた暗殺を成功させたことで、ヴィゴのマフィア組織は今の地位があるのだと。ゆえにヴィゴはジョンには敬意を持っていたのだが、彼の息子のヨセフが彼を知らずに犬を殺したことにヴィゴは怒った。そして息子に「ジョンはお前を殺しに来る」と言い、自分は何もしてやれないとも言った。

そうは言ったものの、ヴィゴはジョンに電話をして話し合いをするように提案したのだった。が、ジョンは無言でその電話を切ってしまう。もはや話し合いは不可能。ヴィゴも仕方なくジョンを抹殺する方針にして、ジョンの家へ部下を送り込んだのだった。
だが結果は皆殺し。ジョンは現役の頃利用していた死体の掃除屋を呼び、自宅の死体を処理した。

ジョンはターゲットのヨセフを探し始めた。ヨセフの居場所を突き止めてそこに単身乗り込むも、あと一歩のところで逃げられてしまう。しかしヨセフの取り巻きを何人も殺害、部下に電話してきたヨセフに対して「高くついたな」とジョンは脅した。

一方、ヴィゴは凄腕のスナイパーの殺し屋であるマーカス(ウィレム・デフォー)にジョンの殺しを依頼したのだった。だが、マーカスはジョンの妻の葬式にも参列したジョンの友人でもあった。ジョンを殺す気はなく、むしろこの後先々でジョンを助ける行動をする。

ジョンは殺し屋ご用達のホテルへやってきて情報を集める。そこで女の殺し屋のミズ・パーキンズ(エイドリアンヌ・パリッキ)が部屋に押し入って襲い掛かってくるも、マーカスが狙撃によってジョンにそれを知らせたために危機は免れ、ジョンは彼女を返り討ちにした。そしてヴィゴが自分の大事な財産をある教会に隠していることをミズから聞き出した。

その教会へ行き、神父を演じているヴィゴの部下を制圧した後、その神父に案内させて隠し財産のところまで行き、それらを全てジョンは燃やしてしまった。こうしてジョンはヴィゴの逆鱗に触れる。隙をつかれてジョンはヴィゴに捕らえられてしまった。
自分の財産を燃やされたことに怒りを燃やすヴィゴ。しかしジョンは絶体絶命。ジョンを殺す命令をしてその場を去ったヴィゴだったが、ジョンはマーカスの狙撃によりまたも救われ、その場を乗り切った。そしてヴィゴに銃を向けて「息子の居場所を言え」と問い詰めるジョン。ヴィゴは仕方なくその通りに教えたのだった。

ヨセフがいる場所は厳重な警護がなされていたが、ジョンは巧妙にかいくぐり、ついにヨセフを殺し復讐を果たす。「犬ごときで…」などと言おうとしたヨセフを全く躊躇なく撃ち殺したのだった。

だが今度はヴィゴが、ジョンを殺害するどころか手助けしたマーカスを無惨にも殺害してしまった。それを知ったジョンはヴィゴを狙う。
最後の戦い。ヴィゴの部下をことごとく殺害して最後にはジョンとヴィゴの一騎打ちになる。ナイフを刺されるなどして満身創痍になったジョンだったが、雨の中、ついに打ち勝った。ヴィゴは「また会おう」と言って絶命した。

ここで冒頭の重傷のジョンのシーンと繋がる。ジョンは瀕死になりつつも妻が映ったビデオを見ていた。そして怪我の治療のため行き着いた場所は捨てられた犬を保護している施設?であり、そこで一匹の犬を連れ出し、それと共に生きていくことをジョンが決意、散歩しつつ家へ帰ろうとしているところがラストシーン。

感想・評価

キアヌ・リーブスというと代表作は何になるのだろうか。おそらく「スピード」とか「マトリックス」だろう。
しかし個人的には、そのどちらでもキアヌ・リーブスを格好いいと思えたことがなかったのである。
なんか彼って、どの作品でもイマイチコーディネイトに恵まれてないような印象なのだよな。特に髪型。イケメンには違いないのだが、なんかどの作品でもどうもビジュアルが決まっていないという印象があった。

だがこのジョン・ウィックは違った。見た目は特にセットもしていないような長髪と伸ばしたヒゲ、やもすれば浮浪者という印象すら受けかねないようなものかもしれないが、実にキアヌに合っている。彼の実生活がたびたび浮浪者っぽいとか色々と話題をかっさらってきたが、だから浮浪者っぽいのが合うとか言ってるのでは断じてないのであしからず。皮肉ではない。ズバリ、キアヌは長髪とヒゲが掛値なしに似合う。作中の設定自体が「妻を失った孤独な元殺し屋」というのもそれをより助長しているだろうが、スピードやマトリックスのようなさわやか系ファッションより、こういう悲壮じみた長髪の方が彼には会っているのだ。いやだって、この長髪を振り乱しつつ行うアクションはマジ格好いいですもんよ。

そのアクションだが、このジョン・ウィックという作品はアクションにパラメータ全振りな映画だ。ストーリー自体は「犬殺されたからぶっ殺し返したる!」という一語で済んでしまうようなものであって、あってないようなものだが、その分、あらゆるシーンのアクション、殺陣が非常にカッコ良い。本当に綿密に、丁寧に作られている。雑な部分がないのである。どのシーンもぎこちないように感じられる動きはほとんどなく、ただ無慈悲に頭に銃弾を撃ち込んでいくジョンに見惚れてしまう。ストーリーは分かりやすく必要最低限のものにし、作品の売りであるアクションを際立てる、という方針なのだろう。その潔さはプラスの方向に作用していると思える。余計なことはいい!アクションを楽しめ!うん、本当に潔い。何せ公式で技のデパート編とかいうPVまで作ってるくらいである。そのアクションも、よくある間合いを取っての撃ち合いアクションではなく、至近距離で頭に銃弾を確実に撃ち込んでいくという、なんとも風変りなもの。カンフーとガンアクションが合わさって最強に見える、そんなのがこの作品のアクションの売りだ。実にスマートかつスムーズかつスウィートなアクションを見せてくれる。格好いいガンアクションは好物なのでかなりツボな作品だった。

ちょっと文句があるとすれば、ジョン・ウィックはもっと完璧な強さにしても良かったんじゃないかな?というところだ。何せ序盤で敵方のボスのヴィゴ・タラソフが「奴に目をつけられたらもうおしまいだ…何もしてやれることはない…」とか息子に語り、物凄くハードルを上げまくるわけで、まあ確かにジョンはその通り強いのだが、捕らえられて絶体絶命のピンチに陥ってるシーンもあるので、本当に誰にも止められないというほどではない程度に強さは留められてしまっている。こういう隙を作ってほしくはなかったかな、というのが本音。ピンチを作るならあそこまでハードル上げんでほしかったかな。

項目別評価

キアヌカッケー!と掛値なしに思えるくらいにはアクションがイカしてる。とにかくアクション特化作品。あまり類を見ない、至近距離での必殺必中のガンアクションは全てのシーンにおいて丁寧に殺陣が構成されていて、こだわっているのが分かる。雰囲気は悪く言えばちょっと辛気臭いかもしれないが、続編はぜひとも出てほしいと思えるくらいの完成度の高さはある。ていうかちょっと調べたら三部作構想なのね、元々。
にしても、新たな犬を見つけて今回は終わったわけだけども、まさか二作目でも犬が殺されたりしないだろうな…。

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