呪怨(劇場版) 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年06月04日

評論

3日ほど前に邦画の悪の教典の感想を書いたのであり、また今月20日には「呪怨・ファイナル」が公開される。それもあって、今日は2003年に劇場版公開された劇場版「呪怨」の評価、感想を書きたい。実際のところ、「呪怨」と「呪怨2」をひっくるめた評価か。どちらも間をおかずに2003年に公開されたものだし、話も明確に繋がっているのでこれらは2つで1セットと言ってもいいだろう。

漫画でろでろにはまっていた頃、それ繋がりでホラー映画監督である清水崇の弁として聞いた言葉がある。
「恐怖と笑いは紙一重である」と。

日本でヒットしたホラー映画といえばまず筆頭に「リング」あるいは「呪怨」が出るであろう。自分はビデオ版(リングにも呪怨にも存在する)ではなく有名俳優たちが出演する劇場版は視聴したのであるが、どれも見た後に後悔するものばかりであり、特に呪怨の方はその理不尽さに未だに思い出しては戦々恐々する。だが、確かにこれらの作品を見て恐怖せずにむしろ笑える、という人間はいるようだ。
今もってこれらを見て「笑える」という人間の思考、感性が理解できない。いや、少なくともリング、呪怨でこれらの感想を出る人間は、というように限定しておくか。だって怖いもの、単純に。びっくりどっきり系の、ある意味卑怯とも言える、オバケ屋敷的な怖さではあるが、それでも怖いっちゃ怖いんだから仕方ない。

2000年前後にリングがヒットした当時も相当に恐ろしかったのだが、この呪怨という作品に登場する伽椰子というド悪霊、ド怨霊はリングの貞子を遥か上回る恐ろしいものとなっている。この伽椰子はかつて夫に惨殺された恨みから生ある者に強い殺意を抱き続けているという設定だ。
貞子はビデオさえ見なければ基本問題ないのに対して、この伽椰子という悪霊はニアミスしただけでも、善良な人間であっても、全ての関係者を殺し去ってしまうという、とんでもなく有害で強力な存在となっている。以下にその強力加減を羅列する。

とにかく殺意に溢れていて目をつけられたら逃れられない上、どこにでも出没するのがタチが悪い。なんでこんなのが自縛霊でもなくどこにでも現れるんだよ…という感じである。そこはせめて何かしらの縛りを設定しろよ卑怯だろと言いたくなる。縛るどころか、時空を超える幽霊なんてのはそうそういないだろう。なんでもありだ。幽霊って恐ろしい存在なのは当然だけども、実際のところあまり「殺しに来る幽霊」って、フィクションだとしてもそれほど見たことはない。そういうのは幽霊というよりはクリーチャーの領分だ。だがこの伽椰子は全力で殺しに来るのがなんといっても恐ろしい。自分の苦しみを味あわせるためだけに他人を殺すようなので理由などなく殺すのみなのだ。
出現の仕方も、定番と言えば定番だがびっくりどっきり系で、マジで心臓に悪い。この呪怨という作品は、とてつもなくストレート、ド直球である。映像面にしても、伽椰子という怨霊の恐ろしさにしても、だ。

とまあ、自分はホラー映画を見てただただ怖がるのみで一番いいお客さんであるから、この映画を見て笑える、という感想が出る人間は理解できない。一体どこに笑える要素があるというのか。不思議でしょうがない。多分だけど、「幽霊が驚かしにかかってる」のが笑えるのかなあ?何必死に驚かそうとしてるんだよ(笑)みたいな。でも少なくともこの作品に関しちゃ恐ろしい存在すぎるので笑える余裕なんてないと思うがなあ。
ただ1に関しては、確かに1つ笑える部分はあるといえばある。かなりインパクトのあるシーンだったので記憶に残っている。
津田寛治演じる男性が伽椰子と関わった後に廃人になってしまうのだが、病院の屋上で、なんかいきなりガタガタ震えだすのだ。そして次に映ると姿が消えてしまっているという。このシーンに関しては笑えるっちゃ笑えると思う。でもこれくらいだろう。伽椰子が登場するシーンでは間違っても笑えない。1か2かは忘れたが、当時確か一人暮らししている時にレンタルして見たのであるが、間違っても今はやりたくない視聴法だ。

項目別評価

恐怖を「エンターテイメント」とした場合、キャラ、伽椰子の怖さを「キャラクター」の項目とした場合とした。怖い。年くった今でもはっきり言って怖いので見たくない映画である。いや、10年前当時だって怖いもの見たさで見たいから見たので、今もその点は変わらないか。ファイナルも見たいっちゃ見たい。人が大勢いる劇場で見るのが一番怖くないと思うのでいっそファイナルは劇場で見たくもある。でもきっと、「ビクッ」とする場面あるんだろうなあ。ファイナルとか言ってもどうせ綺麗に成仏するわけじゃなくバッドエンドだろうなあ。
ちなみにキャストに関してだが、1だと奥菜恵、伊藤美咲、市川由衣(2にも出演)、2だと酒井法子、新山千春といった当時第1線の女優たちが複数人出演しているので豪華と言える?か。この人ら今はやや影が薄くなってしまった人たちだし、当時は自分も若かったのもあり、キャストを見ると月日の流れを感じずにいられず若干の寂寥を感じる。そんなことはどうでもいいが、最初にも書いた通り、劇場版1と2は1年と間をおかずに公開されていて、確か市川由衣と田中要次の親子役が登場するエピソードなどでは1と2に明確に繋がりがあったはずなので、見るならば1と2を両方レンタルして続けて見るのが良いだろう。

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